Acute postoperative vacillus cereus endophthalmitis mimicking toxic anterior segment syndrome.
Rishi E et al(India)
Ophthalmology 120(1): 181-185, 2013
・2000.1~2011.5までに発生した6例のBaillus cereusによる術後眼内炎の症例報告。
・全例、劇症発症で、術後24時間以内に高眼圧と角膜浮腫をきたし、一見、TASS様であった。
・2例は全層角膜移植、1例は全層角膜移植+強膜部分移植、1例は48時間で眼球内容除去、2例は10日以内に眼球癆となった。
・強い痛みと非常に高い眼圧を伴ったTASSはB cereusによる眼内炎を疑い十分観察すべきだ。(TY)
Corneal epithelial thickness mapping by fourire-domain optical coherence tomography in normal and keratoconic eyes.-Li Y et al(OR USA)
Ophthalmology 119(12): 2425-2433, 2012
・正常者76名145眼と円錐角膜22例35眼について、垂直解像度5μmのOCT(RTVue:Optivue)を用いて、角膜上皮面からBowman層上面までの角膜中央部の厚みを、8方向で測定した。
・測定値は、厚みの最小値、上方-下方値、最小-最大値である。
・正常者と円錐角膜では、中心値(2mm以内)は52.3±3.6:51.9±5.3、上方(2-5mm)は49.6±3.5:51.2±4.2、下方(2-5mm)は51.2±3.4:49.1±4.3μmであり、円錐角膜では下方値や最小値が有意に低かった(p=0.03、p<0.0001)。
Determinants of retinal venular diameter: The Beaver Dam Eye Study.
Myer CE et al(WI USA)
Ophthalmology 119(12): 2563-2571, 2012
・15年間のBeaver Dam Eye Study(BDES)での43歳から86歳の4600人を対象として、乳頭から0.5-1.0DD以内の主な6本の平均網膜動脈径(CRAE)、平均網膜静脈径(CRVE)を測定した。
・CRVEは歳に比例して細くなり、50歳と70歳を比較すると、5μm(225:230)細く、50歳と85歳では13μm(217:230)細くなっていた。
・男性、最近の喫煙歴、高白血球数は独立して太いCRVEと相関し、高血圧、高血清HDLコレステロールでは独立して細いCRVEと相関していた。
・また、経過をみた場合、心血管疾患の既往や慢性腎疾患では有意なCRVEの狭細化がみられた。
Choroidal volume variations with age, axial length, and sex in healthy subjects: a three-dimensional analysis.
Barteselli G et al(CA USA)
Ophthalmology 119(12): 2572-2578, 2012
・114例176眼の正常者で、EDI-OCT(Heidelberg Spectrails)で脈絡膜容積をETDRSグリッド(内環1-3mm、外環3-6mm)で測定し、3次元立体像を作成した。
・平均脈絡膜容積は、中心環0.228±0.077mm3、ETDRS全体では7.374±2.181であった。
・鼻側は最小で、上方が最大であった。
・ETDRS環全体での脈絡膜容積は、年齢で補正した眼軸長が長い程(p<0.0001)、眼軸長で補正した年齢が高いほど(p<0.0001)、眼軸長で補正した女性(p<0.05)で有意に小さかった。
・脈絡膜容積は10歳加齢毎に0.54mm3(7.32%)減少、眼軸長1mm長くなる毎に0.56mm3(7.59%)減少、男性では女性より7.37%大きかった。
Factors promoting success and influencing complications in laser-induced central vein bypass.
