SALT Trial: Steroids after Laser Trabeculoplasty
Impact of Short-Term Anti-inflammatory Treatment on Selective Lase Trabeculoplasty Efficacy
Sylvia L Groth et al (USA)
Ophthalmology 126(11):1511-1516, 2019
SLT後NSAIDsあるいはステロイドの短期使用がSLTの成績に影響を与えるか調査
85名96眼にSLTを行い、Ketorolac0.5%: prednisolone1%: saline tears=1:1:1で1日4回、5日間投与。1,6,12週後のIOPを調査
結果
ベースライン眼圧
23.3±4.2mmHg、23.7±4.4mmHg、22.7±7mmHg
6週では差が無かったが、12週ではNSAIDsおよびステロイド群は、プラセボ群と比べて有意な眼圧下降を認めた(MM)
Visual acuity outcomes after cataract surgery. High-volume versus low-volume surgeons.
Cox JT et al(MD USA)
Ophathalmology 126(11): 1480-1489, 2019
・白内障の年間の手術数と術後視力、合併症などとの関連を調べた。
・白内障手術は小切開囊外手術と超音波乳化吸引手術である。
・69名の術者が2015年にインドのAravind眼病院で行なった91,084眼の内、35,880眼を調べた。
・1人の術者の例数は76例から2900例である。
・多数の手術を行う術者は合併症が少なく、術後の予後も良い(TY)
Assessing “Cell Therapy” clinics offering treatments of ocular conditions using direct-to-consumer marketing websites in the United States.
Nirwan RS et al(NY USA)
Ophthalmology 126(10): 1350-1355, 2019
・細胞治療cell therapyは米国では需要者との直販で広がりつつある。
・この報告は米国で眼科領域の細胞治療をホームページで表示している医療機関を調査した。
・米国では40の企業の76医療機関で眼科領域の細胞治療を行っていた。
・カリフォルニアが23医療機関、フロリダが12医療機関、イリノイが10医療機関で多かった。
・細胞の種類は、自己脂肪由来の幹細胞(35機関;67%)、自己骨髄由来幹細胞(8;15%)、羊膜幹細胞(2;4%)、末梢血由来幹細胞(2;4%)、臍帯血由来幹細胞(2;4%)、同種骨髄由来幹細胞(1;2%)、胎盤幹細胞(1;2%)、異種幹細胞(1;2%)であった。
・対象眼疾患は黄斑変性(35)、視神経炎(18)、網膜色素変性(17)、糖尿病網膜症(16)であった。
・投与方法は静脈内(22)、不明(12)、硝子体内(2)、球後注射(2)、硝子体手術での投与(1)等であった。
・費用は$4,000~$10,500であった。(TY)
Increased nighttime blood pressure in patients with glaucoma. Cross-sectional analysis of the LIGHT Study.
Yoshikawa T et al(奈良医大)
Ophthalmology 126(10): 1366-1371, 2019
・血圧には生体リズムがあり、睡眠中に血圧が下降することが知られている。
・睡眠中の血圧は日中活動時の血圧よりも心血管系疾患の発症予測能が高く、臨床的に重要な指標
・緑内障患者における睡眠中の過度の血圧低下が緑内障の悪化と関連しているという報告があることから、緑内障患者では睡眠中の血圧が低下しているかどうかを検討した
・緑内障患者109名(71.0±11.2歳)とCtrl708名(70.8±6.8歳)の夜間血圧と夜間落込みについて検討した。
・緑内障患者は緑内障性視神経症と視野障害をもったものとし、75名が両眼、34名が片眼で、POAGが125眼、PACGが10眼、続発緑内障が2眼、落屑緑内障が13眼である。
・血圧は30分ごとに48時間測定した。
・血圧の夜間落込みは夜間の平均収縮期血圧が昼間の収縮期血圧より10%以上下がっているものとした。
・緑内障患者の夜間収縮期血圧は Ctrl群よりも平均4.1mmHg有意に高かった(95%CI=1.0-7.2 p=0.01)。
・夜間落込みのないものは緑内障群は45.0%で、Ctrl群27.5%に比して有意に多かった(p<0.001)(OR=1.96 95%CI=1.26-3.05 p=0.003)。
・今後の更なる検討が必要である。(TY)
Associations between optic disc measures and obstructive sleep apnia in young adults.
