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その他のジャーナル

2021
4巻

MMC注射併用はAGVは高眼圧期の頻度を低くするか

その他のジャーナル 4巻 2021

Subconjunctival Injections of Mitomycin C Are Associated with a Lower Incidence of Hypertensive Phase in Eyes with Ahmed Glaucoma Valve
Claudio I Perez, et al(Chile)
Ophthalmology Glaucoma 4:322-329, 2021
・2018-2019年に実施した、手術時と術後1週、4週でMMC0.1ml(0.25mg/ml)を結膜下に注射した連続症例と
・2015-2017年に実施した、MMCを使用しない連続症例をレトロスペクティブに比較した
・高眼圧期:MMCありvs MMCなし 17.6%(3/17) vs 55.0%(11/20) P=0.04
・6M時点での眼圧: 14.0±0.8mmHg vs 14.7±0.9mmHg P=0.6
・点眼数:1.2±0.2mmHg vs 2.2±0.3mmHg P=0.007
・MMCを併用したAGVでは高眼圧期の発生が低かった(MM)

2021
4巻

MMCの細胞毒性に対するリドカインの効果

その他のジャーナル 4巻 2021

Effects of Lidocaine on Mitomycin C Cytotoxicity
Abraham Park, et al(USA)
Ophthalmology Glaucoma 4:330-335, 2021
・ヒト結膜線維芽細胞をリン酸バッファー溶液(PBS)、MMC(0.2mg/ml)、MMC0.2mg/mlと1%防腐剤無しのリドカイン、1%防腐剤無しのリドカイン の4つの溶液で培養した。
・2、5、10、30、60分後の結膜細胞生存率をみた。
・PBS 0.680
・MMCのみ 0.642
・MMC+lidocaine 0.612
・lidocaineのみ 0.605
・Lidocaine含有の後2者の有意差なしだが、MMCのみと比べても有意に細胞毒性が高かった。
・LidocaineはMMCと混合しても細胞毒性を阻害しないし、それ自体に細胞毒性を持つようである(MM)

2020
64巻

近視性牽引性黄斑症に対するILM剥離

その他のジャーナル 64巻 (1号) 2020

Fovea-sparing internal limiting membrane peeling versus complete internal limiting membrane peeling for myopic traction maculopathy.
Iwasaki M et al(札幌)
Jpn J Ophthalmol 64(1): 13-21, 2020
・21例22眼の近視性の牽引性黄斑症MTMに対して、中心窩を除いたILM剥離FSIPを行った11眼と、完全なILM剥離ILMPを行った11眼の6か月後の結果を比較した。
・FSIP群での最高視力はLogMARで0.61(小数点0.25)から0.34(0.46)に改善(p=0.009)。
・術後の黄斑円孔の発生はFSIP群では0例、ILMP群では3例(27.3%)であった。
・ILMP群での黄斑円孔を発生しなかった群での最高視力はLogMARで0.64(0.30)から0.44(0.40)に改善したが有意差はなかった(p=0.059)。
・術後の最終中心窩厚はFSIP群では557.6→128.8(p=0.003)、ILMP群では547.3→130.3μ(p=0.08)に両者とも有意に改善した。(TY)

2020
62巻

落屑症候群と角膜内皮。白内障手術との関連を中心に

その他のジャーナル 62巻 (13号) 2020

日常診療における角膜内皮:落屑症候群と角膜内皮。白内障手術との関連を中心に
林研(福岡)
眼科 62(13): 1419-1428, 2020
・白内障手術により内皮障害を起こしやすい。
・術後の眼圧上昇も来しやすいので、術前にアセタゾラミド2錠内服を行うと、術後1時間から24時間の眼圧上昇が有意に軽減する。
・点眼であれば、ブリンゾラミド点眼が良さそうである。(TY)

