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Retina

2012
32巻

滲出性ARMDでラニビズマブ治療が成功しなかった原因

Retina 32巻 (8号) 2012

Causes of unsuccessful ranibizumab treatment in exudative age-related macular degeneration in clinical settings
Salomon Y. Cohen et al (Rouen, France)
Retina 32: 1480-1485, 2012
・滲出性ARMDで初回片眼又は両眼にIVR治療される患者を3施設にわけて検討した。
・パリ群‐6名の医師(4名は1回のIVR、2名は3ヶ月毎月のIVRを施行)
 オルレアン群‐1名の医師が1回IVRを施行
 ルーアン群‐1名の医師が3ヶ月毎月のIVRを施行
・上記3群で15文字以上の視力悪化の患者を選別し、OCT、眼底写真、FAを2名の医師が読影し、視力低下の原因を判定した。
・結果    パリ群 122名(124眼)中、悪化は12眼(9.6%)
                            中心窩の萎縮(6)、網膜下線維化(3)、網膜下出血(2)、RPE裂孔(1)
              オルレアン群 66名(66眼) 悪化は5眼(7.6%)
                            中心窩の萎縮、網膜下線維化、網膜下出血、線維化と萎縮の合併が各1                  眼
              ルーアン群 100名(100眼) 悪化は4眼(4%)
                            網膜下線維化(1)、網膜下出血(1)、線維化と萎縮の合併(2)
・1年で15文字以上悪化の割合は3群で変わらず。これらの眼で、年令、性別、左右、CNVの型、IVRの回数、視力に差は無かった。
・線維化は中心窩下CNVの最も普通の経過である。重篤な網膜下出血は未治療のCNV又はレーザーかPDT治療後のCNVでみられる。RPE裂孔はCNVの経過で発生しうるが、硝子体注射の手技でもおこりうる(0.1~2.9%)
・治療方針、手技、適応に一定の規則が無くても、3群で視力悪化が同じ割合でみられたことより、IVR後視力低下をきたすことがありうるが、AMDの自然の経過と考えられた。(YM)

2012
32巻

病的近視の中心窩下脈絡膜血管新生に対するPDT治療の長期結果

Retina 32巻 (8号) 2012

Long-term results of photodynamic therapy for subfoveal choroidal neovascularization with pathologic myopia
Fabrizio Giansanti et al (Florence, Italy)
RETINA 32: 1547-1552, 2012
・無血管中心窩の中央を含む脈絡膜血管新生に対してPDTを受け、少なくとも5年以上観察できた病的近視(-6.0D以上か、眼軸が26.5㎜以上)の患者43名43眼。抗VEGFやステロイドで加療された者は除外。
・初年度平均視力は不変。2年で悪化し始め、3年以上で明らかに悪化した。PDTの回数が増えることや初回PDTのスポットサイズは共に視力に影響していないと思われた。
・CNV付近の網脈絡膜萎縮は5年で83%にみられた。長期観察すると、網脈絡膜萎縮の進行により視力は低下する。レーザーは長い眼軸では網脈絡膜が薄いので、脈絡膜萎縮を拡大すると思われる。
・PDTのみで加療した近視性CNVは、長期経過では脈絡膜血管新生のために明らかに視力低下する。ゆえに、色素を減量したPDTや、抗VEGF硝子体注射も考えるべきである。(YM)

2012
32巻

内境界膜剝離の後の弓状神経線維層の浮腫

Retina 32巻 (8号) 2012

SWELLING OF THE ARCUATE NERVE FIBER LAYER AITER INTERNAL LIMITING MEMBRANE PEELING
CLARK A et al. (Italy)
RETINA 32:1608-1613, 2012
・研究の目的は特発性黄斑円孔と網膜前膜手術のための内境界膜(ILM)剝離後早期の網膜神経線維層の変化の発生率を報告する。
・2008年2月〜2010年12月の間に手術を受けた89眼:黄斑上膜55人56眼、黄斑円孔31人33眼(stage2:1眼、stage3:4眼、stage4:19眼、層状:9眼)を対象とした。
男性50人、女性49人、平均年齢70.2±9.8歳。術前の検査で弓状網膜神経線維層(SANFL)の浮腫は認められなかった。また、その他の眼疾患もなかった。
・術後1ヶ月までに28眼(31%)にSANFLを認めた。SANFLは術後平均2.15±0.7ヶ月で消失した。
SANFLの有無に関わらず、術前視力、術後視力、年齢、性別で相違はなかった。
・黄斑手術後の自発蛍光、赤外線、OCTが臨床検査で明白でないはかない網膜の内面の変化を発見することができる。
さらなる調査が内境界膜剝離のダメージを最小限に抑える手技の発達を助けるかもしれない。(CH)

