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Ophthalmology

2014
121巻

視神経乳頭ピット黄斑症に対する内層網膜の開窓を伴う硝子体切除手術

Ophthalmology 121巻 (9号) 2014

Vitrectomy with inner retinal fenestration for optic disc pit maculopathy
Sotaro Ooto et al. (Bascom Palmer Eye institute, University of Miami Miller School of Medicine, Miami, Florida)
Ophthalmology 121(9): 1727-1733, 2014
・視神経乳頭ピット黄斑症の18眼にピット耳側の内層網膜に25G針にて放射状に穴を開けるPars plana Vitrectomyを施行し、効果をOCTと視力で評価した。
・術前全眼で黄斑中央は液体の貯留により網膜の内・外層は著明に肥厚していた。黄斑剥離が14眼に、外層円孔は9眼に認めた。術後平均34.6±26.6か月経過観察。追加治療を行なわずに17眼(94%)で中心窩内、中心窩下の液体は完全治癒した。
・これらの症例ではゆっくりと外側網膜の液体と黄斑剥離も減少した。
・黄斑剥離は術後平均6.1±3.9か月で改善した。
・視力は明らかに改善。10眼(56%)では術後視力20/30以上となった。
・全眼にて黄斑剥離も外層網膜液貯留も認めなかった。液体の網膜内ではなく硝子体腔内への排出がピット黄斑症の組織には長期の改善をもたらす仮説に基づくと思われる。(YM)

2014
121巻

Ahmed Glaucoma Valve術後に房水産生抑制薬を早期から投与した効果

Ophthalmology 121巻 (9号) 2014

Effect of early treatment with aqueous suppressants on Ahmed Glaucoma Valve implantation outcomes
Mohammad Pakravan et al (Iran)
Ophthalmology 121(9): 1693-1698, 2014
・AGVを受けた94眼をGroup1(47眼):術後10mmHgを超えたらβ/CAI投与とGroup2(47眼):術後目標眼圧である15mmHgを超えたら投与開始に分けてプロスペクティブに比較
・両群の背景に有意差はなし
・術後12週までは点眼数がGroup1の方が多かったが、その後は点眼数に有意差はなく、眼圧コントロールはGroup1の方がよかった。
・術後の高眼圧期も少なかった。
・術後早期にインプラント周囲に房水が流れると、インプラント周囲のブレブが厚く硬くなり、房水の吸収が悪くなる。
・早期に房水産生抑制薬を使用することで、ブレブ周囲に炎症関連物質が広がるのを抑制し、良質なブレブができることで、術後成績の向上が得られたのではないか。(MM)

2014
121巻

網膜OCT像の名称統一:国際OCT名称委員会

Ophthalmology 121巻 (8号) 2014

Proposed lexicon for anatomic landmarks in normal posterior segment spectral-domain optical coherence tomography. International Nomenclature for OCT Consensus.
Staurenghi G et al(Italy)
Ophthalmology 121(8): 1572-1578, 2014
・SD-OCT各部位の名称につきOCT国際的な名称の統一についてパネルミーティングを行い、全員一致で名称を統一した。
・その中で、line線という用語は使用せず、band(layer)帯は薄板の名称として、帯zoneという言葉は、特異的な反射構造が確実に証明されていない、解剖学的な部位を指すこととした(myoid筋様、ellipsoid楕円、interdigitation嵌合帯がその例である)。
・国際OCT名称委員会は今後、この用語を使用することを推奨する。
・この国際OCT名称委員会は30名の委員から構成され、委員にはKaiser P, Spaide RF, Yanuzzi Lなども入っている。(図)
Layer No) OCT Description:Consensus Nomenclature
1) Hyperreflective:Posterior cortical vitreous
2) Hyporeflective:Pre-retinal space
3) Hyperreflective:Nerve fiber layer
4) Hyporeflective:Ganglion cell layer
5) Hyperreflective:Inner plexiform layer
6) Hyporeflective:Inner nuclear layer
7) Hyperreflective:Outer plexiform layer
8) Hyporeflective band:Inner half: Henle’s nerve fiber layer; outer half: outer nuclear layer
9) Hyperreflective:External limiting membrane
10) Hyporeflective:Myoid zone of the photoreceptors
11) Hyperreflective:Ellipsoid zone of the photoreceptors
12) Hyporeflective:Outer segments of the photoreceptors
13) Hyperreflective:Cone interdigitation with RPE
14) Hyperreflective band:RPE/Bruch’s membrane complex. On occasion this can be separated into more than 1 band
15) Thin layer of moderate reflectivity in inner choroid:Choriocapillaris
16) Thick layer of round or oval-shaped hyperreflective profiles with hyporeflective cores in mid-choroid:Sattler’s layer
17) Thick layer of oval-shaped hyperreflective profiles with hyporeflective cores in outer choroid:Haller’s layer
18) Zone at the outer choroid with a marked change in texture in which large circular or ovoid profiles abut a homogenous region of variable reflectivity:Choroidal-scleral juncture(TY)

