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JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology)

2016
134巻

トラベクトーム術後の毛様体解離

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 134巻 (3号) 2016

Transient Ciliochoroidal Detachment After Ab Interno Trabeculotomy for Open-Angle Glaucoma
A Prospective Anterior-Segment Optical Coherence Tomography Study
Tadamichi Akagi et al (Kyoto)
JAMA Ophthalmol 134(3):304-311, 2016
流出路手術後に理論的にはあり得ない低眼圧を一時的に生じることがある。ロトミー後に生じるような毛様体解離(CCD)がないかプロスペクティブに調査
37例のPOAGに対するTrabectomeで術後AC-OCTを用いてCCDの有無を検討する
Temporal, Superior, Inferior, 30°Spranasal, Nasal, 30°Subnasalの6方向
3例は術後フォローアップ不足、一例は術前よりCCDを認めたため除外 結果33例の解析
術後3日目において、CCDあり:14眼42%、CCDなし:19眼58%であった 5mmHg以下の低眼圧になった例はなかった
CCDあり:術後3日目 10例で6方向すべて、10日目 5例、1か月目 4例
CCDなし群と比べて、眼軸が短い(23.66 vs 25.16) CCTが薄い(505.9 vs 533.9)
IOP: 1D 9.1 vs 14.2, 3D 8.4 vs 13.4, 10D 11.0 vs 15.5, 1M 13.4 vs 15.5, 3M 13.9 vs 15.5 徐々に差は減少
TMを切開した部分がCCDに接続している所見が得られた
Uveal effusionや小眼球、原田病、バックル術後、PRP後などでもCCDは生じる
ぶどう膜のうっ滞や静脈対流によるものと考えられるが、Trabectomeでは考えにくく、手術による炎症の可能性は否定できない。また切開創からのリークは認めなかったが、全例で角膜縫合をしたわけではないので、一過性の眼圧低下によるCCDの可能性、手術の際にCyclodialysisを作成してしまった可能性も否定できない
<結論>CCDを生じる原因は不明だが、まれではない 術直後の一過性眼圧低下と相関していた。切開部位でのぶどう膜強膜流出路の一過性増加によるものと考えている(MM)

2015
133巻

結膜嚢からの検出菌の薬剤耐性の変化

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 133巻 (12号) 2015

Antibiotic resistance among ocular pathogens in the United States. Five-year results from the antibiotic resistance monitoring in ocular microorganisms (ARMOR) surveillance study.
Asbell PA et al(NY USA)
JAMA Ophthalmol 133(12): 1445-1454, 2015
・全米の施設に呼びかけて、検出菌の薬剤耐性について調査した。
・調査期間は2009/1~2013/12である。
・72施設から3237菌が集まり、黄色ブ菌1169株、coagulase陰性ブ菌(CoNS)992株、肺炎連鎖球菌330株、インフルエンザ菌357株、緑膿菌389株を調査した。
・メチシリン耐性株(MR)は黄色ブ菌493株(42% 95%CI=39.3%-45.1%)、CoNA493株(49.7% 95%CI=46.5%-52.9%)であり、MRは同時にフルオロキノロン、アミノグリコシド、マクロライドに耐性であった(p<0.001)。
・その他に3種以上の抗生剤に耐性であったMRは428株(黄色ブ菌の86.8%、CoNSの77.3%)であったが、ブ菌は全てバンコマイシンには感受性があった。
・アジスロマイシン耐性は肺炎連鎖球菌が多かった(113株34.2%)。
・高齢者から検出されたブ菌はMRである確率が高かった。
・5年間の調査機関中では、ブ菌内でMRが増えているわけではなかった(P<0.22)。(TY)

