Effect of Nd:YAG laser capsulotomy on the risk for retinal detachment after cataract surgery: systematic review and meta-analysis.
Liu H et al(China)
J Cataract Refract Surg 48(2): 238-244, 2022
・Nd:YAGレーザーが偽水晶体眼網膜剥離RDの発症に影響するかどうかを、PubMedとEmbaseデータベースを基に検討した。
・65,117眼の白内障手術後の309例の網膜剥離例についての11論文を解析した。
・このうち、Nd:YAGレーザー施行例は8,232眼である。
・解析では、Nd:YAGレーザー施行例ではRDの発症率は増加。
・Rerative risk(RR)=1.57 95%CI=1.17-2.12 p=0.003。Hazard ratio=1.64 95%CI=1.03-2.62 p=0.04であった。
・地域別の解析では、アジア人では強い関連があり、RR=4.54 95%CI=2.20-9.38 p<0.001であったのに対し、米国人ではp=0.12、欧米人などではp=0.21で、相関がなかった。
・手法の解析では、囊外摘出ではRR=2.97 95%CI=1.83-4.83 p<0.001であったのに対し、PEAではp=0.95と、相関がみられなかった。(TY)
Antibiotic prophylaxis of postoperative endophthalmitis after cataract surgery: results of the 2021 ASCRS member survey.
Chang DF et al(CA USA)
J Cataract Refract Surg 48(1): 3-7, 2022
・2021年2月に5052名のASCRSメンバーにアンケート調査を行ない、1205名の白内障術者から回答を得た。
・米国からが76%である。
・前房内へ予防的抗生剤投与は、2007年は30%、2014年は50%であったが、今回は66%で行なっており、投与経路は、灌流液内への抗生剤投与が5%、前房内注入が95%であった。
・バンコマイシンは米国では2014年は52%であったが、今回は6%に減っていた。
・モキシフロキサシンは2014年は31%であったが、今回は83%であった。
・抗生剤点眼薬の術前投与は85%から73%に減り、術後投与は97%から86%に減っていた。(TY)
Effect of age and cycloplegia on the morphology of the human crystalline lens: swept-source OCT study.
Li Z et al(China)
J Cataract Refract Surg 48(1): 8-15, 2022
・SS-OCTを使用して水晶体の形状に対する年齢あるいは毛様体麻痺剤の効果を18歳から86歳の76名において検討した。
・水晶体前面曲率半径ALRと前房深度ACDは年齢と負の相関があり(p<0.02)、水晶体厚LT、強膜岬面からの水晶体膨隆度LV、水晶体赤道部直径LEDは年齢と正の相関があった(p<0.04)。
・60歳以下の人では毛様体麻痺剤によって、水晶体前面曲率ALRと前房深度ACDは有意に増加し、水晶体膨隆度LVと水晶体厚LTは有意に減少した(いずれもp<0.001)。(TY)
J Cataract Refract Surg 48(1): 177-184, 2022
Culp C et al(UT USA)
Clinical and histopathological findings in the dead bag syndrome.
・Dead Bag Syndromeについて症例を報告する。
・Dead Bag Syndromeとは、Masket Sが名付けた症候群で、術後何年にも渡って嚢が透明でひらひらしており、嚢内にIOLをしっかりと保持できない形でIOLが脱臼いているものをいう。
・10例のDBSのなかで、IOL偏位が見られた8例のIOLを摘出し、そのうち7例では嚢も摘出し光顕で調査した。
・嚢は薄く、分離しているものもあり、2例では水晶体上皮細胞(LECs)は完全に消失していたが、5例ではLECsは嚢の内側に僅かに残っていた。
・摘出したIOLは3-piece silicone IOLとsingle-pieceの疎水性アクリルIOLである。
・IOLの1例では少量の色素沈着がみられたが、他の4例のIOLでは特に変化はなかった。
・原因は2次的なLECsの増殖がなく、線維化もないことによると思われた。
・チン氏帯の嚢への接着も弱かった。(TY)
Selective transepithelial ablation with simultaneous accelerated corneal crosslinking for corneal regularization of keratoconus: STARE-X protocol.
