Effect of corneal cross-linking versus standard care on keratoconus progression in young patients. the KERALINK randomized controlled trial.
Larkin DFP(UK)
Ophthalmology 128(11): 1516-1526, 2021
・若年者の円錐角膜を角膜クロスリンキング(CXL)で進行が止められるかどうかを10歳から16歳の60例で検討した。
・30例にCXLを行ない、28例に通常の眼鏡あるいはCLなどの治療を行ない、18か月後の凸度の強い方のK2値で比較した。
・18か月後のCXL群のK2値は49.7±3.8Dで、Ctrl群のK2値は53.4±5.8Dで、調整後の差は-3.0D (95%CI=-4.9~-1.1D p=0.02)で、CXL群で進行度が少なかった。
・進行した症例はCXL群では2例(7%)、Ctrl群では12例(43%)であった。
・若い円錐角膜患者ではCXLが有効であり、積極的に行なうべきである。(TY)
Intraocular pressure, Glaucoma, and Dietary Caffeine Consumption
A Gene-Diet Interaction Study from the UK Biobank
Jihye Kim et al. (UK) Ophthalmology 128(6):866-876, 2021
・目的:カフェイン摂取習慣と眼圧の関係、および遺伝子的な素因を調べる。
・多くのスタディではカフェイン摂取後1-4時間後に0-4mmHg急性の眼圧上昇を報告されているが、カフェイン摂取習慣については様々である。眼圧は多因子遺伝特性であることが示唆されており、POAGと眼圧の多因子遺伝リスクスコア(PRS)は相関する。
・珈琲もしくは紅茶(緑茶やハーブティなどを含む)、チョコレート摂取状況と、眼圧、IOP PRSとの関係を調査
・全体としてはカフェイン摂取と眼圧下降が弱く相関するが、緑内障とは関係なかった。
カフェインの摂取はIOP PRSによって修飾され、カフェイン摂取量の増加はIOPおよび緑内障有病率両方にポジティブに関連していたが、IOP上昇に対する遺伝的感受性が最も高い人の間でのみ関連していた。(MM)
Five-Year Follow-up of First 11 Patients Undergoing Injection of Cultured Corneal Endothelial Cells for Corneal Endothelial Failure
Kohsaku Numa et al, (京都府立医科大学)
Ophthalmology 2021(4);128:504-514
・ドナー由来の角膜内皮細胞を生体外で培養後、注入液に懸濁させた機能的な培養ヒト角膜内皮細胞(hCEC)を水疱性角膜症患者の前房内に注入する新規再生医療技術を開発した。
・角膜内皮不全状態に対する培養ヒト角膜内皮細胞を使用した新規細胞注射療法の安全性と有効性の報告。
・2013年12月から2014年12月の間にhCEC注射療法を受けた角膜内皮不全の11人11眼。
・すべて偽水晶体で、手術前は全体的な角膜浮腫を示した。以前に緑内障ドレナージ手術を受けた症例はなかった。
・すべての患者は角膜中央部の直径8 mmの内皮細胞とデスメ膜を取り除いた後、シリコンカニューレ針を使用して注射器に吸引された300μlに懸濁された培養hCECが前房内に注入された。患者は、注入された細胞の接着と生着を強化するために、3時間face-down positionをとった。培養角膜の角膜内皮細胞密度(ECD)は1835から2530 cells / mm2だった。
・すべての患者は、術後1週間、4週間、12週間、24週間、および1年、2年、3年、4年、5年後に追跡検査を受けた。ECD、変動係数(CV)、六角形細胞出現率(6A)、中心角膜厚、最高矯正視力(BCVA)、および眼圧(IOP)を測定した。
・手術後5年で、11眼中10眼で正常な角膜内皮機能が回復し、平均中心角膜ECDは1257±467 cells / mm2(601〜2067 cells / mm2)、CVは0.46±0.076から0.37±0.088に、6Aのパーセンテージも47±8.7%から54±6.2%に改善した。
