Efficacy of Intracameral Moxifloxacin Endophthalmitis Prophylaxis at Aravind Eye Hospital
Haripriya A, et al. (India)
Ophthalmology 123(2):10 302-308, 2016
【目的】moxifloxacinの前房内投与の導入前後での術後眼内炎の発症率を比較
【対象と方法】2014.2.15~2015.4.15までの期間、Madurai Aravind Eye Hospitalで白内障手術を受けた116,714眼。Group1(37,777眼):チャリティー患者、moxifloxacin前房内投与なし。Group2(38,160眼):チャリティー患者、moxifloxacin前房内投与あり。Group3(37,777眼):プライベート患者(通常診療)、moxifloxacin前房内投与なし。電子カルテより術後眼内炎の発症率を調査比較。
・moxifloxacin前房内投与法;0.5mg/0.1ml(点眼原液のまま)をIOL挿入後?に投与。
【結果】チャリティー患者のほとんどすべて(97%)をM-SICSで施行。プライベート患者は21%のみM-SICSで残りの79%は通常のPEA+IOL。
・眼内炎の発症;Group1で13眼(0.08%)、Group2で6眼(0.02%)(P<0.0001)。Group3は29眼(0.07%)でGroup2よりも有意に高かった(P<0.0001)。
・moxifloxacin前房内投与に関する合併症はみられず
【結論】M-SICSを施行する患者に対しても、ルーチンにmoxifloxacin前房内投与を行うことで術後眼内炎の発症を1/4に抑えることができた。
*M-SICS:Manual, sutureless, small incision cataract surgery(MK)
Association between glaucoma and at-fault motor vehicle collision involvement among older drivers. A population-based study.
Kwon M et al(AL USA)
Ophthalmology 123(1): 109-116, 2016
・アラバマ州中北部に在住の70歳以上の2000人の高齢者で、緑内障と車の衝突事故との関係を視野欠損の状態も含めて検討した。
・州の記録から5年間の有責の衝突事故を調査した。
・両眼での遠見視力、両眼でのコントラスト感度、単眼の視野を合成した両眼視野との関連を調べた。
・緑内障患者(n=206)は年齢を調整しても非緑内障者よりも事故率は1.65倍(95%CI=1.20-2.28 p=0.002)。
・緑内障患者の中でも視野欠損が強いものの事故率は2.11倍(95%CI=1.09-4.09 p=0.027)であったが、視力とコントラスト感度とは相関がなかった。
・視野欠損の状態を上、下、左、右、水平方向、垂直方向の6つに分けると、左、上、下欠損が事故率が高く、殊に左視野欠損は他の部位と比較して3.16倍(p=0.001)であった(図)(TY)
Topical Fluorometholone Protects the Ocular Surface of Dry Eye Patients from Desiccating Stress
Jose Pirito-Fraga,(Spain)
Ophthalmology 2016(1);123:141-153
目的:悪条件の環境下で、眼表面悪化予防のための0.1%フルメトロン点眼の有効性を評価する。
対象と方法:中等度から重症のドライアイ患者41人に0.1%フルメトロン点眼またはポリビニルアルコール点眼を1日4回点眼してもらい評価した。
FMLグループ 21人(男性4人、女性17人、平均年齢59.0歳)
PAグループ 19人(男性2人、女性17人、平均年齢60.3歳)
両グループでベースライン時の角結膜の染色、充血、TBUT、シルマーテスト、視力、眼圧などに有意差はなかった。
結果:21日間の治療後、FMLグループで角結膜の染色、充血、TBUTがPAグループに比べ改善した。
悪条件暴露後、FMLグループでは角結膜染色、充血ほとんど増えず、角膜は保たれていた。PAグループではそれらとTBUTが悪化した。
悪条件暴露24時間後、FMLグループでは大きな変化はなかった。PAグループではさらに悪化していた。
結論:0.1%フルメトロン点眼を3週間使用する事によりドライアイによる眼表面徴候を減らすだけでなく、乾燥のストレスによる悪化を防ぐ事ができた。(CH)
Keratoplasty in the United States. A 10-year review from 2005 through 2014.
Park CY et al(NY USA)
Ophthalmology 122(12): 2432-2442, 2015
・米国のアイバンクの年次報告から2005~2014の角膜移植内容を調べた。
・総数は44,277(2005)→46,513(2014)と増加。
・全層移植は95%から42%に著減し、様々な部分移植が5%から58%に増加し、2014年の最も多い移植はDescemet stripping endothelial keratoplasty(50%)であった。
・Descemet membrane endothelial keratoplasty(DMEK)は2011年から毎年倍増しており、内皮移植の11%を占めるまでに上昇した。
・円錐角膜に対しては、2014年に米国では89%が全層移植でDALKが11%であるが、カナダでは2012年にDALKが30%との報告もある。(TY)
Amiodarone-associated optic neuropathy. A nationwide study.
