Conjunctival and intrascleral vasculatures assessed using anterior segment optical coherence tomography angiography in normal eyes.
Akagi T et al(京大)
Amer J Ophthalmol 196(12): 1-9, 2018
・前眼部OCTA (Zeiss PLEX Elite 9000に+10Dのアダプターレンズを装着)を用いて正常者の結膜、強膜の血管構築を検討した。
・表層(結膜表層から200μm迄)と深層(200μmから1000μm迄)に分けて検討。
・同時に強膜のFAやICG像とも比較した。
・表層は輪部からの遠心性形状であったが、深層は分節状であった。
・血管形状を血管密度、血管長、血管径、分裂形状で検討すると、表層では場所によって血管径だけが違っていたが(p=0.003)、深層ではこれら全てが異なっていた(p<0001~p=0.003) (TY)
Stroke Risk and Risk Factors in Patients With Central Retinal Artery Occlusion
Patric Lavin et al (USA)
Am J Ophthalmol 196(12): 96-100, 2018
103例のCRAOと診断された患者の血液検査、心臓・頸動脈・脳の機能評価
23%で炎症反応(ESR・CRP)亢進、33%で高血圧(収縮期血圧>180mmHg、拡張期血圧>100mmHg)、66%が頭部MRIを撮影し、37.3%で脳梗塞あり(ほとんどは小さいもの)があり、多くはCRAOと同側であった。
36.7%で同側の頸動脈病変、20%で心エコー異常(重篤な弁疾患、EF低下、AMI、感染性心内膜炎を含む)
10.6%でAf:退院後の長期検査でAfが見つかった症例3例
全体で79%が何らかの入院治療を要するような急性疾患を認めた:25.2%で外科的処置、93%で処方変更
退院後90日以上経過観察できた75例で、6例(8%)死亡、8例(11%)脳梗塞、13例(17%)心筋梗塞であり、複合して起きたものは24例32%であり、TIA後の発症頻度よりも高い
CRAOはTIAと同様、発症した場合は血圧や脳/頸動脈/心臓のリスク評価を行うのが良い(MM)
Performance of the 10-2 and 24-2 Visual Field Tests for Detecting Central Visual Field Abnormalities in Glacoma
Zhichao Wu et al (USA)
Am J Ophthalmol 196(12): 10-17, 2018
HFAの24-2の中心12点と10-2の測定で中心視野異常の検出に差があるかPSDを用いて検討した。PSDは正常からの偏差に重み付けされて計算されているが、24-2と10-2では重み付けの値が異なるので、C24-2用のPSDを算出して比較した
300名523眼の緑内障または緑内障疑い患者、67名107眼の正常コントロール 同一日にHFA SITA standard 24-2と10-2を測定して信頼性のあるものを採用
10-2とC24-2の検出感度 有意差なし(35.9%vs35.4%)
リサーチでの利用では両群での差はないが、臨床的に10-2が必要でないと言うことではない(C24-2で検出できず10-2で検出できたもの、またその逆もあり)
中心10-2プログラムを適切に利用する必要がある(MM)
Factors Associated With Graft Rejection in the Cornea Preservation Time Study
DOYlE STULTING, et al. (GO,USA)
Am J Ophthalmol 2018(12); 196: 197-207.