・BCVAは10眼で有意に改善した。平均視力は、手術前の0.87 logMARから手術後0.046 logMARと改善した。
・hCEC注射療法に直接関連する主要な合併症はなかった。
・手術後5年での角膜中心の角膜の厚さは、11眼中10眼で正常範囲内(<630μm)だった。治療された11眼中眼では、術後5年間の追跡期間中にIOP上昇は認めなかった。1眼でステロイド外用薬への反応によりIOPが一時上昇した。
・虹彩に重度のPEXが蓄積したPEX関連内皮不全眼は、おそらく前房の異常な微小環境が原因で不全になった。
・手術後最大5年間の培養hCEC注射療法の安全性と有効性を確認した。
世界中でドナー角膜が毎年不足し続けているので、これらの問題を排除する新しい外科的処置は非常に有益であろう。(CH)
Comparison of Clinical Outcomes with Open Versus Closed Conjunctiva Implantation of the XEN45 Gel StentA Systematic Review and Meta-analysis
Anna Do. et al, Ophthalmology Glaucoma 4,343-349: 2021
・XEN45を結膜切開の有無で比較 ab internoとab externoで比較
手技:
・最初にMMC 0.4mg/ml XEN45挿入前に20-80μgを結膜下注射
・Closed Conjunctive Technique
Ab interno:
ヒアルロン酸で満たした前房内からインサーターを用いて結膜下にリリース
前房内を洗浄
Ab externo:
輪部から7mmの部位からインサーターを挿入
輪部から2mmで方向を変えて前房内に挿入しリリース
・Open Conjunctiva Technique
Ab interno:
鼻上側の結膜をfornix-baseで3-4時間開き強膜を露出
ヒアルロン酸で満たした前房内からインサーターを用いて強膜上にリリース
結膜縫合し、前房内を洗浄
Ab externo:
同様の方法で強膜を露出
輪部から2-3mmから前房内に挿入してリリース
結膜縫合
術後点眼
・4-12週 ステロイド 漸減 (術者によって異なる)
・7-10日 フルオロキノロン抗生剤
不成功の定義:IOP>21mmHg、術後1か月以降の2回連続したフォローでPre IOPから20%未満の眼圧下降、インプラント露出などの合併症での再手術、レクトミーやチューブシャント、毛様体破壊などの緑内障再手術(ニードリングは含まず)、光覚喪失
・Complete success(CS): 眼圧下降薬なしで上記満たさない
・Qualified success(QS):眼圧下降薬ありで上記満たさない
結果
・137名137眼
・Closed conjunctiva 61眼、 Open conjunctiva 76眼、男性55%、POAG 58.4%
・術前眼圧:Closed群 23.0mmHg、Open群 26.4mmHg
・Open群で過去の緑内障手術の割合が高かった(5% vs 20%)
・白内障同時手術は影響なかった
・両群で術後眼圧に差は認めなかったが、術後12か月でOpen群の方が眼圧下降率が高かった(24.8% vs 43.1%)
・CS: 31% vs 53% P=0.01
・QS: 56% vs 71% P=0.06
・不成功までの期間:6.1±4.0M vs 6.3±5.4M
・眼圧と点眼、合併症:図参照
・Open群では術前眼圧が高く、過去に緑内障手術を受けたことのある難治例が多かったにもかかわらず、Closed群よりも成功率が高かったため、結膜を開く方法を推奨する。
・結膜とテノン嚢を開くことでデバイス遠位端の閉塞リスクが少ないこと、テノンを広く開き後部ポケットを作成したことがその要因ではないかと考えられる
・Closed群でステントの露出が見られたのは、遠位端が正しい位置に配置できなかった可能性、虹彩による閉塞が見られたのは、挿入時にOVDを使用するため虹彩が押し下げられ、より虹彩側に挿入された可能性がある。(MM)
Cardiovascular disease predicts structural and functional progression in early glaucoma.