McAllister IL et al(Australia)
Ophthalmology 119(12): 2579-2586, 2012
・レーザーでの脈絡網膜静脈吻合(L-CRA)について、108例の中からランダムに選択され、L-CRAを受けた55例の非虚血性CRVOで、18ヶ月間検討した。
・L-CRAの成功例は、若いほど(p=0.03)、開始時の視力が良いほど(p=0.04)、高血圧症ではないほど(p=0.001)良かった。
・性別やCRVOの期間は無関係であった。
・L-CRAの部位は影響がなかったが、実施時の静脈壁の破綻は成功率に影響していた(p0.008)。
・新生血管は10眼12か所で発生したが、これは治療前の中心静脈圧が高いこと(P=0.03)、蛍光色素の発言が遅い事(p=0.0001)、無血管野があったこと(p=0.01)と相関していた。
Montage images of spectral-domain optical coherence tomography in eyes with idiopathic macular holes.
Mori K et al(埼玉医大)
Ophthalmology 119(12): 2600-2608, 2012
・黄斑円孔の合成画像をOCTで作成し、解剖学的な硝子体、網膜の関連を検討した。
・使用した機器はHweidelberg Spectralis OCTで、水平、垂直、2斜方向の4種で、画像ソフト(Photoshop)で画像合成を行った。
Intravitreal Aflibercept (VEGF Trap-Eye) in Wet Age-related Macular Degeneration
Heier JS et al. (USA)
Ophthalmology. 119:2537-2548,2012
・同様に設計された2グループ(VEIW1、VEIW2)で、加齢性黄斑変性(AMD)に対するaflibercept とranibizumab硝子体注射を比較した。
・毎月0.5mg aflibercept硝子体内注射(0.5q4)、
毎月2mg aflibercept硝子体内注射(2q4)、
最初の3ヶ月は2mg aflibercept硝子体内注射し、その後は2ヶ月毎の2mg aflibercept硝子体内注射(2q8)、
毎月0.5mg ranibizumab硝子体内注射(Rq4)
平均数注射回数:VEIW1で12.2〜12.4回、VEIW2で12.1〜12.5回
2q8ではVEIW1、VEIW2とも7.5回
VEIW1で視力が維持できたのは(視力低下がETDRSで15文字以下)0.5q4、2q4、2q8、Rq4、でそれぞれ99.4%、95.1%、95.9%、95.1%、VEIW2で 0.5q4、2q4、2q8、Rq4でそれぞれ、94.4%、95.6%、96.3%、95.6%だった。
すべてのaflibercept硝子体内注入グループの平均最高視力はranibizumab硝子体内注射グループの平均最高視力の0.5文字以内だった。
CNVの大きさ、網膜中心厚などの解剖学的な改善は治療群で同様であった。
眼および全身の有害事象は治療群で同様だった。
・2q8はRq4と同様の有効性と安全性を示した。
aflibercept硝子体内注射は経済的負担と危険性を減らす可能性がある。(CH)
Relationsip of intraocular pressure and frequency of spontaneous retinal venous pulsation in primary open-angle glaucoma.
Seo JH et al(Korea)
Ophthalmology 119(11): 2254-2260, 2012
・POAGにおける眼圧IOPと自発的静脈拍動SVPの関連を調査した。
・POAG 229例229眼とコントロールとして、緑内障疑い者 205例205眼とで比較した。
・SVPはSpectralis HRAの動画で評価した。
・POAG患者を未治療時のIOPで3群に分けた。GroupA:IOP≦15、GroupB:IOP>15で≦21、GroupC:IOP>21。
・SVPはCtrlで、POAGよりも頻繁にみられた(86.3%:53.3% p<0.0001)。
・POAG群ではGroupA(40.2%)はGroupB(57.3% p=0.03)やGroupC(63.9% p=0.003))より有意に少なかったが、BとCの間には有意差はなかった。
・POAG群では眼圧(p=0.007)、視野のMD(p<0.0001)、屈折度(p=0.011)が有意にSVPと関連していた。
・SVPはPOAGでは頻度が低く、POAGの中では眼圧の低い場合には頻度が低かった。
・緑内障ことにNTGでは網膜静脈壁が硬化しているためにSVPの頻度が低く、乳頭縁出血が多くなっているのではないかと考えられる。
Effect of Lutein and Zeaxanthin on macular pigment and visual function in patients with early age-related macular degeneration.
