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Ophthalmology

2015
122巻

強膜での空気眼圧測定

Ophthalmology 122巻 (9号) 2015

Correlation of serial scleral and corneal pneumotonometry.
Kuo DS et al(CA USA)
Ophthalmology 122(9): 1771-1776, 2015
・眼圧測定に際し、強膜での空気眼圧測定の有用性を検討した。
・被験者は34から94歳(74.1±13.4歳)の33例で、一過性の眼圧上昇を来す抗VEGF薬の硝子体注入を受けた患者で、前、直後、10,20,30分後に測定した。
・僚眼の眼圧測定も行った。
・強膜での測定は角膜での測定とほぼ比例していたが、平均9.0mmHg高かった(95%範囲はー1.5から+19.5mmHg)。
・角膜IOP=1.04x強膜IOL-10.37であった。
・年齢、角膜厚み、緑内障、水晶体の状態は影響がなかった。
・角膜と強膜での測定差は両眼間で相関していた(r=0.75 p<0.001)(図)。(TY)

2015
122巻

網膜中心動脈閉塞症患者の心血管リスク

Ophthalmology 122巻 (9号) 2015

Cardiovascular risk factors in central retinal artery occlusion. Results of a prospective and standardized medical examination.
Callizo J et al(Germany)
Ophthalmology 122(9): 1881-1888, 2015
・非動脈炎性の中心網膜動脈閉塞症(CRAO)の77例について、発症後1か月以内に心血管検査を行った。
・52例(67%)は心血管障害のリスクファクター歴があり、60例(78% 95%CI=67-87%)では1つ以上の新しいリスクファクターがあった。
・また、31例(40%)で70%以上の頸動脈狭窄があった。
・11例は狭心症を経験しており、そのうち5例はCRAO発症後に起こった。
・高血圧は56例(73%)にあり、12例(16%)は新規に高血圧と診断された。(TY)

2015
122巻

視神経乳頭低形成患者の黄斑部OCT

Ophthalmology 122巻 (7号) 2015

High-resolution imaging of the optic nerve and retina in optic nerve hypoplasia.
Pilat A et al(UK)
Ophthalmology 122(7): 1330-1339, 2015
・視神経乳頭低形成(ONH)の患者の視神経と黄斑部のOCT像を検討した。
・平均年齢17.2歳の16例のONHと32例の年齢等をマッチさせた正常者で比較した。
・OCT像は中心窩と視神経乳頭中央部を結んだ線上のものを使用した。
・黄斑部のOCT像では以下が有意に薄かった:鼻側のRNFL、耳鼻側の節細胞層GCL、鼻側の内網状層IPL、鼻側の外顆粒層ONL、中心窩と耳側の内層。
・一方、以下では有意に厚かった:網膜中心部のGCL、IPL、外網状層OPLが80%以上のONH患者でみられた(図)。(TY)

2015
122巻

緑内障患者での視神経乳頭周囲の血管偏位

Ophthalmology 122巻 (7号) 2015

Movement of retinal vessels to optic nerve head with intraocular pressure elevation in a child.
Alward WLM et al(IA USA)
Ophthalmology 122(7): 1532-1534, 2015
・眼圧が高い若年者では網膜血管の鼻側偏位が起こることが知られているが、視神経乳頭周囲の網膜血管は慢性のOAGでも発生する。
・この偏位するOAGでは視野欠損が急速に進展していた。
・症例は4歳の女児でステロイド誘発OAGである(眼圧30程度)。
・ステロイド白内障手術を2年後に受けたが眼圧は30を超え、乳頭陥凹拡大が発生。
・血管の網膜上から乳頭上への移動も見られた。
・右眼にロトミー、左眼にAhmed移植手術を受け、2週間後の眼圧がコントロールできた時点では、血管は元に戻ってきた(黄矢)、血管が狭小化した(図)。(TY)

