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その他のジャーナル

2018
122巻

全層角膜移植術(PK)後移植片不全症例(GF)に対する角膜内皮移植術後(DSAEK)の拒絶反応

その他のジャーナル 122巻 (12号) 2018

大本貴士、他(東京大学)
日眼会誌122 : 942-948. 2018(12)
目的: DSAEKの拒絶反応発症率は約4.8%だが、 failed PKに対するDSAEK の拒絶反応は約16.7%との報告もあり術後に注意すべき合併症である。
PK後のGF症例に対するDSAEK後に拒絶反応を発症した3例の臨床経過の報告。
対象と方法: failed PKに対するDSAEK 17例中術後良好な接着が得られたのは14例、拒絶反応が起きた3例だった。
結果: 3症例はすべて男性で、 PKの原疾患はそれぞれヘルペス角膜炎,白内障術後水疱性角膜症、外傷後角膜白斑であった。3例のうち2例はDSAEKの前にPKを複数回施行されていた。DSAEK後の拒絶反応を発症するまでの期間は26か月, 14か月, 10か月であり, 3例とも角膜浮腫および角膜後面沈着物を認めたが、1例は自覚症状がなかった. 3例ともPK移植片への血管侵入は認めなかったが,いずれもPK後GFとなるまでに拒絶反応の既往があった。3例ともステロイドの結膜下注射と点眼回数増加,またはステロイドセミパルス療法で改善したが、1例は最終的に再度GFとなった。
結論: 3例はいずれもPK後に拒絶反応の既往があり、一般的なDSAEK後の拒絶反応に比べ反応が強かった。PK後の拒絶反応時にPK移植片への抗原特異的なT細胞が予め所属リンパ節で産生されていた可能性が考えられる。ヒトでは共通の組織適合抗原を持っていることが多く、DSAEK移植片に対する過去のPK移植片と共通の組織適合抗原が予め存在していたために、通常のDSAEK手術後よりもより強く拒絶反応が出たのではないかと思われる。
PK後GFに対するDSAEK術後では, PK後の拒絶反応の既往に注意して経過観察を行う必要がある。(CH)

2018
35巻

眼表面操作のためのスポンジ麻酔

その他のジャーナル 35巻 (11号) 2018

原 岳(原眼科病院)

あたらしい眼科 2018;35(11):1507-1508

・2%キシロカインをシャーレに取り、MQAを切らずに浸しておく

・このスポンジを上眼瞼と結膜との間に挟んで約1分間留置、除去後洗浄せずに上直筋付着部をつかむと少ない痛みで制御糸留置が可能

・テノン嚢下麻酔、硝子体注射、結膜下注射、結膜下結石除去などにも応用可能(MK)

2018
35巻

5-0ナイロン糸で作成した水晶体嚢拡張糸(Capsular Tension Suture)

その他のジャーナル 35巻 (10号) 2018

永田 智(出田眼科病院)

あたらしい眼科 2018;35(10):1385-1386

・製品出荷時の巻き付けによって生じた湾曲部を含むように5-0ナイロン糸を切断

・パクレンで断端を棍棒状に、次いで湾曲部の内側を炙り曲率を弱め、水晶体赤道部の曲率に近づける

・サイドポートから挿入しCTRの代わりに使用

・計画的ICCEに有用(MK)

2018
11巻

抗菌薬を使用しない抗VEGF薬硝子体内注射の安全性

その他のジャーナル 11巻 (9号) 2018

永井和樹、松本英孝、森本雅裕、向井 亮、三村健介、秋山英雄(群馬大)

眼臨紀 2018;11(9):688-693

・2017年1/1~12/31に群馬大学附属病院で抗VEGF硝子体注射を施行した1,090例4,093回

・外来処置室、術者・介助者はマスクとメディカルキャップ着用、術者は滅菌手袋、全ての操作を清潔下で施行

・点眼麻酔下、患者に水受け付き穴あき覆布、露出部皮膚を10%ポピドンヨードで消毒、プレート型開瞼器で開瞼後8倍PAヨード液を滴下、30秒以上作用させたのち硝子体内注射

・注射前後の抗菌薬点眼は使用せず

・感染性眼内炎の発生頻度0%(MK)

