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Ophthalmology

2013
120巻

オメガ3経口投与とドライアイの短期経過

Ophthalmology 120巻 (11号) 2013

Short-term Consumption of Oral Omega-3 and Dry Eye Syndrome
Haleh Kangari,et al. (Iran)
Ophthalmology 120(11): 2191-2196, 2013
・オメガ3=DHA,EPA,αリノレン酸を含む必須脂肪酸
・ドライアイと診断されている患者64人、(1)45~90歳 (2)BUT 10秒以下(3)人工涙液点眼を使用していない人。
・投与前後のBUT、眼表面疾患インデックス(OSDI)、シルマー試験を比較検討した。
プラセボ群(31人)                 オメガ3群(33人)
 投与前                   投与後          投与前                   投与後
      BUT(秒)   4.5±2.1  → 4.7±2.6          BUT(秒)   3.9±1.7  → 5.67±2.6
     OSDI      36.4±13.8  →  37.6±13.5         OSDI      38.7±16.5  →  29.3±15.9
     シルマー(mm)  6.0±2.6  →  6.2±2.5         シルマー(mm)  5.8±2.5  →  6.8±2.8
BUTはオメガ3群で71%、プラセボ群で3.3%改善した(p<0.001)。OSDIはオメガ3群で26%改善、プラセボ群で4%悪化した(p=0.004)。シルマーはオメガ3群で22.3%、プラセボ群で5.1%改善した(p=0.033)。
・オメガ3は2つの炎症サイクルに関係していると言われている。
この改善は、オメガ3のマイボーム腺での抗炎症作用が起こった
ためかもしれない。これにより、マイボーム腺からの分泌が良くなり、
涙液層の蒸発を遅らせ、涙液層の復活を手助けしたと思われる。(CH)

2013
120巻

慢性C型肝炎患者の前房フレアと脈絡膜厚

Ophthalmology 120巻 (11号) 2013

Aqueous Flare and Choroidal Thickness in Patients with Chronic Hepatitis C Virus Infection
A Pilot Study
Strobbe E, et al.(Italy)
Ophthalmology 120(11):2258-2263, 2013
【目的】無症状のHCV陽性患者の血液-前房関門と中心窩下脈絡膜厚(SCT)を評価
【対象と方法】20名のHCV陽性患者(男女比12:8、平均46.9歳)と20名の健常コントロール(男女比10:10、平均48.2歳)。眼科的検査、レーザーフレアセルメーター(FC-500、Kowa社)を用いた前房フレア値、SD-OCT(Spectralis、Heidelberg社)のenhance depth imagingを用いたSCTを測定。
【結果】コントロール群と比べ、HCV陽性患者は前房フレア値の有意な高値(P<0.0001)とSCTの有意な増加(P<0.0001)を示した【Tab.1】
サブ解析にて、肝線維症がみられる患者は、それのみられない患者に比べて前房フレア値およびSCTが有意に増加していた【Tab.2】。
HCV陽性患者においては、前房フレア値とSCTとの間、および前房フレア値と肝線維症との間に有意な相関がみられた【Fig.2】。
【結論】血液-前房関門の破綻と脈絡膜の肥厚が無徴候のHCV陽性患者の特徴としてみられた。脈絡膜の肥厚はサブクリニカルな前房内炎症の程度と相関した。前房フレアと脈絡膜厚は肝線維症のみられる患者で最も高値であった。(MK)

2013
120巻

偽落屑緑内障における篩板厚の変化

Ophthalmology 120巻 (9号) 2013

Evaluation of lamina cribrosa in pseudoexfoliation syndrome using spectral-domain optical coherence tomography enhanced depth imaging.
Kim S et al(Korea)
Ophthalmology 120(9): 1798-1803, 2013
・21例の偽落屑緑内障PXGの篩板LCをEDI-OCTで調べ、35例のPOAGの場合と比較した。
・PXGとPOAGとは年齢、眼圧(18.3±8.2:15.3±3.4mmHg)、視野障害程度MD(-12.7±9.0:-11.6±9.1dB)をマッチさせた。
・LCの厚み(LT)と篩板前部までの深さALDを視神経乳頭の上方中央、中央、下方中央の3ヶ所で調べた。
・LTでは、3か所ともPXGの方が薄かった(121.3±13.0:133.4±14.4μm p<0.001)が、ALDにはPXGとPOAGとの間に差はなかった(324.3±91.9:358.7±142.7μm p=0.47)。
・21例の内、片眼性のPXGの9例について、PXG眼と健眼とで比較したが、LTもALDも、有意な差はなかった(p=0.223, p=0.079)。
・PXGは全体的な基底膜の疾患であるので、LCの障害が一見、正常な健眼にも発生したのであろう。(TY)

