Normal-tension glaucoma has normal intracranial pressure.
Lindén C et al(Sweden)
Ophthalmology 125(3): 361-368, 2018
・正常眼圧緑内障NTGは脳脊髄圧ICPが低いために篩板前後の圧差が増大することによって発生するとの仮説を検証した。
・13名のNTG(56-83歳、中間値71歳)と11名の健康ボランティア(30-59歳、同47歳)で検討した。
・仰臥位でのICPの比較だけは51名のコントロール群を使用した。
・ICPとIOPを仰臥位、座位、9度頭下げ状態HDTで同時に測定した。
・篩板前後の圧差trans-lamina cribrosa pressure difference(TLCPD)は、MRIでの位置データなどで、ICPとIOPのデータを補正して求めた。
・9度HDTでの眼圧だけはNTGで有意に低かったが(p=0.04)、その他のICP、IOP、TLCPDは、仰臥位、座位、9度HDTで有意差はなかった(p>0.11)。
・視野欠損と、いずれの姿勢でのTLCPD、IOP、ICPとに関連はなかった。
・仰臥位でのICPの値もNTG(n=13)は10.3±2.7、正常CTRL(n=51)では11.3±2.2mmHgで有意差はなかった(p=0.24)。
・NTGでICPが低いという結果はでず、NTGはICPが低いことによるTLCPDが誘因になっているという仮説は今回の結果からは支持できなかった。(TY)
Cellular characterization of OCT and outer retinal bands using specific immunohistochemistry markers and clinical implications.
Cuenca N et al(Spain)
Ophthalmology 125(3): 407-422, 2018
・OCTでの外層の4つの層についてはいろいろ議論がある。
この外層のOCT像について、組織学的ならびに免疫細胞化学的immunocytochemistryに検討した。
・GNB3、CRALBP、Cyt Cなどを利用した(TY)
・網膜外層の4つの層 低反射層
1:External limiting membrane
1-2:Myoid zone
2:Ellipsoid zone
2-3:OS + interdigitation
3:RPE phagosome zone
3-4:RPE melanosome zone
4:RPE mitochondria zone
Accuracy of intraocular lens calculation formulas.
Melles RB, Holladay JT et al(CA&TX USA)
Ophthalmology 125(2): 169-178, 2018
・IOL計算の精度を比較した。
・計算式はBarrett Universal-Ⅱ, Haigis, Hoffer-Q, Holladay-1,Holladay-2, Olsen, SRK/Tである。
・AcrySof SN60WFでの13,301眼とSA60ATでの5,200眼を対象とし、Lenstar900を用いて測定している。
・SN60WFでのSD誤差は、Barrett Universal-Ⅱ(0.404)< Olsen(0.424)< Haigis(0.437)< Holladay-2(0.450)< Holladay-1(0.453)< SRK/T(0.463)< Hoffer-Q(0.473)であり、SA60ATでもほぼ同様であった。
・Barret式が有意によかった(p<0.01)。(TY)
Natural History of Subclinical Neovascularization in Nonexudative Age-Related Macular Degeneration Using Swept-Source OCT Angiography
João R. de Oliveira Dias, Qinqin Zhang, José M.B. Garcia, Fang Zheng, Elie H. Motulsky, Luiz Roisman, Andrew Miller, Chieh-Li Chen, Sophie Kubach, Luis de Sisternes, Mary K. Durbin, William Feuer, Ruikang K. Wang, Giovanni Gregori, Philip J. Rosenfeld(USA-FL)
Opthalmology. 2018;125(2):255-266
【目的】非浸出AMD患者における、サブクリニカルなCNVの有病率・発症率・および自然経過をSS-OCTAで前向きに評価
【対象と方法】
