Choroidal thickness in normal eyes measured using cirrus HD optical coherence tomography.
Manjunath V et al(MA USA)
Amer J Ophthalmol 150(3): 325-9, 2010
・34例34眼の正常者、平均年齢51.5歳(22歳から78歳)で、脈絡膜厚を測定した。
・RPEの後極端から脈絡膜強膜境までの脈絡膜厚を500μmおきに中心窩の耳側と鼻側の2500μm部まで測定した。
・74%で測定可能であった。平均中心窩下の脈絡膜厚(272±81μm)は年齢と負の相関があった(r=-0.61 p<0.0001)。
・網膜厚と脈絡膜厚には相関がなかった(r=-0.23 p=0.18)。
・中心窩から離れる程、脈絡膜厚は薄くなり、鼻側2.5mmでは平均157μm、耳側2.5mmでは平均218μmであった。
Use of intraoperative Fourier-Domain anterior segment optical coherence tomography during descemet stripping endothelial keratoplasty.
Knecht PB et al(Australia)
Amer J Ophthalmol 150(3): 360-5, 2010
・手持ちの前眼部FD-OCTで、DSAEK時のdonor-host interfaceを中心3ミリで調べた。
・OCTは、Bioptigen Spectral Domain Ophthalmic Imaging System(Bioptigen Inc, NC USA)。
・直径3mm内を100 B-scanし、各B-scanは1000 A-scansで構成される。
Visual outcomes of LASIK-induced monovision in myopic patients with presbyopia.
Garcia-Gonzalez M et al(Spain)
Amer J Ophthalmol 150(3): 381-6, 2010
・45歳以上(54.1±4.0歳, 47-64歳)の37例(女性22例、男性15例)の近視眼にLASIK後にmonovisionとして、6か月後の視力、コントラスト感度、両眼視機能を測定した。
・優位眼が右であった人が32例(86.5%)で、術前の球面屈折度はー3.14±0.6(-0.76~-5.75D)、乱視度はー0.98±0.3(-0.00~-2.50D)。
・6か月後の優位眼の屈折度は+0.08±0.6Dで、遠方UCVAは0.96±0.2。
・6か月後の非優位眼では屈折度はー0.97±0.46(-0.25~-1.50)で、遠方UCVAは0.65±0.2であった。
・両眼視では、裸眼で近見視力は0.74、48cmでの近見視力は0.88、遠方視力は1.08であり、老視のある近視の人にはmonovisionは有効なひとつの手段である
Intraocular pressure and related systemic and ocular biometric factors in a population-based study in Japan: The Kumejima Study.
Tomoyose E et al(琉球大)
Amer J Ophthalmol 150(2): 279-86, 2010
・久米島での40歳以上の4,632名中、3,762名(81.2%)を検査した。
・緑内障でない2,838名の眼圧は15.1±3.1(男15.2±3.1、女15.1±3.1)で、男女間に性差はなかった。
・多変量解析では、高眼圧は以下のものに相関があった:若いほど(p<0.001)、BMIが高いほど(p<0.001)、収縮期血圧高いほど(p<0.001)、糖尿病歴がある(p=0.001)、中心角膜厚厚いほど(p<0.001)、角膜曲率が強いほど(p<0.001)、眼軸が長いほど(p<0.018)。
・前房深度、Shaffer分類での隅角開放度には相関がなかった。
The significance of external limiting membrane status for visual acuity in age-related macular degeneration.
Oishi A et al(神戸)
Amer J Ophthalmol 150(1): 27-32, 2010
・AMD患者でPDT治療を行った158名について、OCTでのELMの状態(欠損、断裂、正常)と視力との関連を検討した。
・同時に中心窩厚、網膜下液・組織の有無、RPE下の液・組織の有無、IS/OSラインの状態、IS/OSとRPE間の中間線の状態についても検討した。
・ELMの状態と視力とは強い相関があり(r=-0.75 p<0.001)、IS/OSの状態との相関(r=-0.69 p<0.001)よりも強かった。
・多変量解析では、ELMの状態が最も視力に影響する重要なファクターであることが分かった。
Nocturnal intermittent serious hypoxia and reoxygenation in proliferative diabetic retinopathy cases.