2013
120巻

脈絡膜異常と近視変化

Ophthalmology 120巻 (9号) 2013

Choroidal thickness measurement in myopic eyes by enhanced depth optical coherence tomography.
Ho M et al(Hong Kong)
Ophthalmology 120(9): 1909-1914, 2013
・-6D以上の56例の近視眼で、中心窩を中心にした6mmの水平断で脈絡膜厚CTをEDI-OCTで測定した。
・CDはRPE外面から強膜内面迄とした。
・年齢は50.4±2.03歳(四分位範囲IQR 42-62歳)、屈折度は-8.7D(IQR -6.1~-11.0D)である。
・中心窩CTは118±68μmであり、年齢(p=0.032)、近視度(p=0.011)と負の相関があった。
・回帰分析では、10歳毎に11.9μm薄くなり、近視1D毎に6.205μm薄くなっていた。
・中心窩CTは視力logMARと負の相関があり(p=0.008)、CTが10μm増加で0.02(logMAR)上昇していた。
・CTの減少は加齢、近視度数に関連し、視力はCTに依存していた事から、脈絡膜異常が近視性変性の病因の鍵になっている可能性があると考えた。(図)(TY)

2013
120巻

クロスリンキングの円錐角膜に対する5年経過

Ophthalmology 120巻 (8号) 2013

Corneal collagen cross-linking with riboflavin and ultraviolet A irradiation for keratoconus. Long-term results.
Hashemi H et al(Iran)
Ophthalmology 120(8): 1515-1520, 2013
・進行した円錐角膜に対し、角膜コラーゲンクロスリンキング(CXL)を行った32例40眼について検討した。
・紫外線照射は30分間行い、その間、3分おきにriboflavinを使用した。
・検査は術前、術後1,3,6ヶ月、1,2,4,5年後に行なった。
・logMARでの裸眼視力は術前0.67±0.52(小数点0.21)→5年後0.65±0.51(小数点0.22)。
・BCVAは術前0.31±0.28(小数点0.49)→5年後0.19±0.20(小数点0.65) p=0.016。
・乱視度は-3.14±2.22→-2.49±1.71D(p=0.089)。
・最大K値は0.16±2.20D減少し(0.645)、平均K値は0.10±1.69D減少した(p=0.707)。
・CCT値は483.87±29.07→485.95±28.43μmに増加。
・角膜頂点の前面突出量は13.92±8.28→11.45±8.18mm(p=0.030)、この点の後面突出量は29.54±18.39→26.34±19.59mm(p=0.285)。
・角膜頂点突出度の減少は5年間継続しており、CXLは病状の進行を阻止できることが分かった。(TY)

2013
120巻

閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者での開放隅角緑内障の発症リスク

Ophthalmology 120巻 (8号) 2013

Obstructive sleep apnea and increased risk of glaucoma. A population-based matched-cohort study.
Lin CC et al(Taiwan)
Ophthalmology-120(8): 1559-1564, 2013
・閉塞性睡眠時無呼吸OSAの患者には開放隅角緑内障OAGの有病率が高いとの報告が多い。
・台湾での長期健康保険データーベースを用いて、OSAと診断されてから5年以内のOAGの発症リスクについて検討した。
・対象としたOSAは1012名で、コントロールとして6072名を抽出した。
・5年間でOAGを発症した頻度はOSAでは、1.126%(95%CI=0.861-1.449%)、Ctrlでは 0.676%(95%CI=0.580-0.783%)であり、収入、地域、DM、高血圧、心疾患、肥満や眼科受診回数などで補正した後の5年間での発症頻度は、OSAでは1.67倍(95%CI=1.30-2.17 p<0.001)であった。(TY)