2015
133巻

Cefroximeの前房内過量投与による一時的な黄斑浮腫

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 133巻 (10号) 2015

Trancsient macular edema after intracameral injection of a moderately elevated dose of Cefroxime during phacoemulfication surgery.
Wong DC, Shortstein NH, et al.(US-CA)
JAMA Ophthalmol 133(10); 1194-1197, 2015
・Cefroxime前房内投与の適正濃度;1mg/0.1ml、二段階の手順のため溶解ミスのリスクはらむ
・この施設の手順;①Cefroxime 1バイアル(750mg)を7.5mlの生食で溶解、②①の溶解液のうち3ml(300mg)をさらに27mlの生食で溶解(=1mg/0.1ml)
・今回手違いにて9mg/0.1ml(①液そのまま?)前房内投与
・誤投与13眼中6眼で翌日に視力低下(20/70以下)と黄斑浮腫が出現。黄斑浮腫は平均5.2±1.3日で吸収。術前より眼合併症のあった2眼を除いてすべての症例で1か月後には視力20/30以上に回復。角膜浮腫みられず。(MK)

2015
133巻

プラスミン硝子体注射後、白内障手術+硝子体手術中に起こったZinn小帯断裂

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 133巻 (9号) 2015

Zonular Dehiscence at the Time of Combined Vitrectomy and Cataract Surgery After Intravitreal Ocriplasmin Injection
Keller J, Haynes R. (UK)
JAMA Ophthalmol 133(9):10 1091-1092, 2015
【Case1】60代半ばの女性。左眼にVMTを伴うMHありocriplasmin硝子体注射。PVD発生したがMHは閉鎖せず。水晶体動揺なし。
注射6週間後に白内障手術と25G硝子体手術との併用手術。IOL挿入の際にZinn小帯が180°断裂し虹彩クリップ型IOL(Artisan)に変更。MHは閉鎖し視力は20/30→20/40。
【Case2】60代後半の女性。左眼にMH発症しocriplasmin硝子体注射。注射数時間後に光視症と羞明、視力低下を自覚。PVD進行、ERGは全波形が減弱。OCT上MH残存、円孔径拡大。水晶体動揺なし。
 注射6週間後に白内障手術と硝子体手術との併用手術。IOL挿入時に下耳側のZinn小帯断裂みられCTR挿入。視力20/100→20/50。
【考察】過去の二報ではocriplasmin硝子体注射後の水晶体変位や脱臼はまれ。硝子体の液化の程度によっては不規則に拡散する報告あり→この奇異な拡散が高い濃度でZinn小帯に到達し、弾性線維を破壊?(MK)

2015
133巻

非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)と睡眠時無呼吸症候群(OSAS)との関係

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 133巻 (7号) 2015

Association of Nonarteritic Ischemic Optic Neuropathy With Obstructive Sleep Apnea Syndrome Consequences for Obstructive Sleep Apnea Screening and Treatment
Florent Aptel, et al. (France)
JAMA Ophthalmol 133 (7): 797·804,2015
目的:NAION患者でのOSASの有病率と僚眼への併発のリスク要因を調べる。
対象と方法:NAION 89人(男性58人、女性31人、平均年齢68歳)。
終夜睡眠ポリグラフ検査を行った。白内障手術を受けた症例はなかった。
結果:NAION 89人中、OSASの有病率は75%(67人)だった。中等度OSAS 24人、重症OSAS 43人。
3年間の経過観察中に僚眼に併発したのは10人だった。OSAS有り8人、OSAS無し2人。
健眼へのリスク要因は、CPAP治療を必要としている重症OSASだった。
結論:NAIONの患者にはOSASの有病率が高い。これらの患者には終夜睡眠ポリグラフ検査を行うべきである。
CPAP治療により、僚眼へのリスクが抑えられるかもしれない。(CH)

