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JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology)

2017
135巻

アイバンク眼の汚染と内皮移植用操作

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 135巻 (11号) 2017

Association between fungal contamination and eye bank-prepared endothelial keratoplasty tissue temperature-dependent risk factors and antifungal supplementation of optisol-gentamicin and streptomycin.
Brothers KM et al(PA USA)
JAMA Ophthalmol 135(11): 1184-1190, 2017
・アイバンクで作業を行った内皮移植用角膜と作業をしない角膜との細菌汚染度について検討し、また、室温に放置したゲンタマイシンとストレプトマイシン加入のoptisol(GS)で抗真菌剤を加えたものと加えないものについても汚染度を調査した。
・2013年のEversight Eye Bankで提供した6592眼を調査した。
・2550眼はDSAEKやDMEK用に作業され、4042眼は表層や全層用で作業していない眼球である。
・このうち12眼(0.18%)で感染が報告され、作業されたEK角膜は7眼(全例真菌)、全層角膜で5眼(3眼:細菌、1眼:真菌、1眼:不明)であった。
・ドナー角膜辺縁培養ではEK角膜では46/2550(1.8%)、全層角膜では43/4042(1.1%)で有意差があった(p=0.006)。
・別のグループで酵母菌感染を見ると、EK角膜では19/1665(1.14%)、全層角膜では5/1346(0.37%)と3倍の差があった(P=0.009)。
・GS加入optisol液20mlに4.2x1000CFU(colony-forming units)/mlの3種類のカンジダ属(C albicans,C glabrata,C parapsilosis)を入れて室温に数時間放置すると、カンジダはその中で増殖するが、CaspofunginやVoriconazole等の抗真菌剤を添加してあると、増殖が抑えられた

2017
135巻

YAGレーザー飛蚊症治療:Sham照射との比較

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 135巻 (9号) 2017

 YAG Laser Vitreolysis vs Sham YAG Vitreolysis for Symptomatic Vitreous Floaters: A Randomized Clinical Trial.
Shah CP, Heier JS.(US-MA)
JAMA Ophthalmol. 2017 Sep 1;135(9):918-923. 

【目的】PVD由来のWeiss ringによる飛蚊症に対する、YAGレーザー飛蚊症治療とSham照射との比較
【対象と方法】52例52眼(基準は下記)をランダムに2:1に割り付け、施行後6Mの症状および所見の変化をマスクされた状態で評価
【結果】YAG群36眼、Sham群16眼
・症状の改善はYAG群54%、Sham群9%(P<0.001)
・10ポイント視覚障害スケールの改善はYAG群3.2、Sham群0.1(P<0.001)【Tab.1】
・症状の明らかな改善または完全消失はYAG群53%、Sham群0%(P<0.001)【Fig.2】
・NEI VFQ-25では全体の見え方・周辺部の見え方・role difficulties・dependencyの項目でYAG群が有意に改善【Tab.2】
・最高矯正視力の変化は有意差みられず(YAG群 -0.2文字、Sham群-0.6文字)
・合併症:YAG群の1眼でIOLピット、Sham群の1眼でlatticeからのRB
【結論】YAGレーザー飛蚊症治療は、Weiss ringに関連した自覚症状および他覚所見を改善させた。さらに大規模で長期間の追試によりこれらの事実が確信に繋がるだろう

導入基準
・PVDに続発した明らかなweiss ringによる症状あり
・6ヵ月以上症状持続
・診察、OCT、超音波Bモードのすべてで完全PVDが確認できる
・自覚症状グレードが4以上(0:まったくなし~10:衰弱するほどの症状)
・超音波BモードにてWeiss ringが網膜より3mm以上、水晶体より5mm以上(IOLの場合は不問)離れている
除外基準
・僚眼の視力<20/50
・RB・RD・ぶどう膜炎・DMR・ME・RVO・緑内障・高眼圧症の既往
・治療眼がaphakia(MK)

2017
135巻

上記に対するinvited commentary

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 135巻 (9号) 2017

 YAG Laser Vitreolysis-Is It as Clear as It Seems?
Lim JI.
JAMA Ophthalmol. 2017 Sep 1;135(9):924-925.