Marshall H et al(Australia)
Ophthalmology 128(1): 58-69, 2021
・1314例2628眼の前視野緑内障と初期緑内障についてSD-OCTでの網膜厚とハンフリー視野HVFで評価して、心血管障害との関連を検討した。
・患者は最初に、障害部位によって次の3組に分けて検討した。
・黄斑部の神経節内網状層障害(mGCIPL)優位、視神経乳頭周囲の網膜神経線維障害(pRNFL)優位、mGCIPLとpRNFLの両者障害の3組に分け、心血管障害群と非障害群に分けて検討した。
・mGCIPL障害が有意な群では高血圧の有病率が高く(OR=2.70 95%CI=1.66-4.41 p<0.001)、降圧剤の使用率が高く(OR=2.03 95%DI=1.20-3.46 p=0.008)、スタチンの使用率が高かった(OR=1.98 95%CI=1.07-3.66 p=0.029)。
・pRNFL障害が有意な群では心血管障害やそのための内服者が多かった。
・OCTとHVFでの経過(5.34±1.29年)をみると、この障害には高血圧が関連しており、OCTではOR=1.79 (95%CI=1.17-2.75 p=0.006)、HVF進行はOR=1.92(95%CI=1.18-3.15 p=0.013)であった。
・収縮期血圧の1SD(約21mmHG)上昇はOCTの進行(OR=1.27 95%DI=1.01-1.63 p=0.041)とHVF進行(OR=1.32 95%CI=1.01-1.73 p=0.043)に関連していた(TY)
Cataract surgery volumes and complications per surgeon and clinical unit. Data from the Swedish National Cataract Register 2007 to 2016.
Zetterberg M et al(Sweden)
Ophthalmology 127(3): 305-314, 2020
・2007ー2016年のSwedenの眼科施設での白内障手術数と合併症数を術者毎あるいは施設毎に調査した。
・白内障手術件数は2007年が71,369眼、2016年が118,534眼で66%増加していた。
・年間500眼以上の術者は15.0%→34.0%に、年間1000眼以上の術者は2.1%→10.9%にそれぞれ増加していた(いずれもp<0.001)。
・術者毎の手術数は、500眼以上の術者によるものは36.9%→68.1%に増加していた。
・年間の破嚢の合併症率は手術数が増えるにつれて減少しており、10-99眼の少術者では2.15±3.17%、100-499眼の中術者では1.32±1.28、500眼以上の多術者では0.59±0.49であった(p=0.016)。
・術前視力は500眼以上の多術者では小数点0.5であったが、499眼以下の少中術者では0.4であった(p<0.001)。
・破嚢の合併症は1.5%→0.8%に低下し、術前視力はlogMARで0.46±0.10(小数点0.35)→ 0.40±0.05(小数点0.40)に上昇していた(p=0.030)。(TY)
Intrastrolmal bevacizumab in the management of corneal neovascularization: a retrospetive review.
Gupta AA et al(MN USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 258(1): 167-173, 2020
・角膜移植の際、リスクの高い角膜深層の新生血管に実質内へbevacizumabを注入した14例14眼の長期成績について検討した。
・実質内へ0.05-0.1mlの2.5mg/0.1mlのbevacizumabを4~8週おきに1~3回注入した後に8例に角膜移植(全層6例あるいは深層表層移植2例)を行った。
・この8例の内、注射後に3例は新生血管は消失し、5例は中等度に緩解した症例である。
・全体の64.2%がヘルペス後のものであり、視軸にかかっていた例は50%で、傍中心が42.8%であった。
・注射後14.2%は完全緩解し、角膜移植は不要となった。
・21.4%では新生血管の変化はなかった。
・注射の副作用は3眼/14眼(21%)で発生した。
・2例は注射後の上皮剥離で自然緩解、1例は実質内出血で5週間で緩解。
Multimodal imaging for detecting metamorphopsia after successful retinal detachment repair.
Schawkat M et al(Switzerland)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 258(1): 57-61, 2020
・黄斑剥離のあった網膜剥離の成功した硝子体手術後の変視症について検討した。
・術後3,6週間後の視力、眼底写真、アムスラーチャート、SD-OCT、自発蛍光FAFを検査した。
・連続する49例50眼のうち、12眼(24%)で変視症を訴えており、その主因は網膜剥離治癒後の網膜偏位(p<0.001)と黄斑数壁(p=0.03)であった。
・網膜偏位はFAF検査で陽性の過蛍光としてみられる網膜血管影像から判断した。
Diabetic retinopathy screening using smartphone-based fundus imaging in India.
