Joao Luis Silva et al (Portugal)
J Cataract Refract Surg 42(4) :520–523, 2016
外傷などで虹彩離断が生じた際の新しい修正方法
9-0非吸収糸(ナイロンまたはポリプロピレン)
40mmの27G針
1時間の間隔をあけて眼内よりループを出しながら27G針を出し入れし、最後に縫合(MM)
Anterior zonulotomy: Rescue technique for capsulorhexis tear-out.
Page TP(MI USA)
J Cataract Refract Surg 41(10): 2036-2039, 2015
・CCCの途中で亀裂が赤道部に向かいかけた時の対処法を述べる。
・まず、粘弾物質を十分に虹彩下にいれ、マイクロ剪刀用のside-portを作る。
・チン氏帯下に剪刀の刃を入れて、切断する。チン氏帯部が見えない時は虹彩リトラクターを使用する。(TY)
Intracameral phenylephrine and ketorolac during cataract surgery to maintain intraoperative mydriasis and reduce postoperative ocular pain: Integrated results from 2pivotal phase 3 studies.
Hovanesian JA et al(WA USA)
J Cataract Refract Surg 41(10): 2060-2068, 2015
・Phenylephrine 1.0%-ketorolac 0.3%(Omidria)を前房注入することが術中散瞳と術後疼痛軽減に役立つかを、USとオランダの20施設で検討した。
・808例(治療が403例、偽薬が405例)で検討した。
・瞳孔径は術中ビデオを1分ごとに解析し、area under the curve(AUC:実際には瞳孔径mm)で表示した。
・AUCは治療群では0.08mm(n=379)で、偽薬群は-0.50mm(n=380)であり(p<0.0001)、疼痛軽減にも有効であった。この合剤はFDAの承認を受けたので、今後、有効に使用できる。(TY)
Measuring the cataractous lens.
Shammas HJ et al(CA USA)
J Cataract Refract Surg 41(9): 1875-1879, 2015
・水晶体厚、前部皮質、核厚、後部皮質について若年者の透明水晶体80眼と高齢者白内障200眼を比較した。
・白内障眼では水晶体厚は4.65±0.41で、若年者群の4.09±0.33mmより有意に厚く(p<0.001)、前部皮質は0.84±0.21:0.35±0.11(p<0.001)で有意差があったが、核厚は3.31±0.25:3.27±0.27(p=0.12)、後部皮質は0.51±0.16:0.48±0.13mm(p=0.23)と有意差はなかった。
・前房深度は3.10±0.37:3.33±0.34で有意差があった(p<0.001)。
・水晶体厚と前部皮質(r=0.69)、核厚(0.69)、後部皮質(r=0.59)と正の相関があった。
・眼軸長と水晶体厚(r=-0.06)、前部皮質(r=-0.08)、核厚(r=-0.10)、後部皮質(r=-0.10)とは弱い負の相関があった。
・前房深度とそれらとはいずれも負の相関があった(r=-0.57, -0.43, -0.42, -0.22)。水晶体厚は年齢(r=0.28)、前部皮質(r=0.32)、後部皮質(r=0.26)と正の相関があったが、核厚は相関がなかった(図)。(TY)
In vitro biofilm distribution on the intraocular lens surface of different biomaterials.
Mazoteras P et al(Spain)
J Cataract Refract Surg 41(9): 1980-1988, 2015
・眼内レンズ表面に付着した細菌について検討した。
・眼内炎症状のないdonor眼球から取り出した6眼のIOLを走査電顕を用いてbiofilm形成を調べた所、6眼中2眼(PMMAとsilicone)でbiofilm形成がみられたが、hydrophilic or hydrophobic acrylic IOLでは見られなかった。
・清潔なHydrophilic acrylic(親水性)、hydrophobic acrylic(疎水性)、PMMA、heparinized PMMA、siliconeの5種類のIOL素材を表皮ブ菌のbiofilm形成株で汚染させたところ、3時間の培養ではhydrophilic acrylicとPMMAでは有意に細菌数は少なかったが、72時間培養ではIOL素材間の差はなくなっていた。(TY)
Association between corneal hysteresis and the magnitude of intraocular pressure decrease after cataract surgery.