目的:角膜内皮移植術(DSAEK)後の拒絶反応に関連する要因を特定する。
対象と方法:DSAEKを受けた1090人1330眼。平均年齢70±9歳、男性39%、女性61%、3年間経過観察した。フックス角膜内皮ジストロフィー1015人(93%)、原発性内皮機能不全75人(7%)。
また。無作為に角膜保存期間(PT)0〜7日(n = 675)または8〜14日(n = 655)のドナー角膜を受けるようにした。
追跡調査は術後1日、1週間、1、6、12、24、および36か月後に行われた。
結果:術後3年間で拒絶反応率は44眼(3.6%)だった。22眼(50%)が軽度、20眼(45%)が重度、残りの2眼(5%)については重症度は決定されていない。しかし、これらの2眼の移植片はその後移植片不全になった。
44眼のうち22眼(50%)が術後1年以内に発症し、16眼(36%)が術後1年から2年の間、6眼(14%)術後2年から3年の間に発症した。
拒絶反応のリスクは2つのPTグループ間で有意差はなかった(P=0.85)。
レシピエントの年齢が10歳増加する毎に、ハザード比0.53であり、これは若年者に比べて高齢者の拒絶反応の危険性が低いことを示している。
より長いPT、レシピエントとドナーの間の性別の不一致、レシピエントの疾患、移植片のサイズ、およびレシピエントの人種はすべて拒絶反応と関連していないことがわかった。
拒絶反応がなく3年以上経過観察できたのは445眼で、術後4年目以降に拒絶反応を認めたものはなかた。
術後3年で角膜透明性を保っている角膜の内皮細胞損失率は、拒絶反応を経験した症例では48%減少、拒絶反応を認めなかった症例では38%だった(P=0.03)。
結論:拒絶反応3.6%で認められた。そのために移植片不全になったのは1%のみだった。
若いレシピエントが高齢のレシピエントより拒絶反応を示す可能性が高いことがわかった。より若いDSAEK患者は長期のステロイド点眼治療と経過観察が必要である。(CH)
Comparing Outcomes of Phacoemulsification With Femtosecond Laser-Assisted Cataract Surgery in Patients With Fuchs Endothelial Dystrophy
WEI WEI DAYNA YONG, et al. (Singapore)
Am J Ophthalmol 2018(12);196:173-180.
目的:フックス角膜内皮ジストロフィー(FED)患者の白内障手術において、標準的な水晶体超音波乳化吸引術(Phaco)とフェムトセカンドレーザー(FLACS)を使用した手術結果を比較した。
対象と方法:2013年4月から2016年12月の間に、白内障手術を受けたFED 140眼。Phaco群 72眼、FLACS 群68眼。
角膜厚、内皮細胞密度(ECD)、および視力を比較した。
両群間で、年齢、性別、人種、および白内障の程度に有意差はなかった。
結果:Phaco群の術前中央ECD(2260.0 cells/mm2)とFLACS群(1960.5 cells/mm2)との間には有意差があった(P=0.004)。これは、より重症のFED患者はFLACSを受けることを選択する可能性が高かったためと思われる。
術後、両群間の中央ECDに有意差はなかった(P=0.790)。Phaco群1834.0 cells/mm2、FLACS群1768.5 cells/mm2。
ECDの平均損失率は、Phaco群15.3±17.5%、FLACS群4.4±25.0%(P = 0.006)。
Phaco群の平均ECD喪失は軽度白内障群では10.7±15.4%、中等度〜高度白内障群では19.5±18.0%(P = 0.045)だった。 FLACS群の軽度白内障群0.9±22.5%、中等度〜高度白内障群において8.2±26.3%だった(P =0.219)。中等度〜高度白内障では有意差を認めた(P = 0.043)。
術前中央角膜厚はPhaco群0.524 mm、FLACS群0.531 mmで、有意差はなかった(P =0 .608)。
術後中央角膜厚は、Phaco群0.553mm、FLACS群0.563mmであった(P =0.463)。術後角膜厚中央値の増加は、Phaco群0.019 mm(3.7%)、FLACS群(4.7%)で0.024 mm(4.7%)(P = 0.207)。
術前平均BCVAは、Phaco群およびFLACS群でそれぞれ0.358±0.1771og MARおよび0.351±0.244 1ogMARであった(P = 0.292)。術後3ヶ月で、平均BCVAは、Phaco群0.125±0.1461ogMAR、FLACS群0.119±0.1211ogMAR(P = 0.787)。
結論:FLACSは、FED患者における術後の内皮細胞損失においてPhacoより優れていると思われる。特に中等度から高度の白内障患者において角膜代謝不全のリスクが低いことを意味する。(CH)
Low sensitivity of the van Herick Method for detecting gonioscopic angle closure independet of observer expertise.
Johnson TV et al(MD USA)
Amer J Ophthalmol 195(11): 63-71, 2018
・狭隅角眼に対するvan Herick assessment(VHA)と隅角鏡との一致率を調べた。
・50歳以上の手術を受けていない狭隅角眼131名の片眼について、経験ある眼科検査員によってVHAを行い、同時に、眼科研修医、緑内障専門医がVHAと隅角検査を行った。
・隅角鏡での隅角閉鎖に対するVHAの感受性sensitivity(実際に陽性であると正しく識別された真の陽性率)と特異性specificity(隅角閉塞ではないと正しく識別された真のネガティブ率)を求めた。
・隅角鏡で実際に閉塞していた症例は14.5%であったが、VHAによる感受性は眼科検査員では57.9%、研修医では78.9%、専門医では68.4%であった。
・一方、VHAによる特異性はそれぞれ88.5%、88.2%、87.5%であった。
・このことから、VHAは例え緑内障専門医が判定しても隅角閉塞を見逃すし、開放隅角の8人に1人は閉塞隅角だと診断してしまい、余りあてにならない検査であるため、やはり隅角鏡検査が必要である。(TY)
Randomized, controlled, phase 2 trial of povidone-iodine/dexamethasone ophthalmic suspesion for treatment of adenoviral conjunctivitis.