2014
121巻

Reticular pseudodrusenとCNV発生リスク

Ophthalmology 121巻 (6号) 2014

Reticular pseudodrusen. A risk factor for geographic atrophy in fellow eyes of indivisuals with unilateral choroidal neovascularization.
Finger RP et al(Australia)
Ophthalmology 121(6): 1252-1256, 2014
・一眼に最近診断された脈絡膜新生血管(CNV)のある他眼に、Reticular pseudodrusen(RPD)があると後に地図状萎縮GAやCNVに進展するリスクが高いかどうかを検討した。
・1眼にAMDによるCNVがあり、他眼には末期のAMD所見のない200例(76.8±7.1歳)について検討した。
・他眼にRPDのある例は116眼(58%)で、そのうち、RPDのみの例は34例、125μm以上の硬性白斑と色素変化もある例は82例である。
・平均経過観察2.3年で、CNV発生は36%、GA発生は14%
・他眼にRPDのない例は84例(42%)で、そのうち、125μm以上の硬性白斑と色素変化もある例は64例、他に何もない例は20例である。
・RPDのあった例で進行しなかったのは45例(38.8%)、CNV発生は45例(38.8%)、GAに進展は26例(22.4%)であったが、RPDのなかった例では、非進行例は56例(66.6%)、CNV発生は26例(31.0%)、GAに進展は2例(2.4%)であり、いずれも有意差があった(p<0.001)。

・RPDはGAを発生するリスクは高いが(HR=4.93 p=0.042)、CNVを発生するリスクは高くない(HR=1.19 P=0.05)。
・125μm以上の硬性白斑や色素変化のある例では、CNVの発生リスク(HR=1.96、HR=2.49)やGAを発生するリスク(HR=11.73、HR=5.75)と有意に高かった(TY)

2014
121巻

近視眼の黄斑円孔手術の短期間のうつぶせ

Ophthalmology 121巻 (6号) 2014

Outcomes of Macular Hole Surgery with Short-Duration Positioning in Highly Myopic Eyes
Jean-Baptiste Conart, et al. (France)
Ophthalmology 121(6): 1263-1268, 2014
・高度近視眼の黄斑円孔術後に3日間うつ伏せ姿勢をした結果を近視のない眼と比較した。
近視グループ 眼軸長26mm以上 47眼、コントロールグループ 眼軸長26mm以下 47眼
・全体の解剖学的な治癒 89.4%
  近視グループ 39/47 (83%)、コントロールグループ  45/47 (95.7%)
1回のオペで閉鎖せず2回目で閉鎖
  近視グループ 42/47 (89.3%)、コントロールグループ  47/47 (100%)
視力 近視グループ 0.93±0.31  → 0.52±0.43
   コントロールグループ  0.98±0.36  → 0.30±0.20
視力は近視グループで際立って低かった。(P < 0.001)
視力 近視グループ  視力改善 39例(83%)
           不変 5例(10.6%)
                      悪化 3例(6.4%)
・眼軸長が増加すると、成功率は低下する傾向にある。
BBGの使用の有無では差はなかった。
後部ブドウ腫はリスク要因ではなかった。
・高度近視眼の黄斑円孔術後に3日間うつ伏せ姿勢をした結果、解剖学、機能的に満足する結果をもたらした。
しかし、コントロールグループと比べ、閉鎖率と視力改善は劣った。(CH)

2014
121巻

フルオロキノロン経口薬と裂孔原性網膜剥離・症候性網膜裂孔の頻度(JAMA 2012;307:1414-1419の反対意見)

