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Ophthalmology

2011
118巻

高度近視眼でのIOL度数計測

Ophthalmology 118巻 (3号) 2011

Accuracy of intraocular lens calculations using the IOLMaster in eyes with long axial length and a comparison of various formulas.
Bang S et al(MD USA)
Ophthalmology 118(3): 503-6, 2011
・36例53眼の眼軸長が27mm以上の高度近視眼で、IOLMasterでの眼軸長計測を用いた術後屈折誤差について、各種のIOL計算式の正確性を検討した。
・Holladay1、Holladay2、SRK/T、Hoffer Q、Haigis式を用いた計算で、誤差度数(術後球面等価値-予測球面等価値)を求めた。
・長眼軸長ではHaigis式が最良、SRK/T式が2番、次にHolladay2、Holladay1、Hoffer Q式の順であった。
・全式ともに、予測した値の方がより近視寄りであったことから、より強い近視を目指した方が良いと考えられる。
・誤差度数は、Haigis式で 0.52±0.63(95%CI=0.34~0.70、最小最大値=-0.51~2.12)、SRK/T式で 0.62±0.77(95%CI=0.40±0.84、最小最大値=-0.52~2.22)。

2011
118巻

糖尿病黄斑症での無血管野と毛細血管瘤

Ophthalmology 118巻 (2号) 2011

Foveal cystoid spaces are associatd with enlarged foveal avascular zone and microaneurysms in diabetic macular edema.
Murakami T et al(京大)
Ophthalmology 118(2): 359-67, 2011
・72例86眼のDM黄斑浮腫で中心窩のOCT所見、FAでの中心窩の血管所見を検討した。
・傍中心窩の毛細管網内の毛細血管瘤MAと中心窩の無血管野を検討。
・中心窩のOCT所見では44眼はCMEがあり、25眼は重篤な網膜剥離、17眼は嚢胞や網膜剥離のない中心窩の肥厚があった。虚血性黄斑症のあった3眼は除外した。
・中心窩毛細血管網内の毛細血管瘤の数は、CMEのある眼では3.20±1.76個であり、網膜剥離のある眼 0.40±1.04や、網膜肥厚のある眼 0.47±0.72より有意に多かった(p<0.01)。
・中心窩の無血管野の大きさは、CME群では0.553±0.323mm2で、網膜剥離のある眼0.302±0.245や、網膜肥厚のある眼0.268±0.142よりも有意に大きかった(p<0.001)。

2011
118巻

Confocal Microscopyによる真菌性角膜炎の診断

Ophthalmology 118巻 (1号) 2011

Role of confocal microscopy in the diagnosis of fungal and acanthamoeba keratitis.
Vaddavalli PK et al(India)
Ophthalmology 118(1): 29-35, 2011
・微生物による角膜炎の診断方法としてのconfocal microscopyの役割について、臨床的に微生物角膜炎と診断された146例について検討した。
・微生物学的に真菌性あるいはアカントアメーバ角膜炎と診断された103例のうち、真菌の線維あるいはアカントアメーバのチストをconfocal microscopyで検出できた症例は91例で、その感度は88.3%(95%CI=82.2-94.5)で、特異度は91.1%(95%CI=82.8-99.4)であった。

2011
118巻

眼圧日内変動に普遍性はあるか

Ophthalmology 118巻 (1号) 2011

Short-term repeatability of diurnal intraocular pressure patterns in glaucomatous individuals.
Realini T et al(WV USA)
Ophthalmology 118(1): 47-51, 2011
・治療中のPOAG 47例で、眼圧の日内変動パターンの再現性について検討した。
・1週間の間隔をおいて、朝8時から夜8時までの2時間ごとの眼圧日内変動を測定した。
・同時間の2回の眼圧と、眼圧変化量の相関をInterclass correlation coefficients(ICCs)として求めた。
・同時間の2回の眼圧の一致は、まずまずで、ICCsは右眼では0.45~0.71、左眼では0.51~0.71であったが、眼圧変化量に相関はなく、ICCsは右眼では-0.08~0.38、左眼では-0.11~0.36であった。
・1回の眼圧日内変動の測定はあてにならないものであった。

