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Ophthalmology

2014
121巻

局所脈絡膜窩の病態

Ophthalmology 121巻 (5号) 2014

Clinical and spectral-domain optical coherence tomography findings in patients with focal choroidal excavation.
Lee CS et al(Korea)
Ophathalmology 121(5): 1029-1035, 2014
・38例41眼の局所脈絡膜窩FCEについて検討した。
・年齢は50.1歳(25-76歳)、屈折度は-3.7D(-10.0~+1.5D)であり、3例(8%)は両眼性で、1例(3%)は1眼に2か所のFCEがあった。
・FCEの幅は757(54~2615)μm、深さは107(38-341)μmで、両者の間には相関があった(p=0.003)。
・FCE眼の中心窩脈絡膜厚は284(70-571)μmでコントロール眼と有意差はなかった。
・FCE部に高反射脈絡膜部のあった22眼(54%)では、なかった眼に比べ脈絡膜厚は薄かった(128:190μm p=0.009)。
・視細胞層とRPEの間が離れている歪な形のFCE20眼(29%)では、視機能障害(p<0.001)やCSCの合併(p=0.001)があった。
・10眼(24%)はCSC、9眼(22%)はCNV(そのうち1眼はPCV)を合併していた。
・FCEとtype1CNVを持った1眼は新たにFCEを発生し、PCVのあるFCEの1眼では窩の拡大がみられた。
・以前に先天異常と考えられていたFCEはCSC、CNVやPCVなどの脈絡膜疾患に比較的よくある病態である。図(TY)

2014
121巻

IFISのビデオ判定

Ophthalmology 121巻 (4号) 2014

Prospective masked comparison of intraoperative floppy iris syndrome severity with tamsulosin versus alfuzosin.
Chang DC et al(USA)
Ophthalmology 121(4): 829-834, 2014
・70例のTamsulosin、43例のalfuzosin使用者、113例のコントロール(計226例)でIFISの発生頻度を調べた。
・術中のphenilephrineやepinephrineの使用は禁止した。
・ビデオ判定で、発生せず、軽度:虹彩揺れのみ、中度:揺れと、虹彩の陥頓か2mm以上の縮瞳、重度:虹彩の陥頓と2mm以上の縮瞳として判定。
・重度のIFISはT群34.3%、A群16.3%、Ctrl群4.4%で有意差があった。
・Ctrl群でもepinephrine未使用者では12.4%に軽度、8%に中度、4.4%に重度のIFISが発生した。
・前立腺肥大があり、白内障手術を予定する人ではまず、alfuzosinを第1選択で使用すべきであろう。(TY)

2014
121巻

緑内障進行と網膜血管移動

Ophthalmology 121巻 (4号) 2014

Retinal blood vessel positional shifts and glaucoma progression.
Radcliffe NM et al
Ophthalmology121(4): 842-848, 2014
・8回以上のハンフリー視野24-2測定を行っている125例のOAGで、閾値変化が軽度(-0.02dB/年以下)、中度(-0.02~-0.65dB/年)、高度(-0.65dB/年以上)の3群に分け、網膜血管移動があるかどうかについて検討した。
・緑内障群では33/125(26.4%)にみられたが、Ctrl群では2/33(6%)であり、有意差があった(p=0.01)。
・網膜血管移動群では非移動群よりも視野変化が強かった(-0.55:-0.29dB/年 p=0.03)。
・網膜血管移動は軽度進行では12.1%、中度・高度進行群では31.5%であった(p=0.04)。
・視野進行は網膜血管移動(OR=2.2 95%CI=5.7-83.6 p<0.001)、乳頭出血(OR=4.6 95%CI=1.5-15.5 p<0.001)と優位に相関していた。
・網膜血管移動は機能的な緑内障進行、視神経乳頭辺縁喪失や乳頭出血のあるOAGに起こるので、この所見は大切である。(TY)