2015
133巻

フェニレフリン点眼の心臓血管に対する副作用

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 133巻 (6号) 2015

Cardiovascular Adverse Effects of Phenylephrine Eyedrops
A Systematic Review and Meta-analysis
Bethany Stavert, et al. (Australia)
JAMA Ophthalmol  133(6):647·652,2015
目的:フェニレフリン点眼の心臓血管に対する副作用を調査する。
対象と方法:ボランティア916人(平均年齢56歳、男性46%、女性54%)、3%が高血圧のような心臓血管疾患を持っていた。両眼に2.5%、10%フェニレフリン点眼を1滴から3滴点眼。血圧と脈拍を測定した。
結果:2.5%フェニレフリン点眼では60分を超えても血圧は上昇しなかった。
それどころか、投与後60分以上経過するとわずかな血圧低下( -4.65mmHg)を認めた。脈拍は変化なかった。
10%フェニレフリン点眼は投与後5分から10分後に血圧上昇平均15mmHgを認めた。20分から30分後にはベースライン時に戻り、その後変化はなかった。
脈拍は20から30分後に4-48 回/分増加した。60分後にはベースライン時に戻った。
結論:2.5%フェニレフリン点眼は血圧や脈拍に臨床的に有害な変化を与えず、病院でルーチンに使用するのに安全である。(CH)

2015
133巻

DMEに対するRanibizumab反復投与と眼圧上昇

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 133巻 (5号) 2015

Repeated Intravitreous Ranibizumab Injections for Diabetic Macular Edema and the Risk of Sustained Elevation of lntraocular Pressure or the Need for Ocular Hypotensive Treatment
Susan B. Bressler et al (Baltimore)
JAMA 133(5):589-597, 2015
・多施設共同研究であるDiabetic Retinopathy Clinical Research Network(DRCR.net) studyで登録された患者のうち、シャム注射とRanibizumab注射を行ったDME患者を抽出
・除外基準:POAGやステロイド緑内障で眼圧下降薬を使用しているもの、NVG患者、ベースラインで25mmHgの眼圧のもの
・angle closure、およびOHTで1剤以下の点眼でIOP25mmHgのものは含んでいる
・322眼でRanibizumab+deferred or prompt focal/grid laser、260眼でシャム+focal/grid laser
・primary outcome:眼圧上昇(22mmHg以上かつベースラインよりも2回連続一か月以上離れて6mmHg以上の上昇) 眼圧は散瞳前の眼圧、眼圧下降治療の開始もしくは追加と定義
・3年間のフォローアップ後にアウトカムを満たしたのはシャム群:6眼(3.4%)、Ranibizumab群22眼(9.5%)であった ハザード比2.9だが発生率が少なく、信頼区間は広い
・10mmHg以上の眼圧上昇:シャム9%、R群6%
・30mmHg以上の眼圧:シャム3%、R群2%
・アウトカムを満たしたRanibizumab群での平均投与回数は7±4回 全体では3年間で15回
・投与回数と眼圧上昇の関係は認めなかった
・反復投与でIOP上昇する理由として、炎症の増加、繊維柱帯の機械的・機能的な変化が検討されている
・AMDでの反復投与ではANCHORやMARINAトライアルではR群11%、コントロール群5%(MM)