Lee SSY et al(Australia)
Ophthalmology 126(10): 1372-1384, 2019
・19歳から22歳の848名について夜間の睡眠ポリグラフ検査と視神経乳頭検査を行い、関連を調べた。
・睡眠ポリグラフでは無呼吸低呼吸インデックスAHIを求め、1時間にAHIが5回未満は非閉塞性睡眠時無呼吸(no-OSA 670例)、AHIが5回以上15回未満はmild-OSA(150例)、15回以上30回未満はmoderate-OSA(26例)、30回以上をsevere-OSA(2例)とした。
・AHIの中間値は1時間に2.2回(中間1/4範囲は1.0-4.4回)であり、178例(21.0%)がOSAと診断された。
・OSA者ではno-OSA者より、傍乳頭RNFLが下耳側(p=0.026)、上耳側(p=0.008)で薄く、更にAHI頻度が高いほど、上耳側の傍乳頭RNFLが薄かった(p=0.007)が、視神経乳頭の形状に関してはOSAとの関連は見つからなかった。(TY)
Rhegmatogenous Retinal Detachment after Intravitreal Injection of Anti–Vascular Endothelial Growth Factor
Philip P. Storey, et al.(US-PA)
Ophthalmology. 2019;126(10)1424-1431
・2014.10月~2017.10月
・ルセンティス・アバスチン・アイリーア硝子体注入
・12,718眼に180,671回注射
・注射後3M以内の網膜剥離発症:24例
・注射7,532回に1回の割合(0.013%)、530例に1例の割合(0.19%)
・24例のうち16例で注射部位より1.5時間以内の象限にRB存在(MK)
Primary Selective Laser Trabeculoplasty for Open-Angle Glaucoma and Ocular Hypertension
Clinical Outcomes, Predictors of Success, and Safety from the Lase in Glaucoma and Ocular Hypertension Trial
Anurag Garg et al (UK)
Ophthalmology 126(9):1238-1248, 2019
未治療のOAGとOHTに対するPrimary SLT治療の有効性と安全性を多施設、前向きランダム試験で検討
初回治療としてSLTもしくは点眼治療にランダムに割り付け
治療前眼圧よりも20%以上眼圧下降を目標として治療を行った
初回SLT後2ヶ月以降に1回は追加SLTを認め、その後は点眼追加とする。
Outcome: 2ヶ月後の眼圧下降、SLT36ヶ月後の目標眼圧達成・点眼追加無し・視野障害進行無し、最初のSLT後のIOP下降、点眼不要となる因子、レーザー後の合併症頻度
SLT群:355名611眼(OHT 195, OAG 416) <36M後 314名536眼>
drop群:362名622眼(OHT 185, OAG 437)
2ヶ月後の眼圧下降効果ではSLT群、drop群で差は無かった
IOP下降率:2M目
SLT群:OHT 29.7%、OAG 26.1% (有意差なし)
術前眼圧が高いほど眼圧下降率が大きかった
Drop群:OHT 27.9%、OAG 27.9% (有意差なし)
99.3%は1剤、ほとんどがPG
治療前眼圧と性別が早期(2M)の予測因子であった
SLT1回または2回で
12ヶ月目で82.5%、24ヶ月目で79.2%、36ヶ月目で74.6%が目標眼圧を点眼なしで達成できていた
SLT1回で
12ヶ月目で75.5%、24ヶ月目で66.5%、36ヶ月目で58.2%が目標眼圧を点眼なしで達成できていた
どちらもすべての時期で、OHTとmild OAGがmoderate/severeOAGよりも高い達成率であった(進行した緑内障の方がより厳しい眼圧下降基準としたためと考えられる)
36ヶ月目での点眼なしの予測因子:SLTのトータルパワーと2MでのIOPが有意差
成功群:92.6mJ 不成功群:87.7mJ ほとんどオーバーラップしている
点眼アドヒアランスが非常に悪い人では、選択肢の一つと思われる(MM)
The port delivery system with ranibizumab for neovascular age-related macular degeneration.