2012
32巻

黄斑部を横切るぶどう腫における脈絡膜異常

Retina 32巻 (7号) 2012

Choroidal thickness in inferior staphyloma associated with posterior serous retinal detachment.
Yamagishi T et al(京大)
Retina-32(7): 1237-42, 2012
・黄斑部下方にぶどう腫があり、後極部の漿液性網膜剥離を伴った5例5眼についてEDI-OCT、蛍光眼底検査などで検討した。
・全例でぶどう腫の上縁は黄斑部を横切っており、その部分はRPEの脱色素があり、脈絡膜厚は最も薄く(37.4±13.5μm, 23-53μm)、FAではwindow defects像を示し、ICGでは全経過で低蛍光であった。
・ちなみに、中心窩の脈絡膜厚は172.1±44.7μm(110-219μm)であった。
・このようなぶどう腫上縁の脈絡膜の異常が漿液性網膜剥離を発症する大きな要因となっていると考えた。
・傾斜乳頭症候群では、ぶどう腫の進行が、RPE、ブルッフ膜や脈絡膜毛細血管層のぶどう腫の上縁から上方への牽引を引き起こすと考えられており、今回の症例でも、ぶどう腫上縁への上方への牽引が解剖学的な変化をもたらす可能性もある。
・漿液性網膜剥離の原因としては、RPEの機能不全、脈絡膜血行の障害が関与しているのであろう。

2012
32巻

高度近視における中心窩脈絡膜厚

Retina 32巻 (7号) 2012

Choroidal thickness and visual acuity in highly myopic eyes.
Nishida Y et al(岩手医大)
Retina 32(7): 1229-36, 2012
・6D以上の高度近視で、Lacquer crack、新生血管や網膜分離などの病態のない人について、視力との関連を検討した。
・米国ニューヨークでの25例35眼(57±18.1歳、屈折度-10.9±3.6D)と、日本での61例110眼(46.8±14.7歳、屈折度-9.2±3.1D)について、EDI-OCTを行い、中心網膜厚、中心脈絡膜厚、外網膜低反射層(ヘンレ層+外顆粒層)、内層からRPE外、の4つの厚みと、視力との関連を調べた。
・中心窩脈絡膜厚は113.2±53.9μm(米国)、172.9±72.8μm(日本)であったが、この中心窩脈絡膜厚は年齢、近視屈折度と逆比例しており、また、logMARと逆比例していた(米国p=0.041 日本p<0.001)。
・中心窩脈絡膜厚は視力を予測する有用な因子であった

2012
32巻

いびきは予期せぬ頭部の動きに関連する

Retina 32巻 (7号) 2012

Snoring is Associated with Unexpected Patient Head Movement During Monitored Anesthesia Care Vitreoretinal Surgery
Mccannel CA, et al.(USA-MN)
RETINA 32(7):1324–1327, 2012
・鎮静剤の静脈注入を併用した局所麻酔下に網膜硝子体手術を施行した230症例;いびきの有無、患者の体動の有無、および体動による合併症の有無を前向きに調査
・37症例でいびき発生、これらのうち18例(43%)で患者が突然頭を動かした
・その一方でいびきの記録なく体動が見られたのは193例中わずか2例(P<0.001)
・Propofolの持続注入が予期せぬ突然の頭部の動きと関連していた(P=0.0028)【Tab.1】
・体動による合併症はみられず
【結論】鎮静剤の静脈注入を併用した局所麻酔下でいびきをかく事は、患者の突然の体動を高い確率で予測しうる。Propofolの持続注入による麻酔は患者の頭が動く機会を増やすかもしれない。眼科手術医は患者の体動による合併症リスクを最小化させるためにこれらの関連を知っているべきである。(MK)

2012
32巻

硝子体腔への生理食塩水の注入はラットにおいてレーザーが引き起こした網膜障害を改善させる

Retina 32巻 (6号) 2012

Intravitreal Saline Injection Ameliorates LASER-Induced Retinal Damage in Rats
Belokopytov M, et al.(Israel)
RETINA 32:1165–1170, 2012
・ラット36眼に生理食塩水を硝子体注入(5μL)または静脈内注射(0.5mL)し、その直後に標準的なアルゴンレーザー(514および544nm、200μm、0.1W、0.05秒)を照射、3・20・60日後に病理組織学的検索
・3地点すべてにおいて、硝子体注入群のラットの眼では静脈内注射群のそれと比べて網膜細胞の喪失が有意に少なく病変の最小半径が有意に小さかった(ともにp<0.05)
【結論】硝子体腔への生理食塩水の注入は、ラット網膜において明らかな神経保護効果を示す。この効果のメカニズムはさらに調査されるべきであり、臨床に応用されるか試されるべきである(MK)