2015
133巻

高度近視・ERMで見られる、傍血管網膜内欠損

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 133巻 (4号) 2015

Paravascular Inner Retinal Defect Associated With High Myopia or Epiretinal Membrane
Yuki Muraoka et al (Kyoto Univ.)
JAMA Ophthalmol 133(4):413-420, 2015
・PIRDとは主要血管に沿って、紡錘形やキャタピラ型の暗い領域に見られ、視神経乳頭には接続していない網膜の変化
・通常の縦横のOCTではcystoidやfissure-like spaceとしてとらえられるが、血管に沿ってOCTを撮影するとかなり広い範囲にわたっての欠損であることが分かった
・過去に千原らがRNFLのcleavage(開裂)と報告したものや、retinal cleavage, paravascular retinal cysts, lamellar holeと呼ばれていたものと考えられる
・28名41眼(33-81歳:平均57.4歳、両眼が13名)のPIRDを対象とし、OCTを用いて調べた
・除外基準: 21mmHgを超える眼圧、OCT画像に影響を与える白内障、視野異常をきたす網脈絡膜萎縮、視神経乳頭異常(視神経低形成、SSOH,傾斜乳頭)、過去の内眼手術、静脈閉塞、動脈閉塞、DR、外傷、緑内障
・37眼は近視、21眼は高度近視であった。平均屈折異常は-7.94D 平均眼軸26.96mm
21眼で黄斑部にERMを認め、これらではPIRDは血管の下から黄斑部に向かって広がっていた
・ERMを認めた21眼のうち高度近視は6眼のみであった
・35眼では対応する視野異常を認めた
75%:Bjerrum 暗点様  59%:Nasal step様
・NFLDと異なる点は、辺縁が不整であること、幅が均一でないこと、視神経乳頭につながっていない
・PIRDでは、動脈よりも静脈に沿って存在、下方よりも上方に存在し、耳側におおい(34%では両側に存在していた)
・主要血管に沿ってまたは主要血管のすぐ下に存在
・後部硝子体膜は91%で付いてはいなかった
・眼軸が伸びる際に主要血管が軸方向にずれて生じるのではないかと考えられる
・同様にERMでも主要血管が黄斑部に向かって牽引される際にPIRDは生じると考えられる
・PIRDが全層の網膜裂孔に進展するのかは不明
・網膜静脈の方が網膜動脈よりもフレキシブルで動きやすいかもしれない(MM)

2015
133巻

Uveal Effusion Syndromeに対する、エクスプレスシャントを用いた脈絡膜剥離のドレナージ手術

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 133巻 (4号) 2015

Ex-PRESS Shunt for Choroidal Fluid Drainage in Uveal Effusion Syndrome Type 2
 A Potentially Novel Technique
Yapez JB, Arevalo JF. (Kingdom of Saudi Arabia)
JAMA Ophthalmol 133(4): 10 470-471, 2015
・テノン嚢内麻酔、結膜切開、下液の多い象限の強膜を露出、角膜輪部より13mmの部を25ゲージ針で斜めに穿刺、上脈絡膜腔の浸出液が排出、エクスプレスシャントを留置、BSSを前房に注入して眼圧調整、結膜縫合。
【Uveal Effusion SyndromeのUyama分類】
Ⅰ型:小眼球(+)強膜肥厚(+)強膜開窓有効、Ⅱ型:小眼球(-)強膜肥厚(+)強膜開窓有効、Ⅲ型:小眼球(-)強膜肥厚(-)強膜開窓無効
*ビデオはPatient1のもの、下耳側象限よりアプローチ。
UESはCDだけでなく胞状RDも合併するが、今回の治療ではRDも速やかに吸収
Patient 1.2とも下耳側に留置、術2日後にはCD、RDともに吸収
Type2 UESは23-50%で再発するとの報告(MK)

2015
133巻

POAGにおいて、上方の視野欠損と下方の視野欠損では患者のQOVに違いがあるか

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 133巻 (3号) 2015

Patient-Reported Vision-Related Quality of Life Differences Between Superior and Inferior Hemifield Visual Field Defects in Primary Open-Angle glaucoma
Hui-Chen Cheng et al (Taiwan)
JAMA Ophthalmology 133(3):269-275, 2015
・189名(平均年齢59.1歳)、131名が男性
・矯正視力20/60以上、眼圧25mmHgで安定している、信頼性のある視野検査が3か月以内に測定している患者を対象
・HFAを両眼で統合したIVFを用いて、日常生活に与える影響を台湾人向けのNEI-VFQ25で調査
・上方の視野障害は近方の活動に、下方の視野障害は全体の見え方、資格を頼りにした役割の困難、周辺視野と相関
・両眼で上方視野障害のある患者では、文字を読むこと、近づいてみるような趣味、混雑した棚から何か探すことが苦手と考えられる。
・アルファベットは上半分が重要な意味を持つが、漢字は上や左側が重要な意味を持つ
・下方の視野障害があると、歩行速度の遅延、転落、それにより怪我が多くなるため、家族や友人の助けが必要となる(MM)

