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Ophthalmology

2016
123巻

空気汚染と網膜中心動脈閉塞症

Ophthalmology 123巻 (12号) 2016

Ambient air pollusion and the risk of central retinal artery occlusion.
Cheng HC et al(Taiwan)
Ophthalmology 123(12): 2603-2609, 2016
・空気汚染と中心動脈閉塞CRAOの発症リスクを検討した。
・2001-2003の台湾の保険データベースから96名のCRAOを調べ、2.5μ以下の粒子のPM2.5、PM10、二酸化窒素NO2、二酸化硫黄SO2、オゾンO3濃度との比較を行った。
・年齢は64.6±12.7歳で67.7%が男性。CRAO発症リスクはNO2レベルが10億分の1上昇後5日間に有意に増加(OR=1.09 95%CI=1.01-1.17 p=0.03)。DM患者では4日後(OR=1.40 p=0.02)、5日後(OR=2.16 p=0.03)で特に上昇していた。
・上昇1日後では、高血圧患者(OR=1.88 p=0.03)、65歳以上高齢者(OR=1.90 p=0.02)で上昇していた。
・PM2.5、PM10やオゾンの上昇はCRAO発症に関連がなかった。(TY)

2016
123巻

緑内障における篩板欠損と視神経乳頭周囲血管網

Ophthalmology 123巻 (11号) 2016

Optical coherence tomography angiography vessel density in glaucomatous eyes with focal lamina cribrosa defects.
Suh MH et al(CA USA)
Ophthalmology 123(11): 2309-2317, 2016
・局所的な篩板欠損のある緑内障患者と、篩板欠損のないPOAG患者、それぞれ41例41眼で、OCT-Aで評価された血管密度を調査した。
・両群の視野欠損障害程度が一致したものを選択した。
・視神経乳頭(約1500μ)縁から750μ幅の領域を選択し、8分割した上で、OCT-Aでその領域内の周乳頭血管濃度(cpVD:circumpapillary retinal nerve fiber layer vessel density)を求めた。
・cpVDとはこの750μ幅領域内で、RNFL層内にある血管面積の率(%)と定義した。
・また、局所的な篩板欠損はswept-source OCT像で調べた。
・局所的な篩板欠損のあるなしが、全体的あるいは8分割領域毎でのcpVDと周乳頭部のRNFL(cpRNFL)厚と関連しているかを検討した。
・篩板欠損のある眼の平均cpVDは篩板欠損のない眼より有意に少なかった(全体では52.9±5.6% vs 56.8±7.7% p=0.013、下耳側では49.5:56.8% p=0.004、上耳側では54.3:58.8% p=0.030、下鼻側では52.4:57.6% p=0.009)。
・同等の重症度の緑内障では、OCT-Aで測定した血管濃度は篩板欠損をもつ眼で有意に低く、また、血管濃度は篩板欠損の部位と関連がみられた。(TY)

2016
123巻

超薄切片DSAEKとDSAEKの臨床経過

Ophthalmology 123巻 (11号) 2016

A Randomized Multicenter Clinical Trial of Ultrathin Descemet Stripping Automated Endothelial Keratoplasty (DSAEK) versus DSAEK
Mor M. Dickman, et al. (Netherlands)
Ophthalmology 2016(11);123:2276-2284.
目的:DSAEKとUT-DSAEKの術後視力、屈折、ECD、合併症を比較検討した。
グラフト厚 DSAEK 200 ± 20μm、UT-DSAEK 100 ± 20μm
対象と方法:66人66眼  DSAEK 32眼、UT-DSAEK 34眼(脱落率6%)
結果:視力は術後3、6、12ヶ月でUT-DSAEKの方が有意に改善した。
  術後3ヶ月 DSAEK 0.28 logMAR、UT-DSAEK  0.17 logMAR (p<0.02)
  術後6ヶ月 DSAEK 0.24 logMAR、UT-DSAEK  0.14 logMAR (p<0.03)
  術後12ヶ月 DSAEK 0.20 logMAR、UT-DSAEK  0.13 logMAR (p<0.001)
ECDに有意差は認められなかった。両グループとも術後3ヶ月で約40%減少し、その後は安定していた。
屈折値は両グループとも同様に遠視化した。
合併症はグラフト損傷、グラフト偏位が認められたが有意差はなかった。拒絶反応、CMEはなかった。
結論: DSAEKと比較してUT- DSAEKで類似の屈折、ECD損失率、合併症の発生率を認めた。また、視力のより早い回復を認めた。(CH)