2020
8巻

近視の子どもと 非近視の子ども の睡眠の違い

その他のジャーナル 8巻 (8号) 2020

Sleep in Myopic and Non-Myopic Children
Lisa A. Ostrin; Scott A. Read; Stephen J. Vincent; Michael J. Collins
Translational Vision Science & Technology  August 2020(.9):  22, 2020.
方法:オーストラリアの10歳から15歳の子供91人に#ActiWatchを装着し、睡眠の違いを調べた。
91人の子供(平均年齢13.02±1.37歳)を2群に分けた。
近視群36人(平均主観的球面等価屈折誤差–2.44±1.52 D、範囲–7.56〜–0.63 D)、                 非近視群55人(平均主観的球面等価屈折誤差+0.33±0.30 D 、範囲–0.38〜+1.13 D)。
結果:近視の子どもは、曜日や季節によって睡眠時間のばらつきが大きく、睡眠潜時が短かった(P = 0.04)。
結論:近視の子どもは、非近視の子どもより睡眠時間が長く、変動しやすく、潜伏時間が短い傾向があった。
睡眠パターンは、季節、曜日、年齢、屋外での時間、活動によって影響を受けた。(HK)

2020
29巻

ブレブからのリークに対するプリケーションテクニック

その他のジャーナル 29巻 (8号) 2020

Sugimoto Koichiro et al (Japan)
J Glaucoma 29(8):e80-e82, 2020
リークしたブレブに対してブレブナイフを用いて虚血性ブレブおよび円蓋部側の結膜を剥離し、10-0ナイロンを用いてブレブの上に非虚血性結膜を被せる
一度でできなくても、複数回行うことで虚血性ブレブを縮小できた。
虚血性ブレブを除去するわけではないので、切除して結膜が足りないということが無い。(MM)

 

 

 

2020
216巻

慢性中心性網脈絡膜症に対するマイクロパルスレーザー治療

その他のジャーナル 216巻 (8号) 2020

Crossover to Photodynamic Therapy or Micropulse Laser After Failure of Primary
Treatment of Chronic Central Serous Chorioretinopathy: The REPLACE Trial
VOLUME 216, P80-89, AUGUST 01, 2020
https://doi.org/10.1016/j.ajo.2020.04.007
マイクロパルスレーザー・PDT ともに無効例にはスイッチが効きそう?
論文の結論はHSML 無効だったが、効いていないとは言い難い?(オランダ)
ただし、初期治療の有効性は圧倒的にPDT が優位に思われる
ICGA 中期の過蛍光病変に対して
半量PDT
⚫ 3mg/m2(半量)ビスダイン投与後15 分で689nm・83 秒・50J/cm2(通常)
マイクロパルスレーザー(HSML)
⚫ フォベアから500μm 離し、810nm・300-1800mW・125μm・0.2 秒__________500Hz
⚫ 初期治療179 例(PLACE)中42 例が研究(REPLACE)対象
初期治療HSML29%52 例→32 例が本研究でPDT
6-8w で32 例中26 例SRF 消失(81%)
最終受診時30 例中25 例SRF 消失(78%)
初期治療PDT67%120 例→10 例が本研究でHSML
6-8w で9 例中0例SRF 消失
最終受診時9 例中6 例SRF 消失(67%)P>0.05
HSML 無効例に対するPDT は有効だったが、逆は有効性が確認されなかった。(THY)

2020
124巻

網膜血管腫状増殖に対するアフリベルセプトtreat-and-extend(TAE)とラニビズマブTAEの比較

その他のジャーナル 124巻 (8号) 2020

星野順紀, 松本英孝, 森本雅裕, 向井亮, 中村 介, 秋山英雄(群馬大)
日眼会誌2020:124(8) 628-636
【目的】
・網膜血管腫状増殖(RAP)に対する
アフリベルセプト硝子体内注射(IVA)によるtreat-and-extend(TAE)とラニビズマブ硝子体内注射(IVR)によるTAEの2年成績を比較
【対象と方法】
・IVA(15眼)またはIVR(18眼)によるTAEを2年間継続できた、未治療のRAP 33眼
・視力、中心窩網膜厚(CMT)、中心窩下脈絡膜厚(CCT)、色素上皮萎縮面積、治療回数、合併症を後ろ向きに評価
【結果】
・IVA群は15眼、IVR群は18眼、治療前データに両群間で有意差なし
・視力は、両群とも2年後まで有意な改善がみられたが、改善量に両群間で有意差みられず
・CMTとCCTは、両群とも2年後まで有意な減少がみられたが、減少量に両群間で有意差なし
・色素上皮萎縮面積は、両群とも2年後まで有意な拡大がみられたが、拡大面積に両群間で有意差なし
・2年間の治療回数は両群で同等
・両群とも重篤な眼局所および全身合併症みられず
【結論】
・RAPに対するIVAまたはIVRによるTAEは、視力・滲出性変化の改善に有効であったが、色素上皮萎縮面積は拡大した。
・薬剤間で2年間の治療成績に有意差はなかった。(MK)