Campochiaro PA et al(MD USA)
Ophthalmology 126(8): 1141-1154, 2019
・新生血管AMDに対してranibizumabの港型埋込システム(Port Delivery System:PDS)の安全性と効果を検討したPhase 2の多施設調査である。
・発生後9カ月以内で、2回以上の抗VEGF治療で効果がみられた症例を対象とした。
・220名をPDS ranibizumabの10mg/ml(58名)、40mg/ml(62名)、100mg/ml(59名)と0.5mgを毎月硝子体注射群(41名)に分けて検討した。
・PDSの詰替をした時期の中間値は10,40,100mg/mlのPDSで、8.7、13.0、15.0カ月目であった。
・PDSの詰替えは、結膜上から2層構造の詰替え針を用いて旧薬を吸引しつつ詰替え薬を0.1ml、隔壁内に注入した。
・毎月0.5mgの硝子体注射群と同等の効果があったものは100mg/mlのPDSであった。(TY)
Greater physical activity is associated with slower visual field loss in glaucoma.
Lee MJ et al(MD USA)
Ophthalmology 126(7): 958-964, 2019
・身体運動レベルと緑内障の視野欠損進行との関連を調べた。
・対象者は141名(64.9±5.8歳 除外者17名含む)で1週間、風呂と水泳時以外は腕に加速計を付け、1日の平均歩数、中等度から活発な運動時間、非座位の活動時間を調べた。
・運動測定の13.2年前から、測定後6.7年までの視野をHumphrey視野計の24-2の測定で調査した。
・運動開始前のmean deviation(MD)は-6.6±8.4dBで、1日平均歩数は5613±3158歩であり、平均視野欠損スピードは0.36dB/年(95%CI=-0.37~-0.35)であった。
・多変量解析では視野欠損が遅いことは歩数が多い事(+0.07dB/年/1日1000歩 p<0.001)、中等度から活発運動が多い事(+0.003dB/年/1日10分以上 p<0.001)、非座位活動が多い事(+0.007dB/年/1日30分以上 p=0.005)であった。
・視野欠損スピードが早いことに関連する因子は、高齢、非白人、緑内障手術、白内障手術、最初の視野欠損が軽度(MD>-6dB)よりも中等度視野欠損(-6dB≧MD>-12dB)であった。
・活発な身体活動が視野進行を抑え、1日5000歩あるいは非座位の2.6時間の活動は視野欠損スピードを約10%減らす事ができた。(TY)
Baseline systolic versus diastolic blood pressure dip and subsequent visual field progression in normal-tension glaucoma.