・ウサギを用いた他の報告;低パワー(2-6mJ)では網膜から最低2mm離せば安全、高パワー(4-8mJ)では2-4mm離しても網膜障害→最低でも4mm離すべき
・上記論文はスクリーングや照射条件はしっかり吟味されている
・上記論文を含め、YAGレーザー飛蚊症治療の安全性はまだ証明されていない
・長期予後は?近視眼などのvitreoschisisの場合は?
・PVD発生より6-12MはRBやRDが自然発症しやすいのでこの期間は避けるべき?
・高パワー照射を要するような厚い硝子体膜、可動性の高い硝子体混濁は避けるべきだろう(MK)

2017
135巻

緑内障における 検出していない10-2の視野障害と視機能関連のQOLの関係

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 135巻 (7号) 2017

 Association Between Undetected 10-2 Visual Field Damage and Vision-Related Quality of Life in Patients With Glaucoma
Dana M B. et al (NY, USA)
JAMA Ophthalmol 135(7):742-747, 2017
24-2の視野検査結果では説明できないような視機能低下を訴える患者では10-2の異常が見過ごされているかどうか調査
113例226眼の少なくとも一眼に様々な程度の視野障害のある緑内障患者を対象にNEI VFQ-25を調査
両眼での視野を得るため、MD値をもとに、良い方と悪い方の目を決定し、best-location algorithmで両眼の平均感度を求めた。それぞれで最も感度の高い値による視野
24-2も10-2もNEI VFQ-25と相関していたが、10-2のほうがおよそ2倍強い相関があり、24-2で極端にNEI—VFQ25が低い患者35例では、10-2感度が最も強い相関であった
1dBあたりの改善は24-2で1.95倍、10-2で2.57倍、Outlierでは2.78倍であった
ドライアイや白内障などと言って見過ごされている24-2でははっきりしない初期緑内障であっても10-2で異常を認めることがありうるため注意が必要である(MM)

2017
135巻

緑内障患者における、認知機能の低下と視野の変動の関係

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 135巻 (7号) 2017

 Association Between Neurocognitive Decline and Visual Field Variability in Glaucoma
Alberto DF. et al (UCSD,CA, USA)
JAMA Ophthalmol 135(7):734-739, 2017
認知機能の低下によって視野検査の結果が変動すると、緑内障の経過観察の判断が遅れる恐れがある
Mild cognitive impairment(MCI):日常生活には影響の出ない程度の認知機能の低下であり、痴呆とは分類されず、正常の加齢変化から初期の痴呆への認知機能の移行とされ、近年ではアルツハイマー型認知症のリスクファクターと考えられている。
MCI検出のため、Montreal Cognitive Assessment Test(MoCA)を用いて、SITA standard 24-2のMDの変動との関係を調査 30点満点 26点未満で認知機能低下と判断
115例211眼を平均2.5年観察(87例は緑内障、28例は緑内障疑い) 86例が白人、29例が黒人
MD
血は-28.8〜2.6dBと広い範囲にわたる
アーチファクトと考えられるもの、固視不良>33%、FP<15%は除外し1458回の視野(1眼あたり6回)
MoCA score, mean SAP MD, age, sex, race/ethnicity, educational level, incomeを調査
結果
Univariable Model, Multivariable モデルともに、5ポイントのMoCAスコアの低下で0.18dB、0.23dBの変動があった
視野の障害度が強くなるとSDは増加し、その後ピークを迎え、減少した
単変量解析で性別と人種でSDとの相関が見られた(多変量解析では相関なし)
0.23dBはSDの約30%に相当した 信頼のおける視野についてはMDのSDは20%以内が良いとされており、認識能の低下により変動が大きくなるということはそれだけ進行の判断が遅れることや、進行していないのに進行したと判断され、過剰治療につながる可能性がある(MM)