Ophthalmology 121巻 (6号) 2014

Oral Fluoroquinolones and the Incidence of Rhegmatogenous Retinal Detachment and Symptomatic Retinal Breaks: A Population-Based Study
Kapil G. Kapoor, Andrew J. Barkmeier, et al. (US-MN)
Ophthalmology 121(6): 1269-1273,  2014
【目的】フルオロキノロンの経口薬が裂孔原性網膜剥離・症候性網膜裂孔の頻度上昇に関連するか、population-based cohortで調査
【対象と方法】症例:2003年1月-2011年7月にかけてミネソタ州オルムステッドでフルオロキノロン(F群)経口薬を投与された成人患者。対照:同じ期間内にマクロライド(M群)およびβラクタム(β群)の経口薬を投与された患者。Procedure codeにて網膜剥離の治療または予防治療を抽出し経口薬投与後7, 30, 90, 365日以内の頻度を調査。
【結果】F群38,046名、M群48,074名、β群69,079名。
投与365日以内の網膜剥離手術;F群0.03% (95%CI:0.01-0.06)、M群0.02% (95%CI:0.01-0.03)、β群0.03% (95%CI:0.02-0.05)で有意差みられず (p>0.05)。
投与365日以内の症候性網膜裂孔に対する網膜剥離の予防手術;F群0.01% (95%CI:0.00-0.03)、M群0.02% (95%CI:0.01-0.04)、β群0.02% (95%CI:0.01-0.04)でこれも有意差みられず (p>0.05)。
投与後7, 30, 90日後の調査でも群間に有意差みられなかった【Tab.2】。
調査期間でのフルオロキノロン投与後の網膜剥離手術頻度はオルムステッドの過去 (1976-1995)の網膜剥離手術頻度と有意差がみられなかった(10万人年あたり36.8名vs 28.8名、p=0.35)。
【結論】今回の集団調査では経口フルオロキノロン投与は裂孔原性網膜剥離および症候性網膜裂孔のリスク増加と関連しなかった。(MK)

2014
121巻

全層角膜移植とDALKの予後比較

Ophthalmology 121巻 (5号) 2014

A comparison of lamellar and penetrating keratoplasty outcomes. A registry study.
Coster DJ et al(Australia)
Ophathalmology 121(5): 979-987, 2014
・1996/1~2013/2のAustraliaで行われた角膜移植登録17065眼から、全層角膜移植13,920例、Deep Anterior Lamella(DALKs)の858眼、内皮移植2,287例について検討した。
・年代傾向としては円錐角膜に対する全層移植が減ってDARKsが増加、Fuchs変性や偽水晶体水疱性角膜症に対する全層移植が減って内皮移植が増加していた。
・円錐角膜にたいする全層移植とDALKsを比較すると、グラフト生存率(p<0.001)も視力(p<0.001)も全層の方が良かった。
・Fuchs変性に対しても全層移植の方が内皮移植よりも有意に良かったが(p<0.001)、偽水晶体水疱性角膜症に対しては内皮移植の方が良かった(p<0.001)。
・また、内皮移植については、100例以上の術者は、100例未満の術者よりも有意に結果が良かった(p<0.001)。
・2年後の生存率は100例以上の術者は75%以上であるのに、それ以下の術者は40%未満である。(TY)

2014
121巻

局所脈絡膜窩の病態

Ophthalmology 121巻 (5号) 2014

Clinical and spectral-domain optical coherence tomography findings in patients with focal choroidal excavation.
Lee CS et al(Korea)
Ophathalmology 121(5): 1029-1035, 2014
・38例41眼の局所脈絡膜窩FCEについて検討した。
・年齢は50.1歳(25-76歳)、屈折度は-3.7D(-10.0~+1.5D)であり、3例(8%)は両眼性で、1例(3%)は1眼に2か所のFCEがあった。
・FCEの幅は757(54~2615)μm、深さは107(38-341)μmで、両者の間には相関があった(p=0.003)。
・FCE眼の中心窩脈絡膜厚は284(70-571)μmでコントロール眼と有意差はなかった。
・FCE部に高反射脈絡膜部のあった22眼(54%)では、なかった眼に比べ脈絡膜厚は薄かった(128:190μm p=0.009)。
・視細胞層とRPEの間が離れている歪な形のFCE20眼(29%)では、視機能障害(p<0.001)やCSCの合併(p=0.001)があった。
・10眼(24%)はCSC、9眼(22%)はCNV(そのうち1眼はPCV)を合併していた。
・FCEとtype1CNVを持った1眼は新たにFCEを発生し、PCVのあるFCEの1眼では窩の拡大がみられた。
・以前に先天異常と考えられていたFCEはCSC、CNVやPCVなどの脈絡膜疾患に比較的よくある病態である。図(TY)