2018
2巻

OCTAを用いた、AMD患者での不活動CNVの自然経過

その他のジャーナル 2巻 (9号) 2018

Natural History of Treatment-Naïve Quiescent Choroidal Neovascularization in Age-Related Macular Degeneration Using OCT Angiography
Adriano Carnevali, Riccardo Sacconi, Lea Querques, Alessandro Marchese, Vittorio Capuano, Alessandro Rabiolo, Eleonora Corbelli, Giorgio Panozzo, Alexandra Miere, Eric Souied, Francesco Bandello, Giuseppe Querques(Itary)
Opth Retina 2018;2(9):922-930

【目的】OCT angiography(OCTA)を用いて、AMD患者における未治療かつ不活動のCNVの活動性を評価
【対象と方法】
・AMD患者950例のうち活動性のないCNVの基準を満たした14例15眼
・Baseline時にFAおよびICGAを撮影、1年以上の観察期間、うち3回以上評価。受診ごとに視力・散瞳検査・OCTおよびOCTAを撮影
【結果】
・15眼中14眼でCNVは不活動のまま、12か月での活動化は6.6%
・OCTAでCNVの拡大:6か月時点で3/14眼、12か月時点で10/14眼
・量的解析ではCNV範囲の有意な拡大がみられるも(P=0.039)CNV密度は有意な増加なし(P=0.731)
【結論】
不活動CNVの12か月間での活動性を、CNV範囲の拡大の面で示された。多くの症例でこの生物学的活動性と臨床的活動性とは並行しておらず、CNV濃度が増加しない事が原因であろうと考えられた(MK)

2018
72巻

調節に伴う水晶体の形状解析

その他のジャーナル 72巻 (7号) 2018

調節に伴う水晶体の形状解析
石田暁他(北里大)
臨眼 72(7): 1009-1012, 2018
・調節負荷に伴う水晶体形状変化をCASIA2で解析した。
・対象は22-32歳(27±4歳)。
・水晶体前面曲率半径は調節負荷に伴い小さくなり、0Dでは11.87±1.22、3Dでは10.86±1.08で有意差があった(p=0.0357) (TY)

2018
62巻

DSAEK術後の嚢胞様黄斑浮腫の治療のための非ステロイド性抗炎症点眼薬

その他のジャーナル 62巻 (6号) 2018

Topical non-steroidal anti-inflammatory drugs for the treatment of cystoid macular edema post Descemet’s stripping automated endothelial keratoplasty
Koji Kitazawa, et al. (京都府立医大)
Japanese Journal of Ophthalmology
2018 Nov;62(6):615-620. 
目的:DSAEK後の嚢胞様黄斑浮腫(CME)の治療における非ステロイド性抗炎症点眼薬(NSAID)の有効性を調査する。
対象と方法:DSAEKを受けた334眼。
DSAEK術後1ヶ月目に、CMEの有無をOCT検査により評価した。CMEを発症した症例では受診毎にOCT検査を行った。
DSAEK後は全症例に、0.3%ガチフロキサシン点眼および0.1%ベタメタゾン点眼剤を6ヶ月間、1日4回点眼した。
結果:術後のCMEは18眼(5.4%)(男性5眼、女性13眼)で認められた。平均年齢70.0±13.3歳。
17眼の患者が0.1% ブロムフェナク点眼薬で治療され、1眼が0.1% ネパフェナク点眼薬で治療された。
NSAID点眼による治療後、17眼(94.4%)の患者が3ヶ月以内にCMEから完全に回復した。
CMEから回復しなかった患者は、角膜内皮拒絶反応が術後早期に起こった症例であった。
術前平均BCVAは1.82 logMAR(20/1000)、術後12ヶ月平均BCVAは0.39 logMAR(20/50)に改善した。術後視力 20/200以上94.4%、20/40以上61.1%、20/50以上22.2%だった。
CME の有無にかかわらず、術後12ヶ月でVA 20/40以上に改善した患者の割合に差はなかった。(P = 0.95)
結論:NSAID点眼剤がDSAEK後のCMEの治療に効果的であることを示している。
NSAIDは時々角膜上皮の毒性をもたらし、持続的な上皮欠損をもたらすことが以前に報告されている。 DSAEK後の術後早期、角膜上皮が回復したとしても、長期のBKのために依然として脆弱である可能性がある。DSAEK後のCMEを予防するためにNSAID点眼薬を投与する場合は、角膜上皮損傷に注意を払う必要がある(CH)