Shiba T et al(東邦大)
Amer J Ophthalmol 149(6): 959-63, 2010
・当院で手術を行った68例の非増殖性DMRと、151例の増殖性DMR(PDR)について夜間の平均酸素飽和度(SpO2;%)、睡眠時の4%酸素不飽和指数(4% ODI times/hour)、最低SpO2(%)、SpO2<90%以下になった積算%時間(CT 90%)を求めた。
・PDR群と非PDR群とでは、SpO2%には有意差はなかったが、4%ODIは7.8±8.1:4.9±5.4(p=0.007)、最低SpO2%は82.3±9.6:87.0±7.8(p=0.0006)、CT90%は2.2±5.0:0.8±1.8(p=0.0006)で有意差があった。
・論理回帰解析では、若いほど(OD=0.90 95%CI=0.86-0.94 p<0.0001)、最低SpO2値が低いほど(OD=0.93 95%CI=0.88-0.99 p=0.02)、ヘモグロビンA1c値が高いほど(OR=1.30 95%CI=1.00-1.69 p=0.047)、PDRのリスクファクターになっていた。
・PDRの症例は睡眠時呼吸障害による夜間の間歇的な低酸素と再酸素化が繰り返されるエピソードがあり、最低SpO2値が低いほどPDR進展のリスクファクターになっているだろう
Ahmed Glaucoma Valve and single-plate Molteno Implants in treatment of refractory glaucoma: a comparative study.
Nassiri N et al(Iran)
Amer J Ophthalmol 149(6): 893-902, 2010
・Ahmed valve implantation(New World Medical,Inc)とMolteno single-plate implantaionの2年経過を報告する。
・緑内障治療薬を最大限使用しても、あるいは緑内障手術をおこなっても、眼圧が21以下にならない緑内障92例を無作為に2群に分けた。
・Ahmed valve implant(Model FP7:表面積184mm2)あるいは、Molteno single-plate implant(表面積134mm2)の2群に分け、24ヶ月以上経過観察した。
・術後眼圧が21以下にコントロールできたのはMolteno群46例中28例(60.9%) とAhmed群46例中29例(63.0%)であった
・成功群では眼圧は30.81±1.67→17.0±0.23と、33.06±1.66→15.36±0.33と低下したが、logMAR視力は0.66±0.12→0.78±0.12、0.59±0.12→0.70±0.11と有意に低下した。
・緑内障薬の数も2.8±0.11→1.03±0.27と2.7±0.11→1.41±0.19と有意に減少。
・両群とも視野は保全されたが、眼圧コントロールはMolteno群でやや良好であった。
Comparing glaucoma drainage implants.(Editorial)
Gedde SJ et al(FL USA)
Amer J Ophthalmol 149(6): 875-7, 2010
・最近、線維柱帯切除術が減り、緑内障瀘過インプラント手術が増えてきている。
・このインプラントでの最終眼圧はカプセルの厚みと表面面積で決まり、薄くて面積の大きいものがより低い眼圧が得られる。
・これらはend plateの大きさや形、材質で分類され、また、バルブ型かそうでないかで分けられている。
・バルブ型は術早期の眼圧下降に有利。Nassiriらの論文では、Ahmed群は、Molteno群よりも術早期の眼圧下降が大きかったが、後には、Molteno群の方が平均眼圧値は下がっていた。
・更なる比較テストが必要である。
Comparison of persistent submacular fluid in vitrectomy and scleral buckle surgery for macular-involving retinal detachment.
Kim YK et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 149(4): 623-9, 2010
・最近発症した黄斑部を含む網膜剥離に対して、PPV(n=16)と強膜バックル(SB:n=45)の成功例を比較した。
・手術1か月後に黄斑下液(SMF)が残存していた例は、SBで55.6%、PPVで6.3%で有意にSBで多かった(p=0.06)。
・SB-SMF(+)群では、PPVやSB-SMF(-)群に比して、6か月後、12ヶ月後の術後視力が有意に悪かったが、最終視力(20±11カ月)には差がなかった。
Restoration of photoreceptor outer segment after vitrectomy for retinal detachment.
Shimada Y et al(群馬大)
Amer J Ophthalmol 149(2): 284-90, 2010
・黄斑剥離のあった裂孔原性網膜剥離20眼で、硝子体手術後1,2,6か月後のOCT、視力を検討。
・OCT像は、IS/OSラインの破壊、中心窩剥離残存、IS/OSラインの連続の3種類に分けた。
・6ヶ月目は総数が違っているが、IS/OSライン破壊は、1ヶ月目で11眼(55%)、3ヶ月目で8眼(40%)、6ヶ月目で3眼(17%)。
・中心窩剥離は、1ヶ月目で8眼(40%)、3ヶ月目で7眼(35%)、6ヶ月目で6眼(33%)。
・IS/OSラインの連続は1ヶ月目で1眼(5%)、3ヶ月目で5眼(25%)、6ヶ月目で9眼(50%)。
・1ヶ月目と6ヶ月目の視力は、IS/OSライン破壊例では0.26と0.16、中心窩剥離例では0.60と0.95、IS/OSライン連続例では0.8と0.95であり、IS/OSラインの断裂が有意に視力改善が悪かった(p<0.0001)
Aquous vascular endothelial growth factor as a predictor of macular thickening following cataract surgery in patients with diabetes mellitus.