Kwon J et al(Korea)
Ophthalmology 126(7): 967-979, 2019
・新規に正常眼圧緑内障NTGと診断された119例119眼を最低2年間(40.4±16.9月)経過観察し、収縮期血圧と拡張期血圧DBPの落ち込みdipが視野進行に影響を与えるかどうかを調査した。
・全員に24時間血圧(30分間隔で自動測定)と眼圧測定(8,10,12,14,16,18,20,22時は座位で、0,3,6時は仰臥位でTonopenで測定)をおこなった。
・血圧の落ち込みは日中と夜間で率を求めた。
・日中は(平均BP-最低BP)/平均BP、夜間は(平均日中BP-最低夜間BP)/平均日中BPとした。
・経過観察中に41眼(34%)で視野欠損が進行しており、多変量Cox回帰モデルで視野欠損の進行を予測する因子は、夜間DBPの最低値が低いこと(HR:hazard ratio=0.953 p=0.023)、夜間DBP最低値の時間が長い事(HR=1.017 p=0.003)であった。
・夜間のDBPの落ち込みは、SBPの落ち込みよりも視野欠損の進行により大きな相関があった。
・NTGでは夜間のDBPの最低値とDBPの落ち込み時間の長さが視野欠損と強い関連があった(TY)
Tolerating Subretinal Fluid in Neovascular Age-Related Macular Degeneration Treated with Ranibizumab Using a Treat-and-Extend Regimen: FLUID Study 24-Month Results
Robyn H. Guymer, et al. (Australia)
Ophthalmology. 2019;126(5)723-734
・nAMD初回治療患者349眼を前向きランダムに2群に割付け;
・どちらの群もルセンティスを3回導入、その後2w調節・最大12w間隔のTreat and Extend(T&E)法へ
・Intensive群(174眼):網膜下液(SRF)が完全に消失するのを目指す
・Relaxed群(175眼):中心窩200μ以下のSRFは看過(→2w延長して投与)
・279眼(79.9%)が24Mのフォローアップ完遂
・24M後の視力改善:Intensive群で3文字(SD:16.3)、Relaxed群で2.6文字(SD:16.3)(P=0.99)
・視力20/40以上の割合:Intensive群で53.5%、Relaxed群で56.6%(P=0.92)
・視力20/200以上の割合:Intensive群で8.7%、Relaxed群で8.1%(P=0.52)
・注射回数:Intensive群で17±6.5回、Relaxed群で15.8±5.9回(P=0.001)
・注射間隔を4週より広げられなかった割合:Intensive群で13.5%、Relaxed群で2.8%(P=0.003)
・注射間隔を12週まで広げられた割合:Intensive群で15.0%、Relaxed群で29.6%(P=0.005)
・ルセンティスのT&E法では、少々のSRF(≦200μm)を残しても、厳重にSRF消失を目指した方法と視力経過は同等であり、注射回数が少なくてすむ(MK)
Spectral-domain OCT measurements in Alzheimer’s disease.
Chan VTT et al(China)
Ophthalmology 126(4): 497-510, 2019
・アルツハイマ-病ADのOCTと軽度の認知障害(mild cognitive impairment:MCI)につき過去の30文献の調査。
・対象はADが1257名、MCIが305名、Ctrlが1460名である。
・SMD比率(standard mean difference)を求めると、ADではOCTでのGC-IPL厚が-0.46(95%CI=-0.8~-0.11)[絶対値では平均-3.66μm]、GCC厚が-0.84(95%CI=-1.10~-0.57) [絶対値では平均-7.04μm]、黄斑容積が-0.58(95%CI=-1.03~-0.14) [絶対値では平均-0.23mm3]、全黄斑網膜厚が-0.52~-0.74[絶対値では平均-9.71~-14.56μm]、視神経乳頭周囲のRNFL厚は-0.67(95%CI=-0.95~-0.38) [絶対値では平均-5.99μm]、1.5mm内の脈絡膜厚は-0.57~-1.03[絶対値では平均-28.75~-64.60μm]、Ctrlに比較して薄かった。
・SD-OCT測定はADの生体指標になりうると考えた(TY)
Evalution in the risk of cataract surgical complicaions among patients exposed to tamsulosin.
