Lamellar macular hole: two distinct clinical entities.
Govetto A et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 164(4): 99-109, 2016
・偽黄斑円孔が2つのsub-groupに分けれるかどうかを検討した。
・偽黄斑円孔の90例102眼について検討し、牽引性と変性に分けることができた。
・牽引性は43眼あり、外網状層と外顆粒層の間の神経網膜の分離があり、ellipsoid層が正常の場合が多かった。
・変性のものは48眼あり、網膜のあらゆる層に発生しうる網膜内空洞が特徴であり、時に非牽引性の網膜増殖や網膜隆起がみられた。
・また、早期のellipsoid層の欠損もみられた。
・11眼は牽引性と変性の両者の特徴を持っていた。
・視力は牽引性が20/27で、変性20/37よりも有意に良かった。
・経過観察中の変化はいずれも少なかった。(TY)
Clinical effects and safety of 3% Diquafosol ophthalmic solution for patients with dry eye after cataract surgery: a randomized controlled study.
Park DH et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 163(3): 122-131, 2016
・ヒアルロン酸群とジクアス群を分け、術後1日6回点眼し、BUT、シルマーⅠテスト、角膜染色、高次収差、視力で比較した。
・ドライアイのある白内障患者にはジクアス点眼は有効であった(TY)
Intensified Topical Steroids as Prophylaxis for Macular Edema After Posterior Lamellar Keratoplasty Combined With Cataract Surgery
ROBERT HOERSTER, et al, (Germany)
Am J Ophthalmol 2016;163(3): 174-179.
目的:白内障手術併用DMEK後に起こるCME発生率と、その治療としてのステロイド点眼の効果を検討する。
対象と方法:2012年12月3日から2015年1月9日までに白内障手術併用DMEKを施行した150眼(フックス角膜変性症と偽落屑症候群)
グループ1(2014年4月1日以前の症例 75 眼)
1%プレドニゾロン点眼1日5回 術後1ヶ月間、その後1ヶ月毎に1回ずつ減らしていく。
グループ2(2014年4月1日以後の症例75 眼)
術後1週間は1%プレドニゾロン点眼1時間毎、その後1日5回 術後1ヶ月間、その後1ヶ月毎1回ずつ減らしていく。
結果:術後3ヶ月以内でCMEを認めた症例は、グループ1で9眼、グループ2で0眼だった。
空気再注入は、グループ1 50眼(67%)、グループ2 39眼(52%)だった。
両グループ共、グラフトの偏位はなかった。空気再注入とCMEは関連なかった。
視力 グループ1 0.22±0.22 logMAR グループ2 0.23±0.16 logMARで有意差はなかった。
グループ2の2眼が術後6週目と5ヶ月目に眼圧が25mmHg以上になったので、1 %リメキソロン点眼に変更した。
CMEの治療は、プレドニゾロン点眼1日8回 1週間、その後1日5回点眼とした。
1眼のみアセタゾラミド内服治療を2週間行った。
1眼でステロイド硝子体内注射を行ったがCMEはしつこく残り、12ヶ月後でも残っている。
結論:白内障手術併用DMEK後最初の1週間だけ1時間毎にステロイド点眼するという単純な処置が、術後CMEのリスクを減らすことができる。(CH)
Inverted internal limining membrane insertion for macular hole-associated retinal detachment in high myopia.
Chen SN et al(Taiwan)
Amer J Ophthalmol 162(2): 99-106, 2016
・高度近視眼で黄斑円孔網膜剥離のある40眼を2群に分けて検討した
・1群20例はarcade内のILM剥離と空気置換、2群20眼は黄斑円孔内に反転したILMを挿入して空気置換を行った。
・1群では35%が閉鎖し、2群では全例が閉鎖した。
・2群の手法は、直径1.5-3.0乳頭経のILMを残して、それを黄斑円孔内に挿入し、空気置換はぶどう腫部までは行わず、20%C3F8で置換した。(TY)
Development of retinal layers in prenatal human rtina.
Hendrickson A(WA USA)
Amer J Ophthalmol 161(1): 29-35, 2016
・胎生8週(Fwk8)から生後10週(P10)までの20眼のヒトの眼球組織を調査した。
・水平断で鼻側から耳側網膜長は胎生8週で5.19mmが、耐性中期で20.92mm、生直後で32.88mmと延びていた。
・中心窩と思われる部位の内網状層IPLは胎生8週で現われ、視神経周囲には胎生12週に、鼻側耳側の周辺部には胎生18-21週で現れる。
・対照的に、外網状層OPLはゆっくりで、短いOPLは胎生11週で現われ、胎生中期まで視神経周囲には現れず、網膜周辺部には胎生30週で現れる。
・IPLとOPLの層状構造は血管形成の前に現れる。(TY)
Cone integrity in glaucoma: an adaptive-optics scanning laser ophthalmoscopy study.