2014
121巻

軽度の乳頭浮腫と埋没視神経乳頭ドルーゼンのSD-OCTを用いた鑑別

Ophthalmology 121巻 (4号) 2014

Differentiating mild papilledema and buried optic nerve head drusen using spectral domain optical coherence tomography
Kaushal M. Kulkarni et al (Department of ophthalmology, Sharp Rees-Stealy Medical Group, San Diego, California)
Ophthalmology  121(4): 959-963, 2014
超音波Bモードにて埋没視神経乳頭ドルーゼン(ONHD)と判断した9名16眼と特発性頭蓋内圧亢進による乳頭浮腫の6名12眼、ONHDの正常な他眼2眼で、SD-OCTを用いてRNFLとEDI SD-OCTを比較したが、ONHDと乳頭浮腫で明瞭な違いは無かった。OCT上Discの隆起は下に高輝度の物質が無くスムースであれば乳頭浮腫の可能性が高いがすべてではない。RNFLは5名の医師で読影の結果、乳頭浮腫の41~75%を埋没ONHDか正常と判断し、埋没ONHDの13~56%を乳頭浮腫か正常と判断し、全4象限でRNFLは変わりが無かった。OCT上埋没ONHDは形状、大きさ、位置にいろいろあり判断が困難な原因となっている。結果としてSD-OCTはこの両者の鑑別には信頼性が無いと思われた。(YM)

2014
121巻

就学前での弱視の危険因子

Ophthalmology 121巻 (3号) 2014

Risk factors for Amblyopia in the Vision in Preschoolers Study
Maisie Pascual et al. (PA USA)
Ophthalmology 121(3): 622-629, 2014
3才から5才の幼児3,869人。296名(7.7%)に片眼弱視、144名(3.7%)に両眼弱視があった。斜視(P<0.0001)と強い屈折異常(近視・遠視・乱視・不同視)は片眼弱視の危険を増加させる。斜視、2D以上の遠視、1D以上の乱視、0.5D以上の不同視が片眼弱視の子どもの91%に認められた。強度乱視(P<0.0001)と両眼遠視(P<0.0001)は単独でも両眼弱視の危険を増加させる。3D以上の両眼遠視又は1D以上の乱視が両眼弱視の子どもの76%に存在した。両眼弱視の診断は3才で各眼視力が0.4以下か4才から5才で0.5以下とした。片眼弱視の診断は矯正視力で左右差2段階以上の違いとした。(YM)

2014
121巻

偽ドルーゼン眼の視細胞モザイク

Ophthalmology 121巻 (2号) 2014

Assessing the cone phtoreceptor mosaic in eyes with pseudodrusen and soft drusen in vivo using adaptive optics imaging.
Mrejen S et al(NY USA)
Ophthalmology 121(2): 545-551, 2014
・網膜下のドルーゼン様の沈着物(SDD)を伴った11例11眼の融合していない偽ドルーゼンと6例11眼の通常のドルーゼンとで、補償光学AO像を比較した。
・偽ドルーゼンではOCT上ellipsoid zone帯の欠損がみられたが、軟性ドルーゼンでは見られなかった。
・錐体密度はSDDの間では8964±2793個/mm2であったが、SDD上では863±388であり、90.4%減少していた。
・軟性ドルーゼンでは、その間の密度は12595±3323で、ドルーゼン上では9338±3723で、減少率は21.9%であった。
・両者の減少率には優位差があった(p<0.001)。
・このことから、偽ドルーゼンを持つAMDでは脈絡膜新生血管や網膜色素上皮萎縮とは無関係に網膜機能が低下していることが推察される(TY)

