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Retina

2009
29巻

網膜血管腫状増殖RAPの治療法

Retina 29巻 (4号) 2009

Intravitreal ranibizumab, intravitreal ranibizumab with PDT, and intravitreal triamcinolone with PDT for the treatment of retinal angiomatous proliferation. A prospective study.
Rouvas AA et al(MA USA)
Retina 29(4): 536-44, 2009
・Retinal angiomatous proliferation 37眼37例に対して、0.5mg ranibizumab 3回月例群13眼(G1), PDT1回+ranibizumab 3回月例群13眼(G2)、PDT1回+4mg IVTA1回治療群11例(G3)を比較した。
・G1の61.53%、G2の76.92%、G3の全例で6ヶ月後に視力は同等あるいは改善していた。
・中心網膜厚減少は、G1で中央値230→208:平均減少32.23μ(p=0.5)、G2で220→195:20.31μ(P=0.042)、G3で245→195:73.92μ(p<0.0001)で、IVTA+PDT群が最良であった

2009
29巻

AMD患者の前房内サイトカインについて

Retina 29巻 (4号) 2009

Concentration of cytokines in the aqueous humor of patients with naive, recurrent and regressed CNV associated with AMD after bevacizumab treatment.
Roh MI et al(Korea)
Retina 29(4): 523-9, 2009
・Bevacizumab治療歴のない人、治療後AMDが進展した人の前房内サイトカイン濃度を測定した。
・10眼のコントロール、36眼のAMD患者(5眼:Bevacizumab治療歴なし、14眼:治療後CNV再燃、17眼:治療後CNV改善)。
・コントロール眼とBevacizumab無治療眼とでサイトカインレベルに有意差はなかった。
・無治療眼と再発性CNV眼では、CNV改善眼に比較して有意にVEGFは高かったが、コントロール眼とは有意差がなかった。
・Tumor necrosis factor-αとinterleikin(IL)-2は、CNV改善眼ではコントロール眼よりも有意に低かった。
・CNV再燃眼と無治療眼では、IL-6とIL-8レベルはCNVの大きさに有意に比例していた(p=0.001)

2009
29巻

黄斑円孔手術後のうつ伏せは必要か

Retina 29巻 (4号) 2009

Face-down posturing after macular hole surgery. A review.
Gupta D et al(UK)
Retina 29(4): 430-43, 2009
・充填ガスの役割は網膜前膜の橋の発生の鋳型を作ること、機械的な黄斑部の圧迫、回復しつつある黄斑部を硝子体液から守ることなどである。
・うつ伏せ(FDP)をしなかった、あるいは期間を短くした論文をreviewしてみたが、かなり成功率が高かった。
・立位ではガスは黄斑部に力を殆ど及ぼしていないが、大量のガスが残っていれば仰臥位以外では黄斑部をdryにしておくことができる。
・ことから、gas bubbleの最大の役割はガスの機械的な役目よりは、黄斑部を硝子体液から分離することで、大量の長期停留ガス(C3F8,C2F6)を用いることが大切であり、それによりFDPを中止することができる。

2008
28巻

アバスチン後の眼内炎2

Retina 28巻 (10号) 2008

Incidence of endophthalmitis related to intravitreal injection of bevacizumab and ranibizumab.
Fintak DR et al(Canada)
Retina 28(10): 1395-9, 2008
・bebacizumab硝子体内注射 12,585回、ranibizumab硝子体内注射 14,320回で、それぞれ3例(0.02%)づつ眼内炎を発症した。

2008
28巻

CRVO後のIS/OSラインと視力

Retina 28巻 (10号) 2008

Integrity of foveal photoreceptor layer in central retinal vein occlusion.
Ota M et al(京大)
Retina 28(10): 1502-8, 2008
・CRVOで黄斑浮腫が退いた後の中心窩視細胞層の配列と最終視力との関連について検討。
・27例27眼について検討。最終診察時には全例中心窩厚は正常範囲になっており、14例ではIS/OS lineがみられたが、13例ではなかった。
・最終診でIS/OS lineがあるものとないものでは、初診時の視力 0.47(小数点:0.34)±0.35と 1.15(小数点:0.07)±0.53、初診時の中心網膜厚552±201と758±189、最終診での視力 0.05(小数点:0.89)±0.14と 0.88(小数点:0.13)±0.49でそれぞれ有意差があった。
・中心窩視細胞配列は視力と良く相関していた