Pepose JS et al(MO USA)
Amer J Ophthalmol 194(10): 7-15, 2018
・急性アデノウィルス結膜炎に対する、0.6%ポビドンヨ-ド(PVPI)と0.1%デキサメタゾン(DX)の懸濁液の効果を144例で調べた。
・通常使用するイソジン点眼は10%の液を16倍にしており、0.625%である。
・PVPI+DX(n=48)、PVPI単独(n=50)、基質単独(n=46)の3群に分け、1日4回を5日間使用し、臨床的な改善とウイルスの消滅を調べた。
・6病日での症状改善率はPVPI+DXでは31.3%で、基質単独 10.9%(p<0.016)、PVPI単独 18.0%(有意差なし)よりも多かった。
・ウイルス検出率は3日目でPVPI+DX:基質単独:PVPIでは35.4%:8.7%(p=0.0019):32.0%(有意差なし)、6日目でも79.2%:56.5%(p=0.019):62.0%(有意差なし)であった。
・角膜浸潤、点状角膜症や眼瞼浮腫などの副作用はそれぞれ53.4%:69.0%:62.7%で発症し、薬剤を中止した例はそれぞれ9例:16例:12例であった。
・PVPI+DX治療は有効な方法である。(TY)
Quantitative Comparison of Near-infrared Versus Short-wave Autofluorescence Imaging in Monitoring Progression of Retinitis Pigmentosa
Ruben Jauregui, Karen Sophia Park, Jimmy K. Duong, Janet R. Sparrow, Stephen H. Tsang(USA)
Am J Ophthalmol 2018;194:120-125
【目的】
網膜色素変性(RP)患者の病状進行モニターに関して、近赤外光での自発蛍光(NIR-AF)と短波長自発蛍光(SW-AF)とを定量的に比較
【対象と方法】
22例44眼のRP患者、NIR-AFおよびSW-AFを撮影し高蛍光リングの垂直径・水平径・面積を測定、2年間での数値の進行を評価
【結果】
・NIR-AFと比べ、SW-AFの高蛍光リングは垂直径・水平径・面積ともに有意に数値が高かった
・一年あたりの数値減少;SW-AFでは垂直径168±204μm・水平径131±159μm・面積0.7±1.1mm2、NIR-AFでは垂直径151±156μm・水平径135±190μm・面積0.7±1.0mm2 →両群の減少度に有意差なし
【結論】
・RP患者の病状進行において、NIR-AFとSW-AFとは同程度の指標を呈した
・日常的に使われているSW-AFと比べて、NIR-AFは患者の快適性を向上させるうえで利点があると考えられる(MK)
Outbreak of Microsporidial Keratoconjunctivitis Associated With Water Contamination in Swimming Pools in Taiwan
Wen-Yi Wang, Hsiao-Sang Chu , Pei-Chun Lin, Tai-Fen Lee, Kuan-Ting Kuo, Po-Ren Hsueh, Fung-Rong Hu, I-Jong Wang(Taiwan)
Am J Ophthalmol 2018;194:101-109
・10代の患者13例15眼、台湾のプールで泳いだのちに微胞子虫による角結膜炎を発症
・角膜掻爬、グラム染色、キニヨン染色(Ziehl-Neelsen法と類似、原虫の染色に用いる)、PCRで診断
・発症:水暴露後1-12日
・初診時すべての症例で、非化膿性の結膜炎およびプラーク状角膜上皮病変(周辺部6眼、中心部3眼、周辺・中心両方5眼、SPK併存1眼)
・経過観察期間中、10眼で中心部SPK、または上皮下にヘイズ・浸潤
・PCRにて全症例でVittaforma corneaeが同定
・レボフロキサシン点眼とベタメサゾン点眼にて後遺症なく治癒(MK)
Case report
A simple lens-sparing technique to treat hypotonic maculopathy secondary to large cyclodialysis
Masayo Kimura et al. (名市大)
Am J Opthhalmol Case Rep (10), 300-303, 2018
外傷による隅角解離後の低眼圧黄斑症に対する廃液。
30G針にBSSをつけ、硝子体腔に注入し眼圧をあげる
25Gまたは27GのInfusion portをまっすぐにさして先端を確認し灌流。灌流圧を60mmHgまであげる
輪部から2mmの位置で2x4mmのフラップ作成
その下に切開を入れて廃液
フラップの下をジアテルミー凝固
排液した切開部を縫合
フラップ縫合(MM)
The risk of primary open angle glaucoma following vitreoretinal surgery. A population based study.
