Characteristics of peripapillary choroidal cavitation detected by optical coherence tomography.
Yeh SI et al(Taiwan)
Ophthalmology 120(3): 544-552, 2013
・OCTで検出される傍乳頭脈絡膜腔(peripapillary choroidal cavitation:PCC)をもった83例122眼について検討した。
・41.8%が男性で、年齢は48.2±12.6歳、logMARは0.23±0.43(小数点視力:0.59)、平均屈折度は-9.03±5.11D、平均眼軸長は27.36±2.09mmであり、40眼(32.8%)は眼軸長が26.5mm未満(25.11±1.07mm 22.51-26.42)であった。
・屈折度でみると、90眼(73.8%)は-6.0D以上の高度近視(年齢45.8±11.1)、24眼(19.7%)は-6.0D未満の軽度近視(年齢51.6±13.9)、5眼(4.1%)は±1.0D以内の正視(年齢59.2±12.2)、3眼(2.6%)は+1.0D未満の遠視(年齢65.0±8.0)であった。
・軽度近視から遠視のPPC患者では高度近視患者のPPC患者よりも有意に高齢であった(p<0.05)。
・PCC患者の57眼(46.7%)では眼底検査で橙黄色の境界鮮明な限局性の病巣がみられた。
・陥凹のある近視性コーヌスのあった14/53眼(26.4%)で開口のあるPCCがみられ、陥凹のある近視性コーヌスのみられなかった5/69眼(7.2%)で開口のあるPCCがみられた。
・PCCは稀な状態ではなく、また、高度近視に特異的ではなく、橙黄色病変が必須でないことも分かり、PCCは老化の一種である可能性が考えられた。
Reversal of lamina cribrosa displacement after intraocular pressure reduction in open-angle glaucoma.
Lee EJ et al(Korea)
Ophthalmology 120(3): 553-559, 2013
・POAGで眼圧下降に反応して篩状板(LC)の偏位があるかどうかを検討した。
・100名100眼(年齢54.1±16.8歳)のOAGで、眼圧が20%以上低下した患者を、繊維柱帯術前と術後3,6ヶ月後で調査した。
・眼圧は術前の21.2±9.1から10.5±2.6まで低下した。
・LCの深さ位置は術前の眼圧に関連して、指数関数的に有意に減少した(r2=0.51 p<0.001)。
・LC深度の低下は、若年者、術前の高眼圧、眼圧下降率と有意に関連していた(全て p<0.02)。
Retinal pigment epithelial cell loss assessed by fundus autofluorescence imaging in neovascular age-related macular degeneration.
Kumar N et al(NY USA)
Ophthalmology 120(2): 334-341, 2013
・116名162眼の新生血管AMDを対象として、自発蛍光検査で検出された網膜色素上皮細胞欠損について検討した。
・黄斑部内の長径が最低0.5mmの癒合した自発蛍光部位を調べた。
・開始時の患者の平均年齢は82.9±7.9才で平均視力は20/71(logMAR=0.55)、平均罹病期間2.1±2.5年であった。
・開始時の自発蛍光の融合欠損は58.6%でみられ、その面積は3.18±3.93mm2で、その中央値は1.57mm2(四分位間25%-75%:IQRは0.62-4.32mm2)であった。
・一般推定モデルでは、開始時に自発蛍光の融合欠損がないものは、罹病期間とPDT治療の既往であり、開始時の視力の優位な予測因子は自発蛍光の融合欠損がないことであった。
・124眼(76.5%)で経過観察可能で、平均経過観察期間は2.9±1.8年であり、その時の視力は20/90 (logMAR=0.65)、自発蛍光の融合欠損は79%にみられ、その平均面積は5.28mm2で、中央値は3.61mm2(IQRは1.16-7.11)であった。
・開始時に中心窩が含まれていない95眼の内、最終観察時では75眼(78.9%)で中心窩が含まれる様になっていた。
・自発蛍光の融合欠損の進行度は0.94mm2/年であった。
・RPE欠損を意味する自発蛍光の融合欠損は視力の有力な予測因子となると考えた。
Cataract Surgery in Patients with Nanophthalmos