2008
28巻

重症DM網膜症にたいするPRP後のCMEに対するアバスチンの効果

Retina 28巻 (9号) 2008

Intravitreal bevacizumab (Avastin) prevention of panretinal photocoagulation-induced complications in patients with severe proliferative diabetic retinopathy.
Mason JO et al(AL USA)
Retina 28(9): 1319-24, 2008
・重症な増殖糖尿病網膜症に対して行うPRPで誘発される黄斑浮腫と視力低下がアバスチンで抑制できるかどうかを検討した。
・重症増殖糖尿病網膜症で視力が20/30以上、平均中心窩厚が280μm以下で、両眼ほぼ同程度の30例60眼で検討した。
・全例PRPは2回で行い、開始後3か月間比較した。アバスチン群では1.25mgをPRP開始の1週間前に注入し24週間調査した。
・開始前のIVA群とコントロール群の視力は0.073(小数点0.85:20/20-20/30)、0.069(小数点0.85:20/20-20/30)、中心窩厚は278.8±29.5、273.5±27.7μ。
・終了後のIVA群の中心窩厚は257.2±30.1(3M)、264.3±30.1(6M)、コントロール群の中心窩厚は307.3±50.5(3M)、298.2±44.9(24W)で両群間に有意差あり(p=0.001)。
・平均視力はITV群は0.039(小数点0.91)±0.054(3Mと6M)、コントロール群は0.165(小数点0.68)±0.116(3M)、0.149(小数点0.71)±0.113で有意差あり(p<0.0001)。
・視力が2ライン以上下がったものはITV群は0、コントロール群では7例(23.3%)、中心窩厚が50μ以上増えたものも、同様であった

2008
28巻

DM硝子体手術後のトリアムシノロン注入は硝子体再出血を阻止するか

Retina 28巻 (8号) 2008

Intravitreal triamcinolone acetonide injection at the end of vitrectomy for diabetic vitreous hemorrhage. A randomized, clinical trial.
Faghihi H et al(Iran)
Retina 28(8): 1241-6, 2008
・72眼の糖尿病性硝子体出血に対して硝子体手術を行い、38眼では4mg/0.1ccのトリアムシノロンを手術終了時に硝子体内へ注入して、しなかった群と術後6ヶ月間、再出血、再手術、眼圧、視力、白内障形成などにつき検討した。
・再出血はIVT群は 5/38(13.2%)、コントロール群は 15/38(45.5%)でp=0.003、再手術はIVT群は0、コントロール群は 4/38(11.8%)でp=0.03。6ヶ月後の視力も有意に良かった(p<0.001)。
・眼圧は1日目、1週目では有意に高かったが、それ以外では有意差はなかった。
・ただ、後嚢下白内障は有意に増加した(p=0.011)。ステロイドが血管網膜柵の破壊、炎症、VEGF産生を減らすからであろう

2008
28巻

Self-sealing cannulaの試作

Retina 28巻 (5号) 2008

A new self-sealing cannula system for 20-gauge vitrectomy: outcomes of 247 consecutive cases.
Nishimura A et al(金沢大)
Retina 28(5): 778-81, 2008
・20Gのself-sealing cannulaを開発した。カニューラ挿入後に、先端を20-g V-lanceで切開する

2008
28巻

アバスチン後の眼内炎1

Retina 28巻 (4号) 2008

Incidence of acute onset endophthalmitis following intravitreal bevacizumab (Avastin) injection.
Mason JO et al(NY USA)
Retina 28(4): 564-7, 2008
・2005.10.1から2007.8.31までに行ったアバスチン硝子体内注射 5,233例のうち、眼内炎を発症した症例は1例であった。

2008
28巻

DMEに対するILM剥離は有効か?

Retina 28巻 (3号) 2008

Pars plana vitrectomy with internal limiting membrane peeling for diabetic macular edema.
Hartley KL et al(FL USA)
Retina 28(3): 410-9, 2008
・糖尿病黄斑浮腫(DME)に対し、ILM剥離を同時に行った硝子体手術を行い、形態ならびに視力の改善について調べた。
・症例は2000年1月から2005年12月初めまでに手術を行った23例24眼であり、OCTと視力を検討した。
・平均経過観察期間は8か月(43日から2年)である。
・logMAR術前視力は0.782:範囲は0.30-1.82(小数点 0.165:0.50-0.015)で、最終視力は0.771:0.10-2.00(小数点 0.169:0.79-0.01)で、25%は視力が2ライン以上上昇、54%では不変、21%は2ライン以上低下。
・術前術後にOCTを測定した9眼では、術前中心窩厚は3ヶ月目に141μ、最終経過観察日に120μ減少していた。術後の合併症は有水晶体眼の6/10例、術後30mmHg以上の眼圧上昇が24%、術後出血が8眼であった。ILM剥離は中心網膜厚減少には役立つが視力改善は僅かであった

2008
28巻

DMEに対する硝子体手術は有効か?