・2014-2017年、片眼に中期AMD(iAMD)*・非浸出AMDに続発した地図状萎縮(GA)、僚眼に浸出AMDのある患者
・SS-OCTAの3×3mmおよび6×6mmを施行
*黄斑中心部にdrusenまたは色素異常あり、地図状萎縮および浸出なし
【結果】
・160眼(iAMD 110眼、GA 50眼)中23眼(14.4%)に初回検査時にCNVあり
・経過観察期寒中さらに6眼にCNV同定
・1年以上フォローアップできた134眼のうち13眼に浸出が出現、うち10眼は初回検査時にCNV同定
・Kaplan-Meiyer法による12か月時点での浸出の発症率は6.8%(初回CNVあり:21.1%、初回CNVなし:3.6%)
・iAMD群とGA群とで浸出の発症率に有意差なし
・CNVが同定された場合、浸出が起こるリスクはCNVなしに比べて15.2倍(95%CI:4.2-55.4倍)
【結論】12か月までの時点で、浸出リスクはサブクリニカルなCNVが同定された群のほうが高い。サブクリニカルなCNVが同定された場合はより頻回な通院や家でのモニタリングを要するが、この時点での硝子体注射は、さらなる前向き試験が行われるまで推奨されない。(MK)
Incidence and Outcomes of Repositioning Surgery to Correct Misalignment of Toric Intraocular Lenses
Tetsuro Oshika,et al. (筑波大学)
Ophthalmology 2018(1);125:31-35 .
・目的:トーリックIOLの大きな軸ずれ(misalignment)を修正する手術の発生率と適切なタイミングを評価する。
・対象と方法:2013年5月から2016年4月までの間、8施設でトーリックIOL挿入をされた6431眼。
・マーキングの方法は術者間で多少異なっていたが、患者を座位にして、手動で水平2点または水平・垂直3点でマーキングした。
・結果:トーリックIOLを挿入した6431眼のうち、42眼(0.653%)が軸ずれ修正手術を受けた。
・平均misalignment 32.9°±15.7°、時計回り11眼(misalignment = 30.7±19.3°、範囲10°から69°)、
反時計回り31眼33.6°±14.5°(misalignment =33.6°±14.5°、範囲13°から74°)、屈折乱視度は2.4±1.1D(範囲 0.5から6.5)
・再手術は白内障手術後平均9.9±7.5日(範囲、0〜30日)で行った。
・平均misalignmentは、32.9°±15.7°から8.8°±9.7まで減少した(P <0.001)。
・屈折乱視度は2.4±1.1D から1.1±0.8Dに有意に減少した(P <0.001)。
・白内障手術から軸ずれ修正手術までの期間と、最終的な軸ずれ角度との間には、有意な相関がみられた(p<0.001)。
・軸ずれ修正手術が白内障手術から6日以内に行われた場合は最終軸ずれ角度が13.1±13.5°と大きかったのに対し、7日以降に行われた場合は6.3±5.9°と差がみられた(p<0.001)。白内障手術から24時間以内に修正手術が行われた2眼では、眼内レンズは再度回転し、2度目の修正手術が必要となった。
・結論:トーリック眼内レンズの軸ずれ修正手術は0.653%の症例で必要であった。軸ずれ修正手術は、白内障手術直後に行うのではなく、1週間以上経ってから行うほうが術後結果は良好である。術後3週間またはそれ以降に、いくつかの修正手術を行ったが、IOLを回転させるのが困難であり、Zinn小帯を損傷する可能性があることに気づいた。
・修正手術を考慮するなら、初回手術から1〜3週間以内に行われるべきである。(CH)
Reports : The Magnitude of Intraocular Pressure Elevation Associated with Eye Rubbing
Daniel C Turner, et al (USA)
Ophthalmology 126(1): 171-172, 2018
4-6歳のアカゲザル3匹5眼を用いて、ワイヤレスのIOP測定装置をインプラントし全身麻酔中に抗生剤眼軟膏を点入。こすって取り除く動作を誘発。ビデオ撮影(こすり方も記録)し、163回のこすり動作の眼圧上昇を記録
結果:指でこするよりも広い面積でこすった方が上昇し、手の甲と手首でこすった場合最大310mmHgの眼圧上昇を認めた
163回の平均では109±26mmHgの上昇が3-4秒継続、ピークは206-310mmHgまで上昇
その後1-4mmHgとわずかにベースラインよりも下がったが約1秒後には元のレベルに戻った(MM)
Disinfection of tonometers. A report by the American Academy of Ophthalmology.