Rechichi M et al(Italy)
J Cataract Refract Surg 47(11): 1403-1410, 2021
・中心あるいは傍中心部の円錐角膜に対して、Selective transepithelial topography-guided photorefractive keratectomy combined with accelerated corneal crosslinking (STARE-X)を行った時の角膜屈折度の変化や角膜収差について検討した。
・角膜実質の平均除去厚は45.4±12.6μで角膜屈折矯正手術を行った後に角膜クロスリンキングを行った。
・円錐角膜の突出部が中心3mm以内にあるGroup1の50眼と、傍中心部にあるGroup2の50眼について、STARE-Xを行った2年後の成績について検討した。
・両群ともUDVA、CDVAは上昇し、角膜形状も有意に改善しており、高次収差も改善していた(いずれも p<0.001)。
・ただ、CDVAの改善はGp1の方がGp2よりも有意に改善していた(p<0.02)。(TY)
New treatment algorithm for keratoconus and cataract: small-aperture IOL insertion with sequential topography-guided photorefractive keratectomy and simultaneous accelerated corneal crosslinking.
Northey LC et al(Australia)
J Cataract Refract Surg 47(11): 1411-1416, 2021
・円錐角膜と白内障のある4眼について、小さな円形窓のあるIOL(IC-8 IOL AcuFocus製)を角膜切開での白内障手術後に挿入し、同時にtopography-photorefractive keratectomy(T-PRK)と角膜クロスリンキングCXLを行った。
・IC-8の中心の円形窓は1.36mmで、円錐角膜、角膜移植後、RK眼や角膜瘢痕などによる角膜不整のある人に対して、ピンホール効果を狙って作製されたものである。(TY)
Corneal hysteresis and beyond: Does it involve the sclera?
Roberts CJ et al(OH USA)
J Cat Refract Surg 47(4): 427-429, 2021
・角膜のヒステリシス(Hysteresis:CH)を測定するOcular Response Analyzer(ORA)は新しい生体力学の手段を提供した。
・良く誤解されるが、CHは剛性とか弾性係数とかとは違うものであるし、変形に対する弾性抵抗を示すものでもない。
・CH値が低いのは円錐角膜などの柔軟な角膜であったり、加齢とか高眼圧の時の硬い角膜であったりする。
・IOPとの逆相関は良く知られており、IOP上昇に伴いCHは低下する
・例えば、高眼圧の硬い眼は散逸エネルギーが少なく、その結果、CHが低くなる
・粘着性と弾性の反応はいずれもCHに影響し、これらの比率が異なっていても、同じCHになりうる。
・例えば、円錐角膜に対するクロスリンキングCXLを行った1年後にもCHは変わらない。
・CXL後には、圧迫する圧は上昇しているが、CHの定義となっている第1、第2の圧の差(P1-P2)は変わらない。
・例えば、LASIK術後に片眼のみectasiaを発症した症例の両眼の測定のピーク値は全く違うが、CH値は同じであることも知られている。
・CH値が低いことは緑内障性の障害が強く、緑内障進行の予測因子であるとの報告が多いが、どうして角膜の生体力学的なパラメータが視神経の障害と関連するのかがまだ不明瞭である。
・角膜の生体力学的な反応が後部眼球の生体力学的な反応を示している可能性があり、最近、角膜の反応に強膜が影響していることが分かってきた。
・例えば、強膜バックルを行った眼では僚眼よりも強膜が硬くなっており、両眼間には眼圧の差はないが、バックル眼ではCH値が有意に低くなっているが報告されている。
・これは、硬い強膜は押されたときの凹形から、通常の凸形への戻りが早いからである。
・硬い強膜は、角膜が凹になった時の液の移動に反応しにくいため、角膜が大きく変形しにくいと考えられるが、これが角膜が硬いために変形しなかったと誤解されている可能性がある。
・反対に、強膜が柔らかいと大きく変形するため、角膜の変形も大きく、角膜が柔らかいと誤解されやすい。
・つまり、強膜の状態が、CHと緑内障性の視神経障害の両者に係っていると考えられる。(TY)
Safety and efficacy of nepafenac punctal plug delivery system in controlling postoperative ocular pain and inflammation after cataract surgery.