2017
135巻

妊娠中の喫煙と低出生体重児の11-12歳での神経線維層厚

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 135巻 (4号) 2017

 Association of Maternal Smoking During Pregnancy and Birth Weight With Retinal Nerve Fiber Layer Thickness in Children Aged 11 or 12 Years
The Copenhagen Child Cohort 2000 Eye Study
Hakan A, Xiao Q et al (Denmark)
JAMA Ophthalmol 135(4): 331-337, 2017
デンマークで行われたCopenhagen Child Cohort 2000 (CCC2000)の追跡調査で11歳から12歳になった1406名の子供の右眼を測定;過去の外傷・先天奇形・ETDRSで80以下(20/25)の視力・眼軸測定、OCT、他の検査の協力が得られない83眼は除外し、1323眼を調査
人種はEuropean, Asian, African, Middle Eastern, and other or unknownに分類
母親の喫煙を1)喫煙なし、2)喫煙していたが妊娠後中止、3)妊娠後も喫煙継続で分類
ただし、一日の喫煙本数・年間箱数・父親の喫煙歴・母親のアルコール歴は調査できず
出生体重(1284名)はLow(<2500g), normal(2500-4500g), and high(>4500g)に分け、OCTで視神経乳頭中心のRNFL厚を測定
結果
92.4%がEuropean descent
母親の喫煙(1289名):1) 1035名(80.3%) 2) 27(2.1%) 3) 227(17.6%)
出生体重(1284名) :low) 50(3.9%)  high) 47(3.7%) その他normal
                                          1例(<1000g) 1例(1000 to <1500g)
喫煙している母親の子供:              出生体重:3357±636g     
喫煙していない母親の子供:       出生体重:3578±559g    
RNFL厚:喫煙継続の母親から生まれた子供の方が有意にRNFL厚は薄かった
              出生体重、年齢、性別、身長、体重、Tannerステージ、眼軸、等価球面屈折度数で修正後も同じ
              喫煙の影響は視神経乳頭周囲6象限すべてで見られたが、特に下鼻側、下耳側で認めた
              非喫煙者と喫煙中止者では差がなかった
              低出生体重児の方がRNFL厚は薄かった 特に鼻側、下鼻側で薄い
              眼軸が長いほど・近視が強いほどRNFL厚は薄い 高身長ほどRNFL厚は厚い     女児<男児
結論
母の妊娠中における喫煙と低出生体重はそれぞれ、子供が11歳または12歳時の乳頭周囲RNFLの薄さと関係している。他に、長眼軸、近視、女性、低身長も関係
妊娠発覚後中止した母の数が少ないが、中止するのに遅すぎるというエビデンスもない(MM)

2017
135巻

繰り返し行うベバシズマブ硝子体内注射と緑内障手術のリスクの相互関係

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 135巻 (4号) 2017

 Association of Repeated Intravitreous Bevacizumab Injections With Risk for Glaucoma Surgery
Brennan D. Eadie, et al. (Canada)
JAMA Ophtholmol. 2017;135(4):363-368.
目的:繰り返し行われたベバシズマブ硝子体内注射と緑内障手術の関連を調べた。
対象と方法:2009年1月1日〜2013年12月31日の間に滲出性AMDのために初回のベバシズマブ硝子体内注射を受け、その後緑内障手術を受けた74眼。ベバシズマブ硝子体内注射治療を受けていたコントロール740眼。
注射回数を1年に3回以下、4〜6回、7回以上に分けて検討した。
結果:7回以上注射を受けたのは、手術群33眼44.6%、コントロール群254眼34.3% と手術群で多かった。
4〜6回、3回以下では差はなかった。
7回以上注射を受けた手術群のレート比は 2.48 (95% CI, 1.25-4.93)。
結論:AMDに対する硝子体内注射は最初の2年間は平均10回の注射が必要となり、繰り返し注射を受けている患者の6%から9%が眼圧上昇すると言われている。これらのデータは硝子体内注射を繰り返す事により、眼圧上昇が持続したり、緑内障手術へ導く可能性を示唆する。(CH)

2017
135巻

免疫不全の成人におけるジカウイルス感染の2次的な網脈絡膜病変

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 135巻 (4号) 2017

 Chorioretinal Lesions Presumed Secondary to Zika Virus Infection in an Immunocompromised Adult
Christopher R. Henry, et al. (FL, USA)
JAMA Ophthalmol. 2017:135(4):386-389
目的:先天的なジカウイルス感染は、小頭症や色々な眼球異常(黄斑部斑状色素沈着、網脈絡膜萎縮)と結び付けられる。
成人では無症状のことがあり、発熱、発疹、関節痛、頭痛、2〜7日間持続する結膜炎がある。今回、免疫不全の成人におけるジカウイルス感染に続発する広範な両側網脈絡脈萎縮の症例報告。
対象:悪性リンパ腫で化学療法中の60代女性で、最後の化学療法の3日後、頭痛と倦怠感を発症、発疹は認めなかった。その2日後、視力悪化と飛蚊症を自覚した。
前房水でジカウイルスRNAが検出された。
結果:初診時視力は右眼指数弁、左眼20/50、KP、vit cell (+)、両眼に広範な網脈絡膜障害を認めた。FAで網脈絡膜病変の初期低蛍光および後期染色、OCTでは斑状黄斑病変における外側網膜層の破壊を示した。
アシクロビル400mgを1日2回投与。ガンシクロビル、ホスカルネット硝子体内注射を行った。
症状の発症から2週間後、視力は右眼20/80 左眼20/30、眼圧は34mmHgだった。3週間後視力は右眼20/60 左眼20/25に改善した。眼圧は18mmHg 。
6週間で、網脈絡膜病変は治癒し、視力は右眼20/25 左眼20/20に改善した。
結論:デング熱ウイルス、西ナイルウイルス、ジカウイルスは同じフラビウイルス属である。
そのため、他のフラビウイルスで見られるような急激な、自然治癒する斑状の非壊死性の網脈絡膜病変が特徴であるかもしれない。(CH)