2014
121巻

全色盲は本当に進行性疾患か

Ophthalmology 121巻 (1号) 2014

Retinal structure and function in achromatopsia. Implications for gene therapy.
Sundaram V et al(UK)
Ophthalmology 121(1): 234-245, 2014
・全色盲者について、Thiadensらは30歳未満では錐体欠損は42%にしかみられないのに、30歳を超えると95%にみられると報告、Thomasらも年齢に依存したONLの菲薄化があると報告しているが、その真偽を検討した。
・OCT上での中心窩構造を5種類に分けた。
・1)内節楕円(ISe):Ellipsoid layer(旧IS/OS)が連続している、2)ISeが断裂、3)ISeが欠損、4)低反射層HRZがある、5)RPE欠損を伴う網膜外層の萎縮がある。
・年齢6-52歳(平均24.9歳)の40例で検討。
・原因遺伝子で5群に分かれた。
・22.5%でISeが連続、27.5%でISeが断裂、20%でISeが欠損、22.5%でHRZ、7.5%で外層萎縮があったが、年齢との相関、網膜感度との相関などはなかった。
・分類3-5に相当する錐体欠損は30歳未満の57%にあったが、30歳以上の33%にみられただけであった。
・また、中心窩の低形成(内網膜層の1層以上の残存:OPL, INL, IPL, GCL)は21/40例52.5%にみられた(TY)

2014
121巻

硝子体内注射後の眼内炎予防に対する抗生剤点眼薬使用の功罪

Ophthalmology 121巻 (1号) 2014

The role of topical antibiotic prophylaxis to prevent endophthalmitis after intravitreal injection.
Storey P et al(PA USA)
Ophthalmology 121(1): 283-289, 2014
・約4年間のWills Eye Institureのデータをまとめた。
・ranibizumab、bevacizumab、afliberceptを117,171回注射した。
・抗生剤点眼を使っていた28ヶ月間の57,654回、その後の8ヶ月間の移行期間では24,617回、その後の抗生剤点眼薬を使用しなかった9ヶ月間の34,900回を比較した。
・総計で44例(0.038%)の眼内炎が発生、そのうち17例(0.015%)はculture(+)であった。
・抗生剤点眼使用期間中には28例(0.049%)、そのうち10例(0.017%)はculture(+)、抗生剤非使用期間では11例(0.032%)、そのうち4例(0.011%)がculture(+)であった。
・抗生剤点眼は眼内炎を発生しやすくしており(OR=1.54 95%CI=0.77-3.10)、culture(+)については、OR=1.51 95%CI=0.47-4.83であった。

AJO 157(3): 503-504, 2014 Editorial:Povidone-iodine for endophthalmitis prophylaxis.
・1種の抗菌剤に耐性を獲得した菌は他の抗菌剤にも耐性を持ちやすく、抗菌剤点眼よりもpovidone-iodineでの予防が最も効率的で効果的である。(TY)

2013
120巻

Swept-source OCTを用いた、飲水負荷テストにおける脈絡膜の厚みと体積の評価

Ophthalmology 120巻 (12号) 2013

Assessment of Choroidal Thickness and Volume during the Water Drinking Test by Swept-Source Optical Coherence Tomography
Mansouri K,et al.(Switzerland)
Ophthalmology 120(12):2508-2516, 2013
【方法】28名の健常ボランティア。トプコン社のプロトタイプのSwept-source(SS)OCTを用いて視神経乳頭領域(6×6mm)と黄斑部(6×6mm)を3次元スキャン。ベースライン時および飲水負荷(1000mLを五分間で)後15、30、45、120分後に測定。
これらの測定には脈絡膜の境界線を自動的に区別する機能を用いた
【結果】被験者の年齢35.6±9.1歳。眼圧はベースライン時が14.9±2.7mmHg、ピーク時の飲水15分後(16.8±3.0)で有意に上昇(P<0.001)。
ベースライン時の脈絡膜の厚みと体積は、傍視神経乳頭部で181.3±50.8μmおよび6.19±1.80mm3、黄斑部で217.4±43.6μmおよび7.83±1.55mm3
飲水負荷テスト後、傍視神経乳頭部と黄斑部の脈絡膜の厚みは最大で5.7%(P<0.001)および4.3%(P<0.001)増加。脈絡膜の体積はそれぞれ最大で6.4%(P<0.001)および3.9%(P<0.001)増加【Tab.2】 。
眼圧変化と傍視神経乳頭部・黄斑部の脈絡膜厚の間に有意な関連みられず【Fig.4】。
【結論】SS OCTの自動分割プログラムを用いた測定では、健常者の飲水負荷テストの後に脈絡膜の厚みと体積の有意な増加がみられた。(MK)