2018
62巻

糖尿病網膜症のためのパターンスキャンレーザーを用いた汎網膜光凝固術の補助治療としてのトリアムシノロンアセトニドテノン嚢下注射

その他のジャーナル 62巻 (6号) 2018

Posterior subtenon infusion of triamcinolone acetonide as adjunctive treatment to panretinal photocoagulation using pattern scan laser for diabetic retinopathy
Yutaka Yamada, et al.(福井大学)
Japanese Journal of Ophthalmology (2018) Nov;62(6):686-692
目的:パターンスキャンレーザー(PSL)とトリアムシノロンアセトニドテノン嚢下注射(STTA)の併用が、PSLを使用したレーザー治療後の炎症を軽減させるのに有効か、また合併症も検討した。
対象と方法:前増殖糖尿病網膜症の患者43眼。
STTA + PSL群では、STTA 20mg / 0.5mLは0日目行われた。(0日目は患者が登録された日)
最初のPRPは1週後に行われ、2回目のPRPは3週後に行われた。両眼症例では、最初に治療した眼のデータが登録された。
PSL群19眼、STTA + PSL群24眼
PSL群5眼(26.32%)、STTA + PSL群7眼(29.17%)にMEが認められた。
結果:ベースライン時中心網膜厚(CRT)はPSL群320.26±59.67μm、STTA + PSL群339.29±79.02μm、術後7週はそれぞれ340.21±77.91μm、308.15±69.16μm(P=0.04)、術後11週335.7±67.70μm、283.8±60.75μm(P=0.01)、術後15週316.7±54.89μm、281.13±35.29μm(P=0.02)で、STTA + PSL群のCRTはPSL群より有意に低かった。
ベースライン時前房フレア強度(AFI)は、PSL群10.45±5.12 pc/ms、STTA + PSL群12.64±6.63 pc/ms、術後11週はそれぞれ15.85±8.38 pc/ms、10.47±3.40 pc/ms(P=0.007)、術後15週は14.37±3.85 pc/ms、11.38±3.31 pc/ms(P=0.009)でSTTA + PSL群のAFIはPSL群より有意に低かった。
視力はPSL群の42.12%(8/19)が術後15週で悪化した。一方、STTA + PSL群では20.83%(5/24)が改善し、12.50%(3/24)が悪化した。
眼圧は、PSL群とSTTA + PSL群でそれぞれ術後7週目は14.24±2.82と15.58±3.53 mmHg、15週は14.32±3.43と12.71±6.35 mmHgであった。
視力と眼圧の群間の有意差は認められなかった。
PSL群の3眼とSTTA + PSL群1眼で、残存MEのため術後15週目にラニビズマブ硝子体内注射を受けた。
結論:たとえ非侵襲性PSLが使用されたとしても、PRPがMEおよび炎症の一時的悪化を誘発することを証明した。STTAはこれらのレーザーの合併症を予防するだけでなく、CRTとAFIを減少させるのにも効果的である。(CH)

2018
11巻

眼軟膏によるアトロピン調節麻痺検査の有用性

その他のジャーナル 11巻 (5号) 2018

中川喜博、宮木 眸、上岡康雄、鈴木康之(東海大)
眼臨紀 2018;11(5):369-371
【目的】調節麻痺薬としてアトロピン眼軟膏(A軟膏)を使用した小児の検査成功例と副作用発現例につき後ろ向きに検討
【対象と方法】2007-2016の10年間に、当院で初めてA軟膏を使用した0-13歳の270例
軟膏を1日1回、就寝中に点入、7日後に屈折検査
・A軟膏の使用前1年以内にシクロペントレート点眼薬で調節麻痺下屈折検査を行った8例16眼について、アトロピン使用時の屈折値と比較検討
【結果】初回で検査遂行:260例(96.29%)
・副作用:2例(0.74%)→眼瞼皮膚炎1例、発熱1例
・シクロペントレート点眼薬との屈折値との比較:平均0.70D、有意に遠視寄り(P<0.001)
【結論】A軟膏使用による副作用発現率は低く、十分な調節麻痺効果も得られた。眼軟膏によるアトロピン調節麻痺検査は有用であると考えられた(MK)