2013
120巻

体位による眼圧、眼灌流圧の変動

Ophthalmology 120巻 (8号) 2013

Effects of different sleeping postures on intraocular pressure and ocular perfusion pressure in healthy young subjects.
Lee TE et al(Korea)
Ophthalmology-120(8): 1565-1570, 2013
・睡眠中の頭や体の位置が、眼圧IOPや眼灌流圧OPPに与える影響について40歳未満の成人ボランティアを用いて検討した。
・IOPと血圧BPを座位、仰臥位、右側臥位、左側臥位、頭を右あるいは左回転したうつ伏せで測定した。
・ただし、頭が横向きの場合は下になった眼を測定眼とした。
・測定にはIcare眼圧計を用い、5分間上記の姿勢をとった後に測定した。
・OPPは心臓と眼の位置で補正した血圧から計算した。
・座位でのIOPは全ての臥位よりも有意に眼圧は高く(全部 p<0.001)、座位でのOPPは全ての臥位よりも有意に低かった(全部 p<0.001)。
・側臥位あるいはうつ伏せでの頭回転で、頭が横向きになった場合、下になった眼の眼圧は上の眼よりも有意に眼圧は高かった(全部 p<0.001)が、OPPには差がなかった。(TY)

2013
120巻

DHA+EPA内服でAMD発症が阻止できるか

Ophthalmology 120巻 (8号) 2013

Oral docosahexaenoic acid in the prevention of exudative age-related macular degeneration. The nutritional AMD treatment 2 study.
Souied EH et al(France)
Ophthalmology-120(8): 1619-1631, 2013
・片眼に新生血管AMDがある55歳から85歳までの患者で、対象眼にAMD初期像があり、視力が0.4 logMAR(小数点0.4)以上の263例を対象として、DHAを840mg/日+EPAを270mg/日を内服する群と、プラセボーを内服する群に分けて3年間経過観察した。
・AMD初期像とはドルーゼンか、網状偽ドルーゼンreticular pseudodrusenのあるものとした。
・対象眼にAMDを発生するまでの期間と頻度は、DHA群では19.5±10.9ヶ月-28.4%であり、プラセボー群の18.7±10.6ヶ月-25.6%との間に有意差はなかったが、DHA群では赤血球膜RBCM内のEPA+DHA値は有意に増加しており(+70% p<0.001)、このうち、RBCM内のEPA+DHA値が上位25%のものでは、3年間の内にAMDを発症する率が14.3%(4/28)に対し、下位25%では32.5%(13/40)であり、-68%減少(HR=0.32 95%CI=0.10-0.99 p=0.047)していた。
<コメント> オメガ3不飽和脂肪酸1110mg/日(DHA 840mg+EPA 270mg)の量は、オキュバイト50プラス(DHA90mg+EPA160mg)、サンテルタックス20+DHA(DHA 200mg+EPAなし)、サントリーDHA&EPA+セサミンE(DHA300mg+EPA100mg)に比して大量である(TY)