Campbell RJ et al(Canada)
Ophthalmology 126(4): 490-496, 2019
・2003/1から2013/12にカナダのOntarioで行われた66歳以上の男性を対象として、Healthcare Databaseを用いてタムスロシン服用の有無で調査した。タムスロシン内服者(39,144名)、タムスロシン非内服者(378,611名)
・The Ontario Health Insurance Plan database、The Ontario Drug Benefit database、The Canadian Institute for Health Information discharge database、The National Ambulatory Care Reporting System Database
・合併症は、後嚢破損、水晶体破片落下、網膜剥離、術後眼内炎疑いとしたが、いずれも、他の手技を同日あるいは術後2週間以内に行う必要があった重篤な合併症である。
・タムスロシン内服者(39,144眼)での白内障手術での合併症は397眼(1.0%)で発生していたが、年々減少OR=0.95/年(95%CI=-0.91-0.99/年 p=0.006)。
・術前1年以内にタムスロシン非内服者(378,611眼)でも合併症は3906眼(0.77%)で発生していたが、年々減少OR=0.96/年(95%CI=-0.95-0.98/年 p<0.0001)していた。
・後嚢破損(同日に前部硝子体切除が行われた)297眼(0.76%):2184眼(0.58%)、統計量=4.459, p<0.0001**
・水晶体破片落下(術後2週間以内に硝子体手術あるいは脱臼IOL摘出が行なわれた)。54眼(0.14%):325眼(0.08%)、統計量=3.260, p<0.002**
・網膜剥離(術後2週間以内に網膜剥離手術が行われた)。7眼(0.02%):81眼(0.02%)、統計量=0.456,p=0.65
・術後眼内炎疑い(術後2週間以内に、2、3以外の硝子体手術あるいは硝子体注射が行われた)。39眼(0.10%):316眼(0.08%)、統計量=1.045,p=0.3。(TY)
Outcomes of eyes lost to follow-up with proliferative diabetic retinopathy that received panretinal photocoagulation versus intravitreal anti-vascular endothelial growth factor.
Obeid A et al(PA USA)
Ophthalmology 126(3): 407-413, 2019
・増殖性糖尿病網膜症PDR患者で治療後に6か月以上の間、経過観察ができなくなったLTFU(lost to follow-up)率を抗VEGFの硝子体内注射群と汎網膜光凝固群とで比較した。
・2013/9から2016/9の間に728名の患者がLTFUとなった。
・このうち295名(40.5%)は抗VEGF治療、433名(59.5%)はPRPである。
・この6か月間のLTFU後に戻った患者が59名(20名30眼は抗VEGF治療、39名46眼はPRP)おり、この59名76眼について検討した。
・抗VEGF群では平均視力はlogMAR 0.43±0.38(小数点0.37)からLTFU後に0.97±0.80(小数点0.11)と有意に低下しており(p=0.001)、最終視力も0.92±0.94(小数点0.12)と悪かった(p=0.01)。
・PRP群では0.42±0.34(小数点0.38)からLTFU後に0.62±0.64(小数点0.24)と低下していたが(p=0.03)、最終視力は0.46±0.47(小数点0.35)と有意差はなかった(p=0.38)。
・牽引性網膜剥離の発生は抗VEGF群では10眼、PRP群では1眼と有意に抗VEGF群で多かった(p=0.005)。
・虹彩新生血管の発生も4眼と0眼で、抗VEGF群で多かった(p=0.02)。
・LTFUの事を考慮してPDRの治療の選択が必要である(TY)
Childhood Lensectomy Is Associated with Static and Dynamic Reduction in Schlemm Canal Size
A Biomechanical Hypothesis of Glaucoma after Lensectomy
Moritz C. Dnaiel et al (UK)
Ophthalmology 126(2): 233-241, 2019
4際から16歳の健康な小児(50名)と過去にLensectomyを行ったもの(48名)を対象
24名は片眼のみLensectomyを行い僚眼は健常眼として解析し、健常眼124眼(右59眼、左65眼)とLensectomy眼72眼(右39眼、左33眼)を調査