Cheng HC et al(Taiwan)
Ophthalmology 122(12): 2553-2559, 2015
・不整脈を治療するために使用される薬であるアミオダロン(アンカロンR)の副作用を報告。
・2005年から2009年にアミオダロンで新規に治療を開始した6,175名について、24,700名のコントロール群と比較した。
・平均年齢は66.7歳で、平均688日の経過観察を行った。
・視神経症を発症したのはアミオダロン群では17名(0.3%)、Ctrl群では30名(0.1%)で有意差があり(p=0.006)、発症リスクは2倍(HR=2.09 95%CI=1.13-3.85 p=0.02)であった。
・男性に限ればリスクは3倍(HR=3.05 95%CI=1.42-6.55 p=0.004)(図)。(TY)
緑内障術後の篩板移動とRNFL厚の変化
Lamina cribrosa reversal after trabeculectoy and the rate of progoressive retinal nerve fiber layer thinning.
Lee EJ et al(Korea)
Ophthalmology 122(11): 2234-2242, 2015
・線維柱帯切除術後の篩板偏位の回復と網膜神経線維層RNFL厚の薄くなる進行度とが関連しているかどうかを検討した。
・POAGで線維柱帯切除術を受けた34例で、術後最低2.5年経過をみた。
・術前(PREOP)、術後6か月後(FU1)と最低2.5年後(FU2)で比較した。
・眼圧はPREOPで23.8±7.9mmHgが、FU1では11.0±4.4、FU2(3.5±0.8年)では13.1±5.2。
・LCDは589.90±148.32から、508.57±136.28(FU1)と有意に減少したが(p<0,001)、その後は有意差はなかったが多少増加した(516.48±145.87 FU2,p=0.41)。
・RNFL厚の薄くなるスピードとLCDの変化とは相関がなかった。(TY)
Degeneration and regeneration of subbasal corneal nerves after infectious keratitis. A longitudinal in vivo confocal microscopy study.
Muller RT et al(MA USA)
Ophthalmology 122(11): 2200-2209, 2015
・感染性角膜炎IK患者の角膜神経の長期変動につき、急性期(初診時)、治療中止時、感染治癒後6か月目までをconfocal microscopy(IVCM)で観察した。
・細菌性28眼、真菌性15眼、アカントアメーバ13眼の計56眼と、正常者30人30眼について比較した。
・全神経線維数と長さ、神経の主幹や角膜知覚を測定した。
・急性期には神経は有意に減少し、全神経線維長は5.47±0.69mm/mm2(Ctrl 20.59±1.06で p<0.0001)。治療終了時には神経線維は再生して有意に増加し、全神経線維長は8.49±0.94、全枝長は4.80±0.37であった。
・回復期では角膜神経は更に再生し、全神経線維長は12.13±1.97、全幹長は5.80±1.00、全枝長は6.33±0.76と有意に増加したが、正常コントロール群よりは有意に少なかった(全部 p<0.05)。
・角膜神経の変性と再生は角膜知覚と相関していた(r=0.47 p=0.0009)。(TY)
Rates of retinal nerve fiber layer loss in contralateral eyes of glaucoma patients with uilateral progression by conventional methods.
Liu T et al(CA USA)
Ophthalmology 122(11): 2243-2251, 2015
・通常の検査で片眼だけの進行を示す緑内障患者の僚眼の網膜神経線維層RNFL厚を調べた。
・対象は173例346眼(118眼のPOAGと228眼の緑内障疑い)で、3.5±0.7年経過をみた。
・ハンフリー視野、Heidelberg OCT検査を6か月間隔で施行し、進行は乳頭の立体写真とハンフリー視野のGPAソフトで判定した。
・39例で片眼の進行がみられ、RNFLの欠損は-0.89±0.22μm/年であったが、この39例の僚眼のRNFLの欠損も-1.00±0.20μm/年(p<0.001)であった。
・134例では通常の検査では両眼とも進行は見られなかったが、RNFL厚では-0.71±0.09μm/年 p<0.001)で進行がみられたが、片眼進行した僚眼よりはゆっくりであった。(TY)
Risk and risk periods for stroke and acute myocardial infarction in patients with central retinal artery occlusion.