2016
123巻

眼圧と神経線維の欠損速度との関連

Ophthalmology 123巻 (10号) 2016

Association between intraocular pressure and rates of retinal nerve fiber layer loss measured by optical coherence tomography.
Diniz-Filho A et al(CA USA)
Ophthalmology 123(10): 2058-1065, 2016
・339例547眼について眼圧と網膜神経線維層RNFL厚の変化をSD-OCT(Spectralis)で平均3.9±0.9年間調査した。
・このうち338眼(56.3%)は緑内障、239眼(43.7%)は緑内障疑いである。
・標準の自動視野SAPで測定し、SAPのソフトウエアで進行か非進行かを判定した。
・46例(8.4%)がSAPで進行と判定され、この群では非進行群よりRNFL厚の変化が大きかった(-1.02 vs -0.61μm/年 p=0.002)。
・進行群では眼圧が1mmHg高いとRNFL厚は0.20μ/年薄くなり(95%CI=0.08-0.31μ/年 p<0.001)、非進行群では0.04μ/年(95%CI=0.01-0.07μ/年 p=0.015)であった。
・眼圧とRNFL変化は耳上側と耳下側で強く見られ、鼻側では相関が少なかった。(TY)

2016
123巻

黄斑円孔術後の不等像視

Ophthalmology 123巻 (9号) 2016

Aniseikonia and foveal microstructure in patients with idiopathic macular hole.
Okamoto F et al(筑波大)
Ophthalmology 123(9): 1926-1932, 2016
・56例56眼の手術を受けた黄斑円孔患者のNew Aniseikonia Testで測定した不等像視と中心窩の構造について、術前、術後3,6,12か月後の経過を調査した。
・黄斑円孔の構造については、MHの最少径と基底径、MHの高さ、外境界膜ELM・Ellipsoid zone・Interdigitation zoneの欠損長を調べた。
・術前の不等像視は-3.2±4.6%(-15.5~+5.0%)であり、55%が小視症、7%が大視症、38%が不等像視がなかった。
・不等像視の絶対値は術前の3.8±4.1%から術後12か月では1.0±1.5%に減少した(p<0.0001)。術前の不等像視の絶対量はMHの最小径(p<0.01)、MHの基底径(p<0.01)、ELMの欠損径(p<0.05)と相関があった。
・多変量解析では術前の不等像視はELMの欠損径と相関していた(p<0.05)が、術後の不等像視は何とも関連がなかった。(TY)