2015
133巻

OCT angoigraphyについて

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 133巻 (1号) 2015

Retinal vascular layers imaged by fluorescein angiography and optical coherence tomography angiography.
Spaide RF et al(NY USA)
JAMA Ophthalmol 133(1): 45-50, 2015
・OCT angiographyの特性について、網膜の2x2mm領域のsplit-spectrum amplitude decorrelation angiography(SSADA)画像を蛍光眼底画像と比較し、放射状傍乳頭毛細血管網を正常眼12眼で検討した。
・蛍光眼底では視神経乳頭周囲の完全な放射状毛細血管網を観察できたものはなかったが、SSADA画像では簡単に観察できた。
・FAとSSADAを比較すると、内層の血管網については95.3%(95%CI=92.2-97.8%)が一致したが、外毛細血管網については4.7%(95%CI=2.6-5.7%)の一致であった。
・OCT angoigraphyは網膜の臨床評価に有用である(図)(TY)

2015
133巻

OCT angoigraphyでの黄斑部毛細血管拡張症type2の検討

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 133巻 (1号) 2015

Retinal vascular layers in macular telangiectasia type 2 imaged by optical coherence tomographic angiography.
Spaide RF et al(NY USA)
JAMA Ophthalmol 133(1): 66-73, 2015
・MacTel2はFAでの深層の血管網の異常として良く知られている。
・今回、7例14眼のMacTel2についてsplit-spectrum amplitude decorrelation angiography(SSADA)画像で、内層と外層の網膜血管網、網膜深層血管の外層、網膜下空間への侵入について検討した。
・MacTel2では全例で内層網膜血管網が少なくなっていたが、深層の網膜血管網に顕著であった。
・MacTel2の初期では深層血管網は毛細血管拡張があったが、進行した症例では薄くなり欠損しており、残存血管は引き伸ばされ、外層や網膜下腔への新生血管の侵入がみられた。
・この方法によるMacTel2の検討は有用であった(図)(TY)

2015
133巻

SITA fastとstandardの再現性

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 133巻 (1号) 2015

Measurement Precision in a Series of Visual Fields Acquired by the Standard and Fast Versions of the Swedish Interactive Thresholding Algorithm
Luke J. Saunders et al (England)
JAMA Ophthalmology 133(1):74-80, 2015
・Accuracy:真の値に可能な限り近い Precision:再現性が高いこと(high repeatability)
・イギリスMoorfields Eye Hospitalで1997年5月20から2012年9月20日
SITA Standard: 10124 eyes 66974 VFs  ・ SITA Fast: 3654 eyes 19819 VFs
・それぞれの測定点のデータからコンピュータ解析でシミュレーションを出している
・年に2回の視野検査で、視野の進行を検出できるまでの期間を算出
・感度が悪化すると、年に二回の視野検査では-1dB/yの変化でも8年以上かかってしまう
・SITA Fastのほうが再現性はやや悪いが、その差は無視できる範囲である
・感度が15-10dBの間はStandardの方がよいかもしれない(MM)

2015
133巻

モキシフロキサシン内服でのぶどう膜炎のリスク

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 133巻 (1号) 2015

Risk for Uveitis With Oral Moxifloxacin
Brennan Eadie, et al. (Canada)
JAMA Ophtholmol 133(1): 81-84, 2015

目的:経口モキシフロキサシンとぶどう膜炎の関係を調べる。
対象と方法:2001年1月から2011年12月まで、40歳から85歳までの男性で、全て初回のぶどう膜炎と診断された13313人、コントロール 133130人と比較。(表1)
結果:フルオロキノロン類非使用者と比較して、モキシフロキサシン初回使用者のぶどう膜炎がハイリスクだった。
シプロフロキサシン初回使用者はレボフロキサシン初回使用者より、より高いぶどう膜炎の危険を示した。(表2)
モキシフロキサシン、シプロフロキサシンの使用はぶどう膜炎のリスクを増やすと考えられる。
レボフロキサシン使用は影響なかった。
結論:経口モキシフロキサシンとブドウ膜炎の間の相関関係を示唆した症例報告と矛盾しなかった。さらにシプロフロキサシンとぶどう膜炎の関連も示唆した。臨床医はこれらの薬を処方する時、経口モキシフロキサシンあるいはシプロフロキサシンとブドウ膜炎の関係を意識すべきである。(CH)