Park SJ et al(Korea)
Ophthalmology 122(11): 2336-2343, 2015
・網膜中心動脈閉塞CRAO患者の脳卒中と急性心筋梗塞AMIのリスクを検討した。
・韓国内の保険データベースの2009年から2010年を調査し、1655例のCRAOの中からCRAO発症前と後の365日間で発症した165例の脳卒中とAMIを調べ、比較発症率(rerative incidence rate ratiosーIRR)を求めた。
・虚血性脳卒中は139例、出血性脳卒中は13例、AMIは15例である。
・CRAO発症後30日間の脳卒中とAMIの発症率は有意に大きかった(44.51 95%CI=27.07-73.20)。
・またCRAO発症前の発症率も30日まででは6.82(95%CI=4.01-11.60)、31-90日では2.86(95%CI=1.66-4.93)と高かった。
・ただ、発症率は性、年齢では差はなかった。(TY)
Acute peripapillary retinal pigment epithelium changes associated with acute intraocular pressure elevation.
Wang YX et al(China)
Ophthalmology 122(10): 2022-2028, 2015
・暗室でのうつ伏せ誘発試験(DRPPT)で誘発された急性眼圧上昇に伴った視神経乳頭周囲のRPE変化について検討した。
・視神経乳頭形状が正常な人で、DRPPTで眼圧が15mmHg以上上昇した14名19眼の対象眼と、眼圧上昇が2-4mmHgであった21名26眼のコントロール眼で比較した。
・平均32.1±9.5mmHg(17-47mmHg)上昇した18/19眼(95%)では、RPE層が傍乳頭Bruch膜上に折れ曲ったり、外側に移動したりしていた。
・このRPE変化は視神経乳頭耳側で多く(16眼89%)、鼻側は2眼11%であったが、上方、下方では見られなかった。
・著明なRPE変化のあった数眼では赤外乳頭写真では傍乳頭β域の変化に相関していた。
・DRPPTの翌日にはRPE縁の移動は元に戻っていた。
・1/19眼ではIOP上昇はなかったがRPE変化があり、Bruch膜と区別がつかない陥凹が見られた。
・コントロール眼ではRPE変化はみられなかった。
・このような変化は緑内障患者の傍乳頭萎縮の病態の解明に役立つだろう(図)(TY)
Relationship between corneal guttae and quality of vision in patients with mild Fuchs’ endothelial corneal dystrophy.
Watanabe S et al(阪大)
Ophthalmology 122(10): 2103-2109, 2015
・14例23眼の軽度のフックス角膜ジストロフィで角膜の滴状と見えを検討した。
・内皮の滴状面積比ARCGを測定し、最高視力CDVA(logMAR)、文字コントラスト感度LCS、眼内迷入光をC-Quant Straylight Meter(Oculus)で測定した。
・ARCGはCDVA(R2=0.41 p=0.001)、LCS(R2=0.55 p=0.001)、迷入光(R2=0.39 p=0.002)と有意に相関していた。
・迷入光はCDVA(R2=0.47 p=0.001)、LCS(R2=0.41 p=0.001)と有意に相関していた。
・滴状角膜での眼内での前方散乱は視機能障害をもたらすことが分った(図)(TY)
Optical coherence tomography angiography for anterior segment vasculature imaging.
Ang M et al(Singapore)
Ophthalmology 122(9): 1740-1747, 2015
・Optovue社のAngioVue OCTAに前眼部レンズアダプターとsplit-spectrum ampliture decorrelation angiography algorithmを利用して前眼部の新生血管を撮影した(図)。(TY)
Comparison of sulfur hexafluoride 20% versus air tamponade in Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty.
Guell JL et al(Spain)
Ophthalmology 122(9): 1757-1764, 2015
・Descemet membrane endothelial keratoplasty(DMEK)の移植片接着の為に20%SF6と空気を比較した。
・偽水晶体眼のFuchs内皮ジストロフィあるいは偽水晶体性の水疱性角膜症に対しDMEKを行い、20%SF6を使った1群(42眼)と空気を使った2群(39眼)で術後3,6か月、1,2,3年後で経過をみた。
・3年後の矯正視力はlogMARで1群は0.48±0.45→0.04±0.23(小数点0.33→0.91)、2群は0.67±0.45→0.09±0.13(小数点0.21→0.81)に改善。
・矯正視力が20/25以上は1群で85.7%、2群で82.1%で有意差なし。
・Donorの術前と最終経過観察時の中心部の角膜内皮数は1群では2525±338→1758±398(平均減少率は30±11% p=0.008)、2群では2492±204→1678±373(平均減少率は32±13% p=0.008)で両群間で有意差なし。
・前房内空気再注入は1群では1例(2.38%)、2群では5例(12.8%)で有意差があった(P=0.004)。(TY)
Correlation of serial scleral and corneal pneumotonometry.