2020
29巻

読書による眼圧の急性反応:座位と臥位での違い

その他のジャーナル 29巻 (7号) 2020

Acute Intraocular Pressure Responses to Reading: The Influence of Body Position
Jesus Vera et al (Spain)
J glaucoma 29(7):572-580, 2020
スマートフォンを用いた読書において、座位と臥位で眼圧変動が異なるか、また性別によって変化があるか比較検討
24-72時間空けた2日間の同時刻(±1時間)に、座位または仰臥位で読書を行い、タスク前、5、15、25分後、タスク終了5分後にアイケア眼圧計でIOP測定。
環境は前述のHaらの論文と同じ角膜面で100lx
スマートフォンを30cmの距離にセットし、母国語(スペイン語)でテキスト文字を読む。
タスク開始前に眠気のスケーリング、終了後に拾うレベルのスケーリングを実施
5、15、25分の眼圧はベースラインやタスク終了5分後よりも増加
女性の方が男性よりもIOPが高い傾向
眼圧変動を抑えたい患者では仰臥位での読書は避けた方が良い。(MM)

 

2020
64巻

既存のドライアイがある場合とない場合の白内障手術の影響

その他のジャーナル 64巻 (6号) 2020

Effects of cataract surgery on symptoms and findings of dry eye in subjects with and without preexisting dry eye
Mikiko Shimabukuro, et al. (大阪大学)
Japanese Journal of Ophthalmology (2020)(6) 64:429-436
目的:白内障手術後のドライアイの有病率は8%〜70%で、顕微鏡の使用による光曝露、消毒剤の細胞毒性、角膜知覚の低下などの潜在的な原因因子がある。既存のドライアイがある場合とない場合の白内障手術後のドライアイの症状と所見を比較した。
対象と方法:白内障手術を受けた67眼。ドライアイの治療を受けている症例はなかった。
1週間、1か月、および3ヶ月の時点で、症状スコア、遠見矯正視力(CDVA)、涙液層崩壊時間(BUT)、涙液層ブレークアップパターン(BUP)、および眼表面フルオレセイン染色スコアを評価した。
結果:白内障手術を受けた67眼のうち、既存のドライアイがある症例(グループD)48眼、既存のドライアイなし(グループN)19眼だった。
CDVAは両方のグループで手術後に改善された(P <0.001)。
ドライアイ症状スコアは、グループDでは、自覚症状は手術前よりも術後3回のすべての受診時で有意に低かったが(P <0.001)、グループNでは変化は見られなかった。これは、術後のステロイド点眼薬と非ステロイド性抗炎症点眼薬(NSAID)の使用によりドライアイに伴う異物感と痛みを抑制されたためと考えられる。
BUTはN群では術後1か月で有意に短縮したが、グループDでは術前と比較して術後に有意な変化は見られなかった(P = .006)。
BUP分類は、術前は両群でランダムブレークパターンが多かった。(全体90%、グループD85%、グループN100%)術後、グループNには有意な変化はなかった(P =0.41 )。グループDでは術後1週間から3か月までスポットブレークパターンが大幅に増加した(0眼から6眼; P = 0.01)。
眼表面フルオレセイン染色スコアは、グループN(P = 0.01)の術後1か月で有意に増加したが、グループDでは有意な変化は見られなかった。
結論:70%が白内障手術を受ける前にドライアイを発症していたことがわかった。白内障手術は涙液膜の安定性と眼球表面に影響を与える。一部の患者では、ドライアイが存在していなくても、眼の表面の水濡れ性が一時的に不安定になった。(CH)