2015
122巻

HORV

Ophthalmology 122巻 (7号) 2015

Postoperative Hemorrhagic Occlusive Retinal Vasculitis
Expanding the Clinical Spectrum and Possible Association with Vancomycin
Andre J. Witkin et al (MA)
Ophthalmology 122(7):1438-1451, 2015
感染予防あるいは感染性眼内炎に対する抗菌薬としてバンコマイシンを使用した白内障手術症例で極めて予後が悪い出血性閉塞性の血管炎を生じた報告
Nicholsonらが2014年に最初に2例4眼報告
その後全米の異なる施設で白内障手術後に生じたHORV 4例7眼を合わせて検討
6例11眼すべてに共通することは予防的バンコマイシン1.0mg/0.1mlを使用していた
合併症のない白内障手術後、術直後は良好な視力だが、術後1-14日後に痛みのない急激な視力低下(中心・周辺あるいは両方)
前眼部や硝子体の炎症はわずかで網膜出血が強い
動脈よりも静脈に血管閉塞・出血・血管炎を生じる
OCT:黄斑浮腫・網膜内層の虚血を示す網膜内層の高反射
薬剤のパッチテストは陰性
感染性眼内炎やTASSとは明らかに異なる所見・術後早期に血管新生緑内障を生じる
バンコマイシンに対するⅢ型アレルギー反応と考えられ、白血球破壊性血管炎やHenoch-Schonlein purpuraに病態的に類似し抗原抗体複合体が血管壁に沈着することで生じる この反応は感作を必ずしも必要としない
バンコマイシンそのものが原因なのかまだはっきりしないが、可能性が高い
<治療>
全例で初期からステロイドの全身投与、抗VEGF薬、PRP
感染性眼内炎を疑いバンコマイシンの追加投与を受けた4例は全例で悪化(自然経過か悪化させたか不明)
<この論文での提言>
ルーチンで予防的にバンコマイシンを使用しない 耐性菌を作らないためにもCDCも推奨
片眼で使用した場合、もう片眼の手術は2-3週間後に行うことを考える
2眼目の手術前に1眼目に問題ないか、散瞳して眼底検査を行う(MM)

2015
122巻

CATTトライアルにおける、黄斑-硝子体界面がAMDの治療効果におよぼす影響

Ophthalmology 122巻 (6号) 2015

Influence of the Vitreomacular Interface on Treatment Outcomes in the Comparison of Age-Related Macular Degeneration Treatments Trials
Cuilla TA, Magire MG, et al. (US-PA)
Ophthalmology  
122(6):10 1203-1211, 2015
【目的】黄斑-硝子体界面がAMDの抗VEGF治療の結果に影響をおよぼすかを評価
【対象と方法】CATTに参加した1185名。CATTのプロトコルに沿って割付け、2年間治療。マスクされた検者がベースラインおよびフォローアップ期間中のOCT画像よりVMTおよびVMAの有無、網膜下液、網膜厚みを評価。
【結果】70名はOCT不鮮明のため除外。ベースライン時では143/1115名(12.8%)にVMTまたはVMAあり。
・ベースライン時およびフォローアップ期間中のどちらも、VMT/VMAの存在と視力との関連はみられなかった。
・必要時投与に振り分けられた群(n=592)においての2年間の注射回数;ベースライン時にVMTありで15.4回、VMAありで13.8回、どちらもなしで12.9回(P=0.02)。
・期間中VMTなしで13.0回、VMTが1回観察で13.6回、VMTが2回以上観察で17回と増加。
・2年間での地図状萎縮の進行;VMTまたはVMAありで11.7%、どちらもなしで22.5%(P=0.005)。
【結論】CATTの対象眼において、VMTおよびVMAの存在はまれであった。ベースライン時およびフォローアップ期間において、VMTおよびVMAは視力に関連しなかった。ただVMTまたはVMAのある眼では、2年のフォローアップ期間中、2回多くの注射が必要であった。(MK)