2016
123巻

アイケアホームスタディ

Ophthalmology 123巻 (8号) 2016

The Icare HOME (TA022) Study
Performance of an Intraocular Pressure Measuring Device for Self-Tonometry by Glaucoma Patients
LI Mudie et al (USA, MD)
Ophthalmology 123(8) :1675-1684, 2016
手持ち自己眼圧測定器Icare HOMEとスタンダードなIcare(TA01i)とGATとで比較
Wilmer Eye Institute で2014.7月~2015.4月にリクルートされた緑内障患者
各患者1眼:過去の記録で眼圧が高い方の目 両眼同じであれば封筒を用いてランダムに選択
<除外基準>
観血的な緑内障手術、2か月以内の白内障手術、LASIKや角膜の手術歴
ドライアイ患者
Fuchs dystrophyやKeratoconusなどの角膜変性疾患
重篤な関節炎やパーキンソン病や他の動作制限により自己測定が難しい
中心角膜厚が500未満と600を超えるもの
<方法>
最初に15-20分の取扱いの標準的なトレーニングを実施し、3回の自己測定と1回のGAT測定を行って自己測定が可能かどうかの認定を行う
スタディを行う前に装置を正しく使えるか(セットアップやトラブルシューティングも)、患者に実施させて確認
3回のIcare HOMEを実施し3回の測定幅が7mmHg以内であり、GATとの誤差が5mmHgであれば、Certificationが得られる
その後10分間の休憩をはさんだのちに、3回の自己眼圧測定を行う
比較機器:GATはスタディ前にZurichでキャリブレーションを行い、キャリブレーションチェックは測定日毎回実施 Icare HOMEとIcare TA01iのキャリブレーションはFinlandで行われており、それ以上のキャリブレーションは必要ない
Icare TA01iで3回測定 GATは2回測定 10~20mmHgにランダムにセットされたダイアルを検者に見えないようにして測定し、記録係が記録 2回のGATの測定が2mmHg以上ずれた場合は再測定
その他、角膜の染色、測定における自覚症状を検査
<結果>
リクルートされた189眼のうち、18眼は不適格者であった                             → 171眼
171眼のうち 44眼(25%)はスタディを実施できなかった
7眼                    時間制限で不可                                                         → 164眼
10眼(6%)               器械を正しく使う認定が下りず                              → 154眼
27眼(16%)              GATとの誤差が5mmHg以内にならず    → 127眼
スタディを実施できた127眼のうち80%は右利きだったが影響なし
127眼の初回Icare Home測定
116眼でGATとの誤差が5mmHgであったが、2眼(1.6%)で7mmHgを超えた:平均差-0.33mmHg
121眼でTA01iとの誤差が5mmHgであったが、1眼(0.8%)で7mmHgを超えた:平均差0.30mmHg
異なる眼圧レンジでGATとの比較
6-16mmHgの範囲では1眼/60眼(1.7%)で7.5mmHg以上Icare HOMEは過小評価を
23mmHg以上の範囲では1眼/67眼(1.5%)で7.5mmHg以上過大評価をしていた
IOPと屈折値との相関は認めなかったが、K値とCCTは相関関係を認めた
3回の測定での信頼性も高い
今回のスタディでは患者の制限があるので実臨床とは異なる
操作方法の指導後に、目の前で正しく使えるかどうか確認する必要はあるが、正しく使うことができれば安全性が高いため自宅での頻回の測定も可能となり有用な方法となりうる(MM)

2016
123巻

白内障手術後の眼内炎頻度

Ophthalmology 123巻 (7号) 2016

Incidence of acute postoperative endophthalmitis after cataract surgery. A nationwide study in France from 2005 to 2014.
Creuzot-Garcher C et al(France)
Ophthalmology 123(7): 1414-1420, 2016
・2005/1~2014/12にフランスで行った白内障手術後6週間以内の急性術後眼内炎POEと前房内抗生剤注入について、National databaseを元にして検討した。
・この10年間で、3,983,525例6,371,242眼の超音波乳化吸引白内障手術が行われ、POEの比率は0.145%から0.053%と0.37倍と減少した(95%CI=0.32-0.42 p<0.001)。
・多変量解析では前房内抗生剤注入はPOEを0.53倍(95%CI=0.50ー0.57 p<0.001)にした。
・一方、術中の後嚢破損 5.24(4.11-6.68)、同時手術 1.77(1.53-2.05)、男性 1.48(1.40-1.56)とそれぞれ有意にPOEの高riskであった(p<0.001)。(TY)

2016
123巻

角膜移植後の眼圧上昇

Ophthalmology 123巻 (7号) 2016

Incidence of intraocular pressure elevation and glaucoma after lamellar versus full-thickness penetrationg keratoplasty.
Borderie VM et al(France)
Ophthalmology 123(7): 1428-1434, 2016
・全層角膜移植PK(1992-2013)、表層角膜移植ALK(2002-2013)、角膜内皮移植EK(2006-2013)後の緑内障の頻度を1657例1657眼について検討した。
・10年間の累積で、眼圧上昇は46.5%、治療を必要とする眼圧上昇は38.7%であった。
・多変量解析では、治療を必要とする眼圧上昇の要因は、術前の緑内障orIOP>20mmHg(hazard ratio HR=1.56 p<0.001)、全層移植(ALKに対してHR=1.12、EKに対してHR=1.10 いずれもp<0.001)、術後の水晶体の状態(有水晶体に対して後房IOLはHR=1.15、前房IOLはHR=1.43、無水晶体眼はHR=2.83、IOL交換や除去はHR=1.48 いずれもp<0.001)であった。
・年齢、術前の診断、術前の濾過手術既往、硝子体同時手術、濾過同時手術は単相関では有意に関連していたが、多変量解析では相関がなかった。
・術後の緑内障による視力喪失はEKでは1.0%、ALKでは2.1%、PKでは3.6%であった(p=0.036)。
・これはPKでの前房隅角や線維柱帯に対する障害や術後のステロイドの使用と関連しているだろう。(TY)