Steijns D, et al.(Netherlands)
Ophthalmology 120(2):266–270, 2013
・真性小眼球の患者に対する白内障手術の視力結果と合併症を報告
・眼軸長が20.5mm以下の32例43眼、19-87歳(平均69)歳
・白内障手術にて19眼(44.2%)で3段階(Snellen line)以上の視力改善、2眼(4.7%)で3段階以上の悪化【Tab.2】
・悪化例;1眼で角膜の代償不全、もう1眼は閉塞隅角緑内障
・12眼(27.9%)で合併症出現、uveal effusion(9.3%)とCME(7.0%)が頻度が高かった【Tab.5】
【結論】真性小眼球を持つ患者への白内障手術は、合併症の頻度が高いため、依然として挑戦の意味合いが残る(MK)
Acute Intraocular Inflammation Caused by Endotoxin after Intravitreal Injection of Counterfeit Bevacizumab in Shanghai, China
Wang F, Sun X, et al. (China)
Ophthalmology 120 (2):355–361, 2013
・2010年9月6-8日に中国の公立病院で偽造bevacizumab3バイアル(Lot #B6001B01)が116名(日付順に41、40、35名)の患者の硝子体に注入され、うち80人で急性眼内炎を発症
・潜伏期は2-24時間(平均12時間)、症状の持続は3-22日(平均6日)
・培養検査では細菌・真菌ともに検出されず
・研究室の調査にてバイアルの残液よりエンドトキシンが検出、bevacizumabの成分は検出されず
・全患者に抗生剤とステロイドの点眼、43名で硝子体生検と硝子体注入、前房蓄膿や有意な硝子体炎症がみられた
・21眼で硝子体手術を施行
・治療にて炎症は速やかに消退、63名(78.8%)で治療前の視力まで改善した
【結論】偽造bevacizumabの硝子体注入後に発症する眼内炎の原因として、この報告ではエンドトキシンが示された。Endotoxin-indused ocular toxic syndrome(EOTS)は典型的な感染性眼内炎と臨床的に異なるよう
*EOTSがTASSと異なる点;眼圧上昇が見られないこと、前房内手術の既往がないこと(MK)
Retinal vascular geometry and glaucoma: The Singapore Malay Eye Study.
Wu R et al(Singapore)
Ophthalmology 120(1): 77-83, 2013
・40-80歳のSingaporeに住むマレー人4168名の内、Singapore Malay Eye Studyに参加した3280名(78.7%)について検討した。
・2789名の内、4.4%にあたる123名(内87名がPOAG)が緑内障と診断された。
・デジタル眼底カメラ(画角45度のCanon CR-DGi、空間分解能3072×2048)で眼底を撮影し、Singapore I Vessel Assessment(SIVA)プログラムで解析した。
・解析部位は視神経乳頭縁から0.5-2.0 DD間である。
・解析は網膜血管の蛇行(蛇行度が小さいほど直線的)、網膜血管の分岐角度、網膜血管の分裂様相(複雑に分岐している程、値が大きくなる)を計算した。
・POAGとその他で比較すると、動脈蛇行度(x10^-4)はPOAG=1.79±1.46、他=3.00±1.43、静脈蛇行度はPOAG=2.85±2.29、他=4.62±2.38、静脈分岐角度はPOAG=76.5±12.4゚、他=79.7±10.2゚、分裂様相はPOAG=1.37±0.10、他=1.41±0.05であった。
・年齢と性別だけで調整したPOAGにおける減少率を計算すると、動脈蛇行度はOR=1.84(95%CI=1.46-2.32 p<0.001)、静脈蛇行度はOR=1.60(95%CI=1.30-1.98 p<0.001)、静脈分岐角度ではOR=1.23(95%CI=1.00- 1.50 p=0.048)、分裂様相ではOR=1.33(95%CI=1.03-1.72 p=0.028)であり、網膜血管形態は緑内障性の視神経症と相関していた。(TY)
Retinal vessel caliber is associated with the 10-year incidence of glaucoma. The Blue Mountains Eye Study.
