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2015
35巻

アバスチン硝子体注射後の乳汁内の濃度

Retina 35巻 (8号) 2015

Bevacizumab Levels in Breast Milk after Long-term Intravitreal Injections
McFarland TJ, Stout JT, et al. (US-MN)
RETINA 35(8)1670-1673, 2015
【目的】授乳婦の乳汁からbevacizumabが検出されるかを明らかにする
【対象と方法】脈絡膜新生血管に対しbevacizumab硝子体注射を毎月受けている二人の女性より乳汁サンプルを収集。ELISA法とウエスタンブロットにて乳汁サンプル中のbevacizumabを分析。
【結果】ELISA法(検出閾値3ng/mL)ではすべての乳汁サンプルからbevacizumabが検出されなかった。
・注射1.5時間後と7時間後に採取したサンプル、およびランダムに抽出した二つのサンプルをウエスタンブロットにて分析するもbevacizumabのバンドは出現しなかった。
【結論】感度の高い分析法を用いてもbevacizumabが検出されなかった。この事実より硝子体注射では乳汁中にはbevacizumabが検知できないレベルであることを示す。
*被験者は二人とも妊娠中はbevacizumab硝子体注射を中断している(MK)

2015
35巻

AZOOR眼の近赤外線反射イメージ

Retina 35巻 (8号) 2015

Near-Infrared Reflectance Imaging in Eyes with Acute Zonal Occult Outer Retinopathy
Ueno S, et al.(名古屋大)
RETINA 35(8)1521-1530, 2015
【目的】共焦点走査レーザー検眼鏡でAZOOR眼の近赤外線画像を調査
【対象と方法】AZOORを発症した10例12眼。Heidelberg Spectralis OCTで得られた近赤外線(IR)画像をSD-OCT画像、眼底自発蛍光、および補償光学(AO)カメラで得られた画像と比較
【結果】12眼中8眼でIR画像に異常な低反射層がみられ、残りの4眼には異常所見みられず。
・異常な低反射域との境界線はSD-OCT画像でのellipsoid bandの異常領域との境界に一致。AOカメラでは、IRの低反射領域ではconeモザイクが欠落していた。
・眼底自発蛍光の異常はIRイメージの異常領域と一致しなかった。
【結論】AZOOR患者における眼底IRイメージの低反射領域の存在は、視細胞領域の欠落を示唆する。IRイメージはAZOORを評価するのに有用である。(MK)

��激する研究を推奨するが、ネコを飼っていても将来必ずしも緑内障にならないことをネコの愛好家たちは再度安心すべきである。その一方でゴキブリを根絶することに更なる調査が必要でないことは多くの人が同意するだろう。(MK)

2015
35巻

Outer retinal tubulationの病理所見

Retina 35巻 (7号) 2015

Outer retinal tubulation in advanced age-related macular degeneration. Optical coherence tomographic findings correspond to histology.
Schaal KB et al(AL USA)
Retina 35(7): 1339-1350, 2015
・進行したAMD患者34例43眼のouter retinal tubulation(ORT)のOCT像と、4時間以内に固定された剖検眼53眼の組織像を検討した。
・剖検眼は40眼が新生血管AMD、13眼が萎縮性AMDである。
・OCTでみられたORTの組織像は、錐体内節や外節の欠損した管状構造に一致した。
・錐体変性は組織学的にORT内腔壁の発生期、成熟期、変性期、最終期の4段階に分けられた。
・正常では内節で長く分節上になっているミトコンドリアは残存した錐体内では小さくばらばらであった。(TY)