2020
34巻

カートリッジと攝子による低侵襲IOL摘出法

その他のジャーナル 34巻 (3号) 2020

福岡佐知子他(多根記念)
IOL&RS 34(3): 467-474, 2020
・DIカートリッジ(HOYA)内腔に福岡氏IOL摘出攝子(はんだや)を通して、攝子を前房内に挿入し、IOL光学部を把持し、カートリッジ内に引き込んで摘出する。
・切開創は3.2mm以上、粘弾物質は常温、カートリッジに粘弾物質を充填、カートリッジ下先端に切り込みを入れる。関連:IOL&RS 34(4):622-627,2020(TY)

2020
64巻

PNVとType1CNVのOCTA特徴は同じ

その他のジャーナル 64巻 (3号) 2020

Features of neovascularization in pachychoroid neovasculopathy compared with type 1 neovascular age-related macular degeneration on optical coherence tomography angiography. 
Arf, S., Sayman Muslubas, I., Hocaoglu, M. et al. (Turkey)
Jpn J Ophthalmol 64(3):  257–264 (2020
【目的】
光干渉断層血管造影(OCTA)を用いて、パキコロイド新生血管症(PNV)と1型血管新生加齢黄斑変性(nAMD)の新生血管膜の特徴を比較
【デザイン】
レトロスペクティブ研究
【対象と方法】
PNVと診断された34の治療未実施眼と、1型nAMDと診断された36の治療未実施眼を評価
新生血管膜(CNV)の形態学的パターンを分類し、AngioVue (Optovue) OCTAのen-face画像を用いて病変の大きさと流路面積を算出
【結果】
年齢(P=0.001)、ベースラインの最良矯正視力(P=0.005)、ベースラインの脈絡膜下層厚(P<0.001)において、群間で有意差がみられた
しかし、膜の形態(P=0.86)、病変の大きさ(P=0.80)、flow area(P=0.96)には統計学的に有意な差は認められなかった
OCTAで検出できたすべてのCNVは、インドシアニングリーン血管造影(ICGA)でも検出できた
しかし,ICGA画像でCNVを確認できた一部(PNVで11.8%,nAMDで16.7%)では、OCTAではCNVを確認できなかった
【結論】
PNVは若い患者や脈絡膜が厚い患者で見られるが、形態学的特徴や血管密度の点では、OCTAで検出された膜はnAMDのそれと変わらない
血管造影は、特に治療を受けていない患者では、(浸出液や出血によるブロックでOCTA信号が散乱する場合があり)未だCNVを同定するためのgold standardである(MK)

2020
37巻

エスターマン両眼開放視野検査による眼瞼下垂術後の視野改善の予測 

その他のジャーナル 37巻 (1号) 2020

鄭暁東、古川雅世、五藤智子、山田寛子、鎌尾知行、白石敦(愛媛大)
あたらしい眼科 2020 : 37(1) 104-108
【目的】
・Humphrey自動視野計に内蔵されているエスターマン両眼開放視野検査によって術後の視野改善を予測できるかどうかを検討
【対象および方法】
・両側,退行性眼瞼下垂の症例44例(男性25例,女性19例、平均年齢76.5±7.8歳)
・全例に挙筋短縮術を施行
・術前の自然開瞼、シミュレーションのためのテーピング開瞼、および術後1カ月の計3回、エスターマン両眼開放視野検査を行い、各時点におけるエスターマンスコアを比較検討
・スコアに影響する因子について検討
【結果】
・全症例で,術中・術後の合併症なし
・MRD1の平均は、術前1.36±1.38mm,術後3.02±1.31mmで有意に改善(p=0.001)
・術前の自然開瞼、テーピング開瞼および術後1カ月のエスターマンスコアは、それぞれ85.3±12.1,90.5±9.8および92.5±8.4で、術前自然開瞼よりテーピング開瞼および術後1カ月では有意に高かった(p=0.032,p=0.001).
・テーピング開瞼と術後1カ月のスコア間には有意差なし(p=0.212)
・術前エスターマンスコアは年齢と有意な負の相関(r=-0.3404,p=0.027)、術前MRD1と有意な正の相関(r=0.4766,p=0.001)を認め、・術後スコアの改善率は術前スコア(r=-0.683,p<0.001)および挙筋機能(r=-0.3899,p=0.023)と有意な負の相関を認めた
【結論】
・エスターマン両眼開放視野検査は,眼瞼下垂術後の視野改善効果を定量的に予測しうる簡便な方法と思われた