Kawasaki R et al(Australia)
Ophthalmology 120(1): 84-90, 2013
・網膜血管径と10年間でのPOAGの発症率との関連を調べた。
・The Blue Mountains Eye Studyの対象とした開始時の2461名、5年あるいは10年後にも対象となった2461名のうち、開始時にPOAGであった44名を除いた2417名を対象として調査した。
・視神経乳頭から0.5~1.0DDを貫通している直径25μm以上の血管の径を全て測定し、太い方から6本の動脈と静脈の径を合計したものをCentral retinal artery/vein equivalent(CRAE/CRVE μm)と定義した。
・緑内障の発症は、典型的な視野欠損があり、視神経乳頭変化、リム菲薄化とCD比が0.7を超える、あるいはCD比の両眼差が0.3以上となったものと定義した。
・10年間で82名104眼がPOAGを発症した。
・年齢、性、緑内障家族歴、喫煙、糖尿病、高血圧、高脂血漿、BMI、屈折度、CD比で補正した後に、CRAEが細いことがPOAG発症のリスクであり(OR=1.77 95%CI=1.12-2.79)、眼圧で補正するとOR=1.87 95%CI=1.14-3.05、眼浸透圧OPPで補正するとOR=1.76 95%CI=1.11-2.78であったが、CRVEとPOAG発症の間には補正後には関連がなかった。
・CRAEを4分位でみると、最小Q1(93.4-150.9μm)ではOR=4.02(95%CI=1.17-13.9 p=0.028)、Q2(151.0-160.5)ではOR=3.13(0.93-10.5 p=0.065)であったが、Q3(160.6-170.6)ではOR=0.93(0.26-3.35 p=0.916)と関連がなくなっていた。
・POAG発症した人としなかった人の開始時の比較では、眼圧は18.0±3.3:15.9±2.6(p<0.001)、垂直CD比は0.52±0.12:0.40±0.13(p<0.001)、CRAEは156.1±15.1:160.6±14.9(p=0.003)、CRVEは233.4±22.6:240.3±22.4(p=0.003)、年齢は68.2±8.2:64.1±8.5(p<0.001)、収縮期血圧は152.2±21.8:144.7±20.3(p=0.001)、拡張期血圧は85.8±9.3:83.4±9.8(p=0.030)であった。
・網膜動脈の狭細化は長期でみるとPOAG発症リスクとなることが分かった。(TY)
Acute postoperative vacillus cereus endophthalmitis mimicking toxic anterior segment syndrome.
Rishi E et al(India)
Ophthalmology 120(1): 181-185, 2013
・2000.1~2011.5までに発生した6例のBaillus cereusによる術後眼内炎の症例報告。
・全例、劇症発症で、術後24時間以内に高眼圧と角膜浮腫をきたし、一見、TASS様であった。
・2例は全層角膜移植、1例は全層角膜移植+強膜部分移植、1例は48時間で眼球内容除去、2例は10日以内に眼球癆となった。
・強い痛みと非常に高い眼圧を伴ったTASSはB cereusによる眼内炎を疑い十分観察すべきだ。(TY)
Corneal epithelial thickness mapping by fourire-domain optical coherence tomography in normal and keratoconic eyes.-Li Y et al(OR USA)
Ophthalmology 119(12): 2425-2433, 2012
・正常者76名145眼と円錐角膜22例35眼について、垂直解像度5μmのOCT(RTVue:Optivue)を用いて、角膜上皮面からBowman層上面までの角膜中央部の厚みを、8方向で測定した。
・測定値は、厚みの最小値、上方-下方値、最小-最大値である。
・正常者と円錐角膜では、中心値(2mm以内)は52.3±3.6:51.9±5.3、上方(2-5mm)は49.6±3.5:51.2±4.2、下方(2-5mm)は51.2±3.4:49.1±4.3μmであり、円錐角膜では下方値や最小値が有意に低かった(p=0.03、p<0.0001)。
Determinants of retinal venular diameter: The Beaver Dam Eye Study.
Myer CE et al(WI USA)
Ophthalmology 119(12): 2563-2571, 2012
・15年間のBeaver Dam Eye Study(BDES)での43歳から86歳の4600人を対象として、乳頭から0.5-1.0DD以内の主な6本の平均網膜動脈径(CRAE)、平均網膜静脈径(CRVE)を測定した。
・CRVEは歳に比例して細くなり、50歳と70歳を比較すると、5μm(225:230)細く、50歳と85歳では13μm(217:230)細くなっていた。
・男性、最近の喫煙歴、高白血球数は独立して太いCRVEと相関し、高血圧、高血清HDLコレステロールでは独立して細いCRVEと相関していた。
・また、経過をみた場合、心血管疾患の既往や慢性腎疾患では有意なCRVEの狭細化がみられた。
Choroidal volume variations with age, axial length, and sex in healthy subjects: a three-dimensional analysis.