2012
32巻

黄斑前膜硝子体手術時のトリアムシノロン注入の効果

Retina 32巻 (5号) 2012

Effect of intravitreal triamcinolone injection during vitrectomy for idiopathic epiretinal membrane.
Ahn JH et al(Korea)
Retina 32(5): 892-6, 2012
・58名58眼の特発性黄斑前膜に対し、硝子体手術時に硝子体内へトリアムシノロンを注入した27眼と、コントロールの31眼を比較し、その効果を検討した。
・注入群:Ctrl群で、視力logMARは術前 0.70±0.23:0.63±0.21、術後1ヶ月 0.59:0.48、3ヶ月 0.55:0.43、中心窩厚は術前 456.9±101.4:467.1±80.3μm、1ヶ月 387.9:376.1、3ヶ月 336.4:375.1であり、視力、中心窩厚、あるいは合併症についても、両群間に有意差は見られなかった。

2012
32巻

網膜静脈分枝閉塞症における視神経乳頭形状

Retina 32巻 (5号) 2012

Optic disk analysis with Heidelberg Retina Tomography in patients with branch retinal vein occlusion.
Citirik M et al(Turkey)
Retina 32(5): 985-9, 2012
・HRTを用いて、30例35眼の網膜静脈分枝閉塞症BRVOの視神経乳頭形状を解析し、30名60眼の正常者と比較した。
・患眼と正常眼を比較すると、乳頭面積 1.80±0.28:2.59±0.42(p=0.01)、陥凹面積 0.30±0.24:0.89±0.36mm2(p=0.03)、リム面積 1.51±0.26:1.70±0.41mm2(p=0.004)、陥凹容積 0.06±0.07:0.24±0.16mm3(p=0.001)、リム容積 0.41±0.14:0.45±0.21mm3(p=0.03)、陥凹深さ 0.16±0.28:0.28mm(p=0.03)であった。
・BRVOの視神経乳頭の形状は、解剖学的に小さく視神経が混雑しており、これが、BRVOになるリスクファクターの可能性がある

2012
32巻

シリコンオイル封入の人工硝子体

Retina 32巻 (4号) 2012

Preliminary efficacy and safety of a silocone oil-filled foldable capsular vitreous body in the treatment of severe retinal detachment.
Lin X et al(China)
Retina 32(4): 729-41, 2012
・我々は、以前に重症網膜剥離に対して用いる折畳式の硝子体(foldable capsular vitreous body:FCVB)についての報告をしている。
・このFCVBの眼内での安定性や効果について検討した。
・このFCVBを3mm切開部から、3つに折り畳んで3眼に挿入し、その中にシリコンオイルを注入し、12ヶ月経過観察した。12ヶ月後、全例で復位は得られていた

2012
32巻

黄斑円孔の家族傾向

Retina 32巻 (4号) 2012

FAMILIAL TRENDS IN A POPULATION WITH MACULAR HOLES
KAY CN et al. (USA)
RETINA 32:754-759, 2012
・黄斑円孔を持った患者群とコントロール患者群と比較して黄斑円孔の家族歴、片眼と両眼の黄斑円孔患者の家族歴と比較する。
・コントロール群136人(平均年齢は67.9歳±12.6、平均人数は4.9人±3.8)
黄斑円孔群を166人(平均年齢72.6歳±8.2、平均家族人数は5.8人±2.9)
 片眼黄斑円孔142人(85.5%)(平均年齢72.0歳±8.2、平均家族人数5.0人±2.9)
 両眼黄斑円孔24人(14.5%) (平均年齢75.5歳±8.0、平均家族人数4.5人±2.9)
・片眼黄斑円孔142人のうち2人(2.1%)、両眼黄斑円孔24人のうち4人(16.7%)に家族歴があった。ロジスティック回帰分析で可能性がある因子として年齢と家族人数が挙げられる。
・これらの調査結果は黄斑円孔に家族的な要素を示唆する。
両眼黄斑円孔を持った患者が将来遺伝子検査の対象としてふさわしい。(CH)