2015
35巻

裂孔原性網膜剥離に対する硝子体手術ガスタンポナーデ後のフェースダウンポジションの検討

Retina 35巻 (7号) 2015

COMPLIANCE WITH THE FACE-DOWN POSITIONING AFTER VITRECTOMY AND GAS TAMPONADE FOR RHEGMATOGENOUS RETINAL DETACHMENTS
YUI SENO, et al. (藤田保健衛生大学病院)
RETINA 35(7): 1436-1440,2015
目的:裂孔原性網膜剥離に対する硝子体手術ガスタンポナーデ後のフェースダウンポジション(FDP)の検討。
対象と方法:PEA+IOL+vit+SF6ガスタンポナーデを施行した127人(男性82人、女性45人)。
看護師がFDPをしていると判断したら1ポイント、FDPしていないと判断したら0ポイントとした。完全なスコアは12ポイント。術後3日間、1日4回調べた。
少なくとも1週間はFDPして、2週間目は一部の患者で特定の側臥位も許可した。
結果:全体平均10.2±1.8ポイント、女性平均10.7±1.2ポイント、男性平均9.9±2.1ポイント(P<0.05)だった。
38人(29.9%、男性24人、女性14人)が12ポイントだった。完全なスコアラーに性差はなかった。
低いスコアラーは男性が多かった。8ポイント未満では男性12人、女性0人だった。
スコアと年齢に関連はなかった。
低いスコアラーは日中のポイントは良くても、夜間が悪かった。繰り返し指摘しても改善されなかった。
再剝離は1人のみで12ポイントの人だった。
結論: 1日4回のサンプリングではFDP遵守が完璧であったと想定するには十分な頻度ではないが、少なくとも良い遵守だったと仮定する事はできる。この研究は入院の上、観察下で調査されたので、もし家だったらもっと悪いと思われる。
完璧なスコアでなかった大多数(60%)は深い睡眠中や真夜中にFDPを守れなかった。
FDP遵守が裂孔原性網膜剥離手術成功の要因と信じられていたが、この研究ではそうではなかった。
FDP遵守より他の要因が大きな影響を与えるのかもしれない。(CH)

2015
35巻

Ocriplasminの副作用

Retina 35巻 (6号) 2015

Acute ocuriplasmin retinopathy.(Editorial)
Johnson MW et al(MI USA)
Retina 35(6): 1055-1058, 2015
・Ocriplasminは硝子体黄斑牽引に対する治療法として2012年にFDAに承認されたが、副作用として光視症とか急激な視力低下が報告されている。
・Phase 2,Phase 3 trialの結果が本誌に報告されている(pp1107-1157)が、これには色視症、ERG変化、黄斑円孔拡大、網膜下液の発生、水晶体偏位などがある。
・このほかに、急激な網膜全体の構造、機能変化があるが、これは通常は徐々に改善する。
・この外層網膜の解剖学的な変化は過去に硝子体黄斑分離のあったものに発生する。
・症状は急激な視力低下(時には光覚弁)や夜盲症、視野狭窄、網膜血管狭細などもある。
・外網状層のシナプスでのラミニンの低下はERGのb波減少を説明できるし、視細胞でのラミニンの不活化で視力低下、色視症などが説明できる。
・OCTでのellipsoid zoneの消失が半年後も持続している例も報告されている。(TY)

2015
35巻

AMD患者でのouter retinal tubulation

Retina 35巻 (6号) 2015

Incidence of outer retinal tubulation in ranibizumab-treated age-related macular degeneration.
Dirani A et al(Switzerland)
Retina 35(6): 1166-1172, 2015
・480名546眼のranibizumab治療した新生血管AMD患者で、outer retinal tubulation(ORT)の発生する頻度を調査した。
・26.7±13.5か月の経過観察中にORTは30%の眼で観察された。
・治療前、1,2,4年後のORTの発生頻度は2.5%,17.5%,28.4%,41.6%であり、徐々に増えていた。
・ORTは予後の悪いことと関連しており、治療開始前の視力が悪いことがORTを発生させる高リスクとなっていた(図)。(TY)

2015
35巻

BRVO患者への抗VEGF注射後の脈絡膜容積変化

Retina 35巻 (6号) 2015

Choroidal volume in branch retinal vein occlusion before and after intravitreal anti-VEGF injection.
Chung YK et al(Korea)
Retina 35(6): 1234-1239, 2015
・15例のBRVO患者(64.5±7.1歳)で抗VEGF注射前後の中心窩下の脈絡膜容積変化を調べた。
・患眼では脈絡膜容積は7.74±0.70mm3であり、健眼の6.38±0.69より有意に大きかった(p=0.001)。
・治療後に黄斑浮腫が軽減した時の容積は6.56±0.79で有意に小さくなっていた(p=0.001)(図)。(TY)