Barteselli G et al(CA USA)
Ophthalmology 119(12): 2572-2578, 2012
・114例176眼の正常者で、EDI-OCT(Heidelberg Spectrails)で脈絡膜容積をETDRSグリッド(内環1-3mm、外環3-6mm)で測定し、3次元立体像を作成した。
・平均脈絡膜容積は、中心環0.228±0.077mm3、ETDRS全体では7.374±2.181であった。
・鼻側は最小で、上方が最大であった。
・ETDRS環全体での脈絡膜容積は、年齢で補正した眼軸長が長い程(p<0.0001)、眼軸長で補正した年齢が高いほど(p<0.0001)、眼軸長で補正した女性(p<0.05)で有意に小さかった。
・脈絡膜容積は10歳加齢毎に0.54mm3(7.32%)減少、眼軸長1mm長くなる毎に0.56mm3(7.59%)減少、男性では女性より7.37%大きかった。
Factors promoting success and influencing complications in laser-induced central vein bypass.
McAllister IL et al(Australia)
Ophthalmology 119(12): 2579-2586, 2012
・レーザーでの脈絡網膜静脈吻合(L-CRA)について、108例の中からランダムに選択され、L-CRAを受けた55例の非虚血性CRVOで、18ヶ月間検討した。
・L-CRAの成功例は、若いほど(p=0.03)、開始時の視力が良いほど(p=0.04)、高血圧症ではないほど(p=0.001)良かった。
・性別やCRVOの期間は無関係であった。
・L-CRAの部位は影響がなかったが、実施時の静脈壁の破綻は成功率に影響していた(p0.008)。
・新生血管は10眼12か所で発生したが、これは治療前の中心静脈圧が高いこと(P=0.03)、蛍光色素の発言が遅い事(p=0.0001)、無血管野があったこと(p=0.01)と相関していた。
Montage images of spectral-domain optical coherence tomography in eyes with idiopathic macular holes.
Mori K et al(埼玉医大)
Ophthalmology 119(12): 2600-2608, 2012
・黄斑円孔の合成画像をOCTで作成し、解剖学的な硝子体、網膜の関連を検討した。
・使用した機器はHweidelberg Spectralis OCTで、水平、垂直、2斜方向の4種で、画像ソフト(Photoshop)で画像合成を行った。
Intravitreal Aflibercept (VEGF Trap-Eye) in Wet Age-related Macular Degeneration
Heier JS et al. (USA)
Ophthalmology. 119:2537-2548,2012
・同様に設計された2グループ(VEIW1、VEIW2)で、加齢性黄斑変性(AMD)に対するaflibercept とranibizumab硝子体注射を比較した。
・毎月0.5mg aflibercept硝子体内注射(0.5q4)、
毎月2mg aflibercept硝子体内注射(2q4)、
最初の3ヶ月は2mg aflibercept硝子体内注射し、その後は2ヶ月毎の2mg aflibercept硝子体内注射(2q8)、
毎月0.5mg ranibizumab硝子体内注射(Rq4)
平均数注射回数:VEIW1で12.2〜12.4回、VEIW2で12.1〜12.5回
2q8ではVEIW1、VEIW2とも7.5回
VEIW1で視力が維持できたのは(視力低下がETDRSで15文字以下)0.5q4、2q4、2q8、Rq4、でそれぞれ99.4%、95.1%、95.9%、95.1%、VEIW2で 0.5q4、2q4、2q8、Rq4でそれぞれ、94.4%、95.6%、96.3%、95.6%だった。
すべてのaflibercept硝子体内注入グループの平均最高視力はranibizumab硝子体内注射グループの平均最高視力の0.5文字以内だった。
CNVの大きさ、網膜中心厚などの解剖学的な改善は治療群で同様であった。
眼および全身の有害事象は治療群で同様だった。
・2q8はRq4と同様の有効性と安全性を示した。
aflibercept硝子体内注射は経済的負担と危険性を減らす可能性がある。(CH)
Relationsip of intraocular pressure and frequency of spontaneous retinal venous pulsation in primary open-angle glaucoma.