Hartnett ME et al(NC USA)
Amer J Ophthalmol 148(6): 895 891, 2009
・糖尿病患者の超音波乳化吸引術後の血漿中、前房水中のVEGFと insulin-like growth factor 1 (IGF-1)の量と、OCTでの黄斑浮腫(centra subfieldの厚み:CSF)を測定した。
・網膜症のある人の前房内VEGFは術前から高かった。
・術前にCSMEのある人は網膜症もひどく、房水中のVEGFも高かった。
・術後1か月の前房内VEGFは、OCTでのCSFの11%以上の増加と優位に関連していた。
Age-related macular degeneration and cardiovascular disease in the era of anti-vascular endothelial growth factor therapies. (Editorials)
Wong TY(Australia)
Amer J Ophthalmol 148(3): 327 9, 2009
・AMDとCVD(cardiovascular disease)の関連について再検査することが大切だ。
・ここでは4つの質問をしてみた。
1、CVDはAMDの主たる危険因子か?AMDとCVDが同じような危険因子と病態 メ カ ニ ス ゙ ムを共有していることは確かである。
2、AMD患者はCVDになる危険性が高いか?殊に若いAMD患者はCVDの発症リスクが高いことは確かである。
3、AMD患者に対する抗VEGF治療はCVD発症リスクを高めるか?まだ不確定要素が多い。
4、抗VEGF治療は通常のAMD患者とCVDリスクファクターを持った患者とは別に管理すべきか?
・CVDのリスクが高い患者に対しての抗VEGF治療はmodifyすべきかどうかはまだ議論の余地がある
Systemic absorption of triamcinolone acetonide after posterior sub-tenon injection.
Rab AZU et al(India)
Amer J Ophthalmol 148(3): 414 9, 2009
・通常の水晶体水晶体嚢外摘出術後に40mgTAをテノン嚢下に注入した35眼で、注入後1, 2, 3, 24, 48時間後、1, 2, 6週後に血清TAレベルを測定した。
・1H:6.94±8.98ng/ml、2H:21.83±12.92、3H:47.17±12.20、24H:35.49±13.79、48H:10.46±10.69、1W:3.74±6.45、2W,6W:0であった
Assessing the efficacy of latanoprost vs timolol using an alternate efficacy parameter: the intervisit intraocular pressure range.
Varma R et al(CA USA)
Amer J Ophthalmology 148(2): 221-6, 2009
・Latanoprost点眼1日1回群313眼とtimolol点眼1日2回群318眼とで、6ヶ月間の眼圧変動の差を検討した。
・3か所の施設で2重盲検で行った。
・治療前に測定した4回の眼圧の最高-最低値と、治療開始後18週目の午前8時頃の1回と、26週目の午前8時から午後17時までに測定した3回の眼圧の計4回の眼圧の最高-最低値の値を比較した。
・差が6mmHgを超えれば差が大きい、それ以下であれば小さいとした。
・治療前の眼圧差は両群間に有意差はなく、6mmHgを超えた者は22%と23%であったが、治療後は6%と11%になり、有意差があった(p=0.026)。
・Multivariate logistic regression解析では、治療後の眼圧に大きな変化のあった者の有意な危険因子は、術前の眼圧差が大きかったもの、timolol治療、黒人、診断後治療開始までの時間が長かったもの、術前の平均眼圧が高いもの、となった
Pseudoexfoliation in the Reykjavik eye study: Five-year incidene and changes in related ophthalmologic variables.
Arnarsson A et al(Iceland)
Amer J Ophthalmology 148(2): 291-7, 2009
・1996年に50歳以上の白人1,045人で検査し、5年後の2001年にそのうち846名について調べた結果である。
・最初に偽落屑症候群PEXのあった眼と、初回 or 2001年に偽水晶体眼であった場合は発生率解析からは除外した。
・5年後にどちらかの目にPEXが発生した人は、50代3.7%、60代5.3%、70代6.5%、80以上25.0%で、合計は5.2%(37/712名, 95%CI=3.6-6.8%)であった
Relationship between diabetic retinopathy and sleep-disordered breathing.