Mansukhani SA et al(MI USA)
Amer J Ophthalmol 193(9): 143-155, 2018
・網膜硝子体手術後にPOAGを発症するリスクをretrospectiveに検討した。
・2004/1~2015/12に強膜バックル and/or 硝子体手術を行った688眼の内、続発緑内障などの344眼を除外し、残った344眼とCtrlの277眼を検討し、POAGの発症頻度を調べた。
・年齢64.7±11.1歳で、経過観察の中間値は4.9年である。
・強膜内嵌SBが58眼、強膜内嵌+硝子体手術SBVが57眼、硝子体手術のみPPVが229眼である。
・10年間でPOAGを発症した頻度は手術眼で8.9%(95%CI=3.8-14%)、非手術眼で1.0%(95%CI=0-2.4%)であり、有意差があった(P=0.02)。
・SB眼でPOAGを発症した例はなかった。
・10年間でPOAGを発症する予想頻度は、SBVでは17.5%(95%CI=0-34.9%)、PPVでは10.0%(95%CI=3.0-17.0%)であり、これらはいずれも、Olmsted CountyでのPOAGの頻度(1.0%)よりも有意に高かった(p<0.001)。
・患眼と健眼との比較では、患眼が15眼(8.9%)、健眼が2眼(1.0%)でPOAGを発症し(p=0.02)、患眼15眼のうち4眼(26.7%)がNTGであり、発症までの期間は中間値40.2ヶ月(46.1±28.3か月)であった。
・硝子体手術後の線維柱帯の酸化ストレスも一因か。(TY)
Risk of Glaucoma Surgery After Corneal Transplant Surgery in Medicare Patients
CHENGJIE ZHENG et al. (CA USA)
Am J Ophthalmol 2018(8);192:104-112.
目的:角膜移植手術後の緑内障手術の割合を決定する。
対象と方法:2010年から2013年に角膜移植を施行した3098眼。全層角膜移植(PK)1012眼、角膜内皮移植術(EK)1919眼、表層角膜移植(ALK)46眼、人工角膜移植術(KPro)32眼、PK + EK 89眼。
角膜移植の前に緑内障と診断されていたのは532眼。
結果:角膜移植手術後の緑内障手術の割合は、手術方法別で6.1%から9.4%の範囲であり、有意差はなかった(P =0 .93)。
PK7.7%、EK7.1%、ALK8.7%、KPro 9.4%、PK + EK 6.1% 。
患者の年齢別差はなかった。65-69歳群で8.2%、70-74歳群で7.5%、75-79歳群で7.4%、80-84歳で7.3% 85-89歳群では5.3%、90歳以上群では8.1%(P =0.63)。地域別では、東部地域の患者の8.1%、西部は7.0%、中西部は8.1%、南部は4.9%であった。南部の割合は他の地域よりも多少低いが、全体的な差は統計的に有意ではなかった(P = 0.072)。
性別による差が認められた。女性患者の6.6%に対し男性患者の8.6%。(P = 0.045)。さらに、黒人患者は白人患者と比較してそれぞれ11.4%、6.5%(P =0.030)と有意差を認めた。
角膜移植の前に緑内障と診断されていたのは532眼で、その内10.0 %で緑内障手術が必要になったが、緑内障既往無しでは5.3%で有意差を認めた。(P < 0.01)
特に緑内障既往ありPK 12.4%、緑内障既往無しPK 2.8%。(P < 0.01)。
結論:角膜移植の術式を変更することにより、リスクが高まることを示唆している文献があるにもかかわらず、様々なタイプの角膜移植で有意差は認められなかった。しかし、緑内障既往患者は、特にPK群で顕著に緑内障手術のリスクが高かった。これらの患者は移植後、長期間注意が必要である。(CH)
Long-term choroidal thickness changes in eyes with drusenoid pigment epithelium detachment.