2015
122巻

RK施行眼におけるIOLパワー選択

Ophthalmology 122巻 (5号) 2015

Intraocular Lens Power Selection after Radial Keratotomy
Topography, Manual, and IOLMaster Keratometry Results Using Haigis Formulas
Grggel HS. (US-VA)
Ophthalmology 122(5):10 897-902, 2015
【目的】放射状角膜切開(RK)の施行歴のある患者に白内障手術を行う際、プラチド角膜計(TMS)、マニュアル角膜計、IOLマスターから得られたK値と術後の等価球面度数とを比較
【対象と方法】20例26眼をretrospectiveに解析。K値は以下の様に取得;TMSより3数値(flattest K within first 9 rings、average K、minimum K)、手動角膜計のK値(manual K)、IOLマスターのK値。IOLパワー計算はHaigis式で-0.50D狙いで計算。
・IOLマスターK値は遠視にずれる傾向があったため、追加で-1.0D狙いでも計算。
・Haigis-L式(LASIK眼のIOL計算に有用)でも同様に計算。
【結果】最も過矯正が少なかったのは、TMSのflattest K(平均-0.68±0.60D、73%が目標屈折値の±0.50D以内に収まり88%が±1.00Dに収まった)およびIOLマスターK値で-1.0D狙いにした場合(平均-0.66±0.61D、69%が目標屈折値の±0.50D以内に収まり88%が±1.00Dに収まった)であった。
・他のK値を用いた場合は遠視にずれたり(manual, IOLマスターで-0.5D狙い、average K)近視側に大きくずれたり(minimum KおよびHaigis-L式)した。【Table 1.2】
【結論】過去にRK手術歴のある患者に白内障手術をする場合、IOLマスターのK値とHaigis formulaを用いて-1.00D狙いで計算した場合、結果として-0.5Dに近づきやすい。(TMSのflattest Kも同様の結果だがこちらのほうが平易)(MK)

2015
122巻

進行性の円錐角膜を軽減・安定化させるためのBowman膜移植

Ophthalmology 122巻 (5号) 2015

Bowman Layer Transplantation to Reduce and Stabilize Progressive, Advanced Keratoconus
Dijk K, Melles GRJ, et al. (Netherlands)
Ophthalmology  122(5):10 909-917, 2015
【目的】進行性の円錐角膜患者が角膜軟化を安定化、CL継続可能、角膜移植を遅らせることができるよう、新しい術式であるBowman膜移植を評価
【対象と方法】19例22眼の進行性円錐角膜患者(クロスリンキング不適応)。術式は下記に。術前・術後(平均21±7か月フォローアップ)の眼鏡視力、CL視力、角膜形状、角膜内皮細胞密度、合併症などを評価。
【結果】2眼で術中Descemet膜を穿孔、他は合併症なし。最大K値は術前77.2±6.2D→術後1か月で69.2±3.7Dと有意に減少(P<0.001)しその後も安定。
・眼鏡視力(LogMAR)は術前1.27±0.44→術後12か月で0.90±0.30と有意に改善(P<0.001)
・最小角膜厚は術前332±59μm→術後12か月で360±50μmと有意に増加(P<0.012)
・CL視力および角膜内皮細胞密度は有意差みられず
【結論】Bowman膜移植術は進行性の円錐角膜患者の角膜軟化を減少・安定させた。合併症のリスクも少なく、深層角膜移植を遅らせることができるかもしれない。(MK)

2015
122巻

広角眼底撮影で周辺部に認めるDR病変は4年後の進行を予測

Ophthalmology 122巻 (5号) 2015

Peripheral Lesions Identified on Ultrawide Field Imaging Predict Increased Risk of Diabetic Retinopathy Progression over 4 Years 
Paolo S. Silva et al (MA)
Ophthalmology 122(5):949-956, 2015
・通常の眼底カメラを用いたETDRSの7 standard fieldsでは網膜の30%しかカバーできないが、広角眼底カメラ(UWF)を用いることで約82%をカバーできる(Figure 1)
・UWFとETDRS fieldを比べると40%はETDRS field外に網膜病変があり、そのような症例ではより重症化しやすい
・UWFで見つかる範囲に優位に病変がある場合はどの程度DR進行のリスクが高まるか調査
・30度の35㎜フィルムとOptosを用いて眼底撮影
・図のように領域を定義し、ETDRS fieldよりも周辺部に50%以上優位に病変があればPredominantly peripheral leision (PPL)と定義
・約4.2±0.3年後にデジタル眼底カメラとOptosを用いて同様に撮影し4年前とは違う判定者がDRの程度を判定 74人146眼が追跡可能であった
・ベースラインでPDRではなかった109眼のうち、42眼(39%)はDRが進行し、56眼(51%)は少なくとも1領域でPPLを認め、多くが微小出血と毛細血管瘤であった
・PPLのほとんどがH/Ma(95%)で次がIRMA(50%)であった(Figure 2)
・ベースラインでPDRを認めた37眼のうち、19眼(51%)で少なくとも1領域でPPLを認めた 
・Non PDR群でPPL(+)群では(-)群に比べて2段階以上のDR進行は3.2倍高く、PDRへの進行が4.7倍高かった
・PPLがなかった群ではSevereもしくはVery severeのみがPDRに進行していたが、PPLがあった群ではより多く、しかもそれほど重症ではない状態からも進行している(Figure 3)
・ベースラインでETDRS fieldでDRを認めなかった18眼で6眼(33%)は周辺部の病変を認め、PPLがあると2.5倍DRの発症率が高い
・ETDRS fieldでnon PDRであった群のPPLの程度が大きいとDRの進行の確率が上がる(Figure 4)
・PPLとDMEと視力の関係は有意差なし
・周辺部に優位なDR病変がある場合はDR進行のリスクの一つであると考えるべき(MM)