Junk AK et al(FL USA)
Ophthalmology 124(12): 1867-1875, 2017
・PubMedとCochrane Library databaseに載っている64論文のうち10論文を抽出し、再利用可能な眼圧計プリズムの消毒法について調べた。
・10論文の内9論文はプリズムであったが、1論文は金属輪であった。
・感染因子はアデノウイルス8と19、単純ヘルペス1と2、HIV1、HCV、enterovirus70、Creutzfeldt-Jakobである。
・アデノウイルス8は4つの全論文で10倍次亜塩素酸塩で無菌化できたと報告されたが、70%イソプロピルアルコールや3%過酸化水素でのふき取りでは無効なことがある。
・HSVについては次亜塩素酸塩や70%イソプロピルアルコールで取り除けたが、エタノールや70%イソプロピルアルコールでこすってもprionを感染させる細胞塊を完全に除去することはできなかった。
・Prion病が疑われる場合は単回使用にすべきだ。
・次亜塩素酸塩はアデノウイルスやHSVに有効である。
・次亜塩素酸ナトリウム:漂白剤
・次亜塩素酸カルシウム:さらし粉、プール消毒剤(TY)
United States multicenter clinical trial of corneal collagen crosslinking for keratoconus treatment.
Hersh PS et al(NJ USA)
Ophthalmology 124(9): 1259-1270, 2017
・進行性の円錐角膜205眼を、通常のCXL群とriboflavinだけのCtrl群に分けて検討した。
・1年後の角膜形状変化を第1の効果判断基準とした。
・第2の効果判断基準は遠見矯正視力CDVA、遠見裸眼視力UDVA、球面透過度数、角膜内皮細胞数などである。
・CXL群では最大曲率半径が1年間で1.6D減少したが、Ctrl群では進行した。
・最大角膜曲率半径はCXL群では28眼(31.4%)で2.0D以上減り、5眼(5.6%)で2.0D以上増加した。
・CDVAはCXL群で平均5.7logMAR改善した。
・10logMAR以上改善は23眼(27.7%)、悪化は5眼(6%)。
・角膜クロスリンキングは有効で安全な治療である。(TY)
The evolution of outer retinal tubulation, a neurodegeneration and gliosis prominent in macular diseases.
Dolz-Marco R et al(NY USA)
Ophthalmology 124(9): 1353-1367, 2017
・SD-OCTで最初は見られなかったouter retinal tubulation(ORT)の発生が確認できた網膜外層障害とRPE萎縮のみられた症例を検討した。
・86例170眼のORTうち、30例38眼、平均年齢78.87歳(56-96歳)で発生が確認できた。
・23眼(60%)はAMD後の地図状萎縮で、2眼(5%)はpattern dystrophy後の地図状萎縮、12眼((32%)は新生血管AMD、1眼(3%)は弾性線維性仮性黄色腫に伴う新生血管であった。
・網膜の73ヶ所(1434画像)を平均69.5ヶ月(21-93ヶ月)経過観察した。
・73個の辺縁の内、34個(47%)は平坦なELM下降があり、47個(64%)は屈曲したELM、37個(51%)は降り返したELM、24個(33%)は巻き込んだELMであった。
・81個のORTの内、73個(90%)は閉鎖しており、8個(10%)が開放していた。
・ORTが形成される期間は14.9ヶ月(1.4-71.3ヶ月)であった。(TY)
Serial changes in lamina cribrosa depth and neuroretinal parameters in glaucoma. Impact of choroidal thickness.