72眼中34眼は緑内障と診断され、18がんで手術あるいはレーザーを行っている
前眼部OCTを用いてSC,TM, Iridocorneal angle(ICA)を2.5D(40cm)と15D(6.5cm)の調節負荷をかけて調べた
結果
調節負荷をかけると水平SC距離が長くなるが、Lensectomyを行った患者では調節負荷ありなしともに健常眼と比べて短くなっていた
SC Cross-sectional area(CSA)は調節時に増加するが、最大調節負荷時のLensectomy群は減少していた
サブグループ解析で、緑内障となった群と健常群を比較すると、
緑内障群で水平SC距離は-0.081mm、CS CSAは0.395mm2小さかったが、緑内障でないLensectomy群と健常群では差がなかった
IOL眼と無水晶体眼での比較では、水平SC距離、垂直SC距離、SC CSAの調節負荷時は差がなく、安静時では垂直SC距離、SC CSAでIOL眼の方が大きかった
調節負荷時の毛様体厚の変化には有意差はなかった
Lensectomy後、調節負荷によるSCの伸展が減少することが緑内障と繋がると考えられる(MM)
Association between Rates of Visual Field Progression and Intraocular Pressure Measurements Obtained by Different Tonometers
Bianca N. Susanna et al (Duke, USA)
Opthalmology 126(1):49-54, 2019
125名213眼の緑内障患者でゴールドマン眼圧計(GAT)、Ocular Response Analyzer(ORA)、アイケア眼圧計(RBT)それぞれで測定した眼圧値とHFA SITA standard 24-2 のMDの変化との関係を調査
平均観察期間 2.4±0.6年(1.3-3.7年)
観察期間中の平均眼圧:GAT, ORA IOPcc, RBTそれぞれ
14.4±3.3,15.2±4.2, 13.4±4.2mmHg
CCT 536.3±43.1μm CH 9.5±1.8mmHg
どの眼圧計も眼圧が高いほどMDの進行が早い
MD値との関係はGATよりもORA IOPccの方がよい相関があった
OfficeTimeのみであること、GATとことなり、ORAIOPccは3回の平均であること、治療前の眼圧や治療による影響が含まれないというLimitationsがあり(MM)
Long-term shape, curvature, and depth changes of the lamina cribrosa after trabeculectomy.
Kadziauskiene A et al(Lithuania)
Ophthalmology 125(11): 1729-1740, 2018
・112例118眼の線維柱帯切除を行ったPOAGを対象として、篩板の形態(grobal shape index:GSI)、水平(N-T)と垂直(S-I)曲率半径、篩板深度(LCD)を調べた。
・LCのGSIの値は後方凸の-1、対照的な鞍馬型の0、前方凸の+1まで値づけされた。
・平均のLS GSIは術後12ヶ月までの早期は有意(p=0.02)に+に偏位しており、LC曲線も水平、垂直共に有意(p<0.003)にフラット化していた。
・LC深度は術後6ヶ月まで急速に低下し、全経過にわたり有意に浅くなった(p<0.001)が、28例では最低1回、深くなることがあった。
・LC深度がより浅くなった例の方が深くなった例よりも有意に眼圧下降が得られていた(p=0.002)。
・GSIの+偏位は、IOP低下が大きく(p=0.007)、NFLの厚み減少が少なかった(p=0.003)。
・若さとIOP低下は、LCが浅くなること、N-T曲線がフラット化することに相関していた。(TY)
Optic disc pit maculopathy. A two-year national prospective population-based study.
Steel DHW et al(UK)
Ophthalmology 125(11): 1757-1764, 2018
・新規に発生した視神経乳頭ピット黄斑症ODPMについて、英国の毎月の監視システムを利用して調査した。
・年間74例の確実な新規症例があった。
・これは200万人に対して年間1人発生の頻度である。
・このうち、このうち70例を調査し、1年後の経過が追えた症例は68例である。
・男女比は丁度35:35例(50%)で、平均年齢は35歳(3-82才)、Baseline視力は1.2からHMである。
・43例(61%)で網膜下液SRFがあったが、網膜内液のみは27例(39%)であった。
・SRF例は視力が悪かった。
・OCTを1年間追えた53眼では、10例(19%)は悪化、9例(16%)は改善した。
