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Ophthalmology

2012
119巻

毎日コンタクトレンズを装用する使用者における中等度から重度の病原菌による角膜炎の危険因子

Ophthalmology 119巻 (8号) 2012

Risk Factors for Moderate and Severe Microbial Keratitis in Daily Wear Contact Lens Users
Fiona Stapleton et al (Australia)
Ophthalmology 2012 ;119 :1516-1521
・12ヶ月間に毎日コンタクトレンズを装用する人で中等度から重度の病原菌性角膜炎の患者90例を調査した。細菌検査を行った63例のうち41例(65%)で培養陽性。グラム陰性細菌・真菌・アカントアメーバで41例中の32例が重症。
・危険因子としては、時折一昼夜装用してしまうこと、保存容器の消毒不足、喫煙、保存液の性質が関係し、コンタクトレンズの材質、年令、性別は無関係。容器の消毒不足は50%に発生し、コンタクトレンズ装用者への教育が最も重要であると思われた。(YM)

2012
119巻

レーザー周辺虹彩切開は視機能に影響するか

Ophthalmology 119巻 (7号) 2012

Visual symptoms and ertinal straylight after laser peripheral iridotomy. The Zhongshan Angle-Closure Prevention Trial.
Congdon N et al(China)
Ophthalmology 119(7): 1375-82, 2012
・レーザー周辺虹彩切開(LPI)の光の前方散乱や主観的な症状について、50歳以上70歳以下の両眼の狭隅角眼で、ランダムに選択した片眼のみLPIを施行した230例で検討した。
・LPI施行18ヶ月後に、LPIの大きさ、位置を確認する為に写真撮影を行い、水晶体混濁度、網膜散乱光をOCULUS C-Quant(フリッカー光を使用して測定)で測定し、質問用紙(NEI Refractive Error Quality of Life Instrument)に回答して貰った。
・230眼のLPI位置は、121眼でLPIは上眼瞼で完全に隠れ、43眼で不完全だが隠れ、53眼では露出していた。
・全てのテストができたのはLPI眼では217/230(94.3%)、正常コントロール者では250/268(93.3%)であった。
・視力や散乱光スコア、主観的なグレアはLPI眼と他眼では、LPI部が上眼瞼で隠れている、いないにかかわらず、有意差がなかった。
・唯一、皮質白内障が強いと散乱光スコアが上昇していた(p=0.01)。

2012
119巻

線維柱帯切除手術後の篩板の前後移動

Ophthalmology 119巻 (7号) 2012

Reversal of lamina cribrosa displacement and thickness after trabeculectomy in glaucoma.
Lee EJ et al(Korea)
Ophthalmology 119(7): 1359-66, 2012
・35例35眼の線維柱帯切除術を受けたPOAGで検討した。
・10×15度の四角内の視神経乳頭部をEDI-OCTで術前、術後1週、1,3,6ヶ月目に測定した。
・視神経乳頭縁のブルッフ膜縁を結んだ線を基線とし、1)篩板前面まで、2)陥凹表面まで、3)篩板後面までの垂直距離の最大部とそこから100,200μm耳側部での距離を測定し、この3つの値の平均値を求めた。
・篩板前面までの距離(1)を篩板の偏位とし、陥凹表面から篩板前面までの距離(1-2)を篩板前組織厚、篩板前面から篩板後面までの距離(3-1)を篩板厚とした。
・手術6ヶ月後の眼圧は27.2±8.9(14-47)mmHgから10.5±3.4(6-12)mmHgに低下し、6ヶ月後の篩板偏位値は614.6±179.6から、503.9±142.7μmに減少した(p<0.001)。6ヶ月後の篩板前組織厚は95.8±41.0から101.7±42.1μmに増加(p<0.05)、篩板厚は169.4±24.7から204.8±26.4μmに増加(p<0.001)した。
・篩板の偏位量は若いほど強く(r2=0.513 p<0.001)、眼圧下降量%が大きいほど大きく(r2=0.150 p=0.022)、術前の篩板偏位値が大きいほど大きかった(r2=0.380 p<0.001)。
・篩板厚や篩板前組織厚には何も関連していなかった。