Hasegawa T et al(京大)
Amer J Ophthalmol 171: 53-66, 2016
・緑内障眼で視野欠損があり、神経線維欠損がある部位でも、AO-SLO、SD-OCT検査で錐体細胞に障害は見られなかった。
・AO-SLOでは、内顆粒層にmicrocystoがある部位では錐体モザイク構造に多少、影響があった(TY)
Internal limiting membrane peeling to prevent post-vitrectomy epiretinal membrane development in retinal detachment.
Akiyama K et al(東京医療センター)
Amer J Ophthalmol 171: 1-10, 2016
・網膜剥離の硝子体手術時にILM剥離を行ったかどうかで、術後のERM発生と視力予後に影響があるかどうかを検討した。
・102例の連続する症例で術後、最低6か月経過をみた。ILM剥離は染色せずに剥離した。
・102例を術後にERMを発生しなかったGroup1の81眼と、ERMを発生したGroup2の21眼に分け、また、術中にILM剥離を行った58眼と行わなかった44眼に小分類した。
・ERM発生しなかった群ではILM剥離を58/81例(71.6%)に行っており、ERMを発生した群ではILM剥離を行った症例は0/21眼(0%)であり、ILM剥離は有意にERM発生を予防していた(p<0.001)。
・ILM剥離を行ったかどうかでみると、ERM発生率は、剥離群では0/58例(0%)、非剥離群では21/44(47.7%)であった。
・ILM剥離の有無は最終のBCVAに関連がなかった。(TY)
Degradation of Contrast Sensitivity Function Following Posterior Vitreous Detachment
Giancarlo A. Garcia, Matin Khoshnevis, Kenneth M.P. Yee, Jeannie Nguyen-Cuu, Justin H. Nguyen, J. Sebag
Am J Ophthalmol 2016;172(1):7-12
・PVDなしでコントラスト感度(CSF)正常、その後にPVD発生(BモードおよびOCTで確認)8例8眼→うち6眼でlimited vitrectomy希望
・上記の僚眼(PVDなし)8眼
・コントロール12眼、うち9眼はPVDありで経過観察希望、3眼はPVDなし
・エントリー時のCSFは有意差なし
・PVD出現した眼では平均52.5%のCSF低下
・PVD出現眼で手術を希望した群は経過観察を希望した群より有意にCSF悪い
・Limited vitrectomy施行にて平均43.2%CSF改善、どの眼も術後1Mで正常化、その後も悪化なし
(結論:PVDは元が正常の眼でも有意にCSFを低下させる、この負の作用を定量化させることで飛蚊症に悩む患者さんを区別することが出来うる)(MK)
Trabeculectomy Versus EX-PRESS Shunt Versus Ahmed Valve Implant: Short-term Effects on Corneal Endothelial Cells
GIAMBERTO CASINI, et al. (Italy)
Am J Ophthalmol 2015;160(6): 1185-1190.
目的:緑内障濾過手術による角膜内皮細胞への影響を調査した。
対象と方法:POAGのため緑内障手術を受けた64人、 術後4ヶ月以上経過観察できた症例。緑内障手術別により3グループに分け、術前と術後1、3ヶ月の角膜内皮細胞密度(ECD)を測定した。
グループ1 線維柱帯切除術 22人22眼
グループ2 EX-PRESS 24人24眼
グループ3 アーメド 18人18眼
コントロールグループ 32眼
結果:ECDは、グループ1でベースライン時より術後1ヶ月 3.5%、術後3ヶ月 4.2%減少した。グループ3では術後1ヶ月1.4%、術後3ヶ月3.5% 減少した。
グループ2とコントロールグループでは変化は認められなかった。
術後1ヶ月ではグループ2とグループ3とコントロールグループではECDに差はなかった。
術後3ヶ月ではグループ1とグループ3はグループ2とコントロールグループと比べ、有意に減少していた。
結論:EX-PRESSは線維柱帯切除術やアーメドインプラントに比べ、角膜内皮細胞損失のリスクが低く安全な治療であると思われた。角膜内皮細胞密度の低い患者や角膜損傷のある患者への良い治療である。(CH)
Effect of different head positions in lateral decubitus posture on intraocular pressure in treated patiens with open-angle glaucoma.
Lee TE et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 160(5): 929-936, 2015
・Latanoprostだけで治療中のOAGの20例について体位と眼圧を検討した。
・座位、仰臥位、右あるいは左側臥位でIcareで眼圧測定を行った。
・側臥位では頭位置を胸椎と水平、30度上げ、30度下げの位置で測定した。
・頭位置にかかわらず、下にした眼の眼圧は上になった眼の眼圧よりも有意に高かった(p>0.05)。
・枕を高くすることは眼圧を下げるのに有効である(図)。(TY)
Spectral-domain optical coherence tomography of subretinal hyperreflecive exudation in myopic choroidal neovasculrization.