2011
118巻

急性眼圧上昇による視神経乳頭部の変化

Ophthalmology 118巻 (1号) 2011

Laminar and prelaminar tissue displacement during intraocular pressure elevation in glaucoma patients and healthy controls.
Agoumi Y et al(Canada)
Ophthalmology 118(1): 52-9, 2011
・前部篩状板と篩状板前の組織をOCTで描出し、緑内障眼と正常者での眼圧の急激な上昇による変化を調べた。
・12例のPOAG(年齢66.8±6.0歳)、12例の年齢を合わせた正常者(67.1±6.2歳)、12例の若年正常者(36.1±11.7歳)で比較した。
・視神経乳頭の中央部の12枚の垂直切断面を、下眼瞼の上から眼球に垂直に眼底血圧計を押しつけて眼圧を約10mmHg上昇させる前後で測定した。
・眼圧はトノペンで測定した。
・視神経乳頭陥凹両端のBruch膜の開口部を結んだ線を基線として、前部篩状板と篩状板前の組織までの垂直距離を求めた。
・眼球圧迫前後の直線距離の差を篩板移動距離(laminar displacement:LD)、篩板前組織移動距離(prelaminar tissue displacemet:PTD)とした。
・3群での眼圧上昇量は12.4±2.3mmHgでほぼ同じであった。
・全群の平均LDは0.5±3.3μmで0からの有意な差がなく、POAG:-0.5±3.7、高齢者:0.2±2.0、若年者:2.0±3.6μm(p=0.366)。
・平均PTDは15.7±15.5μmで、全例でLDよりもPTDが大きかった。
・PTD値は、POAG:6.8±13.7、若年者20.8±17.5、若年者:19.6±11.8μmで有意差があった(p=0.045)。
・多変量解析では、LDは乳頭径に負の相関があり(p=0.007)、PTDはIOP上昇程度と相関があった(p=0.013)。
・緑内障者でも正常者でも前部篩板は急性眼圧上昇で動かなかった。
・急性の乳頭表面の変化は篩板前組織の圧縮であり、篩板の移動ではないことが分かった

2010
117巻

緑内障手術後の神経節細胞機能の改善

Ophthalmology 117巻 (12号) 2010

Reversal of retinal ganglion cell dysfunction after surgical reduction of intraocular pressure.
Sehi M et al(FL USA)
Ophthalmology 117(12): 2329-36, 2010
・網膜神経節細胞(RGC)機能をみる非侵襲的な方法として、緑内障スクリーニングに最適化したパターンERG(PERGLA)がある。
・この方法で47例47眼(年齢は69.6±11.3歳)の緑内障手術を行う前後の機能検査を行った。
・線維柱帯切除+MMCが34眼(72%)、瀘過装置移植が13眼(28%)。
・全例、視力は20/30以下で、角膜、網膜は正常で、視野測定に信頼性のない者は除外した。
・動脈圧、視野測定、PERGLAを術前2回と術3ヶ月目で測定し、平均眼灌流圧(MOPP)も計算した。
・眼圧は術前19.7±8.6→術後10.4±4.6と有意に減少(p<0.001)、PERGLAの振幅は術前0.37±0.18μV→術後0.46±0.22と有意に増加(p=0.001)、PERGLAの位相は術前 1.81±0.22π-radian→術後 1.72±0.20と有意に減少(p=0.01)。
・MOPPは術前45.8±10.1mmHg→53.1±6.4と有意に増加(p<0.001)しており、手術による眼圧低下により、RGC機能不全が改善したことがPERGLAを用いて定量化できたと考えた。

2010
117巻

ケナコルトテノン嚢下注入後の薬物動態

Ophthalmology 117巻 (12号) 2010

Intraocular and systemic pharmacokinetics of triamcinoklone acetonide after a single 40-mg posterior subtenon application.
Shen L et al(China)
Ophthalmology 117(12): 2365-71, 2010
・トリアムシノロン40mg/0.4mlを後部テノン嚢下に注入した36例36眼で検討した。
・前房水、硝子体、血液を1時間後、1,3,5,10,14,21,28日後に採取(ただし、各時間毎には3~6眼が配置された)。
・TAの濃度は、前房水では24時で急速に減少し、その後、徐々に減少。
・一方、硝子体内濃度は、最初の24時間で急激に増加し、その後、徐々に減少した。
・血清中のTAは、単純な指数関数的に減少。
・TAの最高濃度は、前房と血清は1時間、硝子体では24時間であった。
・時間経過全体におけるTA暴露量は、硝子体は前房より46%多く、硝子体内のTA濃度は血清より70~98倍多かった。