2016
123巻

アカントアメーバ角膜炎とHCL

Ophthalmology 123巻 (7号) 2016

Acanthamoeba keratitis among rigid gas permeable contact lens wearers in the United States, 2005 through 2011.
Cope JR et al(GA USA)
Ophthalmology 123(7): 1435-1441, 2016
・ガス透過性HCL(RGP)とacanthamoeba keratitis(AK)について検討した。
・AKの既往がなく12年間以上のRGP使用者をCtrlとした。
・この間、2回のoutbreakがあり、2007年の報告から10例、2011年の報告から27例を調査した。
・37例の内、9例(24%)はorthkeratologyあるいは治療的RGPの使用者であった。(TY)

2016
123巻

DSEK後10年の角膜内皮細胞密度の減少を全層角膜移植後と比較する

Ophthalmology 123巻 (7号) 2016

Descemet Stripping Endothelial Keratoplasty
Ten year Endothelial Cell Loss Compared with Penetrating Keratoplasty
Marianne O. Price, et al. (Indiana, U.S.)
Ophthalmology 2016(7);123:1421-1427
目的:DSEK後10年での角膜内皮細胞密度(ECD)の減少傾向を全層角膜移植後と比較検討した。
対象と方法:590人752眼、フックス角膜変性症が主な疾患(84%)
結果:DSEK  ECDはbaseline時平均3005 cells/mm2、術後6ヶ月 , 2077 cells /mm2、術後10年408から2538 cells/mm2
損失率は術後6ヶ月で32%、術後10年で71%だった。
PK10年後の損失率は76%であった。
術後6ヶ月から10年の間、1年毎に110 cells/mm2減少したこととなる。
PACEの中で緑内障手術を受けていた症例が32眼(レクトミー19眼、チューブシャント手術13眼)で、DSEK後数年間はフックス角膜変性症や緑内障手術を受けていないPACEより早い率でECDが減少した。(表3)
年齢の高いドナーではECDはやや減少率が高かった。
PK後、ECDは最初の5年間で急激に減少したのに対し、DSEK後は低い割合で徐々に減少した。
結論:DSEK後ECDの減少傾向はPKと異なっていたが、損失率は類似していた。(CH)

2016
123巻

網膜周辺部病変のOCT所見

Ophthalmology 123巻 (6号) 2016

Ultra-widefield steering-based spectral-domain optical coherence tomography imaging of the retinal periphery.
Choudhry N et al(Canada)
Ophthalmology 123(6): 1368-1374, 2016
・網膜周辺部のSD-OCT検査を超広角UWF操舵法(Ultra-widefield steering technique)で観察し、多くの網膜周辺部の病変を描写した。
・widefield=50°,ultra-widefield(UWF)=200°である。
・検査前に2.5%phenylephrineと1%tropicamideを5分おきに3回点眼し、20分後に検査した。
・使用機器はHeidelberg Spectralisで、追加のレンズや装置は使用しなかった。
・周辺を撮るために+18Diopterまで入れ、OCT Z settingを短くした。
・ただし、限界もあり、実際には55%の人(68/124人)しか像が得られなかった。
・理由は患者が周辺部の固視点を固視することが求められ、shortest zero delay line settingや、OCT steering headの回転にも限度があった(図)。(TY)