2018
62巻

レーザー虹彩切開術(LI)によって引き起こされた水疱性角膜症(BK)に対する全層角膜移植術後(PK)の角膜内皮細胞減少率と移植片生存率

その他のジャーナル 62巻 (5号) 2018

Endothelial cell loss and graft survival after penetrating keratoplasty for laser iridotomy-induced bullous keratopathy
Naoki Okumura et al. (バプテスト眼科クリニック)
Japanese Journal of Ophthalmology (2018)(5) 62:438-442
目的:2000年3月から2011年12月の間にBKのためPKを受けた患者を、PK前のLIあり(LI-BK群)またはLIなし(非LI-BK群)の2群に分けて角膜内皮細胞減少率(ECD)と移植片生存率を比較検討した。
対象と方法:LI-BK群21眼(平均年齢60.4±9.2、白内障手術併用20眼、単独1眼)、非LI-BK群31眼(平均年齢60.5±12.0、白内障手術併用14眼、単独17眼)
両群間のドナー特性は類似していた。
結果:LI-BK群の平均ECD損失率は術後12ヶ月で25.6%から108ヶ月で85.6%に増加した。非LI-BK群の平均ECD損失は、術後12ヶ月で32.9%から108ヶ月で72.0%に増加した。
観察期間中、LI-BK患者の平均ECD損失率は非LI-BK患者より有意に高かった。 LI-BK群の21眼のいずれにおいても移植片不全は認められなかったが、非LI-BK群で25例中4例(16.0%)の移植片不全になった。(P=0.114)
結論:LIに続発するBKのPKの結果は、他のタイプのBKのPKの結果より悪くはなかった。しかし、PK後の長期経過観察では、LI-BK群ではLI-BK群よりも細胞密度が速く低下し、PKより前にLIの存在に細胞喪失が関与している可能性が示唆された。(CH)

2018
31巻

黄斑円孔への水晶体嚢自家移植

その他のジャーナル 31巻 (3号) 2018

若林美宏(東京医大)
眼科手術 31(3): 379-381, 2018
・ILM自家移植の代わりに、水晶体嚢を切開して移植する方法。
・BBGで染色した前嚢でも後嚢でもよく、移植時は表でも裏でも良い。
・後嚢は採取時にカールするため、大きめの切除が必要。(TY)

2018
62巻

角膜内皮細胞密度に対するアルゴンおよびNd:YAGレーザーを用いたレーザー周辺虹彩切開の影響

その他のジャーナル 62巻 (2号) 2018

Effect of laser peripheral iridotomy using argon and neodymium-VAG lasers on corneal endothelial cell density: 7-year longitudinal evaluation
Takashi Ono, et al. (宮田眼科)
Jpn J Ophthalmology (2018)(2) 62:216-220.
・目的:アルゴンとNd:YAGレーザーを用いたレーザー周辺虹彩切開(LPI)後7年間までの角膜内皮細胞密度(ECD)の変化を評価する。
・対象と方法:アルゴンおよびNd:YAGレーザーを用いて予防的LPIを施行し7年間経過観察できた51人51眼、平均年齢68.0歳(47-82歳)、術前平均ECD 2657.5 ± 245.7cells/mm2
・結果:術後1年平均ECD 2612.6 ± 272.1cells/mm2、術後7年平均ECD 2582.9 ± 269.3cells/mm2。1年および7年の術後ECDは、術前ECDと有意差があった(P = 0.045および<0.001)
・術前から術後7年までの平均減少率は2.73 ± 6.13%。
・術後1年の減少率(1.69 ± 4.80%)は術後1〜7年(0.17 ± 0.85%)と比較して有意に高かった。(P = 0.036)
・3眼(5.9%)で術後7年間でECDが10%以上(13.0%〜24.9%)減少した。これらは、比較的浅い前房があったが、PEは認められなかった
・49眼の平均総エネルギーは8.2mJ(2.0から61.2mJ)、ECD減少率と総エネルギーとの間に有意な関連は見られなかった(術後1年P = 0.50、術後1〜7年P = 0.47)。
・結論:LPI後のECD減少率は初年で1.69%、手術後1年から7年の間に年間ECD減少率は0.17%であった。
・ECDは、正常な眼で年齢とともに0.3%〜0.6%低下することを考慮すると、術後1年以降の減少は老化によるものであると考えられた。
・これらの結果は、アルゴンNd:YAGレーザーLPIが手術後1年までECDの損失に影響を与えていることを示した。(CH)