Deol M et al(NY USA)
J Cataract Refract Surg 41(6): 1176-7781, 2015
・緑内障のない患者で、角膜ヒステレシス(CH)と白内障(PEA+IOL)術後の眼圧変化を調べた。
・39例65眼で角膜厚(CCT)と術前と術後2-4か月、10-12か月でOcular Response Analyzerを用いてCHを調べた。
・平均年齢は70.8±8.6歳。
・術前眼圧は14.8±3.5mmHg、術後2-4か月後は11.9±3.4、10-12か月後は12.6±3.1であり、術前とはいずれもp<0.01で有意差があった。
・術前のCHは術後2-4か月のIOP下降を予測できなかったが(p=0.06)、術後10-12か月のIOP下降と相関しており(P=0.01)、CHが低いほど術後のIOP下降率が大きいことが分った。
・角膜厚はIOP下降との関連はなかった。(TY)
Antibiotic prophylaxis of postoperative endophthalmitis after cataract surgery: results of the 2014 ASCRS member survey.
Chang DF et al(CA USA)
J Cataract Refract Surg 41(6): 1300-1305, 2015
・2014年のASCRSメンバーのonline調査では、2007年の調査と比較して前房内抗生剤注入が増えていることが分った(30%→50%)。
・国別では米カナダ70%、ヨーロッパ9%、南米等13%、アフリカ8%、アジア等1%である。
・75%の人は前房内注入用の抗生剤が市販されることが重要であると考えていた。
・周術期の抗生剤点眼としてgatifloxacinやmoxifloxacinが最もよく使われていたが、81%→60%に減っており、ofloxacinやciprofloxacinが9%→21%に増加していた。
・術後眼内炎の10,000例当たりの頻度は、1例以下41%、1-2例40%、3-5例12%、6-10例3%、10例以上4%であった。(TY)
Transscleral suture fixation following recurrent toric intraocular lens rotation.
Arjmand P et al(Canada)
J Cataract Refract Surg 41(5): 912-917, 2015
・Double-loopのトーリックIOLが嚢内で回転偏位した時に2本の9-0プロリン糸で、IOLハプティクスの一方のみに2本糸をかけて固定する方法を考えた(図)。(TY)
Pathologic evidence of pseudoexfoliation in cases of in-the-bag intraocular lens subluxation or dislocation.
Liu E et al(UT USA)
J Cataract Refract Surg 41(5): 929-935, 2015
・眼内レンズ移植の長期後に自然に偏位したために摘出した水晶体嚢を組織学的に調査し、落屑症候群との関連を調べた。
・嚢にIOLが入ったもの37例、IOLとCTRが入ったもの3例である。
・Soemmering形成は、軽度が8例、中等度が18例、強度が14例であった。
・嚢収縮が強く、CCCが小さくなったものが24例にみられた。
・26例に組織学的に落屑症候群が証明されたが、臨床的には13例にしかみられなかった(図)。(TY)
Effect of position of near addition in an asymmetric refractive multifocal intraocular lens on quality of vision
Deric W. de Wit et al (Chile)
J Cataract Refract Surg 41(5):945–955, 2015
・Lentis Mplusの近用部分をメーカー推奨の下鼻側方向に入れた(IN群)40例80眼と上耳側方向とにいれた(ST群)38例76眼を比較
・遠方裸眼視力、矯正視力、近方裸眼視力、4.0mm瞳孔径での高次収差とMTF、Strehl ratioを比較、自覚的満足度も調査
・眼球全体の高次収差のVertical comaとTrefoilがST群でプラスであった
・内部の高次収差ではStrehl ratioはIN群が高かった
・他両群間で明らかな差はなし
・両群ともIOLの明らかな偏位はなかった
・球面IOLで軽度のVertical comaは偽調節に関与しているといわれ、0.2-0.35μmの範囲であることが必要と言われているが、Lentis Mplusにも当てはまるかはわからない
・少なくとも眼内レンズが術後回転してしまい、近用部分が鼻下側になくても、大多数の患者に対しては統計的に良くも悪くも視機能には影響がないと考えられる。(MM)
Evaluation of scleral and corneal thickness in keratoconus patients
Bettina Schlatter, et al. (Switzerland)
J Cataract Refract Surg 41(5):1073-1080,2015
目的:円錐角膜の患者で角膜と同様に強膜にも影響しているかどうか調べた。
対象と方法:研究グループ 51眼(29人、男性22人、女性7人、平均年齢30.8 ± 8.5歳)
平均角膜中心厚447.8±57.8μm、少なくとも円錐角膜と診断されて2年以上。
標準グループ 50眼(26人、男性20人、女性6人、平均年齢30.7±6.35歳)
平均角膜中心厚550.5±35.5μm
結果:標準グループより研究グループの方が角膜の中心部が最も薄かったけれど、周辺角膜も有意に薄かった。
中心から1.5mmの鼻側、耳側、下方に比べ上方では角膜厚は厚かった。それぞれの象限で円錐角膜グループの方が有意に薄かった。
強膜の厚さは円錐角膜グループと標準グループで差はなかった。
強膜の厚さに影響を与えていると思われるのは眼軸と性差で、長眼軸と女性で薄かった。
結論:円錐角膜では角膜の中心が薄くなる事は1世紀以上前から知られていたが、角膜周辺まで薄くなってきている事がわかった。角膜と強膜は間葉組織から発生して、類似のコラーゲンを持つ。そのため、円錐角膜で角膜と同様に強膜も薄くなるのではないかと推測されたが、強膜には影響していなかった。(CH)
Neutralization method for detecting the incidence of color perception changes after cataract surgery.