2015
35巻

感染性眼内炎において灌流液に0.025%のポビドンヨードを入れたBSSプラスを用いて行ったVitrectomy

Retina 35巻 (6号) 2015

VITRECTOMY USING 0.025% POVIDONE-IODINE IN BALANCED SALT SOLUTION PLUS FOR THE TREATMENT OF POSTOPERATIVE ENDOPHTHALMITIS
Hiroyuki Nakashizuka et al (日大)
RETINA 35(6):1087-1094, 2015
<In vitro Study>
0%~0.0001%のポビドンヨード(PI)入りBSSとBSS PLUSをS. aureusに15秒と15分暴露しその効果を検討
両群とも0.01%以上の濃度であれば、15秒の暴露でも検出限界以下になった
<過去の報告より>
S. epidermidisに対しては0.013%以上であれば有効であった (rabbit)
網膜に対する毒性は0.027%以下であればよい (rabbit)
角膜内皮に対する毒性は0.05%以下であればよい (in vitro)
以上から0.013%~0.0.027%の間であればよいと考えられ、今回のスタディでは0.025%を採用した
0.025%のPI-BSS(Plus)作成後何分で有効性がなくなるかを検討
BSSでは作成後60分でも有効であったが、BSS-Plusでは15分まで有効で、30分では効果が減弱した
PI-BSS Plusで効果が減弱するのは、酸化型グルタチオンやカルシウム、マグネシウム、デキストロースなどの添加物が遊離ヨードの状態に影響したためと考える。
<Clinical Study>
10%PI 1.25mlを500mlのBSS-Plusに入れて0.025%PI-BSS Plusを作成
術後感染性眼内炎のVit灌流液として使用
術後はバンコマイシン1mg/0.1mlとセフタジジム2mg/0.1mlを硝子体注射
イミペネム0.5gを一日4回・5日間点滴
術翌日より1.5%レボフロキサシンと0.5%セフメノキシム点眼を一日6回点眼
4例の感染性眼内炎:1例では術直前の前房水・硝子体液の培養でCNSが検出、術後の培養では検出されなかった
術後の抗菌剤を投与しているので、PI-BSS Plusの効果がどの程度かはわからないし、ERGや視野に対する影響を評価することは困難であるが、0.025%PI-BSS Plusは臨床的には有効であると考えられる(MM)

2015
35巻

輪状締結術後の緑内障の長期リスク

Retina 35巻 (6号) 2015

LONG-TERM RISK OF GLAUCOMA AFTER ENCIRCUNG SCLERAL BUCKLE
USHA R. PINNINTI, et al. (Texas, U.S.)
RETINA 35(6): 1084-1086,2015
目的:長期間の輪状締結で緑内障が増えるか、バンドをゆるめることにより緑内障のリスクが減るかを調査した。
対象と方法:68人(男性43人、女性25人、白人62人)少なくとも10年以上経過観察できた症例。
平均経過観察期間21年。術眼と僚眼を比較検討した。
バックルを緩めるのは、若い人で、硝子体の牽引なく、硝子体クリアー、僚眼が異常なしか小さい変性のみの人に限った。
結果:緑内障 13%(9人)、緑内障疑い 22%(15人)
2.9%が術眼のみ緑内障、8.8%が僚眼のみ緑内障、1.3%が両眼緑内障だった。
緑内障点眼使用 術眼のみ2人、僚眼のみ6人、両眼2人。
緑内障手術 術眼にレクトミー 1眼、僚眼にSLT 1眼。
68人中27眼(39.7%)がバックルを緩めた。その内10人が術眼のみ緑内障または緑内障疑いだった。
結論:輪状締結術後、数ヶ月から数年で視野異常を認める進行性の緑内障を発症するとの報告がある。
それは、脈絡膜血流の減少や耳側動脈血流量の減少、脈絡膜と網膜の血流速度の低下のためと言われているが、数週間で血流も速度も回復するとの報告もある。
結果として、輪状締結術後に緑内障は増えなかった。(CH)

2015
35巻

BebacizumabとRanibizumabの違い

Retina 35巻 (5号) 2015

Penetration of bevacizumab and ranibizumab through retinal pigment epithelial layer in vitro.
Terasaki H et al(九州大)
Retina 35(5): 1007-1015, 2015
・In vitroでbevacizumabとranibizumabの透過性を培養した網膜色素上皮を用いて測定した。
・培養した網膜色素上皮で培養器の上下を隔て、上方部に入れたbevacizumabとranibizumabが3時間後にどの程度下方部に移動するかを測定した。
・下方のranibizumab濃度はbevacizumabよりも有意に高かった(p<0.05)。(TY)