【ポイント】
・図4:テーピング開瞼によるシミュレーション;40.9%は術後と一致、47.7%は低評価
→術前テーピング開瞼によるエスターマンスコアの改善を認めた症例には、積極的に手術を勧めることができると考えられる(MK)

2020
12巻

特定健診における緑内障有病率

その他のジャーナル 12巻 2020

Detection of glaucoma and other vision-threatening ocular diseases in the population recruited at specific health checkups in Japan.
Yamada M, Hiratsuka Y Nakano T et al(Jpn): Clin Epidemiol 12: 1381-1388, 2020
・3つの自治体の16眼科施設で、2017/6~12月に、特定健診時に眼科検査を行なって緑内障有病率を調査した。
・対象者は1360名、年齢63.7±8.7歳(40-74歳)である。
・緑内障は168名(12.4%)、前視野緑内障は33名(2.4%)、症状のある白内障は77名(5.7%)、黄斑前膜39名(2.9%)などであった。
・緑内障のうち81.0%がNTG、12.5%がPOAGであり、年齢とともに有病率は高くなり、また、女性よりも男性の有病率が高かった。
・緑内障168名のなかで、既に診断を受けていた人は37名(22.0%)、新規に見つかった人は131名(78.0%)であった。

2020
0巻

硝子体注射前後の抗菌薬投与と眼内炎

その他のジャーナル 0巻 2020

Incidence of endophthalmitis after intravitreal injection of an anti-VEGF agent with or without topical antibiotics. 
Morioka, M., Takamura, Y., Nagai, K. et al. (福井大)
Sci Rep 10, 22122 (2020). https://doi.org/10.1038/s41598-020-79377-w

抗VEGF薬の硝子体注射(IVI)を受けた患者の記録をレトロスペクティブに分析
多施設共同研究(18施設)
ほとんどの施設でマスク、滅菌手袋、ドレープを使用
147,440眼、眼内炎の発生率は0.007%であった:
抗菌薬不使用で0.005%、
注射前のみ抗菌薬投与で0.009%、
注射後のみ抗菌薬投与で0.012%、
注射前後に抗菌薬投与で0.005%であった
4群間に統計学的有意差なし(カイ二乗検定、p=0.57)。
眼内炎を発症した10眼のうち9眼は局所抗生物質の投与を受けていた
感染眼はすべてプレフィルドシリンジではないアフリベルセプトによるIVIであった
複数回のIVIを受けた4例では、原因菌の検出から使用した抗生物質に対する耐性あり
【結論】この大規模な集団から得られたデータは、抗生物質の投与の有無にかかわらず、抗生物質の予防投与はIVI後の眼内炎の発生率を減少させないことを示唆している。(MK)

2019
61巻

ブリモニジン点眼液使用経過中に発症した角膜実質炎の3例

その他のジャーナル 61巻 (13号) 2019

依藤 彰記、岡本 真奈、 粕本 愉美、五味 文(兵庫医大) 
眼科 2019: 61 (13) 1527-1533
・ブリモニジン酒石酸塩点眼液(アイファガンⓇ,以下BT)の主な副作用として結膜充血,アレルギー性結膜炎などがあるが,角膜炎の報告は少ない
・BT使用の経過中に発症した角膜実質炎3例の報告
【症例1】62歳女性。4年前から両眼にBTならびに緑内障治療薬2剤を使用。右眼鼻下側角膜周辺部に実質深層の密な新生血管を伴う濃厚な半円状角膜混濁と結膜充血を認めた。副腎皮質ステロイド薬点眼と抗ヘルペス薬を使用し,BTを中止した。混濁は軽減したが残存し,矯正視力0.8と低下した。抗ヘルペス薬は中止したが再燃はない。
【症例2】79歳女性。6年前から両眼にBTほか2剤を使用。左眼鼻下側角膜周辺部に実質深層の新生血管を伴う濃厚な弧状角膜混濁を認めた。副腎皮質ステロイド薬点眼と抗ヘルペス薬を使用し,BTを中止した。混濁は軽減したが残存した。視力低下は認めなかった。
【症例3】76歳男性。3年前から両眼にBTとヒアルロン酸点眼液を使用。左眼耳下側角膜周辺部に実質深層の密な新生血管を伴う濃厚な半円状角膜混濁と結膜充血,濾胞を認めた。副腎皮質ステロイド薬点眼を使用し,BTを中止した。混濁は軽減したが残存した。
【結論】
・全例BT使用中に出現した角膜炎であること、角膜ヘルペスの既往はないこと、実質深層の新生血管を伴う角膜周辺部病変で,既報の所見*に類似していることから、BTが発症に関与した可能性のある角膜実質炎と診断した
・緑内障治療中の患者に周辺部角膜実質炎をみたら,BT使用歴の確認も必要である
【ポイント】
・本報・既報ともBT使用開始後数年経過してからの発症
・片眼発症、濾胞性結膜炎との関連みられず
・発症機序不明
・ステロイド点眼にて新生血管は消退するも角膜混濁は残存
*Manabe Y, et.al. Eur J Ophthalmol 2019 May 17: doi: 10.1177/1120672119850080(MK)