Bruyere E et al(France)
Amer J Ophthalmol 160(4): 749-758, 2015
・31例31眼の近視性脈絡膜新生血管CNVにおけるOCT上の網膜下の高反射浸出物に対しする抗VEGF治療の効果を検討した。
・平均1.8±0.6回の抗VEGF治療後、1.9±0.8か月後には29/31(93.5%)で網膜下の高反射浸出物は完全に消退しており、2/31(6.5%)では部分的に消退した。
・高反射浸出物厚は102±50→2.6±10.2μm、CNV部の平均網膜厚は419±99→312±64μm、中心黄斑厚は361±69→326±72μmといずれも有意に減少していた(図)(TY)
Intraoperative optical coherence tomography:Assited descemet membrane endothelial keratoplasty in the DISCOVER Study.
Cost B et al(OH USA)
Amer J Ophthalmol 160(3): 430-437, 2015
・8例のDescemet membrane endothelial keratoplasty(DMEK)の術中にOCT検査を行ってその有用性を検討した。
術中にOCT検査を行うというDISCOVER Studyの一つである(図)。(TY)
Glaucoma drainage devices: risk of exposure and infection.
Levinson JD et al(GA USA)
Amer J Ophthalmol 160(3): 516-521, 2015
・教育病院で2000年から2010年に行われた763例の緑内障濾過器具のインプラント後の露出や感染について検討した。
・初回移植の702例中、345例がArmed FP7、107例がAhmed S2、219例がBaerveld、6例がその他の移植であり、初回移植での露出の37例は、Armed FP7が13例(3.8%)、Armed S2が10例(9.4%)、Baerveldtが14例(6.4%)であった。
・抑えの材質は、心膜が381例(55.1%)、強膜が209例(30.2%)、角膜が98例(14.2%)、その他が14例(0.6%)であった。
・702例は初回、61例は2回目以降の移植であり、41例(5.8%)に器具の露出が見られた。
・移植部位が一番関連があり、下方移植では12.8%(5/39)、上方移植では5.4%(36/663)であった(p=0.056)。
・初回移植で露出頻度が高かったのは下鼻側17.2%(5/29)であった。
・2回目以降の移植では13.1%(8/61)に露出があり、やはり、下鼻側20%(5/25)が最多であった。
・全露出の49例の内8例(16.3%)は眼内炎によるものであった。
・感染による露出は下方の移植で上方より多かった(41.7%:8.1% p=0.015)。(TY)
Relationship between daytime variability of blood pressure or ocular perfusion pressure and glaucomatous visual field progression.
Lee J et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 160(3): 522-537, 2015
・昼間覚醒時血圧の平均の10%以上、夜間血圧の平均が下降するものをdipper、10%未満の下降を認めるものをnon-dipperと定義する。
・dipperの中でも20%以上、下降するものをover-dipperと定義。
・平均動脈圧=拡張期血圧+(1/3x(収縮期血圧-拡張期血圧))、平均眼潅流圧(座位)=95/140x平均動脈圧-IOP、平均眼潅流圧(仰臥位)=115/130x平均動脈圧-IOPと定義する。
・237例の未治療のNTGで平均動脈圧、眼潅流圧と視野進行について検討した。
・over-dipperのNTGはnon-dipperやdipperに比較して、有意に日中や夜間の平均動脈圧が高く、眼潅流圧の変動が大きかった。
・そして、日中や夜間の平均動脈圧や眼潅流圧の変動の大きさは視野進行と関連していた。(TY)
Chorioretinal folds in eyes with myopic staphyloma.
Ishida T et al(東京医科歯科大
Amer J Ophthalmol 160(3): 608-613, 2015
・463例883眼の高度近視(眼軸長>=26.5mm)の後部ぶどう腫部縁の脈絡網膜雛壁について検討した。
・52.0%(459/883)で後部ぶどう腫がみられ、その縁からの脈絡膜雛壁は1.3%(6/459)にみられた(図)。(TY)
Prospective evaluation of acupuncture as treatment for glaucoma.
Law SK et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 160(2): 256-265, 2015
・鍼治療はIOPやBCVAには全体的な影響はなかったが、直後には一過性の眼圧上昇を来すだろう。(TY)
Reduced Corneal Endothelial Cell Density in Patients With Dry Eye Disease
AHMAD KHEIRKHAH, et.al. (Boston, U.S.)