Eric D. Donnenfeld,et al.(SC USA)
J Cataract Refract Surg 2021(2); 47: 158-164
・白内障手術後のネパフェナク涙点プラグデリバリーシステム(N-PPDS)の安全性と有効性を評価すること。
・ネパフェナク涙点プラグデリバリーシステム(N-PPDS)は、テキサス州オースティンのMati Therapeuticsによって開発された、最大6週間の持続的な一定のレベルの薬剤を提供するL字型涙点プラグ。
・白内障術後の遠方矯正視力が20/30以上で、涙点が1.0 mmまで拡大できると予想される56人(22歳以上)。ネパフェナク(N-PPDS群; n = 38眼)またはプラセボ(p-PPDSコントロール群; n = 18眼)のいずれかを投与された。
・予定された白内障手術の1日から2日前に、各患者の下涙点に涙点プラグ(N-PPDSまたはp-PPDS)を挿入した。
・白内障手術の1日後、3±1日後、7±1日後、および14±2日後に、プラグの保持、眼痛、および手術眼の炎症について評価された。14日目の受診時にすべての涙点プラグが取り外された。
・N-PPDS群は、p-PPDS群よりも無痛患者の割合が有意に高かった(22/32 [69%] 対 6/16 [38%] at 3 days, P = 0.038; and 24/36 [67%] 対 5/16 [31%] at 7 days, P = 0.018)。
・炎症スコアは、術後7日でN-PPDS群で良好だった(前房炎症細胞のない患者:N-PPDS 群18/36 [50%]対p-PPDS 群3/16 [19%]; P = 0.034)。
・プラグ保持率は術後14日で98%(55/56)だった。プラグの押し出しは、術後1日目にN-PPDS群の1例で発生した。
・術後平均裸眼視力は、術後7日目(N-PPDS 群20/25対p-PPDS群20/36)および14日目(N-PPDS群 20/25 vs p-PPDS 群20/32)でN-PPDS群で有意に優れていた。
・N-PPDSは、術後直後の眼の痛みと炎症を軽減するのに効果的であり、安全性と視力の結果はp-PPDSよりも優れていた。(CH)
Risk of posterior capsular rupture during phacoemulsification cataract surgery in eyes with previous intravitreal antivascular endothelial growth factor injections.
Nagar AM et al(UK)
J Cataract Ref Surg 46(2): 204-208, 2020
・2016/8-2018/1の超音波乳化手術4047眼の内の4044眼について、硝子体注射IVIを受けていた108眼(2.7%)の種類や回数(10.4±8.1回)を調査した。
・抗VEGF治療を受けた例では後嚢破損PCRの率が高く(6.67%:1.88% OR=4.93 p<0.0001)、抗VEGF治療の回数とPCR発生には相関があり、1回のIVI毎にPCR発生リスクが8.6%上昇していた(OR=1.086 95%CI=1.040-1.135 p=0.0002)。
・10回以上のIVIではそれ以下のものに比較して有意に高かった(14.3%:6.1% p=0.18)。
・IVIは15名の研修を受けた眼科医が行い、手術は10名の熟練医と12名の研修医が行い、全体のPCR発生率は2.08%(84/4047)であった。
・術前に後嚢に構造的な障害がない場合でも、IVIを受けていた患者ではPCRのリスクが高いことを認識すべきである。(TY)
Severe corneal melting after cataract surgery in patients prescribed topical postoperative NSAIDs and dexamethasone/neomycin combination therapy.
Cabourne E et al(UK)
J Cataract Refract Surg 46(1): 138-142, 2020
・白内障手術後にKetrolac点眼(Acular)とneomycin/polymyxin B/dexamethason(Maxitrol)点眼を使用した3例に角膜症を発症した。
・ネオマイシンはフラジオマイシンと同じで、ネオメドロールEE眼軟膏はプレドニゾロンとフラジオマイシンの合剤である。
・同様の点眼を使用していた患者のカルテ970例をチェックした所、他の10例にも同様の角膜症を発症していたことが判明した(13/970=1.3%)。
・13例中5例で角膜融解がおこり、そのうち1例で角膜穿孔、眼内炎を発症した。
・13例中8例の最終視力は6/36以下であった。
・NSAIDs点眼とneomycinや塩化ベンザルコニウムの併用は重症な角膜症を発症しうることを喚起したい。(TY)
Comparison of formula accuracy for intraocular lens power calculation based on measurements by a swept-source optical coherence tomography optical biometer.