2015
122巻

緑内障眼における篩板の厚みと深さ

Ophthalmology 122巻 (4号) 2015

Influence of lamina cribrosa thickness and depth on the rate of progressive retinal nerve fiber layer thinning.
Lee EJ et al(Korea)
Ophthalmology 122(4): 721-729, 2015
・110例110眼のPOAGにおいて、篩板LCの深さLCDと篩板LCの厚みLCTが視神経乳頭周囲の網膜神経線維層RNFLが薄くなっていくスピードと相関しているかどうかを最低2年半にわたって検討した。
・先の仕事でLCDとLCTは眼圧下降が得られると回復することが分っているため、これを除外するために、今回は初期治療が始まってから半年後から測定を開始した。
・LCDはBM開口面からLC前面までの距離である。
・RNFLが薄くなるスピードは観察期間中の乳頭出血(p<0.001)、視神経乳頭周囲のβ域が広いこと(p=0037)、全体のRNFL厚が厚いこと(p=0.026)、LCDが深いこと(p<0.001)、LCTが薄いこと(p=0.002)と相関していた。
・Davies’テストを行うと、LCDが489.7μより深いとLCDが深くなるにつれてRNFLがより早く薄くなっていくという結果が得られた(TY)

2015
122巻

緑内障におけるジェネリック点眼薬のコンプライアンス効果

Ophthalmology 122巻 (4号) 2015

Impact of introduction of generic latanoprost on glaucoma medication adherence.
Stein JD et al(MI USA)
Ophthalmology 122(4): 738-747, 2015
・40歳以上のOAGでPG類似品PGAを使用している患者8427例について検討した。
・2009/9-2011/2までの18か月間のPAG点眼の順守と、ジェネリック点眼に変更した2011/7-2012/12の18か月間の点眼薬の順守率を、ジェネリックに変更した群と先発品のままの群とで比較した。
・先発品のままの群では順守が改善したものは変更群より28%少なく(OR=0.72 95%CI=0.55-0.94)、順守が悪化したものは39%多かった(OR=1.39 95%CI=1.04-1.86)。
・順守が上昇した変更群では、自己負担月額は変更前は有意に多く、変更後に有意に下がっており(p<0.0001)、黒人で多かった(OR=1.25 95%CI=1.04-1.50)。
・自己負担額が有意に点眼薬の中止に関連しており、ジェネリックに変更することにより改善することができた。(TY)

2015
122巻

抗VEGF薬の固定間隔投与の効果

Ophthalmology 122巻 (4号) 2015

Long-term outcomes in eyes receiving fixed-interval dosing of ante-vascular endotherial growth factor agents for wet age-related macular degeneration.
Peden MC et al(FL USA)
Ophthalmology 122(4): 803-808, 2015
・5年以上連続して固定間隔(4-8W毎)に抗VEGF薬(ranibizumab, bevacizumab, aflibercept)を投与した滲出性AMD109眼群で効果を検討した。
・年平均10.5回であり、年平均6.5回以下になったものは除外したため、5年目109眼、6年目75眼、7年目44眼となった。
・ETDRSチャートの文字数でみると、5年目は+14.0文字(p<0.001)、6年目+12.2文字(p<0.001)、7年目+12.1文字(p<0.001)であった。
・固定間隔での使用は長期経過では有効で7年目では93.2%で進行停止あるいは改善が得られた。
・開始時に運転可能な視力があったものは10.1%であったが、7年目では43.2%であり、必要に応じて投与する場合よりいい可能性がある。(TY)