Seo JH et al(Korea)
Ophthalmology 119(11): 2254-2260, 2012
・POAGにおける眼圧IOPと自発的静脈拍動SVPの関連を調査した。
・POAG 229例229眼とコントロールとして、緑内障疑い者 205例205眼とで比較した。
・SVPはSpectralis HRAの動画で評価した。
・POAG患者を未治療時のIOPで3群に分けた。GroupA:IOP≦15、GroupB:IOP>15で≦21、GroupC:IOP>21。
・SVPはCtrlで、POAGよりも頻繁にみられた(86.3%:53.3% p<0.0001)。
・POAG群ではGroupA(40.2%)はGroupB(57.3% p=0.03)やGroupC(63.9% p=0.003))より有意に少なかったが、BとCの間には有意差はなかった。
・POAG群では眼圧(p=0.007)、視野のMD(p<0.0001)、屈折度(p=0.011)が有意にSVPと関連していた。
・SVPはPOAGでは頻度が低く、POAGの中では眼圧の低い場合には頻度が低かった。
・緑内障ことにNTGでは網膜静脈壁が硬化しているためにSVPの頻度が低く、乳頭縁出血が多くなっているのではないかと考えられる。
Effect of Lutein and Zeaxanthin on macular pigment and visual function in patients with early age-related macular degeneration.
Ma L et al(China)
Ophthalmology 119(11): 2290-2297, 2012
・50歳から79歳までの108名の初期AMDでルテインあるいはゼアキサンチンが黄斑色素や視機能を向上させるかどうかを検討した。
・ルテイン10mg/d(n=27)、ルテイン20mg/d(n=27)、ルテイン10mg/d+ゼアキサンチン10mg/d(N=27)、プラセボー(n=27)に分け、48週間内服した。
・黄斑色素濃度MPODと視機能を、開始前、24週、48週後に測定した。
・48週後の黄斑色素濃度は、L20群では0.076±0.022(M±SE)、L+Z群では0.058±0.027、有意に増加していた。ルテイン群では量依存性の増加であった(p<0.001)。
・20mgルテイン群とプラセボー群とでは、48週目の視力改善があり、コントラスト感度では3~6c/dで感度上昇があった。
・MPOPの増加は最高視力のlogMAR値の低下に関連があった(r=-0.31 p<0.01)。
・ルテインやゼアキサンチンの内服は初期のAMDでは黄斑色素濃度を上げ、視機能向上に役立っていると考えた
Choroidal thickenss in both eyes of patients with unilateral idiopathic macular hole.
Zeng J et al(China)
Ophthalmology 119(11): 2828-2333, 2012
・片眼性特発性黄斑円孔50例(円孔A群、円孔他眼B群)、コントロール50例(C群)で脈絡膜厚を測定した。
・黄斑下脈絡膜厚SFCTはA群206.82±67.09、B群228.34±80.71、C群248.88±63.10であり、A群とC群では有意差(p=0.002)があった。
・B群はC群よりも薄かったが、有意差はなかった(p=0.177)。
・黄斑円孔の病態に脈絡膜灌流が関与していることが示唆され、黄斑円孔の他眼も円孔になる可能性があることも示唆された。
Pediatric herpes simplex of the anterior segment
Shaohui Liu et al (Boston, Massachusetts)
Ophthalmology 2012; 119: 2003-2008
・16才以下53名57眼の単純ヘルペス角膜炎(HSK)、単純ヘルペス眼瞼結膜炎(HBC)、又はその両者。発症の平均年齢は5才。平均3.6年経過観察。18眼はHBCのみでそのうち4名は両眼であった。角膜炎症例39眼のうち74%には基礎疾患があった。HSKの30%は誤診されていた。角膜炎の79%には角膜瘢痕があり、26%は視力0.5以下となった。80%は再発した。
・誤った病名は非典型的ウイルス性結膜炎、EKC、フリクテン性角結膜炎、ブ菌性眼瞼角結膜炎、これは周辺角膜炎と角膜血管新生、眼瞼炎を伴うが、両側性である。繰り返す片眼の角結膜炎で角膜血管新生を伴い、角膜知覚が低下する時はHSVを強く疑うべきである。