2016
134巻

眼外傷統計

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 134巻 (12号) 2016

Epidemiology of sports-related eye injuries in the United States.
Haring RS et al(MA USA)
JAMA Ophthalmol 134(12): 1382-1390, 2016
・米国の900以上の病院で毎年3000万件を超える緊急外来EDにおけるスポーツ外傷を2010/1~2013/12にわたって調査した。
・症例は120,847例、平均年齢22.3歳、男96,872、女23,963、性不明12例であるが、初期診断のついた85,961例について検討した。
・81.3%が男性で、バスケットボール中が22.6%、野球14.3%、AIR GUNが11.8%であった。(TY)

2016
134巻

ピロカルピンのシュレム管への効果

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 134巻 (9号) 2016

Effect of pilocarpine hydrochloride on the Schlemm canal in healthy eyes and esys with open-angle glaucoma.
Skaat A et al(NY USA)
JAMA Ophthalmol 134(9): 976-981, 2016
・ピロカルピンがシュレム管の形態に与える影響について検討した。
・シュレム管の形態はHeidelberg Spectralis OCTの前眼部モジュールでのEDI-OCT像で鼻側部で解析した。
・9例の健常者(31.9±7.8歳)では1%ピロカルピンを使用し、10例10眼のPOAG患者(58.7±13.2歳)では2%ピロカルピンを使用した。
・点眼1時間後の眼圧は健常者は14.3±1.3から13.7±1.1に低下(p=0.004)、POAGでは17.5±6.0から16.6±6.1に低下(p=0.01)。
・シュレム管の面積は健常者では4667±1704から5647±1911μm2と21%増加(p<0.001)、POAGでは3737±679から4619±692と24%増加(p<0.001)した。
・シュレム管容積も健常者では8,004,000μm3から21%増加、POAGでは6,468,000μm3から23%増加した(いずれもp<0.001)。(TY)

2016
134巻

ジカ熱による小頭症乳児の眼所見

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 134巻 (8号) 2016

Risk factors associated with the ophthalmoscopic findings identified in infants with presumed Zika virus congenital infection.
Ventura CV et al(Brazil)
JAMA Ophthalmol 134(8): 912-918, 2016
・ジカ熱に胎内感染し小頭症で誕生した40例の乳児の眼所見を報告する。
・年齢は2.2±1.2か月(0.1-7.3ヶ月)で、免疫吸着法での脳脊髄液検査を行った24例は全例、ZIKV感染陽性であった。
・眼所見は22例(55%)でみられ、そのうち片眼のみ発症は7例(32%)、両眼発症が15例(68%)であった。
・母親の主訴は発疹65.0%、発熱22.5%、頭痛22.5%、関節痛20.0%であり、結膜炎を含む眼所見は全例みられなかった。
・眼所見のある乳児の母親は妊娠初期3か月以内の感染が10例(71.4%)であった。
・眼所見で視神経障害だけが5例(22.7%)、黄斑障害だけが7例(31.8%)、両者の障害が10例(45.5%)であった。
・視神経障害の25例の内訳はdouble-ringサインのある低形成が14眼、視神経蒼白が6眼、C/D比の拡大が9眼であった。
・黄斑障害は17例24眼で、黄斑反射の消失が24眼、軽度の色素のまだら沈着が13眼、広範な色素沈着が9眼、脈絡膜萎縮を伴う輪状の区画形成が6眼であった。(TY)