2010
117巻

結膜弛緩症にたいするラジオ波凝固治療

Ophthalmology 117巻 (11号) 2010

Simple surgical approach with high-frequency radio-wave electrosurgery for conjunctivochalasis.
Youm DJ et al(Korea)
Ophthalmology 117(11): 2129-33, 2010
・結膜弛緩症の20例に対し、高周波ラジオ波 electrosurgical unit(Ellman Surgitron,NY)の凝固モードで下眼球結膜の凝固を行った。
・ラジオ波焼灼術(480KHz):日本では1999年より肝癌治療に利用され、2004年より保険適応
・1ヶ月後には18眼(90%)で、綺麗な結膜が得られ、3か月後にもこの18眼は結膜弛緩度が0であった。
・実施は、0.12鑷子で弛緩結膜をつまみ、細い針で結膜下を10-20発、凝固。
・結膜下に尾根ができるが、1週間で消失。

2010
117巻

甲状腺機能低下症は開放隅角緑内障になり易いか

Ophthalmology 117巻 (10号) 2010

Hypothyroidism and the risk of developing open-angle glaucoma. A five-year population-based follow-up study.
Lin HC et al(Taiwan)
Ophthalmology 117(10): 1960-6, 2010
・甲状腺機能低下の診断を受けた後にOAGを発症するリスクを検討した。
・Taiwan長期健康保険データベースの1997-2001年を調査し、60歳以上で最初に甲状腺機能低下を診断された257名を抽出し、2001年までに緑内障の診断を受けていない60歳以上で甲状腺機能低下のない2056名のコントロールと比較した。
・5年間の内にOAGを発症する率は甲状腺機能低下群では7.4%、コントロール群では3.8%であり、甲状腺機能低下群ではOAG-free生存率は有意に低かった。
・年齢、性、収入、生活レベルなどを補正すると、甲状腺機能低下群では1.78倍(95%CI=1.04-3.06)緑内障を発症しやすかった。
・甲状腺機能低下の治療を受けていない人では危険率は 2.37倍(95%CI=1.10-5.09)であり、levothyroxineで治療している人では危険率は1.73(95%CI=0.89-3.38)で、有意差はなかったことから、levothroxineは緑内障発症を抑えると考えられた

2010
117巻

大きな黄斑円孔に対する手術法の検討

Ophthalmology 117巻 (10号) 2010

Inverted internal limiting membrane flap technique for large macular holes.
Michalewska Z et al(Poland)
Ophthalmology 117(10): 2018-25, 2010
・円孔径が400μm以上の黄斑円孔を対象とし、通常の方法で空気注入した40例51眼の第1群と、inverted internal limiting membrane flap法(変法)を行った46例50眼の第2群を比較した。
・変法ではトリパンブルーで染色したILMを完全に除去するのではなく、円孔周囲に少しのILMを残し、表裏を反転させて黄斑円孔を覆い、空気置換を行った。
・術前視力は第1群で0.12、第2群では0.078で、円孔閉鎖は第1群で88%、第2群で98%であった。
・術後の露出したRPE上のflat-holeの屋根(flat-open)は第1群では19%、第2群では2%であり、12ヵ月後の視力は第1群では0.17(0.1-0.6)、第2群では0.28(0.02-0.8)であった(p=0.001)。
・大きな黄斑円孔に対してはこの変法は中心窩の形態を戻すには有効である

2010
117巻

正常眼の眼圧日内変動の再現性

Ophthalmology 117巻 (9号) 2010

Diurnal intraocular pressure patterns are not repeatable in the short term in healthy individuals.
Realini T et al(WV USA)
Ophthalmology 117(9): 1700-4, 2010
・緑内障のない40名の健康者で、1週間間隔で朝8時から夕方8時までの12時間の眼圧測定を2回行い、眼圧日内変動の差を群内相関係数(ICC)を指標として検討した。
・各時間での2回の測定間の右眼のICCは0.37~0.62、左眼では0.35~0.71で、まずまずの相関。
・各時間での日内変動の眼圧差は2回の測定間で殆ど相関はなく、右眼のICCは-0.25~0.15、左眼では-0.40~0.22であり、正常者では日内変動に再現性はなかった。