2013
120巻

偽水晶体水疱性角膜症に対する角膜コラーゲンクロスリンキング

Ophthalmology 120巻 (12号) 2013

Role of Corneal Collagen Cross-Linking in Pseudophakic Bullous Keratopathy
A Clinicopathological Study
Arora R, Goyal G, et al.(US-IL)
Ophthalmology 120(12):2413-2418, 2013
【目的】偽水晶体水疱性角膜症(PBK)におけるコラーゲンクロスリンキング(CXL)の臨床的・病理組織学的変化を検証
【対象と方法】角膜移植予定のPBK患者24名。グループA;全層角膜移植1か月前にCXLを施行(n=12)、グループB;全層角膜移植3か月前にCXLを施行(n=12)。施行1週間後、1か月後、3か月後(グループBのみ)に評価。
【結果】平均視力はCXL後1か月で有意に改善した(術前1.925±0.173→1か月後1.75±0.296、P=0.010)が、3か月後には悪化した(1.81±0.23)。流涙・充血・眼痛などの症状改善はCXL後1か月が最高であり、3か月後には悪化傾向がみられた。18名がCXL後1か月で角膜ヘイズの減少がみられ、3か月後で12眼中9眼で同様の効果がみられた。中心角膜厚はCXL後1か月で有意な減少がみられた(術前846.46±88.741μm→1か月後781.0±98.788μm、P<0.01)が、3か月後には850.08±136.06μmと増加した。免疫染色の鏡検では実質浅層の圧縮がグループAの7/12眼・グループBの5/12眼でみられた。
【結論】PBK患者においてCXLは症状の改善・中心部角膜厚の減少・ 実質浅層の圧縮を引き起こす。しかしこの効果は時間とともに減少し疾患の重篤度に依存する。(MK)

2013
120巻

マイボーム腺機能不全と高コレステロール血症

Ophthalmology 120巻 (12号) 2013

Meibomian Gland Dysfunction and Hypercholesterolemia
Pinna A, et al.(US-IL)
Ophthalmology 120(12):2385-2389, 2013
【背景と目的】マイボーム腺機能不全(MGD)の進行には腺分泌物に含まれるコレステロール値の上昇が重要な役割を持つことが結論づけられている。若中年者(18-54歳)においてMGDと高コレステロール血症との相関を調査
【対象と方法】MGD徴候のある患者60名とMGDのみられないコントロール63名(ともに高コレステロール血症の既往なし)。BMI、空腹時の血中トリグリセリド・総コレステロール・LDL・HDL・血糖・クレアチニンを測定。MGDの有無・性別・年齢・上記血液検査値を投入しステップワイズ法によるロジスティック回帰分析でオッズ比を算出。
【結果】MGD群の35例(58.3%)、コントロール群の4例(6.3%)で高コレステロール血症がみられた(P<0.0001)。T-chol、LDL、HDLはいずれもMGD群で有意に高値だった(P<0.0001)【Tab.1】。ステップワイズ法によるロジスティック回帰分析では、MGDは血中総コレステロール値と有意に関連していた(OR 1.07; 95%CI 1.04-1.09; P<0.001)。同様にMGDは血中LDL値と有意に関連していた(OR 1.11; 95%CI 1.06-1.17; P<0.001)。
【結論】MGDがあり高コレステロール血症の既往のない若中年者は、MGDのない同世代よりも血中コレステロール値が高いようだ、もしもこの知見が更に大規模なスタディで実証されれば、MGDは高コレステロール血症の今までに知られていないマーカーとなるかもしれず、心血管疾患の重要なリスクファクターを早期に発見するのに眼科医が重要な役割を担うかもしれない。(MK)

2013
120巻

非球面単焦点IOLと球面単焦点IOLの視機能に与える影響のメタアナリシス

Ophthalmology 120巻 (11号) 2013

The Impact on Vision of Aspheric to Spherical Monofocal Intraocular Lenses in Cataract Surgery               A Systematic Review with Meta-analysis
Alexander K. Schuster et al (Germany)
Ophthalmology 120(11):2166-2175, 2013