2012
119巻

緑内障からの視野狭窄と転倒の恐れ

Ophthalmology 119巻 (7号) 2012

Fear of Falling and Visual Field Loss from Glaucoma
Ramulu PY(USA)
Ophthalmology 119:1352-1358,2012
・緑内障からの視野狭窄が転倒するという恐怖の増大と結びつけられるか検討した
・緑内障患者群83人(平均年齢69.5歳、平均MD値-8.0dB)
コントロール群60人(平均年齢70.4歳、平均MD値+0.2dB)
人種、年齢、BMI、性別、その他の疾患に相違はなかった。
・転倒するという恐れの評価はthe University of Illinois at Chicago Fear of Falling Questionnaireでスコア化した。スコアが低いほど能力が低く、転倒の恐怖感が大きい事を示した。
・緑内障と転倒の恐怖感の増大は有意に関連していた。(β=-1.20)
・視野損失の重症度が高くなるにつれ、この関連性は増強した。(平均MD値が5dB低下するごとにβ=0.52)
・転倒の恐怖感は、緑内障とQOL低下を関連付ける重要な因子である可能性がある。転倒の恐怖感への対処方法を開発し実施する事がよいケアにつながる。(CH)

2012
119巻

共焦点レッドフリーイメージを用いた、網膜無血管野を発見する非侵襲な新しい方法

Ophthalmology 119巻 (7号) 2012

A Novel Noninvasive Detection Method for Retinal Nonperfusion Using Confocal Red-free Imaging
Shin YU, MD, Lee BR, et al.(Korea)
Ophthalmology 119(7):1447–1454, 2012
・44例54眼、FAにて無血管野が明らかにされた糖尿病網膜症(DR)または網膜静脈閉塞(RVO)の患者
・共焦点スキャニングレーザー検眼鏡(cSLO)のレッドフリー画像を取得しFAと比較
・cSLOのレッドフリー画像;F-10(ニデック)、490μmのブルーリフレクタンス
・DR・RVOともにFAと共焦点レッドフリー画像における無血管野の範囲は高い相関(r>0.9)を示した
ふたつの方法(サイズ比較、overlapping 比較)でも信憑性が示された
【結論】網膜の無血管野を区分するのに共焦点レッドフリー画像はシンプルで信憑性があり安全で非侵襲的な方法である。(MK)

2012
119巻

8ケースの脈絡膜転移に対する光線力学療法

Ophthalmology 119巻 (6号) 2012

Photodynamic Therapy for Choroidal Metastasis in 8 Cases
Kaliki S et al. (USA)
Ophthalmology 119:1218-1222,2012
・脈絡膜転移の治療で光線力学療法(PDT)の有効性を決定すること。
・2001年1月1日から2011年6月1日の間のウィルアイ研究所で治療された8人8眼の9個の腫瘍
・原発腫瘍診断時平均年齢は58歳、脈絡膜転移診断時平均年齢は65歳、原発腫瘍の発見と脈絡膜転移の平均間隔は84カ月。
平均腫瘍径は7mm、平均腫瘍の厚さは2.9mm
9個すべての腫瘍に網膜下液を認めた。
・PDT後、7個の腫瘍(78%)で網膜下液の完全な消失が達成されました。平均腫瘍の厚さは39%減少した。平均腫瘍径は変化がなかった。
・2つの腫瘍がPDTに反応しなかった。それらにはプラーク放射線療法施行した。
・視力の改良あるいは安定化が7眼で達成されました。
・光線力学療法関連の合併症が1眼で網膜内出血が認められた。
・光線力学療法は脈絡叢転移の治療のために有効な選択肢である。(CH)