2012
32巻

AMDに対する抗VEGF抗体注射へのブロナック追加治療の効果

Retina 32巻 (3号) 2012

Prospective randomized controlled trial of combination ranibizumab (Lucentis) and bromfenac (Xibrom) for neovascular age-related macular degeneration. A pilot study.
Flaxel C et al(NY USA)
Retina 32(3): 417-23, 2012
・ranibizumab硝子体注射に bromfenac点眼治療の追加が有効かどうかを検討したPhaseⅡ介入試験である。
・30眼を20眼の点眼併用者群と10眼のranibizumab注射のみ群に分けた。
・全例、4ヶ月間は月1回のranibuzumab注射を受け、その後は必要な場合に追加した。
・点眼併用群は1日2回点眼を12ヶ月間使用し、12ヶ月後で検討した。
・ETDRS最高視力や注射回数には両群間に有意差はなかったが、中心黄斑厚の12ヶ月後の変化は、注射単独群では42.5μm(-18.9%)の減少であったのに対し、併用群では81.6μm(-28.3%)の減少があった(p=0.032)。
・4ヶ月後でも、単独群43.1μm(-19.2%)に対し、併用群は70.9μm(-24.6%)減少していた(p=0.013)。
・50μm以上減少した症例は併用群で有意に多かった(p=0.046)。
・併用療法については更なる検討が必要である。

2012
32巻

硝子体手術時の口内細菌による感染

Retina 32巻 (3号) 2012

Reducing oral flora contamination of intravitreal injections with face mask or silence.
Doshi RR et al(CA USA)
Retina 32(3): 473-6, 2012
・10名の術者が口の下30cmに血液寒天培地をもち、4つの状況下で30秒間朗読した。
・各条件毎に10枚の培地を使用した。G1:マスクせず、G2:通常の手術マスクを使用、G3:マスクしないが、培地を5%ポビドンヨードで前処置、G4:マスクなしで話もしない。
・各培地を24時間37℃で培養し、コロニー形成数(CFUs)を測定した。
・G1=8.6、G2=1.1、G3=0.1、G4=2.4CFUsであり、G2とG4間には有意差がなかったが、その他は全て有意差があった(p<0.05)。

2012
32巻

黄斑前膜手術時の残存細胞増殖について

Retina 32巻 (3号) 2012

Residual cellular proliferation on the internal limiting membrane in macular pucker surgery.
Gandorfer A et al(Germany)
Retina 32(3): 477-85, 2012
・ILM剥離を行うか否かで黄斑前膜ERMの除去が完全にできたかどうかを検討した。
・22例の特発性ERMで、まず最初にERM剥離を行い、その後、brilliant blueで染めた。
・もし、ILMがあれば、剥離した。ERMとILMは別に集めて、干渉顕微鏡、免疫化学、透過電顕で検査した。
・14例(64%)でERM剥離後にILMは残存していたが、8例(36%)ではERMとILMは一緒に剥がされていた。
・ERM剥離だけでは、平均20%(2-51%)の細胞がILM上に残されていた。
・殆どはILM上のグリア細胞で、一部がhyalocyteであった。
・9眼では細胞は集積していた。ERMとILMが一緒に剥がれた群では、細胞増殖はILM上に付着していたが、ILMを続けて剥離した群では、ERMとILM間にコラーゲンが存在していたことから、この群では、ERM剥離時に硝子体皮質の分離が起こり、細胞の付着したILMが残ったと考えられた。
・ERM剥離だけでは約2/3の症例で細胞の20%がILM上に残ったままとなるため、これらが増殖してERM再発が起こりうる。
・ERM剥離後にILMを染めてしっかり剥離する必要があるだろう。

2012
32巻

3日間うつぶせによる黄斑円孔手術成績

Retina 32巻 (3号) 2012

Anatomical and visual outcomes of macular hole surgery with short-duraton 3-day face-down positioning.
Almeida DRP et al(Canada)
Retina 32(3): 506-10, 2012
・連続する50眼の特発性黄斑円孔(Stage 2, 3)で、ILM剥離を行い、20%SF6ガスを注入し、術後3日間うつぶせとした。
・有水晶体眼では白内障手術も同時に行った。MHの閉鎖は初回手術で49眼(98%)であった。