2013
120巻

肝移植後による補体Hの産生の変更とAMDとの関係

Ophthalmology 120巻 (8号) 2013

Age-related Macular Degeneration and Modification of Systemic Complement Factor H Production Through Liver Transplantation
Khandhadia S, Lotery AJ, et al. (UK)
Ophthalmology 120 (8):1612-1618, 2013
・肝移植で肝のCFH Y402H genotypeが変化することによる補体H産生の変更が、AMD発症に影響するかを調査
・5年以上前に肝移植を受けた55歳以上の西ヨーロッパ住民223名
・AMDの状態は標準的なgrading systemで評価。レシピエントのCFH Y402H genotypeはレシピエントの血液より採取したDNAより解析。ドナーのCFH Y402 genotypeはレシピエントのCFH Y402Hタンパクのアロタイプより推察。全身の補体の活動性は血漿よりenzyme-linked immunosorbent assayで測定。
・年齢・性別・喫煙状態・BMIで補正すると、肝移植患者においてAMDはドナーのCFH Y402H genotypeではなく(P=0.626)レシピエントのCFH Y402H genotypeと関連していた(P=0.036, OR 1.6, 95%CI;1.0-2.4)。【Tab.3】
・レシピエント血漿のCFH Y402Hタンパクのアロタイプはドナー組織のCFH Y402Hタンパクのアロタイプと100%一致していた(n=49)。
・血漿の補体の基質および活性化因子はAMDの有無で同程度だった【Fig.2】
・過去の報告(Rotterdam Study)と比較すると、肝移植患者はAMD(注;早期ARM含む)の有病率(64.6% vs.37.1%; OR3.09, P<0.001)およびCFH Y402H変異の率(41.9% vs. 36.2%; OR3.09, P<0.001)ともに高頻度であった。【Tab.1】
【結論】 肝における補体Hの産生の変更はAMDの存在と関連しない。さらに、AMDは肝移植患者における全身の補体の活動性と関連しない。これらの知見から、AMDの発病には眼内の部分的な補体の活動性がより重要な影響を及ぼしていることが示唆される。肝移植患者でAMDの有病率が高くなったのはCFH Y402H変異の率が上昇したためかもしれない。
*遺伝子治療により異常なCFHを直接または全身の遺伝子治療により正常なCFHに置き換えてもAMDの治療としては成功しないかもしれない(MK)

2013
120巻

LASIKおよび他の角膜屈折矯正手術の後に生じた角膜軟化症に対する角膜クロスリンキング

Ophthalmology 120巻 (7号) 2013

Corneal Collagen Cross-Linking for Ectasia after LASIK and Photorefractive Keratectomy
Long-Term Results
Richoz O, Hafezi F,et al. (Switzerland)
Ophthalmology 2013;120 (7):1354–1359
・LASIK後(23眼)およびPRK後(3眼)に生じた進行性の角膜軟化症に対し角膜クロスリンキング(CXL)を施行、12-62(平均25)か月経過観察
・矯正視力の平均;CXL前が0.5 LogMAR unitsに対しCXL後は0.3 LogMAR unitsと有意に改善(P<0.001)、1ライン以上の改善が19眼、不変が7眼
・Kmax(ケラトメータのK値の最大値)の平均値;CXL前が52.8±5Dに対してCXL後は50.9±4.9Dと有意に低下(P<0.001)
・Rmin(曲率半径の最小値)はCXL後に有意に増加(P=0.006)した一方、surface varience(P=0.03)およびindex of vertical asymmetry(P=0.04)やkeratoconus index(P=0.03)およびcentral keratoconus index(P=0.016)は有意に低下した【Tab.1】
【結論】LASIKやPRK後に生じた角膜軟化症はCXLにより進行が止まり平均25か月の経過観察中にわたり視力およびKmaxの維持または改善を示した。4つの角膜トポグラフィの指標で改善がみられ、より正常に近い角膜表面になったことが示された。(MK)

2013
120巻

有水晶体眼と偽水晶体眼でのラニビズマブ治療結果の比較

Ophthalmology 120巻 (6号) 2013

Ranibizumab treatment outcomes in phakic versus pseudophakic eyes
David V. Weinberg et al (Depertment of Ophthalmology, Medical College of Wisconsin, Milwau-kee, Wisconsin)
Ophthalmology 120(6): 1278-1282, 2013
・白内障手術はAMD眼には負の影響を与えると考えられている。更に偽水晶体眼では硝子体の解剖学的特徴と生化学的な内容が変化し、元来の水晶体よりも体積が減少することで硝子体の容積、ゆえに薬剤が分配される容積は増加する。また、偽水晶体眼では硝子体注射した薬剤の前房への逸脱があることも、異なる要素である。
・浸出性AMDに対する毎月のIVRで治療した有水晶体眼と偽水晶体眼における視力を比較した。
ANCHOR Study:243名(有水晶体眼)、179名(偽水晶体眼)
classic CNVのあるAMD患者に対して毎月0.3㎎又は0.5㎎のIVRとsham PDT、         PDTとsham IVRの比較
MARINA study:385名(有水晶体眼)、330名(偽水晶体眼)
わずかなclassic 又はoccult CNVの浸出性AMDに対し、毎月の0.3㎎又は0.5  ㎎IVRと毎月のsham注射との比較
・両studyにて有・偽水晶体眼で視力結果に差は無かった。12か月後には偽水晶体眼は有水晶体眼に比し、ETDRSで15文字以上の低下をきたしやすかったが、24か月後では差は無かった。若年者では効果が出やすいため有水晶体眼では結果が良いのかもしれないが、結果的にこの2つの調査方法では有・偽水晶体眼での差は無かった。
・水晶体の有無は毎月のIVRに単独の影響は無い。(YM)