2015
122巻

抗VEGF薬投与前後の抗生剤点眼薬の効果

Ophthalmology 122巻 (4号) 2015

Postinjection endophthalmitis in the comparison of age-related macular degeneration treatments trials(CATT)
Meredith TA et al(NC USA)
Ophthalmology 122(4): 817-821, 2015
・VEGF薬投与後の眼内炎について予防的抗生剤点眼薬の効果について検討した。
・眼内炎発症は11/18509注射(0.06%)、11/1185例(0.93%)であった。
・抗生剤未使用では0.15%、注入前のみ抗生剤使用で0.08%、注入後のみ抗生剤使用で0.06%、注入前と後で抗生剤使用で0.04%であった(p=0.20)。(TY)

2015
122巻

原発急性閉塞隅角症患者で急激な眼圧上昇をきたした前後の視神経乳頭の変化

Ophthalmology 122巻 (4号) 2015

Optic nerve head changes after short-term intraocular pressure elevation in acute primary angle-closure suspects.
Ran Jiang et al (China)
Ophthalmology 122(4):730-737, 2015
・APAC患者に2時間暗室うつむき試験を行って、試験前と試験後5分以内に眼圧と視神経乳頭形状をSD-OCTを用いて測定
・65名114眼(女性57眼88%) 平均年齢58.6歳、平均AL22.8mm、
・検査前IOP 16.0±3.9mmHg 上昇幅 10.1±10.9mmHg (2-47mmHg)
・検査眼全体では耳側のminimal rim width(MRW)のみ有意差があった
・15mmHg以上の眼圧上昇をきたした症例15眼のみを検討すると、cup width,cup depthは増加し、LC thickness, 耳側(MRW), 鼻側MRWは減少した
・BMOとLC depthは変化なし
・急激な眼圧上昇で視神経乳頭のrim、篩状板前組織、LCは薄く、圧排される(MM)

2015
122巻

Outer retinal tubulationの臨床的意義

Ophthalmology 122巻 (2号) 2015

Outer retinal tubulation as a predictor of the enlargement amout of geographic atrophy in age-related macular degeneration.
Hariri A et al(CA USA)
Ophthalmology 122(2): 407-413, 2015
・網膜外層の小管(outer retinal tubulation,ORT)がAMDの地図状萎縮性病変GAの拡大の予測因子となるかどうかを検討した。
・108眼のAMDに伴ったGAについて18か月間のGAの拡大について検討した。
・108眼中24例がORTを持っており、GAの拡大面積mm2は、ORTを持っていない84例よりも有意に少なかった(1.85±0.78:2.67±1.61 p=0.001)。(図)

2015
122巻

Ahmed vs Baerveldt 5年目の結果

Ophthalmology 122巻 (2号) 2015

Five-Year Treatment Outcomes in the Ahmed Baerveldt Comparison Study
Donald L. Budenz et al (North Carolina) ABC Study group
Ophthalmology 122(2):308-316, 2015
・2014.1.10にAVB Study3年報告 もう一つの同様のデザインによる報告
・18-85歳の眼圧18mmHg以上の難治緑内障患者238眼に対してAhmed-FP7かBaerveldt-350どちらかを無作為に割り付けて実施
・不成功:眼圧21mmHgを超える、術後3か月以降で20%眼圧下降が得られない、眼圧5mmHg以下、再手術、光覚喪失、インプラントの摘出
・2006年10月から2008年4月に登録された276名276眼(143眼:Ahmed, 133:Baerveldt)
・5年経過時点で各グループ87眼、合計174眼の結果
・IOP:  AGV 29.6±10.1 →14.7±4.4mmHg  BGI 28.3±9.3 →12.7±4.5mmHg
・Medication:  AGV 3.5±1.0 →2.2±1.4mmHg  BGI 3.5±1.1 →1.8±1.5mmHg
・不成功の内わけ
眼圧コントロール不良または追加手術:Ahmed 46 (不成功の80%), Baerveldt 25(同53%)
低眼圧、摘出、光覚喪失:Ahmed 11(同20%), Baerveldt 22(同47%)
・両群とも約43%で5年後に2line以上の視力低下を認めた
主な理由は 緑内障の進行(約40%)、網膜疾患、角膜疾患、白内障
・最初の3年間は年率10%で不成功、4-5年の間は年率5%であった(MM)