2014
121巻

IFISのビデオ判定

Ophthalmology 121巻 (4号) 2014

Prospective masked comparison of intraoperative floppy iris syndrome severity with tamsulosin versus alfuzosin.
Chang DC et al(USA)
Ophthalmology 121(4): 829-834, 2014
・70例のTamsulosin、43例のalfuzosin使用者、113例のコントロール(計226例)でIFISの発生頻度を調べた。
・術中のphenilephrineやepinephrineの使用は禁止した。
・ビデオ判定で、発生せず、軽度:虹彩揺れのみ、中度:揺れと、虹彩の陥頓か2mm以上の縮瞳、重度:虹彩の陥頓と2mm以上の縮瞳として判定。
・重度のIFISはT群34.3%、A群16.3%、Ctrl群4.4%で有意差があった。
・Ctrl群でもepinephrine未使用者では12.4%に軽度、8%に中度、4.4%に重度のIFISが発生した。
・前立腺肥大があり、白内障手術を予定する人ではまず、alfuzosinを第1選択で使用すべきであろう。(TY)

2014
121巻

緑内障進行と網膜血管移動

Ophthalmology 121巻 (4号) 2014

Retinal blood vessel positional shifts and glaucoma progression.
Radcliffe NM et al
Ophthalmology121(4): 842-848, 2014
・8回以上のハンフリー視野24-2測定を行っている125例のOAGで、閾値変化が軽度(-0.02dB/年以下)、中度(-0.02~-0.65dB/年)、高度(-0.65dB/年以上)の3群に分け、網膜血管移動があるかどうかについて検討した。
・緑内障群では33/125(26.4%)にみられたが、Ctrl群では2/33(6%)であり、有意差があった(p=0.01)。
・網膜血管移動群では非移動群よりも視野変化が強かった(-0.55:-0.29dB/年 p=0.03)。
・網膜血管移動は軽度進行では12.1%、中度・高度進行群では31.5%であった(p=0.04)。
・視野進行は網膜血管移動(OR=2.2 95%CI=5.7-83.6 p<0.001)、乳頭出血(OR=4.6 95%CI=1.5-15.5 p<0.001)と優位に相関していた。
・網膜血管移動は機能的な緑内障進行、視神経乳頭辺縁喪失や乳頭出血のあるOAGに起こるので、この所見は大切である。(TY)

2014
121巻

軽度の乳頭浮腫と埋没視神経乳頭ドルーゼンのSD-OCTを用いた鑑別

Ophthalmology 121巻 (4号) 2014

Differentiating mild papilledema and buried optic nerve head drusen using spectral domain optical coherence tomography
Kaushal M. Kulkarni et al (Department of ophthalmology, Sharp Rees-Stealy Medical Group, San Diego, California)
Ophthalmology  121(4): 959-963, 2014
超音波Bモードにて埋没視神経乳頭ドルーゼン(ONHD)と判断した9名16眼と特発性頭蓋内圧亢進による乳頭浮腫の6名12眼、ONHDの正常な他眼2眼で、SD-OCTを用いてRNFLとEDI SD-OCTを比較したが、ONHDと乳頭浮腫で明瞭な違いは無かった。OCT上Discの隆起は下に高輝度の物質が無くスムースであれば乳頭浮腫の可能性が高いがすべてではない。RNFLは5名の医師で読影の結果、乳頭浮腫の41~75%を埋没ONHDか正常と判断し、埋没ONHDの13~56%を乳頭浮腫か正常と判断し、全4象限でRNFLは変わりが無かった。OCT上埋没ONHDは形状、大きさ、位置にいろいろあり判断が困難な原因となっている。結果としてSD-OCTはこの両者の鑑別には信頼性が無いと思われた。(YM)

