Effect of Intravitreal Triamcinolone Acetonide on Healing of Retinal Photocoagulation Lesions
Nomoto H, Lavinsky D, et al.(USA-CA)
RETINA 33(1):63–70, 2013
・ウサギ眼40眼に直径267μm波長532nmのレーザーを照射、出力は175mWで固定して四種の照射時間(5、10、20、50msec)で照射し、かろうじて見える凝固斑~強い凝固斑を作成
・レーザー1週間前またはレーザー直後にトリアムシノロンアセトニド(TA)2mg/50μLまたは同量の生食を硝子体注入、レーザー後1、3、7、30、60日後に病理組織学的検索
・経過観察期間中ずっと、TA群では生食群に比べ網膜厚みの有意な減少がみられた(P<0.001)
・凝固斑の幅は1日後では両群に有意差はみられなかったが、7日後になると生食群はTA群に比べて凝固斑の有意な縮小がみられた。この傾向は特に強い凝固斑でみられ、レーザー後2か月間続いた。かろうじて見える弱い凝固斑では両群に有意差は見られなかった。
【結論】光凝固前もしくは光凝固と同時にTAを硝子体注入することでレーザーが引き起こす浮腫を有意に減少させることができるが創傷治癒を有意に阻害する。それによって幅広い瘢痕が残り、特に強い凝固斑ではそれが持続する。(MK)
Reduction of Vitreous Contamination Rate after 25-gauge VItrectomy by Surface Irrigation with
0.25% Povidone–iodine
Shimada H, et al.(日大駿河台)
RETINA 33(1):143–151, 2013
・経結膜25ゲージ硝子体手術を行った4,407眼;【グループA】灌流液で水掛け、【グループB】0.25%ポピヨンヨード液で30秒ごとに水掛け
・103眼で細菌学的検索;開瞼器かけた直後の眼表面液(S1)、各群の溶液で水掛けを行った後の眼表面液(S2)、硝子体切除前の硝子体サンプル(V1)、硝子体切除終了時の硝子体液サンプル(S2)を採取
・S1の細菌混入頻度はグループA(5.5%)とB(6.8%)とで有意差なし、しかしS2、V1、V2サンプルの細菌混入頻度はグループB(それぞれ0%、0%、0%)がグループA(それぞれ2.0%、1.0%、2.0%)に比べて有意に低かった。
・眼内炎の発症頻度はどちらも0であった
【結論】25ゲージ硝子体手術において、0.25%ポピヨンヨードで術野を繰り返し洗浄することは硝子体への細菌混入を著しく低下させる(MK)
TIMING OF ACUTE MACULA-ON RHEGMATOGENOUS RETINAL DETACHMENT REPAIR
RITA EHRLICH, et al. (New Zealand)
RETINA 33(1):105-110, 2013
・何らかの理由で手術が遅れた場合より、当日に手術すると患者に利点があるかどうかを検討する。
・25Gか23Gで硝子体手術を行った患者114人114眼(男性67.8%,女性32.2%)平均年齢57.8±13.2歳
平均術前視力 logMAR0.32±0.60
裂孔数0~9個(平均1.98±1.62個)、馬蹄形84%
有水晶体眼57%、偽水晶体眼41.2%、無水晶体眼1.8%
半数は近視眼
全例初回手術で後部硝子体剝離に伴う網膜裂孔からの網膜剥離の患者
手術は診断から1~120時間の間に行われた。(平均14.5±15.05時間)
3グループに分けて検討
1 12時間以内に手術、2 12~24時間以内に手術、3 24時間以降の手術
平均経過観察期間7.56±6.14ヶ月
・術後視力logMAR0.39±0.67
1 0.37±0.58、2 0.45±0.95、3 0.32±0.31
有意差は無かった。
最終的な解剖学的成功率は1 98.3%、2 87.5%、3 100%
・手術のタイミングの小さな遅れはmacula-onの網膜剥離患者に大きな影響はなかった。
手術時間、症状の長さ、年齢、近視、裂孔の位置は解剖学的成功に統計学的な関連はなかった。(CH)
Retinal surface en face optical coherence tomography. A new imaging approach in epiretinal membrane surgery.