Miyata A(広島市)
J Cataract Refract Surg 41(4): 764-770, 2015
・白内障術後の青視症の頻度を中和法を用いて検討した。
・Clear IOLを挿入したGroup1とyellow IOLを使用したGroup2とで比較した。
・青視症の検出と程度には白色の紙(W)、段階的に黄色味かかった色紙(Y1,Y2,Y3,Y4,Y5)を使用した。
・健康人は全員がW,Y1,Y2を白と判断したため、Y3,Y4,Y5を白と判断した人を青視症と判定すると、術後1か月ではG1では14.5%、G2では4.9%が青視症であったが(p=0.049)、3か月では9.1%:5.2%(p>0.5)と有意差がなくなった。
・G1では、単眼のみの移植眼が両眼移植眼に比して有意に多かった(22.2%:2.7% p=0.035)(TY)
Pinhole iris-fixated intraocular lens for dysphotopsia and photophobia.
Munoz G et al(Spain)
J Cataract Refract Surg 41(3): 487-491, 2015
・one pieceの黒のポリカーボネート製の虹彩嵌置型ピンホールIOLを作った。
・光学径6.0mm、全長8.5mm、中心穴2.0mmの固い眼内レンズである。
・不快な光視症を訴える円錐角膜の36歳男性に移植し、術後不快感は解消した(TY)
Effect of a capsular tention ring on axial intraocular lens position
Weber M, Oliver Findl, et al. (Austria)
J Cataract Refract Surg 41(1):122-125, 2015
【目的】水晶体嚢拡張リング(CTR)の挿入が術後の前房深度に影響するか調査
【対象と方法】両眼白内障手術を施行された30例60眼。片眼にCTR挿入、もう片眼にはCTR挿入せず。2.8mm角膜切開、IOLはTecnis ZC800。手術1時間後および12週間後にIOLマスターにて前房深度を測定。自覚屈折度数を手術12週間後に評価。
【結果】術前眼軸長;CTR群23.36±1.55mm、no CTR群 23.37±1.70mm(P=0.148)
・術前の前房深度;CTR群3.06±0.45mm、no CTR群 3.03±0.47mm(P=0.074)
・術後の前房深度;CTR群4.83±0.46mm、no CTR群 4.81±0.43mm(P=0.329)
【結論】CTRを挿入しても術後のIOLの軸位置に有意な影響は及ぼさなかった。(MK)
Application of anterior segment optical coherence tomography to identify eyes with posterior polar cataract at high risk for posterior capsule rupture.
Chan TCY et al(China)
J Catract Refract Surg 40(12): 2076-2081, 2014
・AS-OCTを使って後嚢下混濁、後嚢の状態を調査し、後極白内障の術中の後嚢破損のリスクについて37眼で検討した。
・後極部の濁りと後嚢との隙間がある範囲が、後極部の濁りの50%以上ならGrade1(19眼)、50%未満ならGrade2(13眼)、隙間のある範囲がなければGrade3(5眼)として、術中の後嚢破損の発症率を検討した。
・後嚢破損は8眼に発生し、G1が1眼(5.3%)、G2が4眼(30.8%)、G3が3眼(60.0%)であり、群間に有意差がみられた(p=0.018)。
・術前のAS-OCT検査は術中の後嚢破損の予測に有用である(図)(TY)
Ocular anterior segment changes in pregnancy.