・直後に手術を行ったのは15/70(21%)で、その後の1年以内に更に10例が手術を受けた。
・手術例の19/25(76%)で1年後に解剖学的に成功し、15例(60%)で0.8以上の視力が得られた。
・SRF例では視力に関して手術を受けた優位性は少なかったが、直後に手術を行った場合は経過を見た後の手術よりも有意に視力は改善していた。
・手術例は全例PVDを起こしているが、ILM剥離、視神経乳頭縁のLK、ガスの使用は優位性がみられなかった。(TY)
Five-Year Graft Survival of Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty (EK) versus Descemet Stripping EK and the Effect of Donor Sex Matching
David A. Price, BS et al. (IN USA)
Ophthalmology 2018(10);125:1508-1514
目的: Fuchs角膜内皮変性症(FECD)対してDSEKおよびDMEKを行い、5年移植片生存率、角膜内皮細胞密度(ECD)損失率および拒絶反応率を比較する。また、ドナーとレシピエントの性別が拒絶反応や生存率に影響を与えるかどうかを調べる。
対象と方法:2003年から2012年の間にFECDに対し手術を行った2017例(DSEK 1312例(65%)、DMEK 705例(35%))。
ドナーの性別に関する情報は、1920例(95%)で入手可能であった。
術後、1%プレドニゾロン点眼は、1日4回3〜4ヶ月間、その後1ヶ月に1回ずつ減らし、1日1回無期限に続けた。
DMEKの内、115例 (16%)は術後1ヶ月で0.1%フルオロメトロン点眼に切り替え、106例 (15%)は術後1年でステロイド点眼を中止した。
結果:術後 5年間での拒絶反応率は、DMEK 2.6%、DSEK 7.9%で、DMEKの方がより低かった。(P<0.0001)(図1)。
DSEKと同じステロイド点眼回数で治療したDMEK症例では、5年間での拒絶反応率は2.0%であったのに対し、早期にステロイド減らしたDMEK症例では3.9%(P=0.29)だった。
また、アフリカ系アメリカ人は他の人種よりも拒絶反応率が有意に高かった。(P=0.0006)
DSEKとDMEKの両方で、5年生存率は93%であった(P=0.85)。
DMEK 44例とDSEK 69例で移植片不全になったか、5年以内に再移植を要した。拒絶反応はECD損失を増やしたが(P=0.004)、5年以内の移植片不全の重要なリスク要因ではなかった。(P=0.09)
術後5年のECD損失率は、DSEK 47%、DMEK 48%であった。(P = 0.22)
ドナーとレシピエントの性別の影響は認められなかった。
(拒絶反応率:女性レシピエントP=0.07、男性レシピエントP=0.33;移植片生存率:女性レシピエントP=0.67、男性レシピエントP=0.17)
結論: DMEKはDSEKより拒絶反応率が有意に低いリスクにもかかわらず、5年移植片生存率、および角膜内皮細胞喪失は同等であった。
ドナーとレシピエントの性別の拒絶反応率、移植片生存率への影響は認められなかった。(CH)
Comparison of the rotational stability of two toric intraocular lenses in 1273 consecutive eyes.
Lee BS & Chang DF(CA USA)
Ophthalmology 125(9): 1325-1331, 2018
・Acrysof toric ReSTOR(n=626)とTecnis toric Symfony(n=647)で、角膜輪部の血管でのdigital marking systemを用いて行った手術後の軸ずれを検討した。
・術日の遅くか、翌朝に散瞳検査を行って軸ずれの測定を行った。
・5度以内の軸ずれはAcrysofでは91.9%、Tecnisでは81.8%で有意差があり(p<0.0001)、10度以内ではAcrysof:97.8%、Tecnis:93.2%(p=0.0002)、15度以内はAcrysof:98.6%、Tecnis:96.4%(p=0.02)であった。
・平均軸ずれ度はAcrysofは2.72度(95%CI=2.35-3.08)、Tecnisは3.79度(95%CI=3.36-4.22)で有意差があった(p<0.05)。
・Tecnisでは反時計回りのずれが多かった。
・再手術による軸補正はAcrysof:1.6%、Tecnis:3.1%であったが、有意差はでなかった。
・Tecnis TIOLが回転しやすい理由は不明だが、術中のOVD除去時などでも反時計回りに回りやすく、アクリル素材そのものの問題やハプティクスの幅や角度、デザインも関与している可能性がある。
・光学系とハプティクスとの接合部はTecnisではAcrysofよりもかなり固く、この影響もあるだろう(TY)