Wintergerst MWM et al(Germany)
Ophthalmology 127(11): 1529-1538, 2020
・途上国では80%近くのDMRの人が検査を受けずにいる現状がある。
・このため、スマートフォンを応用した4種類の眼底検査法(SBFI)を考案した。
・3種類は直像鏡方式、1種類は倒像鏡方式である。
・倒像鏡方式が画像が一番良く、検査時間も有意に長かった(111sec:68-86sec p<0.0001)。(TY)
Chloramphenicol eye drops: an old dog in a new house.
Andaluz-Scher L et al(NY USA)
Ophthalmology 127(10): 1289-1291, 2020
・Chloramphenicol(CP)は安価で角膜刺激性も少なく、前房移行も良く、角結膜の感染に広域に効果を持った抗生剤点眼である。
・米国ではこの30年ほど殆ど使用されておらず、耐性菌が増えている現在では有効である。
・使われなくなった理由の一つはCPでの3例の再生不良性貧血の報告(1982)である。
・1995までに平均120日の使用による23例の再生不良性貧血の報告(33-82歳)があり、12例が死亡した。
・CPの治験として1)最初の抗生剤の効果がない視力に影響する角結膜炎、2)血液異常の家族歴がない、3)成人、4)ICが書面で取れている、を推奨したい。
・但し、使用時には涙点を圧迫し、14日以内に限る。(TY)
Brolucizumab(Retinal vasculitis and intraocular inflammation after intravitreal injection of Brolucizumab.
Baumal CR et al(MA USA)
Ophthalmology 127(10): 1345-1359, 2020
・AMDに対してBrolucizumab(ベオビュ)6mg/0.05mlの硝子体注入後の網膜血管炎と眼内炎症について、米国の10施設から報告された12例15眼を検討する。
・発症は平均30日後である。
・視力平均は注入前はlogMARで0.426(小数点0.37)→注入後0.981(小数点0.10)→25日後0.833(小数点0.15)。(TY)
Femtosecond Laser-Assisted Cataract Surgery Versus Phacoemulsification Cataract Surgery (FACT)
A Randomized Noninferiority Trial
Alexander C. Day et al. FACT group (UK)
Ophthalmology 127(8):1012-1019, 2020
2015/5月から2017/9月の間で785人を無作為に割付
FLACS 392人、通常の白内障(PCS)393人
術後3か月目の裸眼視力、矯正視力、合併症、屈折誤差を比較
Toric IOL:FLACS群 22例、PCS群 19例
LRI:FLACS群 21眼
術後成績ではすべての項目で両群に有意差はなかったが、PCSでは後嚢破損が2例あった FLACS群は0例であった
PCSはFLACSと同程度良好な結果であった。(MM)
Myopia Prevalence and Ocular Biometry Features in a General Japanese Population:
the Nagahama Study
Ophthalmology in press(preproof)
https://doi.org/10.1016/j.ophtha.2020.08.023
2013 年から2016 年の9850 人の調査
-0.5D 以下の近視は全体で49.97%、若年層(34 歳~59 歳)では約70%
-6D 以下の近視は全体で7.89%、若年層では約10%
近視は若年に増えているが、高度近視はあまり変わらない(THY)
Ocular anesthesia-related closed claims from ophthalmic mutual insurance company 2008-2018.