Kuo DS et al(CA USA)
Ophthalmology 122(9): 1771-1776, 2015
・眼圧測定に際し、強膜での空気眼圧測定の有用性を検討した。
・被験者は34から94歳(74.1±13.4歳)の33例で、一過性の眼圧上昇を来す抗VEGF薬の硝子体注入を受けた患者で、前、直後、10,20,30分後に測定した。
・僚眼の眼圧測定も行った。
・強膜での測定は角膜での測定とほぼ比例していたが、平均9.0mmHg高かった(95%範囲はー1.5から+19.5mmHg)。
・角膜IOP=1.04x強膜IOL-10.37であった。
・年齢、角膜厚み、緑内障、水晶体の状態は影響がなかった。
・角膜と強膜での測定差は両眼間で相関していた(r=0.75 p<0.001)(図)。(TY)
Cardiovascular risk factors in central retinal artery occlusion. Results of a prospective and standardized medical examination.
Callizo J et al(Germany)
Ophthalmology 122(9): 1881-1888, 2015
・非動脈炎性の中心網膜動脈閉塞症(CRAO)の77例について、発症後1か月以内に心血管検査を行った。
・52例(67%)は心血管障害のリスクファクター歴があり、60例(78% 95%CI=67-87%)では1つ以上の新しいリスクファクターがあった。
・また、31例(40%)で70%以上の頸動脈狭窄があった。
・11例は狭心症を経験しており、そのうち5例はCRAO発症後に起こった。
・高血圧は56例(73%)にあり、12例(16%)は新規に高血圧と診断された。(TY)
High-resolution imaging of the optic nerve and retina in optic nerve hypoplasia.
Pilat A et al(UK)
Ophthalmology 122(7): 1330-1339, 2015
・視神経乳頭低形成(ONH)の患者の視神経と黄斑部のOCT像を検討した。
・平均年齢17.2歳の16例のONHと32例の年齢等をマッチさせた正常者で比較した。
・OCT像は中心窩と視神経乳頭中央部を結んだ線上のものを使用した。
・黄斑部のOCT像では以下が有意に薄かった:鼻側のRNFL、耳鼻側の節細胞層GCL、鼻側の内網状層IPL、鼻側の外顆粒層ONL、中心窩と耳側の内層。
・一方、以下では有意に厚かった:網膜中心部のGCL、IPL、外網状層OPLが80%以上のONH患者でみられた(図)。(TY)
Movement of retinal vessels to optic nerve head with intraocular pressure elevation in a child.
Alward WLM et al(IA USA)
Ophthalmology 122(7): 1532-1534, 2015
・眼圧が高い若年者では網膜血管の鼻側偏位が起こることが知られているが、視神経乳頭周囲の網膜血管は慢性のOAGでも発生する。
・この偏位するOAGでは視野欠損が急速に進展していた。
・症例は4歳の女児でステロイド誘発OAGである(眼圧30程度)。
・ステロイド白内障手術を2年後に受けたが眼圧は30を超え、乳頭陥凹拡大が発生。
・血管の網膜上から乳頭上への移動も見られた。
・右眼にロトミー、左眼にAhmed移植手術を受け、2週間後の眼圧がコントロールできた時点では、血管は元に戻ってきた(黄矢)、血管が狭小化した(図)。(TY)
Postoperative Hemorrhagic Occlusive Retinal Vasculitis
Expanding the Clinical Spectrum and Possible Association with Vancomycin
Andre J. Witkin et al (MA)
Ophthalmology 122(7):1438-1451, 2015
感染予防あるいは感染性眼内炎に対する抗菌薬としてバンコマイシンを使用した白内障手術症例で極めて予後が悪い出血性閉塞性の血管炎を生じた報告
Nicholsonらが2014年に最初に2例4眼報告
その後全米の異なる施設で白内障手術後に生じたHORV 4例7眼を合わせて検討
6例11眼すべてに共通することは予防的バンコマイシン1.0mg/0.1mlを使用していた
合併症のない白内障手術後、術直後は良好な視力だが、術後1-14日後に痛みのない急激な視力低下(中心・周辺あるいは両方)
前眼部や硝子体の炎症はわずかで網膜出血が強い
動脈よりも静脈に血管閉塞・出血・血管炎を生じる
OCT:黄斑浮腫・網膜内層の虚血を示す網膜内層の高反射
薬剤のパッチテストは陰性