2012
119巻

アルコール摂取は涙液フィルムに影響するか

Ophthalmology 119巻 (5号) 2012

Oral alcohol administration disturbs tear film and ocular surface.
Kim JH et al(Korea)
Ophthalmology 119(5): 965-71, 2012
・アルコール摂取が涙液層や眼表面を障害するかどうかを検討した。
・10名でアルコールを0.75g/Kgを20時から2時間で摂取し、10名のコントロールと比較した。
・涙液フィルムと眼表面を摂取前の18時、深夜0時、起床直後の6時、8時に、涙液の浸透圧、血清と涙液内のエタノール濃度、シルマーテスト、涙液BUT、角膜点状糜爛、角膜感度を測定した。
・深夜0時には涙液、血清中にエタノールが検出されたが、翌朝には検出されなかった。
・摂取群で涙液浸透圧は、深夜0時、6時、8時のいずれでも、有意に高かった(p<0.05)。
・シルマーテストや角膜知覚では全ての時間で有意差はなかったが、涙液BUTは摂取群で全時間で有意に短かった(0時6.7±1.1:10.9±1.7、6時6.6±1.1:11.1±1.5、8時7.9±2.1:11.5±1.3秒)。
・フルオレセイン染色スコア(0-3)は、摂取群で0時には有意差がなかったが、翌朝有意に高かった(6時3.2±1.9:0.4±0.5、8時1.8±0.6:0.3±0.5)。
・摂取したエタノールは涙液に分泌され、涙液の浸透圧を上げ、涙液BUTを短縮させ、眼球表面疾患を誘発するだろう。

2012
119巻

白内障手術に対するFemotosecond Laserの応用

Ophthalmology 119巻 (5号) 2012

Early experience with the Femotosecond Laser for cataract surgery.
Bali SJ et al(Australia)
Ophthalmology 119(5): 891-9, 2012
・Femotosecond laser白内障手術の術中合併症とその学習曲線について、6例の術者による最初の200例について、施行時期順に50例毎に4群に分けて検討した。
・前嚢切開、水晶体分割、角膜切開をレーザーで行い、その後、超音波乳化吸引、眼内レンズ移植を行った。
・重大な合併症は、後嚢破損7例3.5%、核落下4例2%であった。
・最初の100例では、以前にレーザーを扱った経験のある術者は合併症が有意に少なかったが(p<0.001)、101例以降では有意差がみられなかった。

2012
119巻

線維柱帯切除術における結膜弁baseの影響

Ophthalmology 119巻 (4号) 2012

Comparison of limbus-based and fornix-based trabeculectomy: success, bleb-related complications, and bleb morphology.
Solus JF(ML USA)
Ophthalmology 119(4): 703-11, 2012
・最初の4年間で行った輪部base切開と、その後の4年間で行った円蓋base切開を行った、347例439眼を検討した。
・いずれも、術後4年間について検討。
・眼圧下降効果については、両者間に有意差はなかった。
・濾過胞形成は、輪部baseで大きなものが多く(54% vs 29% OR=2.97 1.94-4.55 p<0.0001)、無血管性のものが多かった(50% vs 15% OR=5.44 3.34-8.84 p<0.0001)。
・4年間でいずれも4%で濾過胞晩期漏出があったが、輪部baseの方が有意に発生が遅かった(2.1 vs 1.0年 p=0.002)。
・術後6週以降の晩期濾過胞感染は、輪部baseの方がやや有意に多かった(4.1 vs 0.9% p=0.054)。
・年毎の発症率は輪部baseが有意に遅かった(1.79 vs 1.20/years p=0.03)。
・症状のある低眼圧症は、円蓋baseの方が有意に多かった(17.2 vs 10.6 p=0.01)。
・術後の白内障手術までの期間は、円蓋baseの方が有意に早かった(1.05 vs 2.14年 p=0.002)。