2010
117巻

IFIS眼の虹彩構造

Ophthalmology 117巻 (9号) 2010

The effect of α1-adrenergic receptor antagonist tamsulosin (Flomax) on iris dilator smooth muscle anatomy.
Santaella RM et al(NC USA)
Ophthalmology 117(9): 1743-9, 2010
・死亡した27患者51眼(14名の男性はタムスロシン内服の既往あり、13名の男性コントロール)で検討した
・除外例:緑内障、虹彩が関与する手術の既往、55歳未満、組織が巧く切除できなかった場合は除外したため、14名のタムスロシン群のうち、3眼は除外となった
・鼻側と耳側で、瞳孔縁部の虹彩括約筋を含まない部位を3か所測定(周辺、中央、medial:瞳孔縁に近い部位)
・糖尿病患者では、平均虹彩拡張筋厚みも、虹彩実質厚みも薄くなっていたが、偽水晶体眼では、平均虹彩厚みは誤差が大きかったが、虹彩実質厚みは有意に厚くなっていた
・平均虹彩拡張筋厚みはタムスロシン群では6.53±1.99μmでコントロール群8.50±1.61μmより有意に薄く(p=0.006)、平均23.2%薄くなっていたが、糖尿病者のみで検討すると、もっと明らかであった(タムスロシン群6.2±1.8、コントロール群8.0±1.4 p<0.001)。
・虹彩実質厚みはタムスロシン群では281.4±47.5μm、コントロール群では302.1±46.1μmで有意差なかったが(p=0.268)、偽水晶体眼のみで検討すると、タムスロシン群294.2±35.6μm、コントロール群334.3±34.2μmで有意にタムスロシン群で薄かった(p=0.005)。有水晶体眼では有意差はなかった(p=0.576)。
・タムスロシン内服期間と、虹彩拡張筋や実質の厚みには直接の関連はなかった。

2010
117巻

中心性網脈絡膜症治癒眼の脈絡膜構造

Ophthalmology 117巻 (9号) 2010

Subfoveal choroidal thickness after treatment of central serous chorioretinopathy.
Maruko I et al(福島医大)
Ophthalmology 117(9): 1792-9, 2010
・EDI OCT(enhanced depth imaging spectral-domain OCT)とICG蛍光眼底検査で、20名20眼の中心性網脈絡膜症の治療後の中心窩下の脈絡膜厚を検討した。
・典型的なCSCの12眼は光凝固(LP)で治療し、慢性CSCでLPの適応でない8眼は半量のPDT治療を行った。
・全例で下液は消失した。平均脈絡膜厚はLP群では 345±127から340±124μm(4週後)で有意差がなかったが(p=0.2)、PDT群では389±106から462±124(2日後 p=0.008)と増加したが、360±100(1週間後p=0.001)、330±103(4週間後 p<0.001)と急激に減少した。
・ICGAではPDT群で透過性が減少していた。
・このことから、PDTではCSCで見られる脈絡膜血管透過性を減少させ、LPとは異なったメカニズムでCSCを軽快させるものと考えられた