感染性眼内炎やTASSとは明らかに異なる所見・術後早期に血管新生緑内障を生じる
バンコマイシンに対するⅢ型アレルギー反応と考えられ、白血球破壊性血管炎やHenoch-Schonlein purpuraに病態的に類似し抗原抗体複合体が血管壁に沈着することで生じる この反応は感作を必ずしも必要としない
バンコマイシンそのものが原因なのかまだはっきりしないが、可能性が高い
<治療>
全例で初期からステロイドの全身投与、抗VEGF薬、PRP
感染性眼内炎を疑いバンコマイシンの追加投与を受けた4例は全例で悪化(自然経過か悪化させたか不明)
<この論文での提言>
ルーチンで予防的にバンコマイシンを使用しない 耐性菌を作らないためにもCDCも推奨
片眼で使用した場合、もう片眼の手術は2-3週間後に行うことを考える
2眼目の手術前に1眼目に問題ないか、散瞳して眼底検査を行う(MM)
Influence of the Vitreomacular Interface on Treatment Outcomes in the Comparison of Age-Related Macular Degeneration Treatments Trials
Cuilla TA, Magire MG, et al. (US-PA)
Ophthalmology 122(6):10 1203-1211, 2015
【目的】黄斑-硝子体界面がAMDの抗VEGF治療の結果に影響をおよぼすかを評価
【対象と方法】CATTに参加した1185名。CATTのプロトコルに沿って割付け、2年間治療。マスクされた検者がベースラインおよびフォローアップ期間中のOCT画像よりVMTおよびVMAの有無、網膜下液、網膜厚みを評価。
【結果】70名はOCT不鮮明のため除外。ベースライン時では143/1115名(12.8%)にVMTまたはVMAあり。
・ベースライン時およびフォローアップ期間中のどちらも、VMT/VMAの存在と視力との関連はみられなかった。
・必要時投与に振り分けられた群(n=592)においての2年間の注射回数;ベースライン時にVMTありで15.4回、VMAありで13.8回、どちらもなしで12.9回(P=0.02)。
・期間中VMTなしで13.0回、VMTが1回観察で13.6回、VMTが2回以上観察で17回と増加。
・2年間での地図状萎縮の進行;VMTまたはVMAありで11.7%、どちらもなしで22.5%(P=0.005)。
【結論】CATTの対象眼において、VMTおよびVMAの存在はまれであった。ベースライン時およびフォローアップ期間において、VMTおよびVMAは視力に関連しなかった。ただVMTまたはVMAのある眼では、2年のフォローアップ期間中、2回多くの注射が必要であった。(MK)
Intraocular Lens Power Selection after Radial Keratotomy
Topography, Manual, and IOLMaster Keratometry Results Using Haigis Formulas
Grggel HS. (US-VA)
Ophthalmology 122(5):10 897-902, 2015
【目的】放射状角膜切開(RK)の施行歴のある患者に白内障手術を行う際、プラチド角膜計(TMS)、マニュアル角膜計、IOLマスターから得られたK値と術後の等価球面度数とを比較
【対象と方法】20例26眼をretrospectiveに解析。K値は以下の様に取得;TMSより3数値(flattest K within first 9 rings、average K、minimum K)、手動角膜計のK値(manual K)、IOLマスターのK値。IOLパワー計算はHaigis式で-0.50D狙いで計算。
・IOLマスターK値は遠視にずれる傾向があったため、追加で-1.0D狙いでも計算。
・Haigis-L式(LASIK眼のIOL計算に有用)でも同様に計算。
【結果】最も過矯正が少なかったのは、TMSのflattest K(平均-0.68±0.60D、73%が目標屈折値の±0.50D以内に収まり88%が±1.00Dに収まった)およびIOLマスターK値で-1.0D狙いにした場合(平均-0.66±0.61D、69%が目標屈折値の±0.50D以内に収まり88%が±1.00Dに収まった)であった。
・他のK値を用いた場合は遠視にずれたり(manual, IOLマスターで-0.5D狙い、average K)近視側に大きくずれたり(minimum KおよびHaigis-L式)した。【Table 1.2】
【結論】過去にRK手術歴のある患者に白内障手術をする場合、IOLマスターのK値とHaigis formulaを用いて-1.00D狙いで計算した場合、結果として-0.5Dに近づきやすい。(TMSのflattest Kも同様の結果だがこちらのほうが平易)(MK)