2012
119巻

線維柱帯切除術の20年経過

Ophthalmology 119巻 (4号) 2012

A twenty-years follow-up study of trabeculectomy: risk factors and outcomes.
Landers J et al(UK)
Ophthalmology 119(4): 694-702, 2012
・234例330眼の線維柱帯切除術後の経過について検討した。
・結果は、完全成功:点眼薬なしで眼圧が21未満、条件付き成功:点眼薬で眼圧が21未満、機能的成功:失明(視力0.05未満、視野10度未満)に至らなかったもの、とした。
・20年後は57%が完全成功、88%が条件付き成功、15%が失明であった。
・失敗のリスクは、40歳未満1とすると、49-59:0.04(95%CI=0.003-0.4 p<0.01)、60以上;0.01(0.001-0.2 p<0.001)で、若いほど高く、POAG,NTGを1とすると、ぶどう膜炎からの緑内障が9.8(1.3-77.3 p<0.05)であった。
・失明のリスクは、POAG,NTGを1とすると、僞落屑症候群は4.4(1.8-10.4 p<0.001)、無水晶体眼は5.2(1.6-16.5 p<0.01)であった。生命表分析でも明らかであった。

2012
119巻

汚染されたIOL保存液により連続発症した術後眼内炎

Ophthalmology 119巻 (3号) 2012

An outbreak of acute post-cataract surgery pseudomonas sp. endophthalmitis caused by contaminated hydrophilic intraocular lens solution.
Ramappa M et al(India)
Ophthalmology 119(3): 564-70, 2012
・南インドの3次医療機関で、2010/9/6-29に発生した急性術後眼内炎の11例について検討した。
・前房硝子体サンプルから11眼中8眼でグラム陰性桿菌が検出され、11眼中5眼は緑膿菌であった。
・11例中8例では視力も0.4以上に改善した。1眼は網膜剥離を発症し、2眼は眼球癆となった。

2012
119巻

レーザー虹彩切開後の眼圧上昇

Ophthalmology 119巻 (2号) 2012

Immediate changes in intraocular pressure after laser peripheral iridotomy in primary angle-closure suspects.
Jiang Y et al(China)
Ophthalmology 119(2): 283-8, 2012
・狭隅角の734名(50-70歳)の中国人の片眼に対し、Nd:YAGレーザーにて周辺虹彩切開を行い、施行していない他眼との眼圧の比較を行った。
・眼圧測定は処置前、1時間後、2週間後に行った。
・処置後の眼圧8mmHg以上の上昇は、1時間後に9.8%(95%CI=7.7-12.0)、2週間後は0.82%(95%CI=0.2-1.5)であった。
・処置直後の30mmHg以上の眼圧上昇は4/734眼(0.54%)で発生した。
・1時間後の眼圧は処置眼で、17.5±4.7、対象眼で15.2±2.6(p<0.001)であり、2週間後では、15.6±3.4と15.1±2.7(p<0.001)であった。
・8mmHg以上の眼圧上昇のあった72眼と、上昇のなかった662眼とを比較すると、平均値とリスクファクターは、中心前房深度が、2.49±0.20:2.55±0.22(p=0.012)mm OR=0.25(95%CI=0.08-0.80 p=0.019)で、レーザーの全エネルギー量が、205.8±185.2:146.0±118.5mJ(p<0.001) OR=1.32(95%CI=1.14-1.53 p<0.001)、レーザー凝固数が、58.1±47.5:46.0±33.7発(p=0.039) OR=1.08(95%CI=1.02-1.14 p=0.009)と有意差があった。
・この様な症例では、処置1時間後の眼圧上昇に気を付けた方が良い。

2012
119巻

抗VEGF薬の硝子体内注射による眼圧上昇

Ophthalmology 119巻 (2号) 2012

Effect on intraocular pressure in patients receiving unilateral intravitreal anti-vascular endothelial growth factor injections.
Hoang QV et al(NY USA)
Ophthalmology 119(2): 321-6, 2012
・新生血管AMDの207例につき、bevacizumabとranibizumabの注射回数と眼圧経過を調査した。
・注射回数は平均 20.8回(8-48回)、平均経過観察期間は 148.6週(9.7-274週)。
・2回以上連続で、眼圧上昇していた場合を眼圧上昇と定義した。
・5mmHg以上眼圧上昇を来たした人は、治療眼で11.6%、対象眼で5.3%であった。
・平均注射回数は、5mmHg以上眼圧上昇群では24.4回(95%CI=20.9-28.0)であり、非上昇群の20.4回(95%CI=18.9-21.8)より多かった。
・5mmHg以上眼圧が上昇する人は、29回以上注射を受けた人では、12回未満の人に比べ、5.75倍(95%CI=1.19-27.8 p=0.03)、高かった。
・眼圧上昇の要因を検討すると、注射回数のみが相関があった OR=1.50 (95%CI=0.995-2.26 p<0.05)