Am J Ophthalmol 159 (6): 1022-1026,2015
目的:ドライアイ患者と年齢を合わせたコントロールグループでの角膜内皮細胞密度を比較した。
対象と方法:重度ドライアイグループ 45人90眼(平均年齢53.7±9.8歳)
Ocular Surface Disease Index (OSDI) 22以上(平均61.5 ± 20.8)、
National Eye Institute (NEI) grading scaleでフルオレセイン着色スコア
4以上の人(平均7.0 ± 3.4)、TBUT 3.2 ± 2.8秒、シルマーテスト6.7 ± 6.8 mm
コントロールグループ 15人30眼(平均年齢50.7±9.8歳)
結果:生体レーザー共焦点顕微鏡
角膜内皮細胞密度:ドライアイグループ 2595.8 ± 356.1 cells/mm2
コントロールグループ 2812.7 ± 395.2 cells/mm2 (P = 0.046)
神経密度:ドライアイグループ: 17.1 ± 6.9 mm/mm2
コントロールグループ 24.7 ± 4.4 mm/ mm2 (P < .001)
樹状細胞:ドライアイグループ 111. 7 ±13 7.3 mm/mm2
コントロールグループ 32.0 ± 244 mm/ mm2 (P = .002)
ドライアイで角膜内皮細胞密度減少を認めた。さらにドライアイの重症度と角膜内皮細胞密度減少に関連を認めた。結論: 角膜内皮細胞密度が減る原因として考えられるのは、内皮細胞の機能と耐久性を管理している角膜神経密度が減少しているためと思われる。これはドライアイで認められる障害が上皮のみではない事を示す。
炎症が内皮細胞障害を起こす事が知られていが、この研究では炎症マーカーは評価していない。代わりに免疫の活性化のために不可欠な免疫樹状細胞密度を測定し、上記のようにドライアイグループで際立って高かった。
ドライアイと内皮細胞密度に関連があったとすると、原因不明で内皮細胞密度が低い場合、ドライアイの影響を受けている可能性がある。ドライアイの治療で内皮細胞密度減少を止める事が出来るかもしれない。(CH)
Supraciliary Micro-stent Implantation for Open-Angle Glaucoma Failing Topical Therapy: 1-Year Results of a Multicenter Study
J Garcia-Feijoo et at (Spain)
Am J Ophthalmol 159(6): 1075-1081, 2015
65眼が登録された
ベースラインIOPは24.5±2.8mmHgで点眼数は2.2±1.1本であった
深刻な合併症はなく、1か月以降の30mmHg以上の一過性眼圧上昇 7/65眼11%
(自然経過もしくは点眼で眼圧下降)
一過性前房出血 4/65眼 6%、白内障の進行5/41眼 12%
12か月後の平均IOP 16.4±5.5mmHg 34.7%眼圧下降 点眼数1.4±1.3本
53/64眼 83%で12カ月の時点で追加手術はされなかった
9眼でレクトミー(6/9眼が6カ月以内)、2眼で追加Cypass挿入(術後3カ月と6カ月) これら11件のうち10件はフォローアップ不足や視野進行のためスタディから外れ、1年以上追えたのは55眼
スタディ開始時に64/65眼 98%は従来の手術が検討されていたが、そのうちCypassを行った1年後では53/64眼 83%は手術が必要でなかった
15mmHg未満:21眼44.6%
13mmHg未満:25.5%(MM)
Highly reflective line in optical coherence tomography images of eyes with macular edema associated with branch retinal vein occlusion.
Hasegawa T et al(奈良医大)
Amer J Ophthalmol 159(5): 925-933, 2015
・BRVOで黄斑浮腫が吸収された後で見られるOCT上で高反射の垂直の線(track line)と光受容体の完全性について検討した。
・59眼についてtrack lineを調べたところ、21眼(36%)でみられた。
最終診察でtrack lineのあった21眼の中心窩のellipsoid zoneを検討したところ、17眼(81%)で断裂があり、3眼(14%)は正常、1眼(5%)は欠損していた。
・Track lineのみられた症例では、最初の診察時の黄斑浮腫がある時に外境界膜の断裂が90%にみられたが、track lineのなかった症例では、63%であった(p=0.032)。
・Track lineは光受容体の障害の有用なマーカーになるだろう(TY)
The effect of light deprivation in patients with Stargardt disease.
Teussink MM et al(Netherland)
Amer J Ophthalmol 159(5): 964-972, 2015
・5例の常染色体性劣性のStargardt病で、その進行を光遮断によって抑えられるかどうかを検討した。
・可視光の90%以上を遮断する黒色CLを毎日、活動時間帯に12か月以上、片眼のみ装着し、他眼と比較した。
・RPE障害やlipofuscinの集積を示す自発蛍光を示す面積の変化を測定した。
・遮蔽した5眼中4眼で、他眼に比して、自発蛍光面積の減少が少なかった。
・自発蛍光面積の増加については変化がまちまちであった(TY)