Vianna JR et al(Canada)
Ophthalmology 124(9): 1392-1402, 2017
・緑内障のパラメータとして篩板の深度の変化はよく起こっているものなのか、また、篩板の深度を測定する時にブルッフ膜あるいは強膜前部は基準点として使用できるものなのかを、155名の緑内障患者と35名の正常Ctrlについて、平均3.9年(2.03-5.44年)の経過で検討した。
・篩板前部の深さを、ブルッフ膜から(LD-BM)あるいは前部強膜から(LD-AS)測定した。
・このほかに最小リム幅、網膜神経線維厚、周乳頭脈絡膜厚を測定した。
・正常な加齢は篩板の深さには影響しないが、神経網膜パラメータには影響するため、加齢効果で調整した。
・LD-BMはLD-ASの影響(0.15μm/μm 95%CI=0.,08-0.22)よりも脈絡膜厚の影響(1.14μm/μm 95% CI=1.07-1.21)の影響を強く受けていた。
・篩板の後方移動(LD-BMやLD-ASの増大)は神経網膜パラメータの菲薄化と同じ頻度で発生していた。
・篩板の前方移動は基準点を前部強膜(LD-AS減)とした時より、ブルッフ膜(LD-BM減)とした時の方がより頻繁に見つかった(Hazard Ratio=3.23 p<0.01)。
・周乳頭脈絡膜厚の菲薄化は篩板がブルッフ膜に対して前方移動(LD-BM減)した多くの患者で見られたが(25/28 89%)、前部強膜を基準とした時(LD-AS減)には見られなかった。
・緑内障患者でみられる篩板の深さの変化は、脈絡膜厚の影響を減らすために、前部強膜から測定すべきである。(TY)
Rates of local retinal nerve fiber layer thinning before and after disc hemorrhage in glaucoma.
Akagi T et al(CA USA)
Ophthalmology 124(9): 1403-1411, 2017
・経過観察中にDHを発症した33例36眼について、視神経乳頭出血(DH)と網膜神経線維層(RNFL)の菲薄化を長期的に観察した。
・RNFLはDH部に対応して、1/4周ごとに分けて検討した。
・RNFL菲薄化は非DH部(-0.69μ/年)よりもDH部(-2.25μ/年)で早かった(p<0.001)。
・DH後に強力な治療を行った18眼では、DH後の非DH部の平均のRNFL菲薄化(-0.31)は治療前のRNFL菲薄化(-2.89)よりも有意に遅くなったが(p<0.001)、DH部では(DH後-2.12、治療前-2.64)有意差はなかった(p=0.19)。
・DH後に治療を変更しなかった18眼では、DM部のRNFL菲薄化は(DH後-2.38、DH前-1.38)、DH後に有意に早くなっていた(p=0.008)。RNFL全体の菲薄化スピードは、治療未変更群では-0.28と菲薄化は進行したが、強力治療群では+0.78と菲薄化スピードが遅くなっていた(p=0.004)。(TY)
Incidence and Outcomes of Repositioning Surgery to Correct Misalignment of Toric Intraocular Lenses.
Oshika T, Inamura M, Inoue Y, Ohashi T, Sugita T, Fujita Y, Miyata K, Nakano S.(筑波大ほか)
Ophthalmology. 2017 Aug 18. [Epub ahead of print]
・8施設でトーリックアクリルIOLを挿入された6431眼をretrospectiveに調査
・42眼(0.953%)で軸ずれに対する整復手術を受けた(初回手術より0-30、平均9.9±7.5日後)
・整復手術により軸ずれ角は有意に減少(32.9±15.7°→ 8.8±9.7°, p<0.001)し、乱視度数も有意に減少(2.4±1.1D→ 1.1±0.8D, p<0.001)した
・初回手術から整復手術までの期間と残余IOL軸ずれ角とは負の相関を示し(r=-0.439, p<0.001)、6日以内の再手術では残余IOL軸ずれ角が13.1±13.5°であったのに対し、7日以降の再手術では6.3±5.9°と有意に軽度(p<0.001)
【結論】トーリックIOL挿入術の0.653%で再整復手術が施行された。再整復の手術は術後1w以降に行うのが望ましい(MK)
Vancomycin-associated hemorrhagic occlusive retinal vasculitis.