2014
121巻

就学前での弱視の危険因子

Ophthalmology 121巻 (3号) 2014

Risk factors for Amblyopia in the Vision in Preschoolers Study
Maisie Pascual et al. (PA USA)
Ophthalmology 121(3): 622-629, 2014
3才から5才の幼児3,869人。296名(7.7%)に片眼弱視、144名(3.7%)に両眼弱視があった。斜視(P<0.0001)と強い屈折異常(近視・遠視・乱視・不同視)は片眼弱視の危険を増加させる。斜視、2D以上の遠視、1D以上の乱視、0.5D以上の不同視が片眼弱視の子どもの91%に認められた。強度乱視(P<0.0001)と両眼遠視(P<0.0001)は単独でも両眼弱視の危険を増加させる。3D以上の両眼遠視又は1D以上の乱視が両眼弱視の子どもの76%に存在した。両眼弱視の診断は3才で各眼視力が0.4以下か4才から5才で0.5以下とした。片眼弱視の診断は矯正視力で左右差2段階以上の違いとした。(YM)

2014
121巻

偽ドルーゼン眼の視細胞モザイク

Ophthalmology 121巻 (2号) 2014

Assessing the cone phtoreceptor mosaic in eyes with pseudodrusen and soft drusen in vivo using adaptive optics imaging.
Mrejen S et al(NY USA)
Ophthalmology 121(2): 545-551, 2014
・網膜下のドルーゼン様の沈着物(SDD)を伴った11例11眼の融合していない偽ドルーゼンと6例11眼の通常のドルーゼンとで、補償光学AO像を比較した。
・偽ドルーゼンではOCT上ellipsoid zone帯の欠損がみられたが、軟性ドルーゼンでは見られなかった。
・錐体密度はSDDの間では8964±2793個/mm2であったが、SDD上では863±388であり、90.4%減少していた。
・軟性ドルーゼンでは、その間の密度は12595±3323で、ドルーゼン上では9338±3723で、減少率は21.9%であった。
・両者の減少率には優位差があった(p<0.001)。
・このことから、偽ドルーゼンを持つAMDでは脈絡膜新生血管や網膜色素上皮萎縮とは無関係に網膜機能が低下していることが推察される(TY)

2014
121巻

全色盲は本当に進行性疾患か

Ophthalmology 121巻 (1号) 2014

Retinal structure and function in achromatopsia. Implications for gene therapy.
Sundaram V et al(UK)
Ophthalmology 121(1): 234-245, 2014
・全色盲者について、Thiadensらは30歳未満では錐体欠損は42%にしかみられないのに、30歳を超えると95%にみられると報告、Thomasらも年齢に依存したONLの菲薄化があると報告しているが、その真偽を検討した。
・OCT上での中心窩構造を5種類に分けた。
・1)内節楕円(ISe):Ellipsoid layer(旧IS/OS)が連続している、2)ISeが断裂、3)ISeが欠損、4)低反射層HRZがある、5)RPE欠損を伴う網膜外層の萎縮がある。
・年齢6-52歳(平均24.9歳)の40例で検討。
・原因遺伝子で5群に分かれた。
・22.5%でISeが連続、27.5%でISeが断裂、20%でISeが欠損、22.5%でHRZ、7.5%で外層萎縮があったが、年齢との相関、網膜感度との相関などはなかった。
・分類3-5に相当する錐体欠損は30歳未満の57%にあったが、30歳以上の33%にみられただけであった。
・また、中心窩の低形成(内網膜層の1層以上の残存:OPL, INL, IPL, GCL)は21/40例52.5%にみられた(TY)

2014
121巻

硝子体内注射後の眼内炎予防に対する抗生剤点眼薬使用の功罪

Ophthalmology 121巻 (1号) 2014

The role of topical antibiotic prophylaxis to prevent endophthalmitis after intravitreal injection.
Storey P et al(PA USA)
Ophthalmology 121(1): 283-289, 2014
・約4年間のWills Eye Institureのデータをまとめた。
・ranibizumab、bevacizumab、afliberceptを117,171回注射した。
・抗生剤点眼を使っていた28ヶ月間の57,654回、その後の8ヶ月間の移行期間では24,617回、その後の抗生剤点眼薬を使用しなかった9ヶ月間の34,900回を比較した。
・総計で44例(0.038%)の眼内炎が発生、そのうち17例(0.015%)はculture(+)であった。
・抗生剤点眼使用期間中には28例(0.049%)、そのうち10例(0.017%)はculture(+)、抗生剤非使用期間では11例(0.032%)、そのうち4例(0.011%)がculture(+)であった。
・抗生剤点眼は眼内炎を発生しやすくしており(OR=1.54 95%CI=0.77-3.10)、culture(+)については、OR=1.51 95%CI=0.47-4.83であった。