2015
35巻

糖尿病網膜症からの牽引性または非牽引性黄斑浮腫に対する内境界膜剝離を併用した硝子体手術

Retina 35巻 (5号) 2015

VITRECTOMY WITH INTERNAL LIMITING MEMBRANE PEELING FOR TRACTIONAL AND NONTRACTIONAL DIABETIC MACULAR EDEMA
SOPHIE BONNIN, et al. (France)
RETINA 35(5):921-928,2015
目的:レーザー治療やトリアムシノロン硝子体内注射の効果がないDMRからの牽引性と非牽引性のMEに対する硝子体手術の長期経過を検討した。
対象と方法:55人73眼(男性38人、女性17人、平均年齢63.05歳)、視力20/40、0.3 logMARより悪い症例、
1型DM 11眼、2型DM 62眼
グループ1、OCTで牽引の見つかったME 20眼、平均経過観察期間 5.3 ± 2.4年
グループ2、OCTで牽引のないびまん性のME 53眼、平均経過観察期間 4.4 ± 1.7年
全例、硝子体手術施行(トリアムシノロン使用、ILM peelingにICGかBBG使用、術中にレーザーやcryo追加)。
結果:CMTグループ1 術前528.7 ± 119.1μm、 術後1年309.2 ± 109.9μm、最終受診日285.3 ± 123.4μm
グループ2   術前539.0 ± 126.6μm、 術後1年307.1 ± 109.9μm、最終受診日308.3 ± 124.0μm
視力 BCVA  グループ1  術前0.75 ± 0.35 logMAR、3年後 0.45 ± 0.27 logMAR
グループ2  術前0.78 ± 0.38 logMAR、3年後  0.58 ± 0.32 logMAR
グループ間でCMT、視力とも統計学的な有意差はなかった。
最終受診日の視力もベースラインと比較して、グループ1は87.5%、グループ2では95.6%が改善もしくは維持していた。
術中、術後合併症は認めなかった。
結論:糖尿病網膜症からの牽引性または非牽引性黄斑浮腫に対する内境界膜剝離を併用した硝子体手術は、大きな合併症なしで、機能的、解剖学的に有効であることを示した。
今後、DMR増加、レーザー治療やトリアムシノロン硝子体内注射、抗VEGF硝子体注射の効果がない症例に手術は良い治療かもしれない。(CH)

2015
35巻

加齢黄斑変性症の新病態Type3

Retina 35巻 (4号) 2015

How has high-resolution multimodal imaging refined our understanding of the vasogenic process in type 3 neovascularization? (Editorial)
Querques G et al(NY USA)
Retina 35(4): 603-613, 2015
・新生血管がRPE下に発生したType1、RPE上網膜視細胞層下に発生したType2の他に、神経網膜内に発生するType3を提案する。
・Type3新生血管は、外網状層や深部毛細血管叢が網膜外層がRPEに近づく、網膜外層が薄くなった場所で、VEGFレベル上昇を伴った低酸素状況などがあり、ドルーゼン様のPEDがあり、中心窩下の脈絡膜厚が薄くなり、RPE細胞が集積した部位に発生する。
・局所的なVEGF産生が網膜深層の毛細血管叢からのType3新生血管発生を促す。
・網膜内血管は破壊されたRPEを通ってRPE下に入り込むと共に、網膜内に浮腫をもたらす。
・そして網膜下浮腫から漿液性PEDに発展する。
・最後には網膜内血管は網膜表層の毛細血管叢にまで及び、強い網膜内出血や浸出となっていく。
・あるいは、Type3新生血管はType1の新生血管から発生し、RPEを貫通して網膜内に入っていくこともあるだろう。(TY)

2015
35巻

DM網膜症における光凝固後の脈絡膜厚

Retina 35巻 (4号) 2015

Changes in choroidal thickness after panretinal photocoagulation in patients with type 2 diabetes.
Zhu Y et al(China)
Retina 35(4): 695-703, 2015
・単純ならびに早期増殖性糖尿病網膜症に対して汎網膜光凝固治療を行い脈絡膜厚CTに変化があるかを、施行前、1,3か月後に調べた。
・中心窩のCT厚は307.2±70.7→318.0±76.4(1M p<0.001)→317.4±75.3μ(3M p<0.001)と有意に増加していた。
・凝固部のCT厚は227.5±45.0→206.9±41.1(1M p<0.001)→206.0±41.4μ(3M p<0.001)と有意に減少していた。
・これは糖尿病黄斑症があってもなくても同じ傾向であったが、視力との関連はなかった。
・これは網膜代謝上に重要な脈絡膜血管流の再構築が起こっていることを示しているのであろう。(TY)