2016
123巻

近視眼の緑内障検索に対するOCTとHRTの正確性

Ophthalmology 123巻 (6号) 2016

Diagnostic Accuracy of Optical Coherence Tomography and Scanning Laser Tomography for Identifying Glaucoma in Myopic Eyes
Malik R, Nicolela MT, et al. (Canada)
Ophthalmology 2016;123(6):10 1181-1189
【目的】Bruch’s membrane opening (BMO)を基にした網膜神経リムの分析が、従来のdisc margin(DM)を基にした分析と網膜神経線維(RNFL)の解析より近視眼の緑内障診断に優れているかを評価
【対象と方法】近視眼の緑内障患者(n=56)および近視眼のnormal control (n=74)
緑内障の診断は視野検査および眼底写真より3名の臨床家の合意による
・Heiderberg Retina Tomograph(HRT)によりdisc margin rim area (DM-RA)、SD-OCTよりブルッフ膜開口部のパラメータとしてminimum rim width (BMO-MRW)、および従来の方法でRNFL厚を測定
【結果】特異度を90%とした場合の感度は、DM-RAで30%、BMO-MRWとRNFL厚はともに70%であった
ROC曲線下面積;BMO-MRWはDM-RAより有意に高かったが(P<0.001)、RNFL厚と同等であった(P>0.5)
【結論】近視眼の緑内障診断において、BM-MRWはDM-RAよりも診断能は高いがRNFL厚と同等であった(MK)

2016
123巻

DMEK ステロイド点眼を中止した後の拒絶反応発症のリスク

Ophthalmology 123巻 (6号) 2016

Descemet’s Membrane Endothelial Keratoplasty
Risk of Immunologic Rejection Episodes after Discontinuing Topical Corticosteroids
Marianne O. Price, et al. (Indiana, U.S)
Ophthalmology 2016(6);123:1232-1236
目的:DMEK後1年の時点でステロイド点眼を中止した症例と1日1回のステロイド点眼を継続した症例で拒絶反応発生率の違いを検討した。
対象と方法:DMEK後1年経過観察できた259人400眼、平均年齢67歳
症例のほとんどがフックス角膜変性症だった。
術後1年の時点で全例ステロイド点眼は1日1回点眼していた。
術後2年目、ステロイド点眼中止グループ277眼(ECD 2080±439 cells/mm2)、1日1回点眼継続グループ123眼(ECD 1967±465 cells/mm2
研究開始後、1〜2が月で弱いステロイドに切り替えていった。0.1%フルオメソロン点眼または0.5%ロテプレドノール点眼を使用。
結果:14眼で拒絶反応を認めた。全て中止グループだった。
11眼は自覚症状がなく、定期診察時に判明した。
治療はステロイド点眼で、1%プレドニゾロン点眼1時間毎から0.1%フルオメソロン点眼1日4回までいろいろ。
1例のみ再移植が必要となった。
角膜内皮細胞損失率は中止グループ 5.6±12%、継続グループ 6.4±14%で有意差はなかった。
中止グループで、細胞損失率は拒絶症例 1O±19%、拒絶無し症例 6.3± 14%だった。
中止グループの17眼でステロイド点眼中止後眼圧が下がった。
結論:DMEK後2年目にステロイド点眼を中止する事により、6%の確率で拒絶反応が起こった。それに対し、1日1日1回のステロイド点眼を継続した場合は拒絶反応が起きなかった。眼圧に問題がなければ、弱いステロイドでいいので続けたほうが良い。(CH)