AJO 157(3): 503-504, 2014 Editorial:Povidone-iodine for endophthalmitis prophylaxis.
・1種の抗菌剤に耐性を獲得した菌は他の抗菌剤にも耐性を持ちやすく、抗菌剤点眼よりもpovidone-iodineでの予防が最も効率的で効果的である。(TY)

2013
120巻

Swept-source OCTを用いた、飲水負荷テストにおける脈絡膜の厚みと体積の評価

Ophthalmology 120巻 (12号) 2013

Assessment of Choroidal Thickness and Volume during the Water Drinking Test by Swept-Source Optical Coherence Tomography
Mansouri K,et al.(Switzerland)
Ophthalmology 120(12):2508-2516, 2013
【方法】28名の健常ボランティア。トプコン社のプロトタイプのSwept-source(SS)OCTを用いて視神経乳頭領域(6×6mm)と黄斑部(6×6mm)を3次元スキャン。ベースライン時および飲水負荷(1000mLを五分間で)後15、30、45、120分後に測定。
これらの測定には脈絡膜の境界線を自動的に区別する機能を用いた
【結果】被験者の年齢35.6±9.1歳。眼圧はベースライン時が14.9±2.7mmHg、ピーク時の飲水15分後(16.8±3.0)で有意に上昇(P<0.001)。
ベースライン時の脈絡膜の厚みと体積は、傍視神経乳頭部で181.3±50.8μmおよび6.19±1.80mm3、黄斑部で217.4±43.6μmおよび7.83±1.55mm3
飲水負荷テスト後、傍視神経乳頭部と黄斑部の脈絡膜の厚みは最大で5.7%(P<0.001)および4.3%(P<0.001)増加。脈絡膜の体積はそれぞれ最大で6.4%(P<0.001)および3.9%(P<0.001)増加【Tab.2】 。
眼圧変化と傍視神経乳頭部・黄斑部の脈絡膜厚の間に有意な関連みられず【Fig.4】。
【結論】SS OCTの自動分割プログラムを用いた測定では、健常者の飲水負荷テストの後に脈絡膜の厚みと体積の有意な増加がみられた。(MK)

2013
120巻

偽水晶体水疱性角膜症に対する角膜コラーゲンクロスリンキング

Ophthalmology 120巻 (12号) 2013

Role of Corneal Collagen Cross-Linking in Pseudophakic Bullous Keratopathy
A Clinicopathological Study
Arora R, Goyal G, et al.(US-IL)
Ophthalmology 120(12):2413-2418, 2013
【目的】偽水晶体水疱性角膜症(PBK)におけるコラーゲンクロスリンキング(CXL)の臨床的・病理組織学的変化を検証
【対象と方法】角膜移植予定のPBK患者24名。グループA;全層角膜移植1か月前にCXLを施行(n=12)、グループB;全層角膜移植3か月前にCXLを施行(n=12)。施行1週間後、1か月後、3か月後(グループBのみ)に評価。
【結果】平均視力はCXL後1か月で有意に改善した(術前1.925±0.173→1か月後1.75±0.296、P=0.010)が、3か月後には悪化した(1.81±0.23)。流涙・充血・眼痛などの症状改善はCXL後1か月が最高であり、3か月後には悪化傾向がみられた。18名がCXL後1か月で角膜ヘイズの減少がみられ、3か月後で12眼中9眼で同様の効果がみられた。中心角膜厚はCXL後1か月で有意な減少がみられた(術前846.46±88.741μm→1か月後781.0±98.788μm、P<0.01)が、3か月後には850.08±136.06μmと増加した。免疫染色の鏡検では実質浅層の圧縮がグループAの7/12眼・グループBの5/12眼でみられた。
【結論】PBK患者においてCXLは症状の改善・中心部角膜厚の減少・ 実質浅層の圧縮を引き起こす。しかしこの効果は時間とともに減少し疾患の重篤度に依存する。(MK)