Retina 28巻 (3号) 2008

Surgical and anatomical outcomes of pars plana vitrectomy for diffuse nontractional diabetic macular edema.
Figueroa MS et al(Spain)
Retina 28(3): 420-6, 2008
・硝子体牽引のない糖尿病黄斑浮腫に対し、硝子体内トリアムシノロン注入とILM剥離を行った硝子体手術を行い、その効果を38例42眼で検討した。
・6か月以内の瀰漫性DMEで、牽引や黄斑無血管のない症例で、緑内障と診断されていたものはILM剥離だけ、その他の症例はランダムに硝子体手術だけあるいは、ILM剥離+IVTA注入群に分け(全3群)、平均12か月経過観察した。
・黄斑厚の減少は1か月、6か月ではみられたが、12か月目では消失。視力は経過観察中この3群で有意差はなく、12%で上昇、76%で普遍、12%で低下した。
・眼圧上昇が26%、軽度硝子体出血が14%、中心網膜色素上皮変化が12%、有水晶体眼の38%に白内障進行がみられた。
・手術は短期では網膜厚の改善があるが、長期では解剖学的にも機能的にも改善は見られなかった

2008
28巻

強膜輪状締結後の緑内障性視野変化

Retina 28巻 (3号) 2008

Reduced choroidal blood flow can induce visual field defect in open angle glaucoma patients without intraocular pressure elevation following encircling scleral buckling.
Sato EA et al(慶応大)
Retina 28(3): 493-7, 2008
・裂孔原性網膜剥離に対して輪状締結を行った3眼で進行した緑内障性の視野変化が見られた。
・Scanning laser Doppler flowmetryを輪状締結を除去する前後で行った所、視神経辺縁の血流は、除去前には健眼より少なかったが、除去後には健眼との差はなくなり、視野進行も停止した。
・輪状締結が脈絡膜循環を傷害していると考えられ、正常眼圧緑内障に近い視野障害を来したものと考えた

2008
28巻

網膜静脈閉塞症に対するYAG治療

Retina 28巻 (2号) 2008

Restoration of retinal blood flow via translumenal Nd:YAG embolysis/embolectomy (TYL/E) for central and branch retinal artery occlusion.
Opremcak E et al(OH USA)
Retina 28(2): 226-35, 2008
・CRAO, BRAOは血小板フィブリン栓子、コレステロール片、カルシウム栓子などが網膜動脈分枝部に詰まって発生する。
・Hollenhorst plaque(コレステロール栓子)は時々、血管閉塞部にみられる。
・視力低下を来した19例にNd:YAG栓子溶解(TYL)、あるいは栓子除去(TYE)を行った。
・平均72歳(51-84歳)で、内頚動脈障害が9例にみられた。
・Nd:YAGで動脈内の栓子にNd:YAGレーザーを直接照射した所、8例では血管腔内で栓子は分割(embolysis)され、11例では動脈壁にできた小さな開口部から硝子体内へ栓子を排出(embolectomy)された。
・全例で網膜は再還流し、17/19例(89%)で視力は平均4.7列上昇した。
・11/19例(58%)では4列以上視力は上昇。
・1例では視力改善は得られず、他のもう1例は持続する硝子体出血のため1列視力低下した。
・7例で硝子体出血、1例で網膜前出血を来した。
・5例では機能評価のために、早期の硝子体手術を行った。
・TYL/Eの実施中の効果判定は栓子が動くか小さなbubbleが形成するかであり、通常は1mJである。
・この効果がでたら、そのパワーで数発行い、必要であればパワーを上げていく。
・施行パワーの中間値は1mJで、平均値は2.4mJ(0.3-9mJ)、発射数は平均55発(2-164発)、壁からの出血が起こった場合はレンズで圧迫した。

2008
28巻

黄斑円孔硝子体手術失敗例の組織学的検討

Retina 28巻 (2号) 2008

Idiopathic macular holes. Ultrastructural aspects of surgical failure.
Schumann RG et al(Germany)
Retina 28(2): 340-9, 2008
・初回の黄斑円孔手術で円孔が閉鎖しなかった16眼で、ILMと黄斑上組織をまとめて除去し透過電顕で調べた。
・全例でILMの硝子体側に繊維細胞増殖、殊に筋繊維芽細胞と芽細胞が多数みられた。
・初回手術で閉鎖しなかった眼には、残ったILMに不規則に分布する細胞と新しく形成されたコラーゲンの増殖が見られた。
・手術後に残ったILMとコラーゲンが黄斑円孔閉鎖に対抗する接線方向の牽引力が発生する原因を作っているのではないかと考えられた