2018
62巻

黄斑円孔手術後の網膜厚の変化

その他のジャーナル 62巻 (2号) 2018

Retinal thinning after internal limiting membrane peeling for idiopathic macular hole.
Imamura Y et al(帝京大)
Jpn J Ophthalmol 62(2): 158-162, 2018
・黄斑円孔でILM剥離を行った連続32例33眼で、ETDRSに準じた内1/4分割網膜部の厚みを、術前、2W、1,3,6,12M後に測定した。
・黄斑円孔も底部と最小径を測定した。
・13眼はStage2、12眼はStage3、8眼はStage4である。
・耳側網膜厚は術前が362.8±29.9、2W後337.9±20.6、12M後307.6±20.2で有意差があった(p<0.001)
・上方、下方、鼻側網膜厚は、術前(373.9、367.0、385.5)、2W後(361.6、359.4、383.4でp=0.009, p=0.05,p=0.64)、12M後(339.4、331.6、371.3でp<0.001,p<0.001,p=0.033)であった
・術後2W,12Mの全網膜野で、網膜厚の変化はMHの底部径、最少径と有意に相関していた
・大きなMHで網膜がより薄くなっており、網膜構造は動的に変化することが分った。(TY)

2018
62巻

急性緑内障発作後の網膜厚の変化

その他のジャーナル 62巻 (2号) 2018

Comparison of longitudinal changes in circumpapillary retinal nerve fiber layer and ganglion cell complex thickness after acute primary angle closure: a 12-month prospective study.
Jin SW et al(Korea)
Jpn J Ophthalmol 62(2): 194-200, 2018
・64例64眼の急性緑内障発作(APAC)後の乳頭周囲の網膜神経線維厚(cpRNFL)、ganglion cell complex(GCC)厚をRTVue-100で測定した。
・cpRNFLの平均値、上方部、下方部やGCC厚は発作眼で他眼よりも1週間後で厚かったが、12か月後まで徐々に薄くなっていた
・発作1週間後のcpRNFLとGCC厚と比較し、1M,3M,6M,12M後は有意に薄かった(TY)

2018
27巻

緑内障濾過手術における球後と点眼麻酔の比較

その他のジャーナル 27巻 (1号) 2018

A Comparison of Retrobulbar Versus Topical Anesthesia in Trabeculectomy and Aqueous Shunt Surgery
Alex Theventhiran et al (NY USA)
J Glaucoma 27(1):28-32, 2018
・緑内障手術でも球後麻酔が用いられる。点眼麻酔に比べて痛みの抑制という点では優れているが麻酔中の圧迫感や不快感があること、球後出血、眼球穿孔、視神経損傷、感染、CRAO、呼吸抑制、無呼吸や最悪死亡もありうる。
・また濾過手術後のwipeout or snuff syndromeにも関与するとの報告がある
・本論文では2名の術者が様々なタイプの濾過手術(チューブシャント含む)を行い、球後麻酔(RB)と点眼麻酔(テノン麻酔)(TA)とをレトロスペクティブに比較した。
・RB:5mgの2%リドカインと0.75%マーカインを1:1に混合したもの
・TA;40mgの2%リドカインを手術部位の結膜下に注射し、5mgの0.5%テトラカインの点眼
・再手術眼や濾過胞再建、痛みの出るようなNVG,Uveitis,緑内障発作眼は除外
・全体で225名261眼 女性57.5% 平均年齢69.6±13.68歳
・術者A:161眼 (TA 156眼、RB 3眼、全身麻酔 2眼)
              AGV 73眼、TLE(Fornix-base)28眼、Cat+TLE  36眼、Cat+AGV 24眼
・手術時間:Tube:40.82分、TLE:33.33分、Cat+Tube:55.05分、Cat+TLE:49.42分
・術者B:100眼 (TA  94眼、RB 5眼、全身麻酔 1眼)
AGV 8眼、BGI 5眼、TLE(limbal-base)49眼、Cat+TLE 35眼、Cat+AGV 3眼
・手術時間:Tube:45.42分、TLE:29.86分、Cat+Tube:56.67分、Cat+TLE:47.90分
・TAの8.1%、RBの3.1%で痛みを訴えた。有意差なし(P=0.180)
・平均痛みスコア(0-10)はTA3.96, RB2.66 (P=0.304)
・術中の静脈からの麻酔追加はRB群で少なかった(midazolam P=0.042, fentanyl P<0.001, propofol P<0.001) 総量も有意差あり(P=0.004) 術後の痛み止めの使用も少なかった(P<0.001)
・手術時間は術中の痛み止め追加と相関し(P<0.001)、術後の痛みとは相関しなかった(P=0.60)
・術者間の差はなかった
・若いほど、女性ほど、局所麻酔ほど痛みが強かった
・TAの方が痛みスコアや追加麻酔が必要であるが、その頻度は少なく、球後麻酔のリスクを考えると選択肢の一つであると考えられる。(MM)