2010
117巻

中心性網脈絡膜症治癒眼の錐体配置と視機能

Ophthalmology 117巻 (9号) 2010

High-resolution imaging of resolved central serous chorioretinopathy using adaptive optics scanning laser ophthalmoscopy.
Ooto S et al(京大)
Ophthalmology 117(9): 1800-9, 2010
・38名45眼の中心性網脈絡膜症(CSC)の治癒後と正常者20名20眼のAdaptive optics SLO(AO SLO)で得られた高解像度の像を、視力、SD OCT像と比較した。
・正常者の錐体密度は中心窩から0.2, 0.5, 1.0mm離れた場所で 67900±9120, 33320±4880, 14450±1630個/mm2であったが、CSC眼では31290±14300(p=0.009), 18760±7850(p=0.007), 9980±5040(p=0.004)と有意に少なく、2種類のモザイクパターンがあった。
・G1のCSC眼(33眼)では規則的なパターンであるが、小さな黒点があるもの、G2(12眼)では不規則なパターンで大きな黒点のあるもの。
・G1とG2を比較すると、G2では有意に平均錐体密度が低く(0.2mmの部位では、38530±8080:11360±6160)、logMARが有意に悪く(G1:-0.147 小数点視力1.40、G2:0.560 小数点視力0.28)、視力1.0以上の比率が少なかった(G1:81%, G2:17%)。(いずれも p<0.001)。
・SD OCTで、IS/OSラインや(RPEとの)中間ラインに亀裂がある症例では平均錐体密度は有意に少なかった(p<0.001)。
・0.2mmの部位の錐体密度はlogMARや中心窩厚(径1mm以内)と有意に相関があった(p<0.001)。

2010
117巻

20ゲージ硝子体手術時の医原性網膜裂孔の形成

Ophthalmology 117巻 (9号) 2010

Risk of iatrogenic peripheral retinal breaks in 20-G pars plana vitrectomy.
Ramkissoon YD et al(UK)
Ophthalmology 117(9): 1825-30, 2010
・20-G、3ポート硝子体手術における医原性網膜裂孔について、Moorfields Eye Hospitalで2005/6/1-2006/6/1に行った645眼について検討。
・術前に裂孔が存在したもの、裂孔原性網膜剥離があったもの、経硝子体術眼、赤道部より後極側に裂孔が発生したものは除外した。
・術中に医原性裂孔98/645(15.2%)で発生。そのうち11例(11/645 1.7%)は術後に裂孔原性網膜剥離を発症した。
・裂孔が発生した疾患は、牽引性網膜剥離22.2%、黄斑円孔18.1%、IOL偏位16.7%、網膜上膜13.9%であった。
・裂孔の発生部位は上方網膜で多く(p<0.01)、41.5%は10時から2時の間にみられた。
・PVDを発生させる必要があった場合には2.9倍多かった(95%CI=1.8-4.7 p<0.001)。
・また、有水晶体眼では2.4倍多かった(95%CI=1.42-3.96 p=0.001)。
・医原性裂孔は考えられていたよりずっと多く、だいたい、裂孔の4割は強膜創口部での牽引で発生していた。

2010
117巻

シリコンIOL混濁と星状硝子体症との関連について

Ophthalmology 117巻 (8号) 2010

Calcification of different designs of silicone intraocular lenses in eyes with asteroid hyalosis.
Stringham J et al(UT USA)
Ophthalmology 117(8): 1486-92, 2010
・各種のシリコンIOLの石灰化と星状硝子体症との関連を検討した。
・IOL後面混濁の白濁化による視力障害のために摘出した16個のシリコンIOLについて、石灰化の為に摘出した111眼の親水性アクリルIOLをコントロールとして検討した。
・16個のシリコンIOLは8つの異なったシリコン材質で、移植後9.21±3.66年後に摘出されていた。
・12眼でYAGレーザーが施行されており、部分的にはIOLの沈着が減少したが、その後に混濁は増加していた。
・16眼中13眼では星状硝子体症があったが、残り3眼ではその記載は見られなかった。
・沈着はIOL後面のみにみられ、成分はカルシウムとリン酸塩であった。
・一方、摘出した親水性アクリルIOLには星状硝子体症の既往はなかった。
・この16例を含め、文献的には22例のシリコンIOL摘出の報告があり、全体の86.4%に星状硝子体症が確認されている。