2015
35巻

網膜剥離に対する硝子体手術後に起こりうる意図せぬ網膜ずれを減少させる方法

Retina 35巻 (4号) 2015

A method to decrease the frequency of unintentional slippage after vitrectomy for rhegmatogenous retinal detachment
Shiragami C, et al.(香川大)
RETINA 35(4)758-763, 2015
【目的】裂孔原性網膜剥離の硝子体手術後に起こりうる網膜ずれを防ぐ方法を探る
【対象と方法】胞状網膜剥離に対して標準的な硝子体手術(SF6ガス併用)を施行し成功を収めた86眼。時期により2群に群分け;【グループ1】手術終了後、帰室してから(手術終了後約10分)うつむき開始(44眼;2006.12-2008.7)、【グループ2】手術終了後、手術室ですみやかにうつむき姿勢をとって帰室(42眼;2008.8-2010.11)。
・手術1か月後に眼底自発蛍光で網膜ずれを評価。
【結果】網膜ずれはグループ1で28眼(63.6%)、グループ2で10眼(24.0%)であった(P=0.004)。ロジスティック回帰分析では、網膜ずれは網膜剥離の程度(P=0.029)およびうつむきをはじめた時間(P<0.001)と有意な関連があった。
【結論】裂孔原性網膜剥離に対する硝子体手術の際、術後すみやかにうつむき姿勢をとることで網膜ずれを防ぐことができるかもしれない。(MK)

2015
35巻

硝子体内のVEGF濃度と眼軸長との関係

Retina 35巻 (3号) 2015

Intravitreal vascular endothelial growth factor concentration and axial length.
Hu Q et al(China)
Retina 35(3): 435-439, 2015
・眼内新生血管のない特発性黄斑円孔(21眼)あるいは黄斑前膜(13眼)の硝子体手術眼で眼軸長と硝子体内のVEGF濃度とを比較した。
・年齢は62.4±10.5歳(35-76歳)、眼軸長は24.1±1.8(21.0-29.1mm)である。
・眼内のVEGF濃度は71.0±63.2pg/mlで、血中濃度830±585よりも有意に少なかったが(p<0.001)、両者は有意に相関していた(p=0.04 r=0.35)。
・眼軸が短いほど(p=0.025 r=-0.39)、遠視が強いほど(p=0.04 r=0.35)硝子体内VEGF濃度は高かったが、血中のVEGF濃度には関連がなかった。
・硝子体内VEGF濃度は眼軸が長いほど低かったが、これは眼球容積が大きくなったための希釈効果 and/or 硝子体液化を伴った軸性近視眼で、VEGFの代謝スピードが速いことに起因するのであろう(図)

2015
35巻

初期糖尿病網膜症にみられるOCT異常

Retina 35巻 (3号) 2015

Optical coherence tomographic hyperreflective foci in early stages of diabetic retinopathy.
Benedetto U et al(Italy)
Retina 35(3): 449-453, 2015
・糖尿病黄斑症がなく、視力障害もない糖尿病患者のOCT上のhyperreflectivfe foci(HRF)について検討した。
・Type1-DMの17例33眼とType2-DMの19例38眼で検討した。
・OCT上、type1では7.5±4.6個(3-22個)、type2では9.9±4.5個(4-21個)のHRFが見つかり、両者間には有意差があった(p=0.032)。
・正常者コントロール眼では中間値33歳の若年者0.9±0.8、中間値52歳の中年者1.7±1.5より、いずれも有意に多かった(p<0.001)。
・また、血糖コントロールの悪いDM患者(p<0.001 p=0.016)、高血圧併発DM患者(p=0.00)で多かった。
・このHRFは糖尿病網膜症の進展のリスクファクターと考えられ、糖代謝異常による網膜層からの液吸収障害が原因であると考えられる(図)