Ma L et al(China)
Ophthalmology 119(11): 2290-2297, 2012
・50歳から79歳までの108名の初期AMDでルテインあるいはゼアキサンチンが黄斑色素や視機能を向上させるかどうかを検討した。
・ルテイン10mg/d(n=27)、ルテイン20mg/d(n=27)、ルテイン10mg/d+ゼアキサンチン10mg/d(N=27)、プラセボー(n=27)に分け、48週間内服した。
・黄斑色素濃度MPODと視機能を、開始前、24週、48週後に測定した。
・48週後の黄斑色素濃度は、L20群では0.076±0.022(M±SE)、L+Z群では0.058±0.027、有意に増加していた。ルテイン群では量依存性の増加であった(p<0.001)。
・20mgルテイン群とプラセボー群とでは、48週目の視力改善があり、コントラスト感度では3~6c/dで感度上昇があった。
・MPOPの増加は最高視力のlogMAR値の低下に関連があった(r=-0.31 p<0.01)。
・ルテインやゼアキサンチンの内服は初期のAMDでは黄斑色素濃度を上げ、視機能向上に役立っていると考えた
Choroidal thickenss in both eyes of patients with unilateral idiopathic macular hole.
Zeng J et al(China)
Ophthalmology 119(11): 2828-2333, 2012
・片眼性特発性黄斑円孔50例(円孔A群、円孔他眼B群)、コントロール50例(C群)で脈絡膜厚を測定した。
・黄斑下脈絡膜厚SFCTはA群206.82±67.09、B群228.34±80.71、C群248.88±63.10であり、A群とC群では有意差(p=0.002)があった。
・B群はC群よりも薄かったが、有意差はなかった(p=0.177)。
・黄斑円孔の病態に脈絡膜灌流が関与していることが示唆され、黄斑円孔の他眼も円孔になる可能性があることも示唆された。
Pediatric herpes simplex of the anterior segment
Shaohui Liu et al (Boston, Massachusetts)
Ophthalmology 2012; 119: 2003-2008
・16才以下53名57眼の単純ヘルペス角膜炎(HSK)、単純ヘルペス眼瞼結膜炎(HBC)、又はその両者。発症の平均年齢は5才。平均3.6年経過観察。18眼はHBCのみでそのうち4名は両眼であった。角膜炎症例39眼のうち74%には基礎疾患があった。HSKの30%は誤診されていた。角膜炎の79%には角膜瘢痕があり、26%は視力0.5以下となった。80%は再発した。
・誤った病名は非典型的ウイルス性結膜炎、EKC、フリクテン性角結膜炎、ブ菌性眼瞼角結膜炎、これは周辺角膜炎と角膜血管新生、眼瞼炎を伴うが、両側性である。繰り返す片眼の角結膜炎で角膜血管新生を伴い、角膜知覚が低下する時はHSVを強く疑うべきである。
・大人のHSV感染の特徴は樹枝状角膜炎であるが、小児期では強い眼瞼結膜炎と角膜実質炎が一般的である。乱視も強く残存し、今回2D以上の乱視が1/4以上に残り、弱視にも注意すべきである。
・合併症としては、発熱、肺炎、上気道感染、耳の感染症、心理的ストレス、全身的な免疫力の低下、免疫抑制剤の使用、I型糖尿病、小児リウマチ性血管炎など。HSVによる角膜障害が両側に発症する場合は喘息等の基礎疾患がありうる。これはTh-1細胞機能が低下しているためである。アトピー患者では抗原が、まずTh-2に反応し、この反応がサイトカイン(特にインターロイキン4)をひきおこすためTh-1反応を介する眼HSVに対する有効な免疫反応が起こりにくくなるからと思われる。
・小児期のHSKは誤診、基礎疾患を有すること、再発、視力低下の確率が高い。経口アシクロビルは有効だが、用量は小児の成長に合わせて変更していかなければならない。(YM)