2012
119巻

緑内障におけるEDI-OCTでの篩板構造の検討

Ophthalmology 119巻 (1号) 2012

Enhanced depth imaging optical coherence tomography of deep optic nerve complex structures in glaucoma.
Park SC et al(NY USA)
Ophthalmology 119(1): 3-9, 2012
・Enhanced depth imaging(EDI)-OCTで73例(139眼)の緑内障の視神経構造Optic nerve complex(ONC)を調べた。
・ONCの深層:篩板部(LC)、短後毛様動脈(SPCN)、中心網膜動脈(CRA)、中心網膜静脈(CRV)、視神経周囲の脈絡膜、強膜、クモ膜下腔を調べた。
・篩板前面は視神経中心部では全例で、視神経周辺部では91例(65%)で同定することができた。
・脈絡膜内の腔と硝子体腔とのつながりを検出できた例もあった。

2012
119巻

緑内障における篩板厚の測定

Ophthalmology 119巻 (1号) 2012

Enhanced depth imaging detects lamina cribrosa thickness differences in normal tension glaucoma and primary open-angle glaucoma.
Park HYL et al(Korea)
Ophthalmology 119(1): 10-20, 2012
・HeidelbergのSD-OCTのEDI modeで篩板を描出し、139例の様々なタイプの緑内障と49例の正常者で篩板厚を比較した。
・測定部は視神経の上方部、中央部、下方部の3ヶ所の水平断を測定した。
・中央部篩板厚はPOAG(237.8±40.2μm)、NTG(175.1±22.6)で、正常群(348.1±23.4)よりも有意に薄かった(p<0.001)。
・NTGで乳頭出血のある群(160.3±21.4)は、ない群(183.3±24.3)よりも有意に薄かった(p=0.048)。

2011
118巻

未熟児における黄斑部の発育について

Ophthalmology 118巻 (12号) 2011

Dynamics of human foveal development after premature birth.
Maldonado RS et al(NC USA)
Ophthalmology 118(12): 2315-25, 2011
・胎生31週から41週の31例の未熟児について、ヒト黄斑部の発達をSD-OCTで検討した。
・正常な9例の小児、9例の成人をコントロールとした。無麻酔でSD-OCT検査を行い、網膜層厚を半自動化で測定し、中心窩厚と、これを中心窩から1000μm部の傍中心窩厚で割ったFP比、3次元網膜厚マップを解析した。
・未熟児では中心窩が浅く、網膜内層(NFL、GCL、内網状層IPL、内顆粒層INL)が厚く、視細胞層(外網状層OPL、外顆粒層ONL)が薄く、外境界膜ELM・IS/OS・視細胞外節OS/PRE層はみられなかった。
・中心窩では成人では消失している網膜内層が全体の1/3厚程度残っていた。
・また、未熟児では58%にCMEが存在していた。
・中心窩での各層の厚みの中間値μm(未熟児:成人)、GCL(3:0)、IPL(26:0)、INL(55:3)、総網膜内層厚(78:7)、網膜内層のFP比(0.46:0.05)。
・OPL(10:7)、視細胞層PRL(29:150)、層網膜外層厚(39:173)、PRLのFP比(0.75:1.44)。総中心窩厚(127:182)。