2018
62巻

AC—OCTを撮影する際の内部固視灯の影響

その他のジャーナル 62巻 (1号) 2018

The effect of internal fixation lamp on anterior chamber angle width measured by anterior segment optical coherence tomogramphy
Sakari Nakamine, Tadayoshi Kaiya et al (Japan)
Jpn J Ophthalmol 62(1): 48-53, 2018
・22名のPACS患者の右眼をCASIA SS-1000を用いて内部固視灯のon/offで撮影した
・30秒間隔でoff→onで5回繰り返して検査
・固視灯のon/offにより隅角開大度が変化するが、上下方向の隅角の変化が大きい
・結論:内部固視灯をつけると対光反応と調節により縮瞳し隅角が開くため、暗所での隅角閉塞を見るためには内部固視灯を消して測定すべきである(MM)

2018
13巻

DSAEK後に角膜内皮細胞密度に影響を及ぼす要因

その他のジャーナル 13巻 (1号) 2018

Factors Influencing Graft Endothelial Cell Density after Descemet Stripping Automated Endothelial Keratoplasty
Mohammad Ali Javadi, et al. (Iran)
J Ophthalmic Vis Res. 2018 Jan-Mar; 13(1): 10–16.
目的:成功したDSAEKの後の角膜内皮細胞密度(ECD)に対するレシピエント、ドナー、手術、術後の因子を調べた。
対象と方法:DSAEKを受けた64人77眼。Fuchs角膜内皮変性症38眼(49.4%)、偽水晶体眼からの水疱性角膜症39眼(50.6%)。
結果:平均年齢は62.3±15.6歳、平均経過観察期間26.2±20.9ヶ月。 46眼(59.7%)は単独DSAEKを受けた。 31眼(40.3%)はDSAEK+白内障手術併用。
ドナーの平均角膜径8.0±0.21mm、ドナーの平均年齢30.4±11.2歳、術前内皮細胞の平均密度は3127.4±315.1  cells / mm2で、術後1788.6±716.5 cells / mm2に減少した(P <0.001)。術後平均細胞面積(684.2±349.2μm2;範囲311.2-1633.9μm2; P <0.001)および変動係数(36.7±7.2;範囲27.8-57.9; P = 0.03)、六角形出現率(52.2±11.9%;範囲は16.7-78.4%; P <0.001)の有意な低下が認められた。平均ECD損失率は43.3±21.4%であった。
平均中心角膜厚は579.5±43.1μm(範囲、502.0-666.0μm)であった。レシピエントの中央および移植片の平均厚さは、それぞれ477.1±47.2μm(範囲328.0-594.0μm)、102.4±31.6μm(範囲51.0-174.0μm)であった。平均術前BCVAは1.21±0.65logMARであり、術後0.43±0.30logMARに有意に改善した(P <0.001)。
術中に合併症はなかった。術後、局所的なグラフト解離2眼(2.6%)を認めたが自然治癒した。IOP上昇5眼(19.5%)、拒絶反応25眼(32.5%)0.1%ベタメタゾン点眼薬の頻回点眼治療し、最後の術後検査ではすべての角膜移植片が透明であった。 
重回帰分析では、術後ECDは、移植片の薄さ(β= 10.62、P = 0.003)および経過観察期間(β= -22.09、P = 0.001)を有意に関連していた。
結論:DSAEK後のECD減少の主な予測因子は、移植片の薄さおよび経過観察期間であった。視力改善するためには超薄型DSAEKドナー移植片が望ましいが、ECDに関しては厚い方が良い。(CH)

2018
13巻

下方網膜剥離に対する、うつ伏せ体位を併用しない硝子体手術

その他のジャーナル 13巻 (1号) 2018

Vitrectomy without prone positioning for rhegmatogenous retinal detachments in eyes with inferior retinal breaks.
Shiraki N, Sakimoto S, Sakaguchi H, Nishida K, Nishida K, Kamei M(大阪大)
PLoS ONE 2018;13(1): e0191531. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0191531