2013
120巻

糖尿病黄斑症におけるOCTによる網膜感度予測

Ophthalmology 120巻 (6号) 2013

Association of retinal sensitivity to integrity of photoreceptor inner/outer segment junction in patients with diabetic macular edema.
Yohannan J et al(MD USA)
Ophthalmology 120(6): 1254-1261, 2013
・25例37眼の糖尿病黄斑症患者で、網膜感度とIS/OS層の状態との関連をPOLAR Ⅲを用いたmicroperimetry MP(32点/中心4度,12点/8度,12点/12度)とOCTで調査した。
・37眼の固視点は、30眼が中心固視、3眼が傍中心窩固視、4眼が中心外固視であり、27眼がCME、10眼が汎黄斑浮腫である。
・平均中心窩厚は325μm、MPでの全1036点の平均感度は10.51dBであった。
・793点ではIS/OS層は連続で、243点ではIS/OS層は不連続であり、不連続性は網膜感度を3.28dB低下させていることが分かった。(TY)

2013
120巻

AMDにおける網膜周辺部の自発蛍光異常

Ophthalmology 120巻 (6号) 2013

Peripheral autofluorescence and clinical findings in neovascular and non-neovascular age-related macular degeneration.
Tan CS et al(CA USA)
Ophthalmology 120(6): 1271-1277, 2013
・100例200眼のAMD患者における200度の広角眼底装置(Optos 200Tx)を用いて、網膜周辺部の自発蛍光異常が何と関連しているかを、19例38眼の非AMD者と比較して検討した。
・網膜周辺部のFAF異常は全症例の164眼(68.9%)にみられ、その変化は顆粒状(46.2%)、斑状(34.0%)、貨幣状(18.1%)であり、そのうち両眼で90%が一致していた。
・異常FAF所見は新生血管AMDで86%(正常者と比較したOR=12.7 p<0.001)、非新生血管AMDで72.8%(OR=6.2 p<0.001)、正常者で18.4%であり、それぞれに有意差があった(p<0.001)。
・高齢者ほど(上と下の1/4を比較すると OR=6.5 95%CI=2.4-17.8 p<0.001)、女性ほど(OR=4.1 95%CI=1.9-8.9 p<0.001)多かった。
・174眼(73.1%)では眼底写真でも検出された。
・その内容は周辺ドルーゼンが51.7%、RPEの脱色素が34.9%、RPE過色素が22.7%、斑状萎縮が16.8%であった。
・このうち、FAF異常と有意に相関のあったものは、顆粒上FAF異常と周辺ドルーゼン(p<0.001)、斑状FAF異常とPPE脱色素(p<0.001)であった。(TY)

2013
120巻

脳梗塞とOCT異常

Ophthalmology 120巻 (6号) 2013

Transneuronal retrograde degeneration of the retinal ganglion cells in patients with cerebral infarction.
Park HYL et al(Korea)
Ophthalmology 120(6): 1292-1299, 2013
・網膜神経節細胞(RGCs)の経ニューロン逆行性変性(TRD)が、後頭葉あるいは視中枢以外の病変のあるヒトでOCTで検出できるかどうかを検討した。
・その他に、RNFL障害の部位と強さが、脳障害の位置、梗塞の動脈支配(前大脳動脈ACA、中大脳動脈MCA、後大脳動脈PCA)、梗塞発症年齢と関連するかどうかについても検討した。
・MRIで脳梗塞と診断された56例と、46例の正常者で検討した。RNFL厚は、脳梗塞部と反対側の眼の上、下、鼻側で薄く、同側眼の上、下、耳側で薄かった。
・RNFL厚はPCA梗塞>MCA梗塞>ACA梗塞の順により薄かった。
・平均RNFL厚は梗塞発症後の経過時間(多変量p=0.046)、梗塞の大きさ(多変量p=0.047)に比例して有意に薄くなっていた。(TY)