2011
118巻

黄斑部厚、視神経乳頭径の人種差、年齢差について

Ophthalmology 118巻 (12号) 2011

Variation in optic nerve and macular structure with age and race with spectral-domain optical coherence tomography.
Girkin CA et al(AL USA)
Ophthalmology 118(12): 2403-8, 2011
・黄斑部をOCTで計測し、人種差、年齢差について検討した。
・アフリカ系、ヨーロッパ系、ヒスパニック、インド人、日本人の計350名632眼の正常者について検討した。
・視神経乳頭面積はヨーロッパ系で他群より有意に小さく(p<0.0001)、インド人ではリム面積が有意に小さかった(p<0.0001)。
・インド人とヒスパニックではRNFLが有意に厚く(p<0.0001)、アフリカ系では網膜内層が有意に薄かった(p<0.0001)。
・加齢により、リム面積は減少 0.005mm2/年、RNFL厚は減少 0.18μm/年、網膜内層は 0.1μm/年薄くなっていた。
・これらの事はOCTの正常値を検討する時に大切である。

2011
118巻

特発性黄斑部毛細血管拡張症type2における結晶について

Ophthalmology 118巻 (12号) 2011

Retinal crystals in type2 idiopathic macular telangiectasia. Sallo FB et al(UK)
Ophthalmology 118(12): 2461-7, 2011
・黄斑部毛細血管拡張症(MacTel) type2でみられる網膜内結晶沈着について検討した。
・443例の内、203例(46%)で結晶の沈着があり、60%で両眼性であった。
・ETDRS視力(0:20/800~100:20/12)は、結晶沈着のある眼(n=520)では70.7±15.9、沈着のない眼(n=342)では66.5±15.5で有意差があった(p<0.001)
・結晶沈着はNFLの前面にあり、NFに沿って、中心窩にも存在した。
・結晶沈着が増えるにつれ、網膜の透過性減少、黄斑色素濃度が低下、FA色素漏出が増加、網膜厚増加、IS/OSラインの破綻がみられた。
(参考)type1:黄斑部動脈瘤性で片眼性。男性に限定され、CMEがある。Coats病の一種か。lipid沈着が多いが、結晶沈着は少ない。
type2:傍中心窩性(MPT)で、両眼性。拡散性で黄斑部が白濁化し、PREの変化があり、表層の結晶沈着が多い。網脈下新生血管が発生しうる。
type3:閉塞性で、両眼性であるが、非常に稀。全身疾患と関連している(Arch O 124:450,2006)。

2011
118巻

緑内障インプラント手術の成績(2)

Ophthalmology 118巻 (11号) 2011

The Ahmed versus Baerveldt study. Design, baseline patient characteristics, and intraoperative complications.
Christakis PG et al(Canada)
Ophthalmology 118(11): 2172-9, 2011
Ahmed ValveとBaerveldt implantの両者のバルブに合併症には差がなかった

2011
118巻

緑内障インプラント手術の成績(1)

Ophthalmology 118巻 (11号) 2011

The Ahmed versus Baerveldt study. One-year treatment outcomes.
Christakis PG et al(Canada)
Ophthalmology 118(11): 2180-9, 2011
・18才以上の点眼、レーザー、手術等に反応しないコントロール不良の緑内障を対象として、124名のAhmed-FP7 Valve群と、114名のBaerveldt-350 implant群に別け結果を比較した。
・不成功の定義として、3ヶ月後に目標眼圧(5-15mmHgで、眼圧が20%以上低下)に届かない、視力障害を起こす合併症が発生、追加手術が必要、光覚消失である。
・調査群は、術前に3.1±1.0種の点眼薬を使用し、眼圧は31.4±10.8mmHg、視力は中間値で20/100であった。
・1年後の累積不成功例はAhmed(A)群で43%、Baerveldt(B)群で28%であった(p=0.02)。
・1年後の平均眼圧はA群で16.5±5.3、B群で13.6±4.8であった(p<0.001)。
・必要とされる点眼数は、A群で1.6±1.3種、B群で1.2±1.3種であった(p=0.03)。
・視力は両群間に差はなく、1年までの術後合併症発症率(A群45%、B群54%)で差はなかったが、処置の必要な合併症はA群で26%、B群で42%で、有意差があった(p=0.009)。
・B群は成功率ではA群よりも高いが、処置が必要な症例も多かった。

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