【目的】
裂孔原性網膜剥離(RRD)に対する硝子体手術(PPV)の解剖学的および機能的成果を、術後腹臥位をとる群ととらない群の間で比較
【対象と方法】
・原発性RRD患者142人の142眼、レトロスペクティブ
・全例に20%SF6ガスタンポナーデによるPPVを行い、術後に腹臥位を維持した群(65眼)と維持しなかった群(77眼)の2群に分け3か月以上追跡調査
【結果】
・初回復位率:
腹臥位を維持した群83.1%、
体位フリー群96.1%、有意差あり(p=0.011)
・下方に裂孔のある眼では、
体位フリー群の初回復位率は94.7%(18眼)で,
腹臥位を維持する場合の60%(6眼)より有意(p=0.036)に良好
・下方に裂孔がない眼では、
両群間で初回復位率に有意差なし
・術後3か月目の最高矯正視力は両群間に有意差なし
・腹臥位をとらない群では術後10眼(13.0%)に網膜上膜(ERM)を認めたが、内境界膜(ILM)を剥離した眼では術後にERMを認めず
【結論】
術後に腹臥位をとらないPPVは、RRD、特に下方網膜裂孔の眼の復位率が高くなることと関連する。術後に仰臥位および側臥位をとるPPVは、術中にILM剥離を行った場合、下方網膜裂孔を伴うRRDの管理に有効である可能性がある。(MK)

2017
71巻

アイバンク提供眼の眼球保存液におけるMRSA汚染の検討

その他のジャーナル 71巻 (10号) 2017

アイバンク提供眼の眼球保存液におけるMRSA汚染の検討
宮本静華他(順天堂大)
臨眼 71(10): 1549-1555, 2017
・8年間646眼の眼球保存液のMRSA汚染度を調査した。
・391/646検体(60.5%)で細菌が培養され、MRSAは60/646検体(9.3%)から検出された。
・MRSA陽性者の平均年齢は85.1±9.7歳で、陰性者の75.6±16.0歳より有意に高く(p<0.001)、死亡から強角膜片作成までの時間が13.7±4.9と11.7±5.5時間と有意に長く(p<0.007)、角膜内皮密度が2215±471と2460±524と有意に低かった(p<0.001)。(TY)

2017
58巻

PG製剤の長期使用中の患者の結膜細菌叢

その他のジャーナル 58巻 (10号) 2017

Conjunctival Bacteria Flora of Glaucoma Patients During Long-Term Administration of Prostaglandin Analog Drops
Shinichiro Ohtani, Kimiya Shimizu et al (Japan)
IOVS 58(10): 3991-3996, 2017
・宮田眼科で2014年2月から9月の間にPG製剤(キサラタンXa:36眼・トラバタンズTz:27眼)を少なくとも一年以上使用している患者63眼から採取(全て右眼)健常ボランティアHt:44眼と比較
・レボフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、セフメノキシム、トブラマイシン、クロラムフェニコール、エリスロマイシンに対するMICを測定
・Age:緑内障群:Xa 68.4±14.2  Tz 70.7±12.7  Ht 47.9±7.0*
・治療期間(M): Xa  82.9±29.2(12-251) *  Tz 29.2±15.9(12-67)*
・検出率:緑内障眼:90.5%(57/63眼) 健常群:84.1%(37/44眼)
・Xa、Tz、Ht群で比較するとXa群ではMRSEがMSSEより多かった
・Xa群は点眼期間が長いがそれを考慮して検定しても有意にTz群よりもXa群はMRSEの頻度が高い(OR=11.66:CI1.79-76.08, P=0.0102)メチシリン耐性には投与期間は重要ではないことを示唆
・薬剤感受性試験ではTz群とHt群は有意差なし、Xa群は有意に薬剤感受性が低かった
・多剤耐性はXa群:68%,Tz: 23%, Ht: 27%
・Xaに含まれる防腐剤BACに対する耐性が薬剤の交差耐性になったのではないか
・0.02%のBACは細菌のMICより高く、点眼瓶内の感染防止には有効だが、点眼後は涙液により5分後には10分の1以下に希釈され、その後も低くなっていく(MM)

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