2015
122巻

全層角膜移植後の眼内炎

Ophthalmology 122巻 (1号) 2015

Endophthamitis after penetrating keratoplasty.
Chen JY et al(UK)
Ophthalmology 122(1): 25-30, 2015
・角膜全層移植(PK)後の眼内炎の頻度とそのリスクファクターについて、UK Transplant Registryに1999/4~2006/12に登録された11,320例について検討した。
・提供眼、移植眼の状態、手術の詳細、術後経過について調べた。
・眼内炎の頻度は0.67%で、術後6週間以内は0.16%であった。
・術後5年の角膜生存率は27%(95%CI=16-38%)で、生存角膜での平均矯正視力はlogMARで1.13(小数点0.07)であった。
・眼内炎に関連した因子は提供眼の死因(感染症、敗血症、髄膜炎など)、high-risk症例(感染、外傷、潰瘍性角膜症など)、角膜移植の適応(重症感染、角膜穿孔など)であった。(TY)

2014
121巻

緑内障における神経節細胞数と神経線維層厚

Ophthalmology 121巻 (12号) 2014

Relationship bestween ganglion cell layer thickness and estimated retinal ganglion cell counts in the glaucomatous macula.
Zhang C et al(CA USA)
Ophthalmology 121(12): 2371-2379, 2014
・正常者77眼(49.2±17.1歳)、緑内障疑者154眼(66.0±12.5歳)、緑内障眼159眼(70.9±12.2歳)で、黄斑部の神経節細胞~内網状層間(mGCIPL)厚みと、黄斑部神経節細胞数(RGC)推定数との比較をおこなった。
・RGCの総数は以前に述べた方法で、視野の24-2結果(SAP)と視神経乳頭縁の神経細胞層厚(cpRNFL)から推定した。
・黄斑部RGC総数は耳側のcpRNFL値と中心10度のSAP値から求めた。
・緑内障眼の推定黄斑RGC数は306,010±109,449で、疑者の410,003±83,887個、正常者の520,678±106,843個より有意に少なかった(p<0.001)。
・緑内障眼の黄斑部RGC数は正常者より41%、疑者より21%少なかった。
・また、予測黄斑RGC数とmGCIPL厚とは有意な相関があった(r=0.67, p<0.001)。(TY)

2014
121巻

アカントアメーバ角膜神経症のOCT像

Ophthalmology 121巻 (11号) 2014

In vivo imaging of radial keratoneuritis in patients with acanthamoeba keratitis by anterior-segment optical coherence tomography.
Yamazaki N et al(金沢大)
Ophthalmology 121(11): 2153-2158, 2014
・アカントアメーバ角膜炎AKの初期にみられる放線状角膜神経症の生体内角膜変化について、18~47歳の4例の前眼部OCTで検索した。
・全例で角膜実質内に高反射帯を検出した。
・高反射帯の深さや幅はばらばらで(20-200μm)、斜めに走っている帯もあったし、異なった深さ(上皮下と実質中央部)に見られる帯もあったが、比較的角膜に並列であった。
・適切な治療により高反射帯は消失した。
・高反射帯は角膜神経症の周囲にある強い局所的な炎症による微小瘢痕であると推測した(図)。(TY)

2014
121巻

硝子体手術で不等像視は変化するか

Ophthalmology 121巻 (11号) 2014

Time course of changes in aniseikonia and foveal microstructure after vitrectomy for epiretinal membrane.
Okamoto F et al(筑波大)
Ophthalmology 121(11): 2255-2266, 2014
・ERMに対して硝子体手術を行った44症例の不等像視について、中心窩の微小構造との関連を検討した。
・不等像視はNew Aniseikonia Test(Awaya)を用いて測定した。
・術前、術後3,6か月で測定した。術前の不等像視は、39/44(89%)が大視症、1/44(2%)が小視症、4/44(9%)は不等像視がなく、平均6.2±4.5%の大視症であった。
・術後、視力は有意に改善したが、不等像視量は変わらなかった。
・多変量解析では術前の不等像視は内顆粒層INLの厚みと相関し、術後6か月の不等像視は術後のINL厚と相関しており、術前のINL厚みが術後6か月目の不等像視を最もよく予測した(図)。(TY)

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