Morley M et al(MA USA)
Ophthalmology 127(7): 852-858, 2020
・麻酔に関連した訴訟について2008~2018年の眼科相互保険会社OMICのデータを調査し、保険に加入している眼科医が訴えられたケースを検討した。
・50人の原告が63の申し立てをしていた。
・眼球穿孔(17)、死亡(13)、球後出血(7)、視神経損傷(4)、血管閉塞(2)、疼痛(2)、眼球頭部を動かした事による外傷(2)、痺れ(1)、複視(1)、挿管時の歯欠損(1)の50種である。
・死亡13例の内12例は合併症を持っており、2例は脊椎麻酔であった。
・麻酔種類では球後麻酔(16)、テノン嚢麻酔(16)、顔面伝達麻酔(6)、点眼麻酔(5)、全身麻酔(5)、不明(2)である。
・局所麻酔の5例では、疼痛(2)、眼球を動かしたことによる破嚢(2)、死亡(1)である。
・全身麻酔の5例では、死亡(4)、歯欠損(1)である。球後出血の7例中3例は抗凝固剤を使用していた。
・全例の内、63の申し立てのうち16(25%)は損害賠償金を支払っていた。
・最も額が大きかったのは眼球穿孔の6例で平均$271,000($20,000-$585,000)、
・死亡の5例は平均$73,500($20,000-$160,000)、球後出血4例では$92,500($29,999-$200,000)であった。(TY)
The Effect of Blue-Light Filtering Intraocular Lenses on the Development and Progression of Neovascular Age-related Macular Degeneration
Ophthalmology in press(preproof)
https://doi.org/10.1016/j.ophtha.2020.07.039
ブルーライトフィルタリングIOL でも、AMD 発症率は変わらないかもしれない
BLF IOL=SN60WF(アクリソフ)
Non-BLF IOL=ZCB00 & ZA9003(テクニス)
世代が違うIOL を比較している
Figure2 COX 回帰によるnAMD フリーサバイバルカーブ(THY)
Risk of Systemic Adverse Events Following Intravitreal Bevacizumab, Ranibizumab, and Aflibercept in Routine Clinical Practice
Ophthalmology in press(preproof)
https://doi.org/10.1016/j.ophtha.2020.07.062
(2019 年Retina Society Annual Meeting データ)
ベバシズマブ、ラニビズマブ、アフリベルセプト間でSAE は変わらず
昨年、抗VEGF 硝子体注射でSAE リスクは変わらない、原病による可能性指摘
DOI: 10.1016/j.ophtha.2018.09.040
87,844 patients received initial anti-VEGF injections for nAMD, DRD, and RVO
between 1/1/2007 and 6/30/2018
(69,007 bevacizumab; 10,895 ranibizumab; 7,942 aflibercept) (THY)
Do Slit-Lamp Shields and Face Masks Protect Ophthalmologists amidst COVID-19?
Ophthalmology in press
https://doi.org/10.1016/j.ophtha.2020.06.031
スリットランプシールドは顔への飛沫防止に効果ありそう
それよりもマスクが絶大な防止効果が期待できそう
通常の感染防止にならない布マスクでも効果がありそう
(ポリウレタンは評価されていないがおそらく効果ない)
Figure 上:シールド・マスクともになし
中:シールドあり・マスクなし
下:シールドなし・マスクあり
N95 マスク、BFE95%~99%のサージカルマスク3 種、BFE55%の布マスクともに見た目の効果は同じ
だった。(カメラの限界と思われるとディスカッション)(THY)
Topical Prostaglandin Analog Use Is Associated with Increased Failure Rate of Ptosis Repair
Adam R. Sweeney, et al (USA)
Ophthalmology 127(2): 276-278, 2020
・2012年から2019年の間に4名の術者が行った眼瞼下垂手術の成績についてレトロスペクティブに調査
・259例432側の下垂手術:47名71側がPGA使用歴有り
・ELR:external levator advancement or resection
・MMCR:Muller muscle conjunctival resection
・不成功:患者あるいは術者申告の眼瞼挙上不足、MRD2mm未満
・PGA有り群:28/69眼(41%)に濾過手術あるいはシャント手術
・PGA無し群:13/359眼(4%)