Witkin AJ et al(CA USA)
Ophthalmology 124(5): 583-595, 2017
・ASCRS(Cat & Refract)とASRS(Retina)が合同で、バンコマイシン投与後に発生した出血性閉塞性網膜血管炎HORVの臨床所見や発症率、予後などについてon-lineで登録調査し、23例36眼について検討した。
・33/36眼は前房内投与、1/36眼は硝子体内投与、2/36眼は潅流液内投与である。
・視力予後は悪く、22/36眼(61%)は20/200以下、8/36眼(22%)は光覚を消失した。
・新生血管緑内障は20/36眼(56%)で発生した。
・7眼では術後にバンコマイシンの追加の硝子体内注射を受けていた。
・HORVは遅延性のバンコマイシンに対する過剰反応が原因と考えられる。
・HORVと考えられたらバンコマイシンを追加投与しないことも重要である(TY)
Prophylactic effect of oral acetazolamide against intraocular pressure elevation after cataract surgery in eyes with glaucoma.
Hayashi K et al(福岡)
Ophthalmology 124(5): 701-708, 2017
・白内障術後後の眼圧上昇に対するアセタゾラミド内服の効果を検討した。
・症例は2回の測定で眼圧はいずれも21mmHg以下にコントロールされているPOAGで、落屑症候群や眼手術既往、炎症既往眼など、全て除外した90眼の症例である。
・この90眼を無作為に3群に分けて検討した。
・G1:500mgを手術1時間前に内服、G2:500mgを手術後3時間で内服、G3:内服なし。
・手術直後の眼圧は15から25mmHgとして終了している。
・眼圧測定はIcareを用いて、術前1時間、術後1,3,5,7,24時間で測定した。
・全群で平均眼圧は3-7時間後に上昇し、その後24時間後には低下していた。
・G1では術後1(13.99),3時間(16.36)で、他の2群より有意に眼圧は低かった(p<0.004)。
・術後5,7,24時間では、G1とG2はG3(20.46,20.46,16.16)よりも有意に低かった(p<0.03)。
・POAGでは術後3-7時間で一過性に眼圧は上昇するが、G1群では術後1-24時間の眼圧を低下させ、G2群では術後5時間以降の眼圧を低下させることが分った(TY)
Three-Dimensional Eye Shape, Myopic Maculopathy, and Visual Acuity: The Zhongshan Ophthalmic Center-Brien Holden Vision Institute High MyopiaCohort Study.
Guo X, Xiao O, Chen Y, Wu H, Chen L, Morgan IG, He M.(China)
Ophthalmology. 2017 May;124(5):679-687.