Dolz-Marco R et al(NY USA)
Amer J Ophthalmol 191(7): 23-33, 2018
・新生血管のないAMDとドルーゼン様PEDを持った患者の視力と中心窩下脈絡膜厚をPEDの崩壊前後で検討した。
・25例37眼のbaseline年齢71±8.4歳を平均4.9±1.9年経過観察した。
・PED崩壊は25眼(68%)で発生し、PEDの最高の高さ、中心窩下脈絡膜厚は有意に低下した(p<0.001)。
・PED崩壊中の脈絡膜厚の減少は35.9μm/年と急速で、このうち23眼(92%)で地図状萎縮(GA)が発生した。
・GA面積と脈絡膜厚減少との間には相関がみられた(P=0.01)。(図)(TY)
Long-term changes in anterior segment characteristics of eyes with different primary angle-closure mechanisms.
Kwon J et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 191(7): 54-63, 2018
・経過観察中にレーザー虹彩切開LIを行った狭隅角眼75例133眼を平均4年間(41-54ヶ月)観察した。
・AS-OCTでACD(前房深度)、LV(水晶体アーチ)、AOD(angle opening distance)を測定し、4群に分けた。
・PB(pupillary block)46眼35%、PIC(plateu iris configulation)30眼23%、TPIR(thick peripheral iris roll)34例26%、ELV(exaggerated lens vault)23例17%。
・BaselineのACDは浅い順にELV、PB、TPIR、PICであった。
・PICは他の群より有意にAODが大きかった。
・LI後はPBとTPIRでは隅角は広がったが、PICとELVでは変化はなかった。(図)(TY)
Comparison of Changes in Macular Ganglion Cell-Inner Plexiform Layer Thickness Between Medically and Surgically Treated Eyes With Advanced Glaucoma
Hiroko Inuzuka et al (Gifu, Japan)
Am J Ophthalmol 187(3): 43-50, 2018
・2015.9-2016.8に受診し、2009.10-2015.9までに5年以上の経過を追えており、調査開始時SITA30—2 MD値<—12dB、SE±6.0DのOAG患者を対象とし、年齢、性別、病型、観察期間中の平均眼圧、調査開始時MD値をマッチさせた2群で、点眼群は過去にレーザーを含め、緑内障手術を行っていない、手術群は2008年より前にレクトミーを受け、点眼を使用せず、ブレブ形態が良好なものを各43眼 対象とした
・結果:観察期間中の平均眼圧、5年後のMD値は、群間の有意差は認めなかったが、mGCIPLの変化量と眼圧の変動は点眼群で有意に大きかった
・眼圧の変動が手術により減少することが関係していると思われる(MM)
Factors Associated With Early Graft Detachment in Primary Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty.
PIA LEON, et al. (Italy)
Am J Ophthaomol. 2018 Mar;187:117-124.
・目的:初回DMEK後の早期術後移植片剥離に関連する潜在的なドナー、レシピエント、術中、または術後の危険因子を評価する。
・対象と方法:2014年11月5日から2016年7月12日までに初回DMEKを受けた173眼。フックス角膜内皮変性症69.94%、白内障術後の水疱性角膜症15.60%、角膜移植後の移植片不全12.13%。白内障手術併用は109眼(63.01%)
・術後2〜3時間後の診察で瞳孔ブロックを認めた3眼で前房の空気を抜いた。(併用2眼、単独1眼)
・結果:早期移植片剥離を起こしたのは59眼(34.1%)。全例前房内空気再注入を行なった。
・DMEK +白内障手術併用の症例(オッズ比[OR] = 5.31,95%信頼区間[CI] 2.03-13.86、P <.002)と術後2〜3時間後の前房内空気量≦75% の症例(OR = 2.66,95%CI 1.12-6.34、P = 0.027)は、手術後の移植片剥離の独立した危険因子であることが判明した。
・結論:白内障併用手術では、DMEKの前に十分な縮瞳が出来ない、IOLが不安定、前房内の粘弾性物質残留などで早期移植片剥離が起こり易いため、併用手術よりも連続手術の方が良いと思われる。また、瞳孔ブロックの発症を避けるために最大限の注意を払う一方で、前房内空気量は手術後の早い時間に診察し、75%以上に維持されると良い。(CH)