2012
32巻

糖尿病網膜症の脈絡膜厚

Retina 32巻 (3号) 2012

Choroidal thickenss in patients with diabetic retinopathy anlyzed by spectral-domain optical coherence tomography.
Regatieri CV et al(Brazil)
Retina 32(3): 563-8, 2012
・49眼の糖尿病者と、正常者24例で脈絡膜厚を比較した。
・49例の内訳は、11例:軽度から中等度の非増殖性網膜症で黄斑症がない、18例:非増殖性網膜症で黄斑症がある、20例:治療の済んだ増殖性網膜症で黄斑症なし。
・脈絡膜厚は500μm間隔で中心窩から鼻側耳側2500μmまで測定した。
・脈絡膜厚が測定できたのは75.3%。脈絡膜厚を正常者と比較して差をみると、黄斑浮腫のある例(-63.3μm -27.2% p<0.05)、治療した増殖性網膜症例(-69.6μm -30.0% p<0.01)で最も薄かった。
・黄斑症のない非増殖性網膜症は(-10.3μm -4.5% p>0.05)で、正常者と有意差がなかった。

2012
32巻

脈絡膜剥離に対する簡易治療

Retina 32巻 (2号) 2012

Transconjunctival drainage of serous and hemorrhagic choroidal detachment.
Rezende FA et al(Brazil)
Retina 32(2): 242-9, 2012
・2例の駆逐性出血による脈絡膜剥離と、4例の緑内障手術後の漿液性脈絡膜剥離につき、その処置法を考えた。
・前房に25Gの灌流をおき、出血性には20Gトロカールシステム(Synergetics製)を、漿液性には25Gトロカールシステムを輪部から7mm部に、1か所から2か所、強膜に沿って後極方向に挿入した。
・その部位の脈絡膜剥離高は最低7mmあることを確認。
・出血性では1ヶ月後に、漿液性では1週間後に脈絡膜剥離は消褪した。
・両群で術後1週間で眼圧は10mmHg以上に改善し、視力も改善した。合併症もなかった。
・このことから、脈絡膜剥離に対しては必ずしも、硝子体手術を行わなくてもいいと考えた。

2012
32巻

簡易なシリコンオイル抜去法

Retina 32巻 (2号) 2012

Sutureless silicone oil removal: a quick and safe technique.
Abouammoh MA et al(Canada)
Retina 32(2): 396-8, 2012
・シリコンオイルを無縫合で、簡単に除去する方法を紹介。
・23Gの硝子体灌流ラインをまず作成し、L型の結膜切開を作り、輪部から6mm後方に、3.5mm幅で、輪部に並行に半層の強膜切開を作成。
・そこから、最低2mm幅の強膜トンネルを作成し、2.75mmの角膜切開ナイフで眼球に刺入し、シリコンオイルを抜去する。

2012
32巻

非滲出性AMDにおける網膜ドルーゼンの意義

Retina 32巻 (1号) 2012

The associaton between drusen extent and foveolar choroidal blood flow in age-related macular degeneration.
Berenberg TL et al(PA USA)
Retina 32(1): 25-31, 2012
・非滲出性加齢黄斑変性症157例239眼の眼底写真を解析し、網膜ドルーゼンの全面積、平均面積、総数を求めて、中心窩脈絡膜血行とを比較した。
・Laser Doppler flowmetryで、網膜中心窩の比較脈絡膜流速velocity(ChBvel)、容量volume(ChBvol)、流量flow(ChBflow)を測定した。
・ドルーゼンの全面積とChBvol、あるいはChBflowとは有意な負の相関があった(それぞれ、p=0.03とp=0.049)。
・ドルーゼンの平均面積とChBvol、あるいはChBflowとは有意な負の相関があった(それぞれ、p=0.001とp=0.004)。
・年齢で調整すると、有意性は下がったが、ドルーゼンの平均面積とChBvol、ChBflowは有意差があった(それぞれ、p=0.004とp=0.017)。
・このことは、虚血の存在を疑わせるもので、リスクの高いドルーゼンを持った人は病勢が進行し易いことを疑わせた。

2012
32巻

正常者視神経乳頭周囲の脈絡膜厚

Retina 32巻 (1号) 2012

Choroid is thinner in inferior region of optic disks of normal eyes.
Tanabe H et al(名大)
Retina 32(1): 134-9, 2012
・年齢54.1±20.0、屈折度-3.6±4.1Dの正常者28眼で測定した。
・ETDRSグリッド(直径1,3,6mm)の外円内の視神経乳頭周囲の脈絡膜厚は、上方196±62、下方146±47、鼻側183±80、耳側193±64μmで、下方で有意に薄かった(p<0.001)。
・ETDRS内円の黄斑部の脈絡膜厚は、上方268±74、下方245±73、鼻側190±68、耳側268±63μmで、鼻側で有意に薄かった(p<0.05)。
・視神経乳頭周囲の脈絡膜厚が下方で薄かったことは、この部位が低酸素や眼圧上昇の際に障害されやすいことを示唆しているだろう。

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