・MEDLINE, EMBASE, Web of Science, BIOSIS, Cochrane Library
・RCTを抽出 BCVA, Contrast sensitivity(明所・暗所), QOV
・240のスタディから抽出し、基準を満たした43スタディ、非球面2076例と球面2034例を比較 2002年から2011年 ヨーロッパ18、アジア17、北米3、南米4、アフリカ1
・TECNIS 23/ AcrySof IQ11/ mixed group 9
・BCVA:有意差無し、非球面の種類の違いも有意差無し
・Contrast Sensitivity:明所では1.5cpdから6cpdで小さな影響があるが、暗所では中等度から高い影響がある。12cpd以外すべてにおいて非球面が良かった
・暗所での高い視機能を求めるような、パイロット、ハンター、トラック運転手、北欧の人々にとって非球面IOLは有益であると考えられる。(MM)

2013
120巻

難治緑内障に対して行ったAhmedインプラントとBaerveldtインプラントの術後3年目の成績の比較

Ophthalmology 120巻 (11号) 2013

The Ahmed Versus Baerveldt Study Three-Year Treatment Outcomes
Panos G. Christakis et al (Canada)
Ophthalmology 120(11):2166-2175, 2013

・18歳以上の難治緑内障を含む緑内障患者238眼に対してAhmed-FP7かBaerveldt-350どちらかを無作為に割り付けて実施
・OAG119例(64/55)、NVG50例(28/22)、Uveitic23例(10/13)、Other46例(22/24)
・不成功:術後3カ月以降で(IOP5-18mmHg かつベースラインから20%以上の眼圧下降)を2回連続で外れる。視力障害をきたす合併症、追加緑内障手術、光覚喪失
・低眼圧に起因する合併症はAhmedがゼロ、Baerveldtが7例(suprachoroidal hemorrhage3, retinal/choroidal detachments3, refractory hypotony requiring explantation1)
・IOP(3年目):Ahmed 15.7±4.8mmHg、 Baerveldt 14.4±5.1mmHg (P=0.09)
・点眼(3年目):Ahmed 1.8±1.4mmHg、  Baerveldt 1.1±1.3mmHg (P=0.002)
・視力:両群とも同程度の低下を認めた 11例で光覚消失 うち7例はNVG
・不成功率(3年目):Ahmed 51%、 Baerveldt 34% (P=0.03)
              眼圧の基準を18mmHgとしてあることが既報との違いの主な理由
              不成功のほとんどが術後1年目の間に生じている
・Bascom Palmer Eye Instituteのグループが行っているABC Studyと同程度の結果(MM)

2013
120巻

オメガ3経口投与とドライアイの短期経過

Ophthalmology 120巻 (11号) 2013

Short-term Consumption of Oral Omega-3 and Dry Eye Syndrome
Haleh Kangari,et al. (Iran)
Ophthalmology 120(11): 2191-2196, 2013
・オメガ3=DHA,EPA,αリノレン酸を含む必須脂肪酸
・ドライアイと診断されている患者64人、(1)45~90歳 (2)BUT 10秒以下(3)人工涙液点眼を使用していない人。
・投与前後のBUT、眼表面疾患インデックス(OSDI)、シルマー試験を比較検討した。
プラセボ群(31人)                 オメガ3群(33人)
 投与前                   投与後          投与前                   投与後
      BUT(秒)   4.5±2.1  → 4.7±2.6          BUT(秒)   3.9±1.7  → 5.67±2.6
     OSDI      36.4±13.8  →  37.6±13.5         OSDI      38.7±16.5  →  29.3±15.9
     シルマー(mm)  6.0±2.6  →  6.2±2.5         シルマー(mm)  5.8±2.5  →  6.8±2.8
BUTはオメガ3群で71%、プラセボ群で3.3%改善した(p<0.001)。OSDIはオメガ3群で26%改善、プラセボ群で4%悪化した(p=0.004)。シルマーはオメガ3群で22.3%、プラセボ群で5.1%改善した(p=0.033)。
・オメガ3は2つの炎症サイクルに関係していると言われている。
この改善は、オメガ3のマイボーム腺での抗炎症作用が起こった
ためかもしれない。これにより、マイボーム腺からの分泌が良くなり、
涙液層の蒸発を遅らせ、涙液層の復活を手助けしたと思われる。(CH)