・大人のHSV感染の特徴は樹枝状角膜炎であるが、小児期では強い眼瞼結膜炎と角膜実質炎が一般的である。乱視も強く残存し、今回2D以上の乱視が1/4以上に残り、弱視にも注意すべきである。
・合併症としては、発熱、肺炎、上気道感染、耳の感染症、心理的ストレス、全身的な免疫力の低下、免疫抑制剤の使用、I型糖尿病、小児リウマチ性血管炎など。HSVによる角膜障害が両側に発症する場合は喘息等の基礎疾患がありうる。これはTh-1細胞機能が低下しているためである。アトピー患者では抗原が、まずTh-2に反応し、この反応がサイトカイン(特にインターロイキン4)をひきおこすためTh-1反応を介する眼HSVに対する有効な免疫反応が起こりにくくなるからと思われる。
・小児期のHSKは誤診、基礎疾患を有すること、再発、視力低下の確率が高い。経口アシクロビルは有効だが、用量は小児の成長に合わせて変更していかなければならない。(YM)
Choroidal Thickness in Both Eyes of Patients with Unilateral Idiopathic Macular Hole
Zeng J et al. (China)
Ophthalmology 119:2328-2333,2012
・特発性黄斑円孔(IMH)眼と、その反対眼と、年齢や性別のマッチした健康な眼の脈絡膜厚を比較検討した。
・(1)IMH 50眼(男性13人、女性37人、平均年齢66.08歳)
Stage2: 6眼、Stage3 : 5眼、Stage4: 39眼
(2)IMHの対眼48眼(2眼は弱視のため除外)
・(3)コントロール50眼(すべて右眼)
・OCTにより、図1に示されるポイントの脈絡膜の厚さ(RPEに対応している高反射する外側ラインから強膜の内側面まで)を測定した。また、黄斑円孔の突端と基礎径が測定された
・平均黄斑下脈絡膜厚(SFCT)(1)206±67.09μm(2)228.34±80.71μm(3)248.88±63.10μm
IMH目の平均の頂端と基礎径はそれぞれ、514.28±210.00μm、918.04±264.76μm
・SFCTは(1)は(3)より際立って薄かった。(P = 0.002)(2)は(3)より薄かったが統計学的有意差はなかった。(P = 0.177)、(1)は(2)よりどのポイントでも薄かったが、特に鼻側3mmのポイントで優位に薄かった。
IMHの突端と基礎径の大きさは脈絡膜厚と関係がなかった。
・脈絡膜の低還流と菲薄化がIMHが出来る前に起こるイベントの一つと考えられる。
この事が正しければ、薄い脈絡膜を持っている反対眼がIMHになりやすいかもしれないので経過観察が必要である。(CH)
The CD4/CD8 Ratio in Vitreous Fluid Is of High Diagnostic Value in Sarcoidosis
Kojima K, Maruyama K, et al.(京都府大)
Ophthalmology 119(11):2386–2392, 2012
・国際診断基準を満たした38例51眼の眼サルコイドーシス患者、非サルコイドーシスの対照群として26例27眼の他の原因のぶどう膜炎患者
・硝子体液を採取し細胞学的検査、PCR、フローサートメトリーを施行。末梢血を採取して同様に解析し比較
・硝子体液中のTリンパ球CD4/CD8比は対照群と比較し眼サルコイドーシス群で有意に高値【Fig.2A】
・眼サルコイドーシス群において、硝子体液のTリンパ球CD4/CD8比(平均40.7、95%CI 3.5-77.9)は末梢血のそれ(平均3.0、95%CI 2.5-3.5)と比べて有意に高値であった【Fig.2C】。非サルコイドーシス群では硝子体液と末梢血でのCD4/CD8比には有意差みられず【Fig.2D】。
・末梢血のTリンパ球CD4/CD8比は、眼サルコイドーシス群(平均3.0、95%CI 2.5-3.5)が非サルコイドーシス群(平均2.0、95%CI 1.5-2.5)より有意に高値であった【Fig.2B】。
・硝子体液中のTリンパ球CD4/CD8比増加(CD4/CD8 >3.5)の感度は100%、特異度は96.3% *気管支肺胞洗浄(BAL)液でのCD4/CD8 増加(>3.5)での感度は53%、特異度は94%
【結論】硝子体に浸潤したリンパ球のCD4/CD8比の増加(>3.5)は、肺サルコイドーシスにおけるBAL液中のCD4/CD8比増加と比較して、眼サルコイドーシスに対し高い診断的価値がある。さらには末梢血Tリンパ球のCD4/CD8比の高値は眼サルコイドーシスの臨床検査所見のひとつに違いない。細胞学的分析を用いた診断的硝子体切除は眼サルコイドーシスの有用な付加診断となりうる。(MK)