2019
38巻

毛様体扁平部挿入タイプの緑内障ドレナージ装置を有する眼における角膜内皮移植術の結果

その他のジャーナル 38巻 (11号) 2019

Outcomes of Descemet Stripping Endothelial Keratoplasty in Eyes With Pars Plana Versus Anterior Chamber Glaucoma Drainage Devices
Joann J. Kang, (NY, USA)
Cornea 2019(11);38:1364–1369
目的:前房タイプ(AC)または毛様体扁平部(PP)タイプの緑内障ドレナージ装置(GDD)のある症例に角膜内皮移植術(DSEK)を施行し、術後結果を比較する。
対象と方法:2007年1月から2017年12月の間に、GDDの存在下でDSEKを受けた患者83人85眼で、合計122回DSEK を行なった。
ACチューブ37眼、PPチューブ48眼、平均年齢71.1(SD = 13.4)歳
原因疾患はフックス角膜内皮変性症、他の角膜移植後の移植片不全だった。
結果:術前平均視力 AC グループ1.50 LogMAR、 PPグループ1.37 LogMAR(P = 0.36)、術後平均視力 AC グループ0.88 LogMAR、 PPグループ1.20 LogMAR(P = 0.06)と改善した。
ACグループ:視力の改善70.3%、不変10.8%、低下18.9%。 PPグループで視力改善54.2、不変16.7%、悪化29.2%。悪化の原因は、移植片不全、緑内障の進行、および網膜疾患が最も一般的だった。
術前眼圧 AC グループ 13.4mmHg、PPグループ 14.6 mmHg、術後眼圧 AC グループ 14.5mmHg、PPグループ 11.5 mmHg
合併症 移植片解離はAC 35.1% (13/37)、PPグループ 29.2 % (14/48)。
移植片不全の症例はACグループ 18.9%(7/37眼)、PPグループ41.7%(20/48眼)、不全に至るまでの平均期間はACグループ17.1か月(4.6–32.1)およびPPグループ27.9か月(15.1–34.7)だった。
移植片解離または移植片不全に関連する要因(チューブの位置、年齢、性別、同時チューブ修正など)は見つからなかった。
結論:チューブの移植片への近接度が低下するという理論上の利点にもかかわらず、PPチューブの症例での利点はなかった。GDDの場所に関係なく、移植片不全なる確率は高く、今までの文献と一致している。(CH)