2013
120巻

緑内障患者は自らの視野障害をどのように認識しているか

Ophthalmology 120巻 (6号) 2013

How Does Glaucoma Look?
Patient Perception of Visual Field Loss
Crabb DP,et al. (UK)
Ophthalmology  120 (6):1120–1126, 2013
・視力20/30以上で両眼に緑内障性視野障害(perimetrically blindとよばれる重度障害は除く)がある50名の緑内障患者(52-82歳)
・ハンフリー視野検査を施行した後に患者が視野障害を自覚しているかアンケート
・視野障害を自覚しているか、自覚があるならその状態(被検者の言葉で表現)を質問、その後パソコンの液晶モニターで(13.3インチ、40cmの距離)6つのイメージ【Fig.1】を見せ、自分の認識に近いものを選んでもらう
・視野検査の平均MD;右眼-8.7dB、左眼-10.5dB
・13名(26%)は視野欠損をまったく認識せず【Fig.2A】
・モニターのイメージ選択にて、『black tunnel』と『black parts』は誰も選択せず
・わずか2名(4%)が『blurred tunnel』を選択
・54%が『blurred parts』、16%が『missing parts』を選択
・録音されたインタビューからの解析では、見えることに関する徴候では『blur』や『missing』といった用語が多く使われていた
【結論】緑内障患者は自らの視野喪失を『黒いトンネル様』や『視野を覆う黒いパッチ』としては認識していない。これらの知見は緑内障性視野喪失を描写したり緑内障であることを気づかせたりすることに対して重要である。(MK)

2013
120巻

抗生剤点眼薬による細菌叢の変化

Ophthalmology 120巻 (5号) 2013

Changes in ocular flora in eyes exposed to ophthalmic antibiotics.
Dave SB et al(TN USA)
Ophthalmology: 120(5): 937-941, 2013
・マクロライド系あるいはフルオロキノロン系の抗生剤点眼薬を使用後の細菌叢の変化を1年間みた。
・24例の片眼性脈絡膜新生血管で硝子体内注射を月1回4ヶ月間+必要時追加をうけた人を対象とし、4種の抗生剤を振り分け(1%アジスロマイシン、0.3%ガチフロキサシン、0.5%モキシフロキサシン、0.3%オフロキサシン)、注射後4日間使用した。
・結膜嚢培養は、注射眼と他眼で、開始前、各注射前に行った。
・アジスロマイシン群では、表皮ブ菌と黄色ブ菌は、開始前には54.5%と18.2%であったが、注射後は90.9%(p<0.01)と4.5%(p<0.01)となった。
・フルオロキノロン類では、開始前には45.7%と6.5%であったが、注射後には63.4%(p<0.03)と13% (p=0.24)といずれも有意に増加していた。
・ただ、フルオロキノロン類では、グラム陰性菌は8.7%→1.6%に有意に減少していた(p<0.05)。
・また、表皮ブ菌に関してだけみれば、アジスロマイシン群では、他眼と比較してもフルオロキノロン類と比較しても、点眼後は検出率が有意に増加していた(いずれも、p<0.01)。

2013
120巻

日照時間と近視進行予防

Ophthalmology 120巻 (5号) 2013

Effect of day lengtth on eye growth, myopia progression, and chaneg of corneal power in myopic children.
Cui D et al(China, Denmark)
Ophthalmology: 120(5): 1074-1079, 2013
・デンマークでは年間で、日の長さは7時間から17.5時間まで変化する。
・8歳から14歳の近視(負の屈折値)の235人で、6ヶ月の間の日中時間の合計と屈折度の変化の関係をみた。
・合計日中時間は1660から2804時間で、眼軸長の伸び(p=0.00)、近視の進行(p=0.01)、角膜屈折度の変化(p=0.00)とも有意な相関があった。
・2782±19時間:1681±24時間の日中時間の小児では、6ヶ月間の眼軸の伸びは0.12±0.09:0.19±0.10mm、近視進行度は0.26±0.27:0.32±0.27D、角膜屈折度変化は0.05±0.10:-0.04±0.08Dであった。
・近視予防のためには、日中に戸外で時間を過ごすことが有効であろう。