・-6D以下の強度近視95例190眼、視力と眼底所見、MRIによる3D眼球形状とを比較
・屈折の等価球面度数-11.74±4.10D、眼軸長28.18±1.73mm
・69名(72.6%)で左右眼が同じ形状
・眼球形状は球状(53.7%)が最も多く、次いで円錐形と鼻側突出(ともに14.7%)、楕円状・耳側突出・樽形は頻度すくない
・C2(diffuse chorioretinal atrophy)以上の近視性黄斑症は樽形の100%、耳側突出の75%、鼻側突出および円錐形の71.4%でみられた
・後部ぶどう腫(+)の22眼のうち18眼(81.8%)でC2以上の黄斑症、後部ぶどう腫(-)の73眼ではC2以上が40眼(54.8%)であった
・耳側突出・鼻側突出の形状、および後部ぶどう腫(-)の眼で視力不良(20/40未満)が多かった
【結論】強度近視眼の多くは形状異常がみられず、球状の形状が最も多かった
樽形と耳側突出形の形状で近視性黄斑症の程度が強く、後部ぶどう腫を持つものはさらに重い黄斑萎縮がみられた(MK)
Incidence and Clinical Course of Immune Reactions after Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty
Retrospective Analysis of 1000 Consecutive Eyes
Deniz Hos, et al. (Germany)
Ophthalmology 2017(4);124:512-518
目的:多数のDMEK後の拒絶反応の発生率と臨床経過について調査した。
対象と方法:2011年1月から2015年8月までの連続1000例のDMEK症例の術後経過を検討した。(フックス角膜内皮変性症803眼、偽水晶体眼水疱性角膜症85眼、先天性遺伝性角膜ジストロフィー28眼、PE 5眼、DMEK、DSAEK、PK後の移植不全または拒絶反応 79眼)
白内障のある症例は同時手術を行った。DMEK単独632例、同時手術368例
術後のステロイド点眼(1%プレドニゾロン)は、2014年4月以前は術後1週間1日5回、その後1ヶ月毎に1回ずつ減らし、術後1年まで1日1回使用した。
2014年4月以後は、術後1週間は1時間毎、その後1日5回から1ヶ月毎に1回ずつ減らし、術後1年まで1日1回使用した。
結果:1000眼中経過観察できたのは905眼、平均経過観察期間 18.5±11.8ヶ月。
拒絶反応が起きたのは12眼(DMEK単独6例、同時手術6例)。
12眼中9眼がステロイド点眼を中止していた。5眼は霧視、羞明、不快感などの症状があった。検眼所見ではdiffuseなKPを認めた。DMEKから拒絶反応までの平均期間11.7ヶ月。
2眼が移植片不全になった。
拒絶反応が起きたらステロイド点眼を30分毎3日間、1時間毎1週間、1日6回1週間、その後1週間毎に1回ずつ減らし、その後1年後まで1日1回使用した。
視力 拒絶反応前0.27 ±0.28 logMAR、拒絶反応後0.21 ±0.15 logMARと大きな変化はなかった。
ECD 拒絶反応前1741 ±274.5 cells/ mm2、拒絶反応3ヶ月後1356±380.3 cells/mm2 [P = 0.04] 、1年後 1290±359.0 cells/mm2 [P = 0.01]と有意に減少した。
結論:DMEKは拒絶反応のリスクは低い。さらに再移植の必要性も低い。
拒絶反応後、ステロイド点眼治療を強化することで視力は安定するが、ECDは減少した。DMEK後はステロイド点眼の長期間使用する事が望ましい。(CH)
Comparison of Visual Outcomes of Nonarteritic Anterior Ischemic Optic Neuropathy in Patients with and without Diabetes Mellitus
Srilakshmi Sharma, et al. (MD, USA)
Ophthalmology 2017(4);124:450-455
目的:スルホニル尿素誘導体のような、糖尿病を治療するために使われる薬が動物モデルで神経保護効果を持つと報告があった。そのため、NAIONの患者で糖尿病の有無で視力結果を比較検討した。
対象と方法:症状が出てから4週間以内の患者92人(糖尿病あり30人、なし62人)を比較検討した。
糖尿病ありでの平均HbA1c 6.9%。両眼性が各グループ1人ずつ。
11人は経過観察期間が3か月以下だったため、ベースラインには含められたが、最終結果には含まれていない。
経過中、全例ステロイドの内服、点滴治療は受けていない。
両グループとも虚血性心疾患の有病率が高かった。
結果:視力 両グループで有意差はなかった。
治療前0.5 logMAR以上の視力があったのはDMあり 63.3%、DMなし 72.6%。
6ヶ月後、1.0 logMAR以下になったのはDMあり 30.4%、DMなし 16.7%。
最終受診時、20/40より良い視力だったのはDMあり48%、DMなし62%だった。
虚血性心疾患(odds ratio [OR], 7.21; P < 0.001)と高齢(OR, 1.05; P = 0.045)が最終視力20/200以下と関連していた。
NAIONのリスク要因は、DMありでは高血圧(83.3%)、高脂血症(83.3%)と小さいC/D比(63.3%)、DMなしでは高脂血症(62.9%)だった。
結論:DMありのNAION患者での治療前と最終視力結果はDMなしと相違なかった。
虚血性心疾患と高齢が視力予後不良のリスク要因かもしれない。(CH)
Incidence and outcome of positive donor corneoscleral rim fungal cultures after keratoplasty.