2015
35巻

長期のシリコンオイル注入眼にみられるOCT所見

Retina 35巻 (3号) 2015

Spectral domain optical coherence tomography findings in long-term silicone oil-related visual loss.
Ahalchi Z et al(UK)
Retina 35(3): 555-563, 2015
・黄斑部剥離がなかった例で、硝子体手術時にシリコンオイルを注入し、4年から9年の経過で症状の出た4眼と症状のなかった11眼について検討した。
・静的視野では全例で中心暗点が見られ、OCT上で網膜内顆粒層に微小嚢胞様の黄斑変化があり、乳頭黄斑神経線維の重篤な欠損がみられた。
・SO抜去後18か月で黄斑部の微小嚢胞様変化の現れた症例も1例あった。
・これらの変化はMultiple sclerosisに伴う視神経炎やLeber遺伝性視神経症と似た所見である(図)

2015
35巻

自発蛍光と眼軸長が高度近視眼のMH-RDに対する手術の予後予測因子

Retina 35巻 (3号) 2015

AUTOFLUORESCENCE AND AXIAL LENGTH AS PROGNOSTIC FACTORS FOR OUTCOMES OF MACULAR HOLE RETINAL DETACHMENT SURGERY IN HIGH MYOPIA
Luis Arias et al (Spain)
Retina 35(3):423-428, 2015
・眼軸長26㎜を超える、MH-RD 15名15眼(13眼:女性、平均年齢69.4歳、左眼9眼)、屈折異常-19D(-13~-25D)AL29.94mm(26.1-33.42mm)
23GVitrectomy+ILM peeling+ Silicone oil tamponadeをおこなった。
平均観察期間19.3m レトロスペクティブに調査
・13眼でRD改善、9眼でMH改善
・RDが改善しなかった2眼と、MHが改善しなかった6眼中4眼は眼軸30mmを超える
・黄斑部の自発蛍光が低いものは10眼あり、それらは術後視力が有意に低かった
・また眼軸が30㎜を超えるものも術後視力が不良であった。
・対象が少ないこと、経過観察期間が短いこと、コントロール群がいないこと、レトロスペクティブであることが問題点(MM)

2015
35巻

抗VEGF治療を受けた患者の地図状萎縮

Retina 35巻 (2号) 2015

Geographic atrophy in patients receiving anti-vascular endothelial growth factor for neovascular age-related macula degeneration.
Xu L et al(NY USA)
Retina 35(2): 176-186, 2015
・未治療の新生血管加齢黄斑変性で硝子体内への抗VEGF治療を受けた後に地図状萎縮を来した眼について検討した。
・脈絡膜新生血管はtype1(sub-RPE)、type2(subretinal)、type3(intraretinal)、混合型に分けた。
・91例94眼のうち、52眼(55.3%)で地図状萎縮GAを来した。
・GAを発症する率はtype1で有意に少なかった(p<0.001)。

2015
35巻

無治療のNon-High-Risk PDRに対するPRPで、ラニビズマブを投与したほうがいいかどうか

Retina 35巻 (2号) 2015

A RANDOMIZED CONTROLLED TRIAL OF PANRETINAL PHOTOCOAGULATION WITH AND WITHOUT INTRAVITREAL RANIBIZUMAB IN TREATMENT-NAIVE EYES WITH NON-HIGH-RISK PROLIFERATIVE DIABETIC RETINOPATHY
Daniel A. Ferraz et al (Brazil)
RETINA 35(2):280-287, 2015
・DR治療歴のない18歳以上の両眼非ハイリスクPDR、視力20/40-20/320の30名60眼を無作為にStudy Group(SG):PRP+2回のルセンティス(RBZ)、反対眼をControl Group(CG):PRPのみに割り付け、1,3,6M後に視力とOCTを評価
・SGではPRP1週間前とPRP1か月後にRBZを投与、CGではsham injection
・平均年齢52.3±7.8歳、糖尿病の診断から平均14±6.4年、HbA1c:8.8±1.1%
・3か月目に追加レーザーは可能(追加レーザーについても、両群で有意差なし)
・SG:BCVA 3.4文字改善、CMT -47.6μm  (6M)
・CG:BCVA 3.4文字悪化、CMT -3.8μm   (6M)
・DMEを認めたSG 15眼, CG14眼では SG +3.6文字、CG-4.4文字
・6MでCMTが<250μmとなったのはSG22眼(73.3%)、CG4眼(28.6%)
・DMEを認めなかったSG 13眼, CG16眼では SG +3.2文字、CG-2.4文字
・6Mにおいて、CG4眼(25%)でCMTが250μm以上に悪化 SGでは全例250μm未満だった
・8/30(26.7%)のCGと4/30(13.3%)のSGで硝子体出血(MM)

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