2010
117巻

線維柱帯切除術の前処置としてのNSAIDとステロイド点眼薬の効果

Ophthalmology 117巻 (7号) 2010

Preoperative nonsteroidal anti-inflammatory drug or steroid and outcomes after trabeculectomy. A randomized controlled trial.
Breusegem C et al(Bergium)
Ophthalmology 117(7): 1324-30, 2010
・線維柱帯切除術の術前に、NSAID点眼あるいはステロイド点眼を使用することの効果を検討した。
・2005.7~2007.10の間に第1回目の手術として線維柱帯手術を行った54例を、NSAID群(0.5% Ketorolac)、ステロイド群(0.1% fluorometholone)、プラセボー群(人工涙液)に分けて検討した。
・手術の1か月前から、1日4回点眼し、術1,2日、1,2,4週、3,6,12,18,24月後に検討した。
・術前の投薬数は2.3±0.9、眼圧は21.0±6.0、術後眼圧は16.5±1.8、平均観察期間は23.6±4.0月。
・1年以内に濾泡再建が必要になったものは、プラセボー群では41%、NSAID群では6%、ステロイド群では5%(p=0.006)。
・1年以内に眼圧下降点眼薬が必要になったものは、プラセボー群では24%、NSAID群では18%、ステロイド群では0%(p=0.054, p=0.038:ステロイド群と他群)。
・ステロイド群では全観察期間で有意に点眼薬が少なかった(p=0.007)。
・術前1か月前からのNSAID点眼やステロイド点眼は術後の濾泡再建の必要性が有意に少なくなっていた。
・また、ステロイド群では他の群と比較して術後の点眼薬が有意に少なくて済んだ

2010
117巻

眼圧日内変動に対する夜間ギャッジアップの効果

Ophthalmology 117巻 (7号) 2010

Effect of sleeping in a head-up position on intraocular pressure in patients with glaucoma.
Buys YM et al(Canada)
Ophthalmology 117(7): 1348-51, 2010
・夜間に30度頭部を上げて寝た時の夜間眼圧の変化を検討した。
・眼圧コントロール良好で、最近、乳頭辺縁出血のみられた17例17眼について夜間眼圧を検討した。
・初回は頭を真直ぐ横にして寝た状態で、2回目は30度頭を上げた状態で寝た状態で、夕方6時から翌朝8時まで眼圧と血圧を2時間おきに測定した。
・18、20、22、8時は座った状態で、0、2、4、6時は寝た状態(flat か30度頭上げ)で測定した。
・覚醒時(18,20,22,8時)は両者間に有意差はなかった。
・0-6時では、平均眼圧は30度頭上げでは真直ぐの場合に比較して平均3.2mmHg低かった(p=0.03 95%CI=0.25-6.1mmHg)。
・17例中16例では眼圧は頭上げの状態で低かった。
・6/17例(35%)では、30度頭上げでは、眼圧は20%以上低かったが、血圧には差はなかった。
・頭上げた状態で寝ると眼圧下降が得られるが、個人差があり、今回のデータでは1/3の人で20%低下が得られた。

2010
117巻

眼瞼麻酔時の痛みに対する振動の効果

Ophthalmology 117巻 (7号) 2010

Vibration-assisted anesthesia in eyelid surgery.
Fayers T et al(Canada)
Ophthalmology 117(7): 1453-7, 2010
・上眼瞼手術の時に前頭部に振動を与えると局所麻酔時の痛みが減るかどうか検討した。
・両眼の内、片眼では振動を与え、他眼では触れているだけで、痛みを0-10のスケールで答えてもらった。
・0:無痛、10:耐えがたい痛み。
・振動を与えた場合は、痛みスコアは3.3で、コントロールでは4.5であった(p=0.0003)。
・73%の人は、振動があった方が痛みがなかったと答えている

2010
117巻

アマンタジンの角膜内皮障害

Ophthalmology 117巻 (6号) 2010

The effect of amantadine on corneal endothelium in subjects with Parkinson’s disease.
Chang KC et al(Korea)
Ophthalmology 117(6): 1214-9, 2010
・アジアインフルエンザやパーキンソン病治療薬として使用されているアマンタジンの角膜内皮障害について検討した。
・パーキンソン病に対してアマンタジンを内服している169例169眼とコントロール群169例について検討。
・アマンタジン群では有意にECD(cells/mm2)が低下 2662.5±29.1(SE) vs 2784.7±25.9(SE) p=0.002。
・Hexagonality(%)が低下 56.9±1.1(SE) vs 61.0±0.9(SE) p=0.004。
・ばらつき率が上昇 35.9±0.6 vs 32.7±0.5 p<0.001。
・内服期間が長いほどECD低下は大きかった(p<0.05)。
・アマンタジンは長期に使用すると用量依存性に角膜内皮障害効果がある。

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