Vislisel JM et al(IA USA)
Ophthalmology 124(1): 36-42, 2017
・角膜移植後の強角膜片縁の真菌培養陽性率とこの角膜片を使用した人の予後について20年間の結果を検討した。
・3414例中71例(2.1%)で強角膜片縁の真菌培養が陽性であった。
・最初の15年間(5年毎に1.82%, 1.33%, 1.80%)に比較して、最後の5年(2.93%)は真菌培養陽性率が有意に高かった(p=0.018)。
・40例(56.3%)でCandidaが検出され、4例(5.6%)で真菌性角膜炎を発症し、全例、手術治療が必要であったが、眼内炎を発症した例はなかった。
・角膜片の培養陽性が判明した時点で予防的な治療を開始したことで、角膜炎の発症を1.58%から1.9%に減らす事ができた(p=0.056)。(TY)
Relationship between optical coherence tomography angiography vessel density and sevferity of visual field loss in glaucoma.
Yarmohammadi A et al(CA USA)
Ophthalmology 123(12): 2498-2508, 2016
・POAG患者でOCT-A(Optovue)で測定した血管濃度と、静的視野欠損の重症度を調査した。
・31名の健者、48名の緑内障疑者、74名のPOAG者の計153例で行った。
・RNFL内での2つの測定結果を使用した。
1)視神経乳頭周囲の750μ幅の楕円環内の乳頭周囲血管濃度cpVD(circumpapillary vessel density)
2)4.5mm角の全画像内の血管濃度wiVD(whole-image vessel density)である。
・緑内障眼に比して健眼ではRNFL内での毛細血管網の濃度は高かった。
・健眼:緑内障疑:軽度緑内障:中等度以上緑内障は、wiVDをみると、55.5%:51.3%:48.3%:41.7%、cpVDは62.8%:61.0%:57.5%:49.6%で、いずれもp<0.001で有意差があった。
・相関を見ると、視野のSAPのMDとcpVD、wiVDが最も強く、R2=0.54と0.51で、SAPのMDとRNFL(R2=0.36)、リム面積(R2=0.19)が続いた(いずれもp<0.05)(図4)。(TY)
Deep retinal layer microvasculature dropout detected by the optical coherence tomography angiography in glaucoma.
Suh MH et al(CA USA)
Ophthalmology 123(12): 2509-2518, 2016
・71例71眼のβ領域傍乳頭萎縮βPPAを持ったPOAG者で、その領域の深部網膜層の微小血管についてOCT-Aで検討した。
・視神経乳頭周囲のRNFL内の血管濃度cpVD、脈絡膜厚、局所的な篩板LC欠損も算定した。
・傍乳頭の深層微細血管の消失はPOAGの37眼(52.1%)でみられ、消失はLC欠損の有無(70.3% vs 32.4%)、視野のMD値(-9.06dB:-3.83dB)、脈絡膜厚(126.5:169.1μ)、眼軸長(24.7:24.0mm)、βPPA面積(1.2:0.76mm2)、拡張期圧(74.7:81.7mmHg)などに関連していた(いずれもp<0.05)。(図2)(TY)