Savini G, Hoffer KJ et al(Italy,USA)
J Cataract Refract Surg 46(1): 27-33, 2020
・SS-OCT測定器を用いてIOL計算式結果を比較した。
・Tomey OA-2000を用いて、Acrysof SN60WFのIOLについて150眼で検討した。
・計算式はBarrett Universal2, EVO(Emmetropia Verifying Optical), Haigis, Hoffer Q, Holladay1, Holladay2, 眼軸長補正Holladay2, Kane, Olsen, Panacea, SRK/T, VRF(Voytsekhivskyy)を用い、術1か月後の屈折値と比較した。
・全計算式とも誤差の中間値は0.200-0.259D以内であったが、計算式毎に有意差があった(p=0.0004)。
・誤差中間値の少ないものがBarrett:0.202D, EVO:0.205, Kane:0.200, Olsen Standalone:0.209, RBF(Radial Bssis Function):0.205, T2(SRK/Tの修正版):0.200であった。
・予測誤差が±0.5D以内に入った率は80.0%-90.67%で、計算式毎に有意差があり(0<0.0001)、Barrett:88.0%,EVO:90.67%, 眼軸長調整Holladay2:89.33%, Kane:90.0%, RBF:90.67%, T2:88.67%が良かった。
・Tomey OA-2000:今のところ、Kane式の搭載の予定はないとのこと。(TY)
Diffuse lamellar keratitis asociated with tabletop autoclave biofilms: case series and review.
Sorenson AL et al(CA USA)
J Cataract Ref Surg 46(3): 340-349, 2020
・STATIMオートクレブのタンクのbiofilmに起因したdiffuse lamellar keratitis(DLK)のクラスターについて検討した。
・2010/1から2014/12の5年間に1,115眼のLASIKを行ない、その間、手順変更を行った。
・2010/9-2012/6には147/395眼(37.2%)にDLKが発生したため、STATIM2000を更新し、タンクの滅菌を始めた所、その後の30ヶ月ではDLKの発症は14/632(2.2%)に減少した(p<0.0001)。
・旧タンク壁を培養した所、Pseudomonas、Burkholderiaが培養された。
・タンクには病原性をもつbiofilmが発生し、DLKやTASSの温床になるので、タンクの厳格な管理が必要である。
・新品のタンクを使用し、使用後に乾燥させたとしても20日間使用するとbiofilmが培養される。
・沸騰した湯で清浄することが必要である。
・以下が推奨である。
1)スイッチをoff、
2)タンクの蓋とフィルタ-を外す、
3)排出管でタンクを完全に乾かす、
4)約4リットルのタンクを煮沸した蒸留水で満たす。水道水では駄目である、
5)煮沸蒸留水を2-3分間、満たしておく、
6)次回使用迄、タンクは乾燥させておく、
7)次回の使用時にタンクを室温蒸留水で満たす、
8)電源をonにして使用する。
参照:Sorenson AL et al,Toxic anterior segment syndrome caused by autoclave resorvoir wall biofilms and their residual toxins.J Cataract Refract Surg 42:1602,2016(TY)
Assessment of the accuracy of new and updated intraocular lens power calculation formulas in 10930 eyes from the UK National Health Service.
Darcy K, Kane JX et al(Australia)
J Cataract Refract Surg 46(1): 2-7, 2020
・眼内レンズ度数計算の新しい計算式(Kane, Hill-RBF2.0, 眼軸長補正Holladay2)と現在汎用されている計算式(Barrett Universal2, Olsen, Haigis, Holladay1, Hoffer Q, SRK/T)とを比較検討した。
・10930眼に使用した眼内レンズは4種類で、眼軸長毎に検討した。
・その結果、Kane式が平均予測誤差(MAE:mean absolute prediction error)が有意に小さかった(p<0.001)。
・Kane式に次いで、Hill-RBF2.0、Olsen、Holladay2、Barrett Universal2、Holladay1、SRK/T、Haigis、Hoffer Qであった。
・予測値が±0.5D以内の比率はKane:72.0%, Hill-RBF2.0:71.2%, Olsen:70.6%, olladay2 :71.0%, Barrett2:70.7%, SRK/T:69.1%, Haigis:69%, Hoffer Q:68.1%であった。
・Kane式は眼軸長の短、中、長の全ての群、IOLの4種全てで誤差が最小であった。
・Holladay2と、Hill-RBF2.0式は前のversionより予測度が改善していた。(TY)
Endophtalmitis reduction with intracameral moxifloxacin in eyes with and without surgical complications: results from 2 million consecutive cataract surgeries.