2016
123巻

tPA、ルセンティス、ガス注入を用いた黄斑下血腫の移動

Ophthalmology 123巻 (6号) 2016

Intravitreal Tissue Plasminogen Activator, Ranibizumab, and Gas Injection for Submacular Hemorrhage in Polypoidal Choroidal Vasculopathy.
Kitagawa Y, Shimada H, Mori R, Tanaka K, Yuzawa M.(日大)
Ophthalmology. 2016 ;123(6):1278-86. 
【目的】
・黄斑下血腫に対し、硝子体手術を行わずtPA・ranibizumabおよびガスの硝子体注射での効果を検討
【対象と方法】
・黄斑下血腫を発症した血管新生AMD(PCV含む)連続20症例を前向きに評価
・前房穿刺ののち、ranibizumab、tPA 25μg/0.05ml、C3F8 0.3mlを硝子体注入
・2時間の座位の後2日間うつむき姿勢
【結果】
・狭義AMD1眼、PCV19眼。17眼(85%)で血腫が完全移動、3眼(15%)で部分移動
・Snellen視力は術前 20/139→術6か月20/65と有意に改善(P=0.0061)、ETDRS視力は13文字改善(P=0.0040)
・中心網膜厚は599→208μm(P<0.0001)、中心下PEDは188→88μm(P=0.0140)
・3眼で硝子体出血、1眼で網膜剥離を発症
・6か月以内に10例がAMD再発、抗VEGF剤のPRN投与で視力維持
・術後6か月での視力に有意に影響したのは、術前・術後のellipsoid zone残存、術前視力、術前・術後のPED高であった
【結論】
・tPA、ranibizumab、ガスの硝子体注射は血腫を移動させ病巣を改善させた
・良好な視力を保つためには術後の再発を早く見つけて抗VEGF剤を適宜投与するのが望ましい(MK)

2016
123巻

tPA、ルセンティス、ガス注入を用いた黄斑下血腫の移動

Ophthalmology 123巻 (6号) 2016

Intravitreal Tissue Plasminogen Activator, Ranibizumab, and Gas Injection for Submacular Hemorrhage in Polypoidal Choroidal Vasculopathy.
Kitagawa Y, Shimada H, Mori R, Tanaka K, Yuzawa M.(日大)
Ophthalmology. 2016 ;123(6):1278-86. 
【目的】
・黄斑下血腫に対し、硝子体手術を行わずtPA・ranibizumabおよびガスの硝子体注射での効果を検討
【対象と方法】
・黄斑下血腫を発症した血管新生AMD(PCV含む)連続20症例を前向きに評価
・前房穿刺ののち、ranibizumab、tPA 25μg/0.05ml、C3F8 0.3mlを硝子体注入
・2時間の座位の後2日間うつむき姿勢
【結果】
・狭義AMD1眼、PCV19眼。17眼(85%)で血腫が完全移動、3眼(15%)で部分移動
・Snellen視力は術前 20/139→術6か月20/65と有意に改善(P=0.0061)、ETDRS視力は13文字改善(P=0.0040)
・中心網膜厚は599→208μm(P<0.0001)、中心下PEDは188→88μm(P=0.0140)
・3眼で硝子体出血、1眼で網膜剥離を発症
・6か月以内に10例がAMD再発、抗VEGF剤のPRN投与で視力維持
・術後6か月での視力に有意に影響したのは、術前・術後のellipsoid zone残存、術前視力、術前・術後のPED高であった
【結論】
・tPA、ranibizumab、ガスの硝子体注射は血腫を移動させ病巣を改善させた
・良好な視力を保つためには術後の再発を早く見つけて抗VEGF剤を適宜投与するのが望ましい(MK)

2016
123巻

Pneumatic Retinopexyの再評価

Ophthalmology 123巻 (5号) 2016

Outcomes after failed pneumatic retinopexy for retinal detachment.
Anaya JA et al(MA USA)
Ophthalmology 123(5): 1137-1142, 2016
・網膜剥離患者に対する初回のPneumatic retinopexy(PR)が不成功になった場合の次の手法について検討した。
・次の手法としてPRの再試行、硝子体手術PPV、強膜バックルSB+PPVを行った。
・423例のPRのうち、初回のPRが不成功であった73例を検討。
・2度目の手術では75%で復位し、再々手術も含め、1年後には全例復位が得られた。
・2度目の手術の成功率は、PR再試行63%、PPV 76%、SB+PPV 88%であり、有意差はなかった。
・再手術の時期は1週間以内が50%、1か月以内が80%であった。
・2次手術として行われたこの3つの手法は、初回手術として報告されている成功率よりもいずれも低かった。(TY)