2013
120巻

戸外活動と近視進行予防

Ophthalmology 120巻 (5号) 2013

Outdoor activity during class recess reduces myopia onset and progression in school children.
Wu PC et al(Taiwan)
Ophthalmology: 120(5): 1080-1085, 2013
・台湾の郊外地区で、近くの2校の7歳から11歳の小児を対象とし、休み時間を戸外で過ごすことを推奨した学校の333名と、しなかった学校の238名とで、1年間比較した。
・開始時の屈折度は-0.78±1.76:-0.95±1.93D、近視の割合は47.75%:49.16%であったが、1年後に近視になった児童は、8.41%:17.65%(p<0.001)と有意差が出たし、全体の平均近視進行度は-0.25±0.68:-0.38±0.69D/year(p=0.029)と有意差があった。

2013
120巻

悪性緑内障の治療結果

Ophthalmology 120巻 (5号) 2013

Treatment outcomes in malignant glaucoma
Paaraj Dave et al
Ophthalmology 120(5): 984-990, 2013
・26名28眼。いかなる内眼手術後でも眼圧22㎜Hg以上で、patent iridotomyを行なったが、浅いか扁平な中心、周辺前房の存在にて悪性緑内障と診断し、治療後前房中央が深くなり、内服無し、降眼圧剤点眼のみで眼圧21㎜Hg以下となった場合を治癒とした。
・有水晶体眼5眼、偽水晶体眼23眼の計28眼中11眼レクトミー、 10眼白内障、 7眼白内障と緑内障同時手術後。眼圧は平均して34±8.3から14.3±5.2に低下、27名(96%)で悪性緑内障が治癒した。17眼は1度目の治療で治癒。10眼は次の治療を要した。
・悪性緑内障の治療は主として薬物療法で、薬物療法のみで最初の5時間に50%は改善との報告がある。散瞳剤点眼(虹彩、水晶体の後方移動)、炭酸脱水素酵素阻害剤点眼と内服(房水産生抑制)高張浸透圧剤全身投与(硝子体減圧)、ステロイド点眼(炎症の減退)
・偽水晶体眼、無水晶体眼にはLaser Hyaloidotomyが有効。YAGレーザーで、存在する周辺イリドトミーの部位又は眼内レンズのハプティックの上を通して施行。パワーは1から2mJ、2から5発。前房と前部硝子体を直接交通させる。
・今回はまず全症例に薬物療法を施行し、効果がなければ、偽水晶体眼にはレーザーHyaloidotomy。角膜が悪く、施行できない症例と、ここまで無効の症例には硝子体手術とhyaloidotomyとiridotomy。視機能不良例にはTSCPC(経強膜cyclophotocoagulation)とした。
(YM)

2013
120巻

緑内障の早期視野欠損を網膜神経節細胞数で推定できるか

Ophthalmology 120巻 (4号) 2013

Retinal ganglion cell count estimates associated with early development of visual field defects in glaucoma.
Medeiros FA et al(CA USA)
Ophthalmology 120(4): 736-744, 2013
・網膜神経節細胞RGCの消失予測量が緑内障の視野欠損と関連するかどうかを検討した。
・baseline時には自動視野計で異常がなく、経過観察期間中(中間値6.7年)に3回続けて異常の検出された53名53眼の緑内障疑い患者と、年齢をマッチさせた124例124眼の正常者について検討した。
・RGC数は自動視野計の感度とSD-OCTで測定された網膜神経線維層RNFL厚みから推測し、最初に視野異常が発症した3ヶ月以内のRGC数を求めた。
・視野異常が発症した時の平均RGC数は 652,057±115,829であり、正常者の平均値 910,584±142,412よりも、平均28.4%(6%~57%)少なく、有意差があった(p<0.001)。

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