2019
123巻

ドライアイに合併した糸状角膜炎の機序とその治療の現状

その他のジャーナル 123巻 (11号) 2019

Mechanism and Current State of Treatment for Filamentary Keratitis with Dry Eye
青木崇倫 他(京都府立医大)
日眼会誌123:1065-1070,2019(11)
・ドライアイ外来にて経過観察、治療中のドライアイのうち糸状角膜炎を伴う症例の背景および、その治療と経過についてレトロスペクテイブに検討した。
・対象と方法:糸状角膜炎に対して治療開始後少なくとも3か月以上経過観察できた53例53眼(男性7例7眼,女性46例46眼、両眼性の場合は症状の強いほうの眼を採用)。年齢は39-88歳(平均値±標準偏差: 69.8± 10.5歳)で,観察期間3-46か月(平均21.3か月)。
・FK発見時のドライアイ診断は、ドライアイ確定46例(87%)で最も多く(87%)、推定される機序は涙液減少39例(74%)が多かった。推定される機序によらず、発見時にジクアホソルナトリウム点眼液を使用している例が多かった(涙液減少: 39%,摩擦克進: 30%,複合機序: 75%)。涙液減少が主な機序と考えられるFKでは、その改善のため上・下涙点プラグの挿入を要した例が多く(71%)、摩擦克進が主な機序と考えられるFKでは、パミピド懸濁点眼液での改善が最も多かった(63%)。
・糸状角膜炎の機序は,多岐にわたるが,最も一般的な機序として涙液減少型ドライアイがあり、その他、摩擦関連疾患などいくつかの疾患や病態が複合的に関与すると考えられた。また, 戻液減少を機序とする糸状角膜炎には戻点プラグ治療が最も効果的であり、摩擦充進が主たる機序と考えられる糸状角膜炎に対しては、 RMが有効と考えられた。一方、ドライアイに合併する糸状角膜炎の発症に、 DQSが関与している可能性があり、ムチン/水分比の増加、涙液の粘性の増加を促し、結巣として摩擦の増加を招いて角膜糸状物が形成されやすくなると推察される。(CH)

2019
3巻

CSC患者の進行を予測する遺伝子多型

その他のジャーナル 3巻 (11号) 2019

Predictive Genes for the Prognosis of Central Serous Chorioretinopathy
Yoshikatsu Hosoda, Kenji Yamashiro, et al.(京都大)
Ophthalmol Retina. 2019;3(11)985-992
・CSC患者のSRD自然吸収やCNV発生を予測しうる遺伝子を検索
・CSC患者カルテを後ろ向きに調査、SRD消失をOCTで確認
・SRD消失までの期間をKaplan-Meyer法で解析
CFH I62V、ARMS2 A69S、VIPR2 rs3793217の遺伝子多型とSRD消失期間・CNV発生との関連を評価
・196眼中105眼でフォローアップ期間中にSRD消失
・68眼が治療受け、23眼がSRD消失のため受診中断
・3種の遺伝子多型のうち、CFH I62VのみがSRD自然吸収と関連(P=0.017);genotypeごとにAA(126.6±115.5日)、AG(157.7±243.1日)、GG(242.7±198.0日)→GアレルがSRD遷延と有意に関連(P=0.035)
・14眼でCNV発生、CFH I62VのGアレルとARMS2 A69SのTアレルが有意に関連(P=0.0023、P=0.019)
・・CFH I62VとARMS2 A69Sの遺伝子多型はCSCの進行を予測しうる。CSC患者の遺伝学的状態をしることで早期治療の必要性やCNVの発生を判断する助けになる。(MK)

2019
38巻

より安定した極薄DSAEK移植片作成のための60秒間の膨潤技術

その他のジャーナル 38巻 (10号) 2019

A Simple 60-Second Swelling Technique for More Consistent Ultrathin DSAEK Graft Preparation
Farbman, Neil H. et al. (CA,USA)
Cornea 2019(10);38:1209-1214
目的:極薄DSAEK(UT-DSAEK)は文献で定義されていないが、最も一般的には約100μm以下の移植片を指す。今までの手法では均一の極薄組織を作れるわけではなく、組織の損失や準備時間を増やし、組織処理にかなりの経済的コストがかかる可能性がある。
今回、単純だが新しい60秒間の膨張技術を使用することにより、移植片の品質を損なうことなく、安定してより薄い移植片を作れる事を実証する。
対象と方法:ML7 Microkeratome Donor Cornea System(Med-Logics Inc、Athens、TX)を使用した標準DSAEK移植片30眼と、角膜上皮の除去後の緩衝塩類溶液(BSS: Balanced Salt Solution)に角膜実質を60秒間浸した後ML7 Microkeratome Donor Cornea Systemでカットした移植片30眼。
結果: 膨張させた組織の平均移植片厚さは83.3μmで、標準移植片96.4μmよりも13.1μm薄かった。 100μm未満の移植片の割合は、標準移植片では63.3%、膨張移植片 では93.3%だった。角膜内皮細胞数は2つのグループ間に有意差はなかった。合併症は認められなかった。
結論:単純な60秒間の膨張技術により、内皮細胞数に大きな影響を与えることなく、安定した薄いDSAEK組織が得られる。(CH)

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