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2014
132巻

長距離フライトでのACG

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 132巻 (12号) 2014

Angle-Closure Glaucoma on Long-Haul Flights
Andrew M. J. et al (England)
JAMA Ophthalmology 132(12):1474-1475, 2014
・長距離フライトで急性緑内障発作を生じた3症例
・Case1:68歳女性 ロンドンからLAのフライト 到着後すぐにLI、点眼処方
帰国後左のLI追加
・Case2:53歳女性 ロンドンからシドニーのフライトの終わりで頭痛・霧視・羞明 うつでシタロプラム(セレクサ:抗うつ薬)服用 オーストラリアで点眼とPI 帰国後シタロプラム中止
・Case3:42歳女性 14年前に両眼のPIを受けている NYからロンドンのフライトの終盤で繰り返す痛みと無視、吐気 点眼と右のPI追加 プラトー虹彩形状
2週間後、再発作のため、水晶体摘出を行った
・長時間、薄暗い状態でアップライトに座っているとリスクが上がるのではないか。
・医療状況のよくない国や言葉の壁がある国へのフライトでは、適切な治療が受けられない可能性があるので、リスクのある人へは発作の症状や適切な処置が必要であることを説明する必要がある。
・現時点では搭乗員はACGについてトレーニングなどは受けていないが、ACGの知識とファーストエイドセットの用意はした方がいいかもしれない。
・座位よりも、仰臥位でいた方が瞳孔ブロックを予防するため良いかもしれない。(MM)

2014
132巻

近視tilted discでの緑内障スクリーニング方法

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 132巻 (12号) 2014

Novel Screening Method for Glaucomatous Eyes With Myopic Tilted Discs
The Crescent Moon Sign
Mi Jeung Kim et al (Korea)
JAMA Ophthalmology 132(12):1407-1413, 2014
・近視眼での緑内障スクリーニングにおいて、ステレオ写真でCrescent Moon Signを提唱
・Group1:70名70眼ずつの傾斜乳頭の近視眼、と正常眼(屈折矯正手術や一般眼科より緑内障疑いで紹介されて、緑内障が否定された患者)
・Group2:同様に60名60眼ずつの調査
・-0.5D以上の近視、MD値-6dBより悪いもの、視神経乳頭のtilt index(短径/長経)が0.8以下、眼軸は24.0mm以上
・正常群は3年以上経過観察ののちに緑内障性の進行を認めないもの
・Crescent Moon Sign:Rimの内側の接線が耳側で連続して黄斑部に向かわずに、rim marginに接続していく
・通常のISNT rule, modified ISNT rule(6時と12時の長径ではなく、最大径の部位を使用)とくらべて、感度、特異度を決定
・感度    CM sign:90.0-91.4% ISNT rule:73.3-75.7% modified ISNT rule:68.6-71.4%
・特異度 CMsign:82.9-83.3%  ISNT rule:68.3-71.4%  modified ISNT rule:76.6-80.0%(MM)

2014
132巻

氷を使用した麻酔法

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 132巻 (8号) 2014

Use of topical ice for local anesthesia for intravitreal injections.
Lindsell LB et al(OH USA)
JAMA Ophthalmol 132(8): 1010-1011, 2014
・リドカインにアナフィラキシーのある人、点眼麻酔薬にアレルギーのある人に対し、氷を使用した麻酔を試みた。
・滅菌手袋に小さな氷を詰め、下眼瞼耳側に1-2分置き、痺れた頃、耳下側の結膜に2分ほど氷入り手袋指先を接触させて麻酔した。
・冷やすことによる神経伝達を減少させることによる効果である。
・また、局所的な血管収縮効果もある。(TY)