2016
123巻

2000-2050年にかけての近視の割合

Ophthalmology 123巻 (5号) 2016

Global Prevalence of Myopia and High Myopia and Temporal Trends from 2000 through 2050
Holden BA, Naidoo KS, et al. (Australia)
Ophthalmology 2016;123(5):10 1036-1042
・1995-2010にかけて調査された近視(<-0.5D)および高度近視(<5D)の有病率に関する報告(145論文、210万名)をメタ解析
・2000年の時点では全世界で近視1,406,000,000名(全人口の22.9%)・高度近視163,000,000名(全人口の2.7%)と推計
・2050年には全世界で近視4,758,000,000名(全人口の49.8%)・高度近視938,000,000名(全人口の9.8%)にのぼると予想(MK)

2016
123巻

ERM手術後の中心窩下網膜剥離について

Ophthalmology 123巻 (3号) 2016

ERM手術後の中心窩下網膜剥離について
Evolution of subfoveal detachments secondary to idiopathic epiretinal membranes after surgery.
Pison A et al(France)
Ophthalmology 123(3): 583-589, 2016
・ERM手術後、2年間経過を追った293眼について中心窩下の網膜剥離(SD)について検討した。
・手術前、中心窩に黄色沈着としてSDが見られたのは59/293(20%)であった。
・SDがあったものとなかったものとで、術後視力には差はなかった(logMAR:0.53±0.14と0.262±0.24 p=0.6)。
・術後、SDは40/59(68%)で4.8±3.2か月で消失したが、多く(62%)では3か月以内に消失した。
・消失したものとしなかったものとの間でも、視力には有意差はなかった(TY)

2016
123巻

前房内抗生剤投与について

Ophthalmology 123巻 (2号) 2016

Comparative effectiveness of antibiotic prophylaxis in cataract surgery
Herrinton LJ et al(USA)
Ophthalmology 123(2): 287-294, 2016
・破嚢は3.68倍(CI=1.89-7.20)、前房内抗生剤投与は0.58倍(CI=0.38-0.91)
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Efficacy of intracameral moxifloxacin endophthalmitis prophylaxis at Arvind Eye Hospital.
Haripriya A et al(India)
Ophthalmology 123(2): 302-308, 2016
・Moxifloxacin前房内投与は術後眼内炎発症を1/4にする(TY)

2016
123巻

白内障手術における予防的抗生剤投与法の比較

Ophthalmology 123巻 (2号) 2016

Comparative Effectiveness of Antibiotic Prophylaxis in Cataract Surgery
Herinton L, et al. (US-CA)
Ophthalmology 123(2):10 287-294, 2016
【目的】白内障手術において、抗生剤の前房内投与および点眼投与の有効性を評価
【対象と方法】2005-2012年にCalifornia州 Keiser Permaneteで白内障手術が行われた204,515例315,246眼。電子カルテよりretrospectiveに調査、患者背景や手術時期、抗生剤の種類および投与経路、術中合併症(後嚢破損の有無)と術後眼内炎のリスクとをロジスティック回帰モデルで解析。
【結果】眼内炎症例は215眼(0.07%)。後嚢破損は眼内炎リスクを3.68倍(95%CI, 1.89-7.20)増加させた。
・抗生剤の前房内投与は点眼単独投与に比べ有意に効果がみられた(OR,0.58; 95%CI, 0.38-0.91)【Tab.2の1.】。
・前房内投与にgatifloxacinまたはofloxacinを追加した群は、前房内単独投与群に比べて追加効果はみられなかった(OR,1.63; 95%CI, 0.48-5.47)。Gatifloxacin点眼と比べると、aminoglycocide系の点眼は有意に劣っていた(OR,1.97; 95%CI, 1.17-3.31)。
*後嚢破損した症例では点眼と前房内投与とに有意なリスク差はみられず
【結論】抗生剤の予防投与を行っていても、後嚢破損は眼内炎の強いリスク因子として残った。抗生剤の前房内投与は点眼投与のみに比べ、有意に白内障術後眼内炎の予防効果があった。抗菌薬の点眼が、抗菌薬前房内投与の効果を有意に増すという結果は示されなかった。
*サブグループ解析ではcefroximeはOR 0.53で有意差あり、moxifloxacinはOR 0.68で有意差でず【Tab.2の2】、ただし両者の差に関する説得力のあるエビデンスにはならず。(MK)

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