2013
120巻

慢性C型肝炎患者の前房フレアと脈絡膜厚

Ophthalmology 120巻 (11号) 2013

Aqueous Flare and Choroidal Thickness in Patients with Chronic Hepatitis C Virus Infection
A Pilot Study
Strobbe E, et al.(Italy)
Ophthalmology 120(11):2258-2263, 2013
【目的】無症状のHCV陽性患者の血液-前房関門と中心窩下脈絡膜厚(SCT)を評価
【対象と方法】20名のHCV陽性患者(男女比12:8、平均46.9歳)と20名の健常コントロール(男女比10:10、平均48.2歳)。眼科的検査、レーザーフレアセルメーター(FC-500、Kowa社)を用いた前房フレア値、SD-OCT(Spectralis、Heidelberg社)のenhance depth imagingを用いたSCTを測定。
【結果】コントロール群と比べ、HCV陽性患者は前房フレア値の有意な高値(P<0.0001)とSCTの有意な増加(P<0.0001)を示した【Tab.1】
サブ解析にて、肝線維症がみられる患者は、それのみられない患者に比べて前房フレア値およびSCTが有意に増加していた【Tab.2】。
HCV陽性患者においては、前房フレア値とSCTとの間、および前房フレア値と肝線維症との間に有意な相関がみられた【Fig.2】。
【結論】血液-前房関門の破綻と脈絡膜の肥厚が無徴候のHCV陽性患者の特徴としてみられた。脈絡膜の肥厚はサブクリニカルな前房内炎症の程度と相関した。前房フレアと脈絡膜厚は肝線維症のみられる患者で最も高値であった。(MK)

2013
120巻

偽落屑緑内障における篩板厚の変化

Ophthalmology 120巻 (9号) 2013

Evaluation of lamina cribrosa in pseudoexfoliation syndrome using spectral-domain optical coherence tomography enhanced depth imaging.
Kim S et al(Korea)
Ophthalmology 120(9): 1798-1803, 2013
・21例の偽落屑緑内障PXGの篩板LCをEDI-OCTで調べ、35例のPOAGの場合と比較した。
・PXGとPOAGとは年齢、眼圧(18.3±8.2:15.3±3.4mmHg)、視野障害程度MD(-12.7±9.0:-11.6±9.1dB)をマッチさせた。
・LCの厚み(LT)と篩板前部までの深さALDを視神経乳頭の上方中央、中央、下方中央の3ヶ所で調べた。
・LTでは、3か所ともPXGの方が薄かった(121.3±13.0:133.4±14.4μm p<0.001)が、ALDにはPXGとPOAGとの間に差はなかった(324.3±91.9:358.7±142.7μm p=0.47)。
・21例の内、片眼性のPXGの9例について、PXG眼と健眼とで比較したが、LTもALDも、有意な差はなかった(p=0.223, p=0.079)。
・PXGは全体的な基底膜の疾患であるので、LCの障害が一見、正常な健眼にも発生したのであろう。(TY)

2013
120巻

脈絡膜異常と近視変化

Ophthalmology 120巻 (9号) 2013

Choroidal thickness measurement in myopic eyes by enhanced depth optical coherence tomography.
Ho M et al(Hong Kong)
Ophthalmology 120(9): 1909-1914, 2013
・-6D以上の56例の近視眼で、中心窩を中心にした6mmの水平断で脈絡膜厚CTをEDI-OCTで測定した。
・CDはRPE外面から強膜内面迄とした。
・年齢は50.4±2.03歳(四分位範囲IQR 42-62歳)、屈折度は-8.7D(IQR -6.1~-11.0D)である。
・中心窩CTは118±68μmであり、年齢(p=0.032)、近視度(p=0.011)と負の相関があった。
・回帰分析では、10歳毎に11.9μm薄くなり、近視1D毎に6.205μm薄くなっていた。
・中心窩CTは視力logMARと負の相関があり(p=0.008)、CTが10μm増加で0.02(logMAR)上昇していた。
・CTの減少は加齢、近視度数に関連し、視力はCTに依存していた事から、脈絡膜異常が近視性変性の病因の鍵になっている可能性があると考えた。(図)(TY)