2014
132巻

動眼神経麻痺に対する分割した外直筋の鼻側への移動

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 132巻 (8号) 2014

Adjustable nasal transposition of split lateral rectus muscle for third nerve palsy
Ankoor S. Shah et al. (Boston Children’s hospital, Boston, Massachusetts)
JAMA ophthalmol 132(8): 963-969., 2014.
・2010年から2012年に動眼神経麻痺に対し分割外直筋の鼻側移動を受けた6名の患者を5から25か月間調査した。
・6名中4名は手術に成功。うち3名は正位となった。
・術前68プリズム外斜視は術後、0プリズムであった。
・2名は術前の上下斜視が術後は改善。1例は一過性の脈絡膜漏出をきたし低矯正であった。この症例は分割した筋が後方で眼球に接触、伸展していた。
・2例では外直筋に手術既往があり、手技に不充分な部分があった。
・分割外直筋の鼻側移動が動眼神経麻痺患者の治療に非常に有効である場合がある。
・水平・垂直方向の可動性を改善するが、分割し、眼球につないだ外直筋が第一眼位方向に回旋すると思われる。
・しかし症例の選択が重要で、以前の斜視手術で外直筋が収縮や伸展していたり外直筋の分割が不充分であったりすると、術後合併症をきたしやすく成功率が低くなる。(YM)

2014
132巻

転移癌に対するMEK阻害剤使用者の両側中心窩下感覚神経網膜剥離

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 132巻 (8号) 2014

Bilateral subfoveal neurosensory retinal detachment associated with MEK inhibitor use for metastatic cancer
Tara A. McCannel et al. (Jules stein eye institute, Ophthalmic oncology center, University of California, Los Angeles)
JAMA ophthalomol. 132(8): 1005-1009, 2014
・転移癌に対してMEK(mitogen-activated protein kinase enzyme)阻害剤を投与されている患者の両眼に中心性網膜症に似た病態が発症しうる。
・経験した3名の患者のうち、1例目は転移性ぶどう膜メラノーマがあり、転移ぶどう膜炎はステロイド点眼に反応した。
・2例目は転移性cholangio carcinomaで、2週の経過観察で改善。3例目は転移性直腸ガンで、両眼ぶどう膜炎と中心窩下網膜剥離を認めた。経過観察とステロイド点眼で改善した。全員が永久に続くことはなく、MEK阻害剤での治療を中止する必要は無かった。
・MEK阻害剤の作用機構が網膜色素上皮細胞間のtight junctionを調整するため、この薬で液体の移動を妨げ中心窩下に液体が貯留すると考えられる。(YM)

2014
132巻

幼児全色盲のOCT所見と早期介入の必要性

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 132巻 (7号) 2014

Retinal morphology of patients with acromatopsia during early childhood.Implications for gene therapy.
Yang P et al(TX USA)
JAMA Ophthalmol 132(7): 823-831, 2014
・9例の全色盲者(4.2±2.4歳)とコントロール者9名(4.0±2.1歳)に手持ちOCT、全視野ERG、遺伝子検索を行った。
・明所視単発フラッシュあるいは30Hz刺激による錐体反応は7例で記録不能、2例で強く障害されていた。
・薄明暗所単発刺激による杆体反応は7例で正常、2例で軽度障害されていた。
・6例(67%)では中心窩の楕円層(旧IS/OS)が障害されており、1例は低反射帯があり、4例では中心窩低形成があった。
・黄斑部厚は14%薄く(247.7±13.7:286.5±9.9 p<0.001)、中心窩厚は17%薄かった(210.2±24.8:262.4±17.2 p=0.001)。
・これは主に網膜外層が薄くなっている為であった。
・黄斑部(131.9±9.6:161.5±6.4 p<0.001 18%減)、中心窩(136.7±18.0:183.8±9.2 p<0.001 26%減)。
・幼児期の全色盲者はより年齢の高い全色盲よりも障害度は軽度であることから、早期の治療介入が必要と考えた。(TY)

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