Choroidal Thickness in Both Eyes of Patients with Unilateral Idiopathic Macular Hole
Zeng J et al. (China)
Ophthalmology 119:2328-2333,2012
・特発性黄斑円孔(IMH)眼と、その反対眼と、年齢や性別のマッチした健康な眼の脈絡膜厚を比較検討した。
・(1)IMH 50眼(男性13人、女性37人、平均年齢66.08歳)
Stage2: 6眼、Stage3 : 5眼、Stage4: 39眼
(2)IMHの対眼48眼(2眼は弱視のため除外)
・(3)コントロール50眼(すべて右眼)
・OCTにより、図1に示されるポイントの脈絡膜の厚さ(RPEに対応している高反射する外側ラインから強膜の内側面まで)を測定した。また、黄斑円孔の突端と基礎径が測定された
・平均黄斑下脈絡膜厚(SFCT)(1)206±67.09μm(2)228.34±80.71μm(3)248.88±63.10μm
IMH目の平均の頂端と基礎径はそれぞれ、514.28±210.00μm、918.04±264.76μm
・SFCTは(1)は(3)より際立って薄かった。(P = 0.002)(2)は(3)より薄かったが統計学的有意差はなかった。(P = 0.177)、(1)は(2)よりどのポイントでも薄かったが、特に鼻側3mmのポイントで優位に薄かった。
IMHの突端と基礎径の大きさは脈絡膜厚と関係がなかった。
・脈絡膜の低還流と菲薄化がIMHが出来る前に起こるイベントの一つと考えられる。
この事が正しければ、薄い脈絡膜を持っている反対眼がIMHになりやすいかもしれないので経過観察が必要である。(CH)
The CD4/CD8 Ratio in Vitreous Fluid Is of High Diagnostic Value in Sarcoidosis
Kojima K, Maruyama K, et al.(京都府大)
Ophthalmology 119(11):2386–2392, 2012
・国際診断基準を満たした38例51眼の眼サルコイドーシス患者、非サルコイドーシスの対照群として26例27眼の他の原因のぶどう膜炎患者
・硝子体液を採取し細胞学的検査、PCR、フローサートメトリーを施行。末梢血を採取して同様に解析し比較
・硝子体液中のTリンパ球CD4/CD8比は対照群と比較し眼サルコイドーシス群で有意に高値【Fig.2A】
・眼サルコイドーシス群において、硝子体液のTリンパ球CD4/CD8比(平均40.7、95%CI 3.5-77.9)は末梢血のそれ(平均3.0、95%CI 2.5-3.5)と比べて有意に高値であった【Fig.2C】。非サルコイドーシス群では硝子体液と末梢血でのCD4/CD8比には有意差みられず【Fig.2D】。
・末梢血のTリンパ球CD4/CD8比は、眼サルコイドーシス群(平均3.0、95%CI 2.5-3.5)が非サルコイドーシス群(平均2.0、95%CI 1.5-2.5)より有意に高値であった【Fig.2B】。
・硝子体液中のTリンパ球CD4/CD8比増加(CD4/CD8 >3.5)の感度は100%、特異度は96.3% *気管支肺胞洗浄(BAL)液でのCD4/CD8 増加(>3.5)での感度は53%、特異度は94%
【結論】硝子体に浸潤したリンパ球のCD4/CD8比の増加(>3.5)は、肺サルコイドーシスにおけるBAL液中のCD4/CD8比増加と比較して、眼サルコイドーシスに対し高い診断的価値がある。さらには末梢血Tリンパ球のCD4/CD8比の高値は眼サルコイドーシスの臨床検査所見のひとつに違いない。細胞学的分析を用いた診断的硝子体切除は眼サルコイドーシスの有用な付加診断となりうる。(MK)
Orbital cerebrospinal fluid space in glaucoma: The Beijing intracranial and intraocular pressure (iCOP) Study.