2016
134巻

静脈閉塞症からの浮腫に対するナイアシン治療の可逆性かもしれない効果

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 134巻 (7号) 2016

Potentially Reversible Effect of Niacin Therapy on Edema From Retinal Vein Occlusion
Ehsan Rahimy,et al.(California,U.S.)
JAMA Ophthalmol 134(7):839-840,2016
目的:静脈閉塞症からの慢性のCMEに対するナイアシン治療(ビタミンB3、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称)の効果を、薬の使用を止めた時可逆性があるかどうかも含めて検討した。
対象:63歳男性、高血圧、高脂血症、脳梗塞の既往有り。
右眼の視力障害を訴え(20/200)、RVOからのCMEを認めた。
脳梗塞のため抗VEGF治療は拒否され、ステロイドの硝子体注入、テノン嚢下注射も延期していた。
持続的なCMEは1年半続き、CMT 669.8μm、視力は20/100〜20/200。
経口のナイアシン治療を始めた。
結果:2週間かけて1日3回125mgから1日3回500mgまで徐々に増やした。
それはナイアシンのよく知られた副作用である顔面紅潮を抑えるため。
2週間後、CMEは減少し始め、4週間後、視力は20/40まで回復した。
その後、1年かけて1日1回500mgに減らした。その間に2回内服を中止したときがあったが、急速にCMEが再発した。
結論:ナイアシン治療(500mg経口)が30分後に脈絡膜血液量を39%増やすことを明らかにされている。
脈絡膜の血管拡張が網膜外層の酸素付加を改善して、低酸素状態とCMEの形成の要因となっている血管内皮増殖因子の産生を減少させる可能性はある。(CH)

2016
134巻

アメフトによる脳震盪で輻輳近点が遠ざかる

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 134巻 (7号) 2016

Association of Football Subconcussive Head Impacts With Ocular Near Point of Convergence.
Kawata K, Rubin LH, Lee JH, Sim T, Takahagi M, Szwanki V, Bellamy A, Darvish K, Assari S, Henderer JD, Tierney R, Langford D.(US-PA)
JAMA Ophthalmol. 2016 ;134(7):763-9. 
【目的】
・アメリカンフットボールの練習による頭部衝撃の繰り返しが輻輳近点(NPC)に影響するかを調査
【対象と方法】
・Temple大学のアメフト選手33名(うち4名除外)
・シーズン前のトレーニングキャンプの間とポストシーズン(最終試合より三週間後)に頭部への衝撃とNPCを調査
・頭部への衝撃はマウスガードに付けられた加速度計で測定
・Sports Concussion Assessment Tool 3(SCAT3)にて脳震盪の兆候をチェック
・5回の練習での測定結果により、低衝撃群(n=7)と高衝撃群(n=22)とに分類
【結果】
・高衝撃群では練習回数とともに一次関数的にNPCが延長、その後プラトーになりポストシーズンには回復した
・低衝撃群ではNPCの延長はみられず
・両群間の有意差は、フル装備の練習開始時よりみられ、練習期間中も継続した
・SCAT3の症状スコアは全期間において両群間に有意差みられず
【結論】
・頭部への衝撃を繰り返すことで、症状がなくてもNPCが延長することが示された
・NPC延長は頭部衝撃に対する眼球運動系の脆弱性と回復が遅いことを明らかにした
・NPCの変化は頭部外傷の重篤度を推し量る有用な臨床ツールとなりうる(MK)

2016
134巻

車のフロント・サイドガラスのUVカット率

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 134巻 (7号) 2016

Assessment of Levels of Ultraviolet A Light Protection in Automobile Windshields and Side Windows.
Boxer Wachler BS.(US-CA)
JAMA Ophthalmol. 2016 ;134(7):772-5. 
【対象と方法】
・ロサンゼルスにディーラーがある自動車(15会社・29車種)
・車周囲・フロントガラス内側・運転座席サイドガラス内側のUV-Aレベルを測定
【結果】
・フロントガラスのUV-Aカット率は96%(レンジ95-98%)で、サイドガラスのUV-Aカット率71%(レンジ44-96%)よりも有意に高値(P<0.001)。
・サイドガラスのUV-Aカット率が90%を超えたのは4車種(13.8%)のみだった
【結論】
・どの車種もフロントガラスのUV-Aカット率はおしなべて高値であったが、サイドガラスのUV-Aカット率は低くばらつきがあった
・この結果は、白内障や皮膚がんが左眼や左顔面に多いという過去の報告を説明できうる(MK)