2013
120巻

マイボーム腺機能不全と高コレステロール血症

Ophthalmology 120巻 (12号) 2013

Meibomian Gland Dysfunction and Hypercholesterolemia
Pinna A, et al.(US-IL)
Ophthalmology 120(12):2385-2389, 2013
【背景と目的】マイボーム腺機能不全(MGD)の進行には腺分泌物に含まれるコレステロール値の上昇が重要な役割を持つことが結論づけられている。若中年者(18-54歳)においてMGDと高コレステロール血症との相関を調査
【対象と方法】MGD徴候のある患者60名とMGDのみられないコントロール63名(ともに高コレステロール血症の既往なし)。BMI、空腹時の血中トリグリセリド・総コレステロール・LDL・HDL・血糖・クレアチニンを測定。MGDの有無・性別・年齢・上記血液検査値を投入しステップワイズ法によるロジスティック回帰分析でオッズ比を算出。
【結果】MGD群の35例(58.3%)、コントロール群の4例(6.3%)で高コレステロール血症がみられた(P<0.0001)。T-chol、LDL、HDLはいずれもMGD群で有意に高値だった(P<0.0001)【Tab.1】。ステップワイズ法によるロジスティック回帰分析では、MGDは血中総コレステロール値と有意に関連していた(OR 1.07; 95%CI 1.04-1.09; P<0.001)。同様にMGDは血中LDL値と有意に関連していた(OR 1.11; 95%CI 1.06-1.17; P<0.001)。
【結論】MGDがあり高コレステロール血症の既往のない若中年者は、MGDのない同世代よりも血中コレステロール値が高いようだ、もしもこの知見が更に大規模なスタディで実証されれば、MGDは高コレステロール血症の今までに知られていないマーカーとなるかもしれず、心血管疾患の重要なリスクファクターを早期に発見するのに眼科医が重要な役割を担うかもしれない。(MK)

2013
120巻

非球面単焦点IOLと球面単焦点IOLの視機能に与える影響のメタアナリシス

Ophthalmology 120巻 (11号) 2013

The Impact on Vision of Aspheric to Spherical Monofocal Intraocular Lenses in Cataract Surgery               A Systematic Review with Meta-analysis
Alexander K. Schuster et al (Germany)
Ophthalmology 120(11):2166-2175, 2013

・MEDLINE, EMBASE, Web of Science, BIOSIS, Cochrane Library
・RCTを抽出 BCVA, Contrast sensitivity(明所・暗所), QOV
・240のスタディから抽出し、基準を満たした43スタディ、非球面2076例と球面2034例を比較 2002年から2011年 ヨーロッパ18、アジア17、北米3、南米4、アフリカ1
・TECNIS 23/ AcrySof IQ11/ mixed group 9
・BCVA:有意差無し、非球面の種類の違いも有意差無し
・Contrast Sensitivity:明所では1.5cpdから6cpdで小さな影響があるが、暗所では中等度から高い影響がある。12cpd以外すべてにおいて非球面が良かった
・暗所での高い視機能を求めるような、パイロット、ハンター、トラック運転手、北欧の人々にとって非球面IOLは有益であると考えられる。(MM)

2013
120巻

難治緑内障に対して行ったAhmedインプラントとBaerveldtインプラントの術後3年目の成績の比較

Ophthalmology 120巻 (11号) 2013

The Ahmed Versus Baerveldt Study Three-Year Treatment Outcomes
Panos G. Christakis et al (Canada)
Ophthalmology 120(11):2166-2175, 2013

・18歳以上の難治緑内障を含む緑内障患者238眼に対してAhmed-FP7かBaerveldt-350どちらかを無作為に割り付けて実施
・OAG119例(64/55)、NVG50例(28/22)、Uveitic23例(10/13)、Other46例(22/24)
・不成功:術後3カ月以降で(IOP5-18mmHg かつベースラインから20%以上の眼圧下降)を2回連続で外れる。視力障害をきたす合併症、追加緑内障手術、光覚喪失
・低眼圧に起因する合併症はAhmedがゼロ、Baerveldtが7例(suprachoroidal hemorrhage3, retinal/choroidal detachments3, refractory hypotony requiring explantation1)
・IOP(3年目):Ahmed 15.7±4.8mmHg、 Baerveldt 14.4±5.1mmHg (P=0.09)
・点眼(3年目):Ahmed 1.8±1.4mmHg、  Baerveldt 1.1±1.3mmHg (P=0.002)
・視力:両群とも同程度の低下を認めた 11例で光覚消失 うち7例はNVG
・不成功率(3年目):Ahmed 51%、 Baerveldt 34% (P=0.03)
              眼圧の基準を18mmHgとしてあることが既報との違いの主な理由
              不成功のほとんどが術後1年目の間に生じている
・Bascom Palmer Eye Instituteのグループが行っているABC Studyと同程度の結果(MM)

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