Wang N et al(China)
Ophthalmology 119(10): 2065-2073, 2012
・脳脊髄圧(CSF-P)が低いことは緑内障の病態に関与していると考えられている。
・眼窩内のCSF-Pを測定する代わりに視神経のくも膜下腔の幅(ONSASW)を眼圧の低いNTG(IOP≦21)21名、眼圧の高いPOAG(IOP>21)18例、正常者21例で測定した。
・脂肪抑制T2強調MRI画像で、眼球後方3,9,15mmの部位でONSASWを測定した。
・この全ての場所で、ONSASWは、NTGではPOAGや正常者と優位差がみられた(p<0.001, p<0.001, P=0.003)。
・3箇所の平均値では、ONSASWはNTG:0.61±0.10mmで、正常者:0.72±0.08、POAG:0.75±0.13であり、視神経鞘直径はNTG:3.94±0.42、正常者:4.38±0.22、POAG:4.13±0.48、視神経直径はNTG:2.71±0.29、正常者:2.94±0.20、POAG:2.63±0.31であった。
・NTGでの眼窩視神経くも膜下腔が狭いことから、NTGでは眼窩内のCSF-Pが低いことが示唆された。
Time course of development of posterior vitreous detachments after phacoemulsification surgery.
Hikichi T(札幌市)
Ophthalmology 119(10): 2102-2107, 2012
・合併症のないPEA+foldable IOL挿入手術後のPVDの発生率を術前にPVDのない575眼で3年間調査した。
・PVD累積発生率は1.0%(1W)、3.1%(1M)、5.4%(3M)、7.8%(6M)、11.0%(12M)、15.3%(18M)、18.4%(24M)、23.1%(30M)、30.0%(36M)であった。
・PVDが発生したうちの11/172(6.4%)が網膜裂孔を発症、格子様変性のあった52眼中8眼(15.4%)では、なかった120眼中3眼(2.5%)の約6.2倍で、PVDに伴った網膜裂孔が発生した(P=0.003)。
・白内障手術後にPVDの発症は加速されるので注意が必要。
Asymmetric elongation of foveal tissure after macular hole surgery and its impact on metamorphopsia.
Kim JH et al(Korea)
Ophthalmology 119(10): 2133-2140, 2012
・直径400μm以下の黄斑円孔MHの手術を受けた31例31眼について、傍中心窩の外網状層間の距離の変化を水平と垂直断で、6ヶ月間調査し、非対称性の拡張と視力や変視症スコア(M-score)と比較した。
・水平方向距離は361.6±99.6μm(術直後)、558.8±93.3(2M)、575.4±94.8(6M)であり、水平法光距離は324.2±93.8μm(術直後)、481.2±104.6(2M)、494.6±85.0(6M)であり、いずれも有意に増加しており(p<0.001)、水平方向が有意に長かった(p<0.001)。
・水平断では鼻側が90.3%で長くなっており、垂直断では61.3%で上方に長くなっていた。
・この非対称性の延長は6ヶ月後のM-score地と有意に相関していた(p=0.044)。
Ability and reproducibility of Fourier-Domain optical coheernce tomography to detect retinal nerve fiber layer atrophy in Parkinson’s disease.