Haripriya A et al(India)
J Cataract Refract Surg 45(9): 1226-1233, 2019
・スタッフと研修医での後嚢破損PCRに頻度、合併症なし眼とあり眼での術後眼内炎の頻度を前房内moxifloxacin(ICMP)投与群となし群で検討した。
・白内障手術は超音波乳化吸引手術あるいは小切開manual白内障手術(M-SICS)を行った。
・10ヶ所の病院で8年間に行った2,062,643眼を対象として検討した。
・全術後眼内炎頻度はICMP投与群では692/993,009(0.07%)から185/1,069,634(0.02%)に有意に減少しており(p<0.001)、PE手術でもM-SICSでも同じ傾向であった。
・PCR発生率は28,352/2,062,643(1.37%)で研修医でより多かった(p<0.001)。
・ICMP処置をしない場合、PCR発生は術後眼内炎の発症率を7倍(63/14,505 0.43%に上昇させたが、ICMP処置を行った場合、25/13,847(0.18%)に減少させることができた(P=0.002)。
・術後眼内炎発症率はIOL2次移植時に殊に高く、ICMPなしで0.90%、ICMP処置でも0.34%であった。(TY)
Comparison of eye-rubbing effect in keratoconic eyes and healthy eyes using Scheimpflug analysis and a dynamic bidirectional applanation device.
Henriquez MA et al(Switz)
J Cataract Ref Surg 45(8): 1156-1162, 2019
・31名の円錐角膜患者と30名のCtrl者で眼瞼を擦った影響をScheimpflug、角膜形状、角膜厚等で測定した。
・眼瞼を1分間擦り、5分の間隔を開けて再度1分間擦り、その直後、7分後、14分後に測定した。
・眼瞼を擦った直後の変化を円錐角膜とCtrlで比較すると、角膜前面強主経線-0.03±0.32:0.07±0.15D、角膜後面乱視0.14±0.50(p=0.03):-0.01±0.08D、前房容積ー5.09±8.45(p=0.0003):0.03±7.06mm3、角膜後面弱主経線0.03±0.06:ー0.001±0.04mm、眼圧ー1.61±1.41(p=0.001):-1.21±1.99mmHgであった(有意差あったものにはp値添付)。(TY)
Comparison of eye-rubbing effect in keratoconic eyes and healthy eyes using Scheimpflug analysis and a dynamic bidirectional applanation device
MA Henriquez, et al. (Peru)
J Catacact Refract Surg 2019;45(8):1156-1162
・健常者30眼、円錐角膜31眼
・眼を1分間こすり、5秒の休憩の後さらに1分間こすった
・こする前、こすった直後・7分後・14分後に、Scheimpflug カメラ(ペンタカムHR)およびOcular Response Analyzerで角膜・眼圧パラメーターを測定
・円錐角膜眼ではこすった後に角膜後面乱視・前房体積(ACV)・ゴールドマンで補正した眼圧(IOPg)が有意に変化
・健常眼では各パラメータとも有意な変化みられず(MK)
A modified intraocuar lens design to reduce negative dysphotopsia.