Shiba T et al(東邦大)
Amer J Ophthalmol 147(6): 1017-21, 2009
・48例のNPDRと118例のPDRで手術を受けた症例について検討した。
・ ハ ゚ ル ス オ キ シ メ ー タを夜間睡眠中に装着し、睡眠時4% ODI(Oxygen desaturation index:4%を超える低酸素事象の1時間当たりの数)と、平均SpO2%を計算した。4% ODIが1時間当たり5回を超えた場合、睡眠障害呼吸(sleep-disorderd breathing: SDB)と診断した。
・NPDRの29%と、PDRの48%がSDBと診断され、SDBの発現と4%ODI/時間値は、PDRではNPDRよりも有意に高かった(p=0.003とp=0.03)。
・重回帰分析では、若年者程、4% ODI値が高いほど、PDRの診断に貢献していた。
・年齢:回帰係数 -0.34, t値 -4.44, p<0.0001、4% ODI:回帰係数 0.20、t値 2.15、p=0.03。
・このことから糖尿病患者では夜間のSDBにより引き起こされる、低酸素と回復の繰り返しがPDRへの進展と関連していると考えた
Subfoveal pigment changes in patients with longstanding epiretinal membranes.
Gomes NL et al(NY USA)
Amer J Ophthalmol 147(5): 865-8, 2009
・ERM手術を行った123症例を、術前に黄色のfoveal spotのある9例とないもの( コ ン ト ロ ー ル)112例の2群に分けて検討した。
・この9例は全例、OCTで網膜外層の乱れと自発蛍光の低下がみられた。
・自覚症状がでてから手術までの期間は、9例では53(12-120)ヵ月、 コ ン ト ロ ー ルでは10.7(1-42)ヵ月であった。
・視力は術前は 20/83.5(0.24) vs 20/59.7(0.34) p=0.041、術後1か月 20/64.8(0.31) vs 20/43.3(0.46) p=0.006、術後2カ月 20/50.3 vs 20/34.2 p=0.011であった。
・logMAR視力の改善でみると、yellow pucker群と コ ン ト ロ ー ル群とで1ヶ月目も3ヶ月目も有意差はなかった
Trabeculectomy with mitomycin C for neovascular glaucoma: prognostic factors for surgical failure.
Takihara Y et al(熊本大)
Amer J Ophthalmol 147(5): 912-8, 2009
・新生血管緑内障に対する マ イ ト マ イ シ ンC併用線維柱帯切除術の経過について検討した。
・経過観察期間は平均29.3ヵ月(0.5-142.3ヵ月)。
・術後の成功率(TO<=21mmHg、視力は光覚弁以上、再手術不要)は1, 2, 5年後に62.6%, 58.2%, 51.7%であった。
・多変量解析で不成功の要因をみると、若年者(RR=0.96/年 p=0.0007)、硝子体手術の既往(RR-1.62 p=0.02)であった。
・硝子体手術既往者66眼のなかでは、増殖膜の残存 and/or RDの残存は RR=1.59 p=0.05。
・DM網膜症群では他眼もNVGであることが RR=1.73 p=0.003であった
Extensive macular atrophy with pseudodrusen-like appearance: a new clinical entity.
Hamel CP et al(France)
Amer J Ophthalmol 147(4): 609-20, 2009
・中年に発生する進行性の強い黄斑委縮で、ドルーゼン様の新しい疾患概念を報告する。
・40歳以上の黄斑変性で、偽ドルーゼン様の所見のあるものを検索したところ、45例のうち18例が検索された。
・両眼の多環性の境界明瞭な網脈絡膜萎縮で、耳側血管 ア ー ケ ー ト ゙まで続いており、中心窩を含んだ縦長病巣である。
・偽ドルーゼン所見は後極から周辺まで広くみられ、おおくは下方の極周辺部網膜に敷石状変性がみられる。
・AMDと違い、委縮の進行が早く、中心窩を早期に侵すため、強い視力障害を来し、ERGは減弱した。
・18例中2例を除き、経過観察中に視力0.05以下になったが、AMDと違い、脈絡膜新生血管は1例も見られなかった
Posterior vitreomacular adhesion and risk of exudative age-related macular degeneration: paired eye study.
Lee SJ et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 147(4): 621-6, 2009
・AMDにおける脈絡膜新生血管(CNV)の リ ス ク フ ァ ク タ ーとしての後極部硝子体黄斑癒着を評価した。
・片眼性の滲出性AMDの連続する251例につき、OCTとFAGを検討した。
・OCTで後部硝子体線が内網膜面に接着している場合に硝子体黄斑癒着があると判断した。
・56例(22.3%)で後部硝子体黄斑癒着があり、そのうち3例では両眼に見られた。
・CNVは多くは硝子体黄斑癒着のある方の眼に存在し(44/53:83%)、硝子体黄斑癒着のない眼には殆どなかった(6/53:11.3% p=0.0007)。
・硝子体黄斑癒着の部位は全例(50/50)で滲出性眼のCNVの部位を含めて存在したことから、慢性の硝子体黄斑牽引が滲出性AMD発症の リ ス ク フ ァ ク タ ーであろう