2016
134巻

アメフトによる脳震盪で輻輳近点が遠ざかる

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 134巻 (7号) 2016

Association of Football Subconcussive Head Impacts With Ocular Near Point of Convergence.
Kawata K, Rubin LH, Lee JH, Sim T, Takahagi M, Szwanki V, Bellamy A, Darvish K, Assari S, Henderer JD, Tierney R, Langford D.(US-PA)
JAMA Ophthalmol. 2016 ;134(7):763-9. 
【目的】
・アメリカンフットボールの練習による頭部衝撃の繰り返しが輻輳近点(NPC)に影響するかを調査
【対象と方法】
・Temple大学のアメフト選手33名(うち4名除外)
・シーズン前のトレーニングキャンプの間とポストシーズン(最終試合より三週間後)に頭部への衝撃とNPCを調査
・頭部への衝撃はマウスガードに付けられた加速度計で測定
・Sports Concussion Assessment Tool 3(SCAT3)にて脳震盪の兆候をチェック
・5回の練習での測定結果により、低衝撃群(n=7)と高衝撃群(n=22)とに分類
【結果】
・高衝撃群では練習回数とともに一次関数的にNPCが延長、その後プラトーになりポストシーズンには回復した
・低衝撃群ではNPCの延長はみられず
・両群間の有意差は、フル装備の練習開始時よりみられ、練習期間中も継続した
・SCAT3の症状スコアは全期間において両群間に有意差みられず
【結論】
・頭部への衝撃を繰り返すことで、症状がなくてもNPCが延長することが示された
・NPC延長は頭部衝撃に対する眼球運動系の脆弱性と回復が遅いことを明らかにした
・NPCの変化は頭部外傷の重篤度を推し量る有用な臨床ツールとなりうる(MK)

2016
134巻

車のフロント・サイドガラスのUVカット率

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 134巻 (7号) 2016

Assessment of Levels of Ultraviolet A Light Protection in Automobile Windshields and Side Windows.
Boxer Wachler BS.(US-CA)
JAMA Ophthalmol. 2016 ;134(7):772-5. 
【対象と方法】
・ロサンゼルスにディーラーがある自動車(15会社・29車種)
・車周囲・フロントガラス内側・運転座席サイドガラス内側のUV-Aレベルを測定
【結果】
・フロントガラスのUV-Aカット率は96%(レンジ95-98%)で、サイドガラスのUV-Aカット率71%(レンジ44-96%)よりも有意に高値(P<0.001)。
・サイドガラスのUV-Aカット率が90%を超えたのは4車種(13.8%)のみだった
【結論】
・どの車種もフロントガラスのUV-Aカット率はおしなべて高値であったが、サイドガラスのUV-Aカット率は低くばらつきがあった
・この結果は、白内障や皮膚がんが左眼や左顔面に多いという過去の報告を説明できうる(MK)

2016
134巻

運転免許更新のための糖尿病網膜症治療

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 134巻 (6号) 2016

The effect of multispot laser panretinal photocoagulation on retinal sensitivity and driving eligibility in patients with diabetic retinopathy.
Subash M et al(England)
JAMA Ophthalmol 134(6): 666-672, 2016
・増殖性DMR(PDR)に対する汎網膜光凝固PRPは周辺視野欠損を来し、運転に支障が出る可能性があるが、抗VEGF剤は視野欠損を来さない。
・この点について、43例46.6±13.3歳の未治療PDRで6か月経過観察の前向き研究を行った。
・Esterman両眼開放視野(上40度/下60度/両耳側150度、中心10度以内は6点のみの静的視野)で中心20度以内に暗点がなく、水平120度以上の視野があれば合格とした。
・41/43名(95%)が治療前は合格し、治療終了後は35/38名(92%)が合格した。
・視野の視感度の変化は右眼では-1.4±3.7(95%CI=-2.7~-0.1)dB、左眼では-2.4±2.9(95%CI=-3.4~-1.4)dB、中心4度の感度は右眼で3.0±5.2dB低下、左眼は2.6±5.4dB低下した。
・更に長期間経過をみれば更に感度が低下することが予想できる。
・PDRでPRPが必要な患者にはその旨の情報提供が必要で、抗VEGF薬の使用も考慮すべきだ(図)(TY)