2008
28巻

黄斑円孔術後のうつ伏せ姿勢は必要か

Retina 28巻 (1号) 2008

To posture or not to posture after macular hole surgery.
Dhawahir-Scala FE et al(UK)
Retina 28(1): 60-5, 2008
・黄斑円孔手術の術当夜のみうつ伏せ姿勢を取った場合について検討。
・ILM除去、C2F6ガス注入を行った stage2,3,4の黄斑円孔26例28眼について検討。
・術夜のみうつ伏せをし、翌朝ガスが70%以上充満していた20眼ではその後10日間は仰向けのみを禁止し、うつ伏せを中止した。70%未満の8眼は10日間のうつ伏せをとった。
・うつぶせ群の87.5%、中止群の100%で円孔閉鎖が得られたが、統計的には有意差はなかった

2008
28巻

20Gと25G硝子体手術後の眼内炎頻度

Retina 28巻 (1号) 2008

Endophthalmitis after 25-gauge and 20-gauge pars plana vitrectomy. Incidence and outcomes.
Scott IU et al(FL USA)
Retina 28(1): 138-42, 2008
・2005.1~2006.12までに硝子体手術を受け、その後、術後眼内炎で治療を受けた患者をデータベースで検索した。
・20G PPVでは 6,375症例中2例(0.03%)、25G PPVでは 1,307例中11例(0.84%)で発症していた。
・PPVから眼内炎発症までの中間値は3日(1-15日)であった

2007
27巻

トリアムシノロン添加物の除去法

Retina 27巻 (9号) 2007

Quantification of sedimented triamcinolone for intravitreal injection.
Tsong JW et al(CA USA)
Retina   27(9): 1255-9, 2007
・triamcinolone acetonide 40mg/1mlを沈降法を用いて、0.1mlにどの程度、濃縮できるかを検討した。
・1mlのツベルクリン注射器に0.2-1.0mlまでのTAを吸い、0-120分垂直に立てて沈降させ、上澄みをすてて、全体の容量を0.1mlとし、TA量を液体クロマトグラフィで測定した。
・120分沈降で0.1ml内に最高量が採取できた。
・初期量0.2ml採取→7.4±0.8mgが検出、0.3→9.8±0.2、0.5→16.4±0.7、1.0→25.7±0.9。
・1ml採取では60分沈降で 20.2±0.8mgが採取できる

2007
27巻

CRVOに対するtPA注入の効果

Retina 27巻 (8号) 2007

Role of posterior vitreous detachment induced by intravitreal tissue plasiminogen activator in macular edema with central retinal vein occlusion.
Murakami T et al(京大)
Retina 27(8): 1031-7, 2007
・硝子体内へのtPA注入によって、36例36眼のCRVOに伴った黄斑浮腫に発生したPVDの効果について検討した。
・処置前にPVDのなかった21眼中16眼で、処置後にPVDが発生した。
・logMAR最終視力は、処置前視力(R=0.646 p<0.0001)、tPA後のPVDの発生(R=-0.303 p=0.025)、年齢(R=0.255 p=0.050)と相関していた。
・視力の大きな改善はPVD発生だけに相関していた(R-0.467 p=0.0041)。

2007
27巻

RVOと頚動脈障害

Retina 27巻 (8号) 2007

Relationship between retinal vein occlusion and carotid artery lesions.
Matsushita C et al(東京医大)
Retina 27(8): 1038-43, 2007
・2000年から2003年にかけて受診したRVOで、超音波での頚動脈評価を行った51歳から88歳(平均70.1歳)の57例58眼で検討した。
・39例40眼がCRVOで、18例18眼がBROV。
・CRVO39例中19例(49%)、BRVO18例中4例(22%)で頚動脈障害が見つかった。
・CRVOで0.8以上の視力があった症例は、頚動脈障害のない6例で、障害のあった例は0例であった。
・FA検査で虚血型は、頚動脈障害のあった例では15眼(79%)、なかった例では8眼(40%)であり、有意差があった(p<0.01)。

2007
27巻

アバスチン硝子体内注入後の眼圧変化

Retina 27巻 (8号) 2007

Changes of introcular pressure aftre intravitreal injection of bevacizumab(Avastin)
Falkenstein IA et al(CA USA)
Retina 27(8): 1044-7, 2007
・ARMDに対して、硝子体内アバスチン0.05ml注入を行った70例122回(平均年齢79.4歳:64-95歳)で検討した。
・41眼(59%)は1回、29眼(41%)は複数回注入である。
・アバスチン注入後、3分、10分、15分後に眼圧測定。
・注入前眼圧は15.17±3.42mmHg(8-23mmHg)。
・3分後の眼圧は36.27±5.1、10分後は24.56±5.9で、10眼(14%)は30以下に眼圧が低下するまで15分かかったが、全例15分以内に30以下になった。

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