Garcia-Martin E et al(Spain)
Ophthalmology 119(10): 2161-2167, 2012
・Parkinson病者(PD)75名と正常者75名とで、網膜厚や網膜神経線維層RNFL厚をCirrusとSpectralisの2種類のOCTで測定した。
・Cirrusでの乳頭周囲RNFL測定、Spectralisでの乳頭周囲RNFL測定、Spectralisでの新しいNsite Axonal Analyticsの3種類の測定を行った所、全てでPDのRNFL萎縮が検出されたが(p=0.025, p=0.042, p<0.001)、Nsite測定がsubclinicalな障害までも検出するのには一番感度が高かった。
Quantitative computed tomographic predictors of compressive optic neuropathy in patients with thyroid orbitopathy
Ezekiel Weis et al (Alberta, Canada)
Ophthalmology 2012; 119: 2174-2178
・甲状腺機能異常による圧縮性視神経症(DON)において眼窩骨の幾何学と眼窩内容積との関係を評価する。
・甲状腺起因性眼窩症99人198眼全員に臨床検査と眼窩部CT、内容積の分析を実施。
・圧縮性視神経症が内直筋の体積(P=0.005)、外直筋の体積(P=0.011)、上方筋群の体積(P=0.04)、全直筋の体積(P=0.015)と関連があった。下直筋の体積(P=0.725)と眼窩容積(P=0.494)、骨の眼窩尖端部の角度(P=0.895)、眼球径、骨内壁の輪部(P=0.414)は関連無かった。内直筋の体積が唯一の独立した徴候と思われた(P=0.005)。
・内直筋の直径(P=0.003)、内直筋と外直筋の直径の組み合わせ(P=0.006)、全直筋の直径(P=0.016)が視神経症と関連があったが、外直筋(P=0.117)、上直筋(P=0.092)、下直筋(P=0.725)の直径は関係無かった。
・DONとは視神経自体の圧縮又は眼窩尖端部の軟組織の体積の増加による血流の圧縮、眼窩後方の圧の増加、又はまれに視神経の伸展が原因である。診断が困難で悪化してから発見されることもまれでない。臨床症状では、外眼筋の動きの極度の悪化、眼瞼下垂、神経周囲脂肪の消滅はDONが強く疑われる。今回、CT上AXIALスキャンで内直筋の体積と直径を測定することがDONの発見に重要であるとわかった。
・これは解剖学的に眼窩尖端部で視神経が眼窩内に入る時に内直筋のみと非常に接近することによると説明される。(YM)
Descemet’s stripping endothelial keratoplasty: Long-term graft survival and risk factors for failure in eyes with preexisting glaucoma
Arundhati Anshu et al (Indiana, USA)
Ophthalmology 2012; 119: 1982-1987
・DSEK453例のうち、緑内障は無い(C群)、緑内障があり薬物療法を行なっていた(G群)、以前に緑内障手術を受けた(GS群)と分類した。レーザーのみの治療はG群とした。
・移植片の残存率は、1,2,3,4,5年後で、
C群(342例)――99%,99%,97%,97%,96%
G群(65例)――100%,98%,98%,96%,90%
GS群(46例)――96%,91%,84%,69%,48%
GS群のうち、トラベクレクトミーのみ(26例)では5年後59%
GS群のうち、ドレナージを使用した(20例)では5年後25%
・薬物療法のみの緑内障眼は、手術を行なった緑内障眼よりも5年後の移植片残存率は明らかに良好であった。DSEKにおいて緑内障が存在している症例での長期間の移植片残存率は、これまでの緑内障に受けていた治療方法と移植後の拒絶反応の発生に影響されるとわかった。
・チューブシャントによるドレナージ手術を行なった緑内障眼では、チューブの内皮への接触又は血液房水関門の途絶で起こる炎症産物の流入が内皮障害の原因となりうると推測する。(YM)
The Handy Eye Chart: A New Visual Acuity Test for Use in Children
Cromelin CH, Hutchinson AK,et al.(USA-GA)
Ophthalmology 119(10):2009–2013, 2012
・なじみのあるシンボル・文字を使ったハンドジェスチャーをもとにしたシンプルな視力検査“Handy Eye Chart”を考案
・Handy Eye Chart:『thumbs-up』『circle』『palm』『C』の四つのシンボルを使用、ETDRSチャートと同様に(対数線形関係に)配列【Fig.1】
・小児60名(6-16歳)にHandy Eye Chart:とETDRSチャートの両方で視力検査
・視力結果は強い線形関連(r=0.95)を示し、視力結果の差の平均は-0.03(95%信頼区間-0.05~-0.01)であった
・Handy Eye Chartの方が過小評価する傾向
【結論】今回の調査では新しい視力検査表が6-18歳の小児の20/16(logMAR -0.1)から20/200(logMAR 1.0)の視力測定にとって信用のある結果を示すことがわかった(MK)