2016
134巻

ジカウイルス感染による小頭症と思われる乳児の眼所見

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 134巻 (5号) 2016

Ocular Findings in Infants With Microcephaly Associated With Presumed Zika Virus Congenital Infection in Salvador, Brazil
Bruno de Paula Freitas, et al. (Brazil)
lAMA Ophthatmol. 2016;134(5):529-535.
目的:ジカウイルス感染による小頭症と思われる乳児の眼所見を調査した。
対象と方法:生まれた時の頭囲が32cm以下の乳児29人。
トキソプラズマ症、風疹、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、HIVのための小頭症、または母親が妊娠中にアルコール、違法な薬物使用があれば除外された。
母親は29人の内23人はジカウイルス感染の症状があった。発疹、発熱、間接痛、頭痛など。
ジカウイルス感染からの結膜炎は全例で認められなかった。また、母親に眼疾患はなかった。
結果:10人(34.5%)に異常が認められた。(両眼7人、片眼3人)
部分的な色素斑を伴う網脈絡膜萎縮11眼、視神経萎縮8眼、コロボーマ2眼、水晶体亜脱臼1眼を認めた。
結論:ジカウイルスの先天感染は、黄斑周囲の網脈絡膜萎縮と視神経障害のような視力を脅かす結果と結びつけられた。(CH)

2016
134巻

フルオロキノロン内服と網膜剥離

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 134巻 (4号) 2016

Association between oral fluoroquinolone use and retinal detachment.
Raguideau F et al(France)
JAMA Ophthalmol 134(4): 415-421, 2016
・フルオロキノロン内はコラーゲン繊維や結合織に対して細胞毒性があると言われており、過去にもフルオロキノロン内服では網膜剥離の発生が4.5倍とか2.0倍であったとの仕事が幾つかある。
・Franceではフルオロキノロン内服は尿路感染で頻用されており、年間500万処方がある。
・French health care databese(2010/7-2013/12)からの27,540例の網膜剥離を検討した。
・裂孔原性が68%、滲出性が11%、その他が21%。過去の網膜剥離、網膜裂孔、眼内炎、硝子体注射や生検、AIDSなどは除外した。
・網膜剥離手術の直近(10日以内)、最近(11-30日)、以前(31-60日)と、コントロール期間(61-180日)にフルオロキノロン内服をした人を調べた。
・27,540名の内、6,708例がフルオロキノロン内服の既往があり、663例は調査期間中(180日以内)のフルオロキノロン内服があった。
・10日以内は80例、61-180日が583例であり、10日以内では有意に発生率が高かった(OR=1.46 95%CI=1.15-1.87)。
・10日以内の網膜剥離のタイプは、裂孔原性RDではOR=1.41(95%CI=1.04-1.92)、滲出性RDではOR=2.57(95%CI=1.46-4.53)であった。
・最近(11-30日)、以前(31-60日)では有意差はみられなかった。(TY)

2016
134巻

線維柱帯切開後の毛様脈絡膜剥離による一過性低眼圧

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 134巻 (3号) 2016

Transient ciliochoroidal detachment after ab interno trabeculotomy for open-angle glaucoma. A prospective anterior-segment optical coherence tomography study.
Akagi T et al(京大)
JAMA Ophthalmol 134(3): 304-311, 2016
・線維柱帯切開では上強膜静脈圧EVP(座位で7.6-11.4mmHg)よりも眼圧が下がることはないと考えられているが、術後に非常に低い眼圧になる症例があり、これについて検討した。
・33例のうち14例(42%)で術3日目に前眼部OCTで毛様体脈絡膜剥離CCDが検出された。
・このCCD群では非CCD群に比して眼軸が短く(23.66±1.67:25.16±1.59mm)中心角膜厚が薄かった(505.9±35.8:533.9±39.1μm)。
・14例の内5例では10日後にもCCDがあり、1か月後には4例にCCDが残っていた。
・CCD群:非CCD群の眼圧は1日目は9.1±3.0:14.2±5.8、3日目では8.4±2.4:13.4±5.0、10日目は11.0±3.0:15.5±6.3、1か月後では13.4±2.4:15.5±3.3、3か月後では13.9±3.4:15.5±4.0であった。
・CCDの強い症例では前眼部OCTでCCDと前房とがロトミー部位でつながっていた。
・CCDの程度はAS-OCTで、grade 0-3に分類されている(Sakai H et al.Ophthalmol 112:413,2005)(TY)

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