2013
120巻

クロスリンキングの円錐角膜に対する5年経過

Ophthalmology 120巻 (8号) 2013

Corneal collagen cross-linking with riboflavin and ultraviolet A irradiation for keratoconus. Long-term results.
Hashemi H et al(Iran)
Ophthalmology 120(8): 1515-1520, 2013
・進行した円錐角膜に対し、角膜コラーゲンクロスリンキング(CXL)を行った32例40眼について検討した。
・紫外線照射は30分間行い、その間、3分おきにriboflavinを使用した。
・検査は術前、術後1,3,6ヶ月、1,2,4,5年後に行なった。
・logMARでの裸眼視力は術前0.67±0.52(小数点0.21)→5年後0.65±0.51(小数点0.22)。
・BCVAは術前0.31±0.28(小数点0.49)→5年後0.19±0.20(小数点0.65) p=0.016。
・乱視度は-3.14±2.22→-2.49±1.71D(p=0.089)。
・最大K値は0.16±2.20D減少し(0.645)、平均K値は0.10±1.69D減少した(p=0.707)。
・CCT値は483.87±29.07→485.95±28.43μmに増加。
・角膜頂点の前面突出量は13.92±8.28→11.45±8.18mm(p=0.030)、この点の後面突出量は29.54±18.39→26.34±19.59mm(p=0.285)。
・角膜頂点突出度の減少は5年間継続しており、CXLは病状の進行を阻止できることが分かった。(TY)

2013
120巻

閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者での開放隅角緑内障の発症リスク

Ophthalmology 120巻 (8号) 2013

Obstructive sleep apnea and increased risk of glaucoma. A population-based matched-cohort study.
Lin CC et al(Taiwan)
Ophthalmology-120(8): 1559-1564, 2013
・閉塞性睡眠時無呼吸OSAの患者には開放隅角緑内障OAGの有病率が高いとの報告が多い。
・台湾での長期健康保険データーベースを用いて、OSAと診断されてから5年以内のOAGの発症リスクについて検討した。
・対象としたOSAは1012名で、コントロールとして6072名を抽出した。
・5年間でOAGを発症した頻度はOSAでは、1.126%(95%CI=0.861-1.449%)、Ctrlでは 0.676%(95%CI=0.580-0.783%)であり、収入、地域、DM、高血圧、心疾患、肥満や眼科受診回数などで補正した後の5年間での発症頻度は、OSAでは1.67倍(95%CI=1.30-2.17 p<0.001)であった。(TY)

2013
120巻

体位による眼圧、眼灌流圧の変動

Ophthalmology 120巻 (8号) 2013

Effects of different sleeping postures on intraocular pressure and ocular perfusion pressure in healthy young subjects.
Lee TE et al(Korea)
Ophthalmology-120(8): 1565-1570, 2013
・睡眠中の頭や体の位置が、眼圧IOPや眼灌流圧OPPに与える影響について40歳未満の成人ボランティアを用いて検討した。
・IOPと血圧BPを座位、仰臥位、右側臥位、左側臥位、頭を右あるいは左回転したうつ伏せで測定した。
・ただし、頭が横向きの場合は下になった眼を測定眼とした。
・測定にはIcare眼圧計を用い、5分間上記の姿勢をとった後に測定した。
・OPPは心臓と眼の位置で補正した血圧から計算した。
・座位でのIOPは全ての臥位よりも有意に眼圧は高く(全部 p<0.001)、座位でのOPPは全ての臥位よりも有意に低かった(全部 p<0.001)。
・側臥位あるいはうつ伏せでの頭回転で、頭が横向きになった場合、下になった眼の眼圧は上の眼よりも有意に眼圧は高かった(全部 p<0.001)が、OPPには差がなかった。(TY)

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