Long-Term Outcome of Second Ahmed Valves in Adult Glaucoma
Nima Fathehi, et al (UCLA, USA)
Am J Ophthalmol 186(2): 96-103, 2018
・1994年から2016年までに同一眼に続けてAhmedインプラントを入れた104名110眼の5年間の成績を調べ、有効性と安全性、不成功のリスクファクターを調査した
・成功基準
1.IOP 21mmHg以下かつ20%低下もしくは術前が21mmHg以下の場合2剤減量で術前眼圧以下
2.18mmHg以下かつ25%低下もしくは術前が18mmHg以下の場合2剤減量で術前眼圧以下
3.15mmHg以下かつ30%低下もしくは術前が15mmHg以下の場合2剤減量で術前眼圧以下
・上記3つの基準で術後3ヶ月以上経過後2回続けて満たさない場合、光覚喪失、追加手術、低眼圧黄斑症、重篤な合併症は不成功とした
・結果:再手術時平均年齢63.8歳(±18.7) 手術間隔2.1(0.7-4.0)年
・平均観察期間4.2年 術前眼圧 25.7(±9.3)mmHg(3-50) 点眼数 3.4(±1.2) モデルFP-755眼、S-2 55眼
1年,3年、5年の各基準での生存率
1) 70%、64.8%、50.6%
2) 62.8%、55.4%、36.2%
3) 56.9%、51.1%、30.3%
・不成功の要因の最大は眼圧下降不十分
・10眼は追加手術(うち9眼は3個目のAGV)
・8眼は光覚喪失
・リスクファクターとして若年者(基準1-3)と高血圧(基準3)は成績が良くない
・角膜移植は基準2でprotective factorであった(MM)
Measurement and associations of the optic nerve subarachnoid space in normal tension and primary open-angle glaucoma.
Liu H et al(China)
Amer J Ophthalmol 186(2): 128-137, 2018
・視神経の強膜部から7mmまでのくも膜下腔の面積(ONSASA)を40名のNTG、42名のPOAG、45名のCtrlで測定した。
・測定には12.5MHzの超音波Bモ-ドを用いた
・眼球後方3mmから7mmのONSASAはNTGでは5.15±0.81mm2と小さく、POAGの6.24±1.62(p=0.0008)、Ctrlの6.40±2.20(p=0.0007)と比較して有意差があった
・POAGとCtrl間には有意差はなかった。
・NTGではONSASAは平均眼圧(p=0.004)、最高眼圧(p=0.007)と有意に関連していた
・視神経の直径は、NTG:POAG:Ctrlでは、2.94±0.35:2.96±0.29:3.24±0.29、視神経鞘直径は、4.48±037:4.68±0.37:4.99±0.39、視神経鞘だけの径は、1.54±0.24:1.74±0.20:1.72±0.19で、NTGでは有意に小さかった。(TY)
Scleral lenses reduce the need for corneal transplants in severe keratoconus.
Koppen C et al(Belgium)
Amer J Ophthalmol 185(1): 43-47, 2018
・2010年から2014年に円錐角膜外来を訪れた円錐角膜患者で、Scheimpflug像の矢状断で70D以上の角膜曲率半径を示す75眼を対象とした。
・除外したものは弱視、知能障害者、視力に影響する他の眼疾患を持つものである。
・8眼は強膜レンズは効果がないか、レンズが使用できずに角膜移植となった。
・12眼は他眼の視力が良いかCLの適応でないため行わず、3眼は現在のCLが順調なため適応にならなかったため、51眼が対象となった。
・強膜レンズでの視力上昇は小数点で0.54±0.18であった。
・51眼の内、7眼は経過を追えず脱落、4眼は脱落したため、40眼が最後まで、平均30.15±12.8ヶ月間、強膜CLが使用できたことから、強膜CLは角膜移植のタイミングを遅らせることができると考えた。(TY)
Trabecular meshwork height in primary open-angle glaucoma versus primary angle-closure glaucoma.
Masis M et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 183(11): 42-47, 2017
・OCTを用いて、線維柱帯の高さを123例260眼のPOAGと123例199眼のPACGで調べた。
・POAGでは812±13μm、PACGでは732±27μmで有意差があり(p=0.004)、PACGでは有意に線維柱帯の高さが低いことが分った。
・ただし、眼軸長を考慮して多変量解析するとこの有意差はなくなった。
・これは、眼軸長と線維柱帯の高さには強い相関があるからである(TY)