Erie JC et al(CA USA)
J Cataract Ref Surg 45(7): 1013-1019, 2019
・Negative dysphotopsiaを軽減するためのIOLデザインを光線追跡ソフトを用いて検討した。
・通常の高屈折率IOLでは光が入らない鼻側網膜は85度から93度に発生するが、周辺部後面が凹となったIOLでは暗くなる部位へも光が入るようになっていた。
・この様なデザインのIOLを使用すればnegative dysphotopsiaを減らす事ができる。(TY)
The impact of glistenings on the optical quality of a hydrophobic acrylic intraocular lens
Jan N.Weindler, et al. (Germany)
J Cataract Refract Surg 2019; 45(7):1020-1025
【目的】
疎水性アクリルIOLのグリスニングが視機能に与える影響をin vitroで検証
【対象と方法】
・AcrySof SA60AT 38枚を45℃まで温め(2h-100日)、その後37℃まで冷やす
・光学顕微鏡写真でmicrovaculoles(MV)の大きさと数を計測、1平方mmあたりのMV数でグレード分け;0(なし)、1(1-100)、2(101-200)、3(201-500)、4(500-)
・Automated IOL test stationにてグリスニング発生前後のIOLの光学的な質を評価
【結果】
・全てのIOLでグリスニングが発生
・グレード1-3では発生前後で光学的質の低下は見られず、グレード4では変調伝達関数(MTF)とStrehl比が有意に低下
【結論】
・500MV/mm2以下の限定的なグリスニングでは視機能に影響を及ぼさない
・グレード4では光学的質の低下はみられるも、その影響は小さく視機能には影響を及ぼさないだろう(MK)
Clinical and experimental evaluation of new back-flow hydrodissection technique
Atsushi Hirota, Tetsuro Oshika,et al.(広田眼科・筑波大)
J Cataract Refract Surg 2019; 45(7):1280-1284
・IAハンドピースの吸引側にメス-メスコネクターを介して灌流チューブを接続、灌流側は開放
・IAチップをCCC下にもぐらせ吸引口を周辺部に向け灌流
・200眼を従来ハイドロ法と本法にランダムに分け比較、ハイドロ成功率・手術時間・合併症率に有意差なし
・従来ハイドロ法ではフルオ染色した粘弾性物質がすぐに流出、本法では流出わずか
・内視鏡観察;従来ハイドロ法では急激な後嚢突出、本法では軽微
・IAハンドピースを用いたBack-flowハイドロ法は、レンズを嚢より確実に分離する、安全で効果的な方法である(MK)
Comparative evaluation of femtosecond laser-assisted cataract surgery and conventional phacoemulsification in eyes with a shallow anterior chamber
Viraj A. Vasavada, et al. (India)
J Cataract Refract Surg 2019(5); 45:547-552
目的:浅前房眼に対するフェムトセカンドレーザー白内障手術(FLACS)と従来の水晶体超音波乳化吸引術の術中、術後成績を比較する。
方法:浅前房眼(<2.5mm)で白内障手術を受ける患者を、FLACS(FLACS群)または従来の水晶体超音波乳化吸引術(Phaco群)を受けるように無作為に振り分けた。
患者を術後1日、1週間、1、3、6ヶ月後に追跡調査した。
中心角膜厚(CCT)、1週間後の角膜の透明度、前房細胞とフレア、角膜内皮細胞密度(ECD)、矯正していない遠見視力(UDVA)を比較検討した。
結果:FLACS群91眼、Phaco群91眼の全182眼。
術後1日および1週間で両群ともベースラインと比較してCCTが増加した。しか、平均CCTは、FLACS群と比較してPhaco群で有意に高かった(P <0.05)。 CCTは両群とも術後1ヶ月でベースライン時に戻った。(表3)
前房細胞とフレアは、術後1日、1週間で、白内障グレード2以上のFLACS群で有意に低い割合を示した。しかし術後1ヶ月で、両群とも検出可能な細胞またはフレアはなかった。(表4)
術前平均ECDは両群間で有意差はなかった。術後6か月までECDは両群で術前より低かった。術後6か月ECD減少率はFLACS群7.55%、Phaco群8.20%だった。両群間で有意差はなかった。(表5、6)
術前UDVAの平均値は、FLACS群0.67±0.05 logMAR、Phaco群0.72±0.67 logMARであり、群間で統計的な有意差はなかった(P = 0.56)(表7)。術後1週ではFLACS群0.18±0.31 logMAR、Phaco群0.27±0.65 logMARで有意差を認めた(P = 0.042)。しかし、その後は両群間で差はなかった。(表7)
結論:浅前房眼では従来の水晶体超音波乳化吸引術後の角膜浮腫および炎症の危険性が高い。
FLACSは特に術後早期の角膜浮腫および炎症の改善をもたらした。従来の白内障手術と同等の安全性と有効性を示した。(CH)