・下垂再発例
・PGA有り群:24/71側(34%)、無し群:46/361(12.7%) P<0.0001 OR 3.5
・緑内障手術例を除いても有意差有り12/41(29%)vs42/346(12.1%) P=0.0068 OR 2.99
・PGA有り群、無し群の中で術式による成功率は違いがないが、ELR・MMCRの各術式の中でPGA有り、無しを比較するとELRではPGA有り群で有意差有り、MMCRでは有意差無し
・Muller筋以外の組織がPGAによる下垂とその再発に影響しているのかもしれない(MM)
Ranibizumab and Aflibercept Levels in Breast Milk after Intravitreal Injection
Verena R. Juncal et al. (Canada)
Ophthalmology 127(2):278-280, 2020
・母乳中にはVEGFが含まれており、乳児の消化系の発達に重要な役割を果たしている。抗VEGF薬を硝子体投与した際、母乳中にどの程度移行するかを調査
・2017年10月から2018年10月に網膜疾患で抗VEGF薬を投与した授乳婦3名を調査した
・症例1:37歳 近視性CNV 初回 Ranibizumab 授乳は中止した
・ベースライン(注射1時間前)、1~7日目,14,21,28日目に母乳中濃度測定
・症例2:37歳 近視性CNV 4週前に1回Ranibizumab投与あり 授乳は継続
・症例3:24歳 DME 初回 1週間前に出産 授乳は中止決断 Aflibercept 初回投与
・ベースライン、1日目から4日目、その後は母乳が出なくなり検査不能
・検出限界はranibizumab 1.6ng/ml, aflibercept 5ng/ml
・症例1:3日目にranibizumab検出(34.7ng/ml)、その後徐々に増加
・VEGF-Aレベルは1日目の22.8ng/mlから28日目の4.9ng/mlまで低下
・症例2:常に検出限界以下でVEGF-A濃度も変化なし
・症例3:4日目にaflibercept検出(10.9ng/ml)したが、VEGF-A濃度はベースライン10.9ng/mlから1日目に4.9ng/mlに低下した
・症例1と3は本研究以外では搾乳もしておらず、抗VEGF薬が蓄積した可能性がある
・症例2では授乳も続けており、症例1,3のようにVEGF-A濃度は減少することはなかった。授乳により母乳中に抗VEGF薬が蓄積しなかったためか。
・本研究ではVEGFを必要とする乳児に対してどのような影響があるかはわからない(MM)
Retinal vasculitis and intraocular inflammation after intravitreal injection of brolucizumab
Caroline R. Baumal et al (USA)
Ophthalmology 2020 [Article in press]
・アメリカ10施設からの12名15眼のブロルシズマブ(ベオビュ)6mg/0.05ml硝子体投与後2-8Wでの網膜血管炎を報告
・PhaseⅢトライアルであるHAWK,HARRIERスタディでbrolucizumabはafliverceptに対して視力非劣勢との結果が出たが、32/730(4.4%)で炎症が生じたとの報告あり。32眼中6眼は網膜血管閉塞を生じた。EDTRS15文字以上の低下を生じたのは4/730眼だが、他の抗VEGF薬では報告がない合併症である。
・12名中11名がCaucasian,1名はAfrican American すべて女性、平均年齢77.6歳、9名は残存する網膜内/網膜下液のため、3名はより長い持続性を期待してスイッチした
・過去の抗VEGF薬 投与回数は2-80回(平均27.5回)
・初期症状:Floaters(n=8)、視力低下(n=7)、暗点(n=3)、不快感(n=2)
・10眼では初回投与後35.5日(14-56)で、5眼では複数回投与後20日(7-26)で診断された。
・投与前平均視力(20/53:20/30-20/800)、診断時視力 (20/191:20/25-20/1600)、
・平均25日後の最終視力(20/136) 20/200以下になったものは5眼33%であった。
・全症例で硝子体中のCellや混濁を認め、11眼(73.3%)で前房内炎症を認めた。視力と炎症の程度には相関無し
・Fine KP結膜充血、Descemet’s Foldの報告あり、Hypopyonは認めなかった
・Case1-6は非常に重篤で視神経周囲もしくはFovea近くの動脈の広範囲に動脈閉塞がみられ、視力は20/200かそれ以下であり、最終的にわずかな回復しか認めなかった。
・Case7-11は視力は20/25-20/80で、FAで全体的な動脈充填遅延や中心窩遠位の動脈閉塞がみられ、ステロイドの内服および硝子体注射で改善した。
・Case12は最もマイルドな炎症でFAではリークのない、両眼の静脈周囲のsheathingであり、ステロイド内服と硝子体注射で改善した。
・炎症の機序としては以前報告のあったHORVの様な補体が関与する自己免疫性のもの、製剤中の不純物、過去の抗VEGF薬の投与が血流を妨げている、患者自身のHLAなどのファクター等の可能性が検討されている。(MM)