Goldich Y et al(Israel)
J Cataract Ref Surg 40(11): 1868-1871, 2014
・60名の妊婦(29.7±4.6歳、妊娠週数31.2±8.9)と60名の非妊婦(28.0±7.4歳)について検査した。
・ゴールドマン補正眼圧と角膜補正眼圧は妊婦、非妊婦で10.96±3.1:12.97±2.7(p<0.001)と、10.97±2.8:13.16±2.2mmHg(p<0.001)で、いずれも有意差があった。
・角膜前面最大曲率半径は44.81±1.48:44.15±1.61で有意差があった(p=0.039)。
・角膜硬性、角膜後面曲率半径、角膜厚、前房深度などには有意差はなかった。(TY)
Effects of topical diquafosol pretreatment of intraoperative corneal wetting
Goichiro Miyake, Ichiro Ota et al. (Nagoya)
J Cataract Refract Surg 40(10): 1682-1688, 2014
・Rondomized single-masked active-controlled study
・2週間のウォッシュアウトを経て、術前に4週間ジクアス群(24例38眼)とマイティア群(27例38眼)を1日6回(オペ当日は2回)
・OVDを使用する前に角膜の乾燥状態をチェック BSSをかけから乾燥し始めるまでの時間を3回測定してcorneal surface wetting propertyとした。
・ジクアス群は50.1±10.8秒、マイティア群は45.3±9.2秒(P<0.029)であった(MM)
Simple method to restore a fractured 10-0 polypropylene suture using a single fisherman’s knot.
Kang MH et al
J Cataract Ref Surgery 40(9): 1568-1570, 2014
・10-0糸の糸切れを解決する一方法(図)(TY)
Sulcus-fixated intraocular lens implantation for the management of negative dysphotopsia.
Burke TR et al(UK)
J Cataract Ref Surgery 40(9): 1469-1472, 2014
・偽水晶体眼のnegative dysphotopsia(ND)に対して、IOL毛様溝固定でのIOL交換(3-piece:Acrysof MA60AC)が有効かどうかを、2009-2012の間に手術を行った女性の5例5眼について検討した。
・全例でNDは消失した
・ND:in・the-bagPCIOLを受けた人が耳側視野に黒褐色or黒い三日月を自覚する症状 で、2000年に発表された。
・明所視で悪化し、眼球を外転させる(三日月の方を見る)と三日月は小さくなる
・発症頻度は術翌日では0.2-15.2%、2年後では2.4%に減少す
・発症要因はいろいろ言われているが、はっきりわからない
・Honadayらは光線追跡法を用いて深く検討し、3つのうちの1つの状況での影の認識と関連していると発表した
・typel:内部反射によるものや、type2:鋭なIOLのエッジの不連続性は、原因ではないだろう
・type3:IOL後面の鋭な面どりした不連続性が陰に関連しているだろうと考えている。こう考えると、いろいろな事が説明できる。
・小瞳孔、瞳孔からIOL迄の距離が0.06mm以上のシリコンIOLや1.23mm以下のアクリルIOLでも同様に発生すること、縁のシヤープなIOLデザイン、鼻側網膜が影が落ちるより前方まで存在することなどである
・NDは多くのタイプのIOLで報告があるが、前房IOL、毛様溝にIOLを挿入したIOL交換時には発生したという報告はない
・また、角膜屈折矯正手術後の報告もない
・in・the-bagIOL挿入後、何か月かすると症状は自然緩解するが、これは後嚢混濁と関連しているだろう。光の散乱がNDを解消させている
・自然緩解しない時の方法として、いくつかが報告されている
・IOLのhapticsを水平に回転させる、前嚢切開、IOLをpiggybackで毛様溝に挿入する、IOL Opticをcaptureさせる、IOLを毛様溝固定として入れ替える。
・NDの予想は難しいが、他眼でNDの目は、もう片眼もNDになる可能性が高いことは 確かである(TY)
Minimizing the invasiveness of traditional trabeculectomy surgery
Garry P. Condon, Marlene R Moster
J Cataract Refract Surg 40(8): 1307-1312, 2014
従来のTLEと比べExpressとInnFocusを紹介
InnFocus:内腔70μmのSIBSという重合体でできた柔らかいチューブ
結膜切開・MMC塗布後、外科的輪部より3mm後方に1.0×1.0mmの強膜ポケットを作成し25Gで前房穿刺 そこに本デバイスを挿入する
術後1年の単独施設23眼のデータでは、平均眼圧下降50%、術後平均IOP 11.1±3.0 mmHg(MM)