Rispoli M et al(Italy)
Retina 32(10): 2070-2077, 2012
・網膜表面を撮影する en face SD-OCTを開発し、黄斑前膜に対するILM剥離前後の病態を観察した。
・術後3ヶ月後には進行性の様々な大きさの窪みが13眼(13/15 87%)で観察された。
・これらの窪みは継続的であり、2年後の最終検査まで、大きさや数を増していた。
・使用したOCTは、RTvue-100 SD-OCTで、software versionは 5.1.090である。
The Natural History of Tractional Cystoid Macular Edema
MRCOPHTH SC, et.al.(Ireland)
RETINA 32(10):2045–2051, 2012
・最大直径<550μm、視力 0.6 logMAR unit(Snellen 20/80)より良好な牽引性CME患者の連続症例12例15眼
・平均視力0.17 logMAR unit(Snellen 20/30)、硝子体黄斑牽引の平均サイズ267μm、平均経過観察期間 9.2か月
・8眼で自発的に完全PVDが示され、うち6眼は中心窩の形状が保たれ残り2眼は単一の中心窩シストが持続した
・自発的PVDを来たした群の矯正視力は0.20 logMAR unit(Snellen 20/32)から0.16 logMAR unit(Snellen 6/8)へと改善した(p=0.53)
【結論】今回の連続症例では、牽引性CMEを持つ眼の53%が自発的な完全PVDを示した(MK)
Time Course of Silicone Oil Emulsification
Toklu Y, ERGUN SB, et al.(Turkey)
RETINA 32(10):2039–2044, 2012
・網膜剥離手術にてシリコーンオイルタンポナーデを用いた際、生体内にてオイルが乳化する自然経過をretrospectiveに調査
・32眼、シリコーンオイル抜去後に網膜が再剥離するリスクが高い症例を注意深く観察、オイルが乳化する徴候がはじめて見られるまでできるだけ長くシリコーンオイル(1000cs)を留置
(乳化する前に他の眼合併症が出現した場合も抜去する予定だったが、今回は出現せず)
・乳化までの期間の平均は13.2±4.8か月(5-24か月)、ほとんどの症例は注入後1年以内に乳化はじまった
・2例は24か月経っても乳化の徴候はみられなかった
・21mmHg以上の眼圧上昇は12眼(37%)に生じたが投薬でフォロー可能、抜去の理由にはならず
【結論】網膜再剥離の危険性が高い症例では、シリコーンオイル留置を1年まで引き伸ばして網膜の状態を安定化させることを狙えるかもしれない(MK)
“Dissociated optic nerve fiber layer appearance” after internal limiting membrane removal is inner retinal dimpling.
Spaide RF(NY USA)
Retina 32(9): 1719-1726, 2012
・ILM剥離を行った多数の症例で、術後、視神経線維走行に沿った内境界膜の窪みができる。
・この窪みは外傷と視神経線維層の回復過程によるものと考えられ、視神経線維の解離によるものではないと考えられる。
・この異常所見から、ILM剥離手技は長期にわたって評価すべきものであると考える。
・測定はHeidelberg Spectralisで行い、NIHのImageJに取り込み、NIHのMIPAVプログラムで可視化した。
High prevalence of sleep disorderd breathing in patients with diabetic macular edema.
Mason RH et al(UK)
Retina 32(9): 1791-1798, 2012
・糖尿病網膜症は睡眠時呼吸障害(sleep disorderd breathing SDB)者でよくみられ、より重症であることが知られている。
・SDBでの間歇的な低酸素や血圧変動が原因となっているならば、CSMEの悪化を誘発するとかんがえられるので、SDBがCSMEを伴った糖尿病黄斑症でもみられるかどうかを検討した。
・年齢64.7±11.7歳、首周り40.4±5.4cm、body mass indexが30.2±6.2kg/m2、HbA1c=7.8±1.4、Epworth sleepiness scale=7.4±4.8の80名(男女40名づつ)について検討した。
・1時間当りの無呼吸の数(apnea-hypopneas per hour:AHI)、1時間当りの4%を越える酸素欠乏の回数(oxygen desaturations per hour:ODI)で検討した所、SDBの頻度はCSME者ではコントロールよりも高かったが、黄斑厚みの程度とSDBの重症度とは比例していなかった。
Topical bromfenac as an adjunctive treatment with intravitreal ranibizumab for exudative age-related macular degeneration.
Gomi F et al(阪大)
Retina 32(9): 1804-1810, 2012
・2DD以下の病巣を持ったAME患者をブロムフェナックBF群16例、sham群22例に分け、0.5mg ranibizumab注射をdouble-blindで行い、6ヶ月間に必要であった注射回数を検討した。
・BF群では2.2回、sham群では3.2回で有意差があり(p=0.0274)、中心網膜厚BF群で薄かったが(p0.0604)、視力には有意差はなかった(p0.3141)。
・ブロムフェナック点眼は比較的小さなAMDにおいては、ranibizumabの注射回数を6ヶ月にわたって減らすことができた。
Cerebrovascular accidnets in patients treated for choroidal neovascularization with ranibizumab in randomized controlled trials.
Bressler NM et al(MD USA)
Retina 32(9): 1821-1828, 2012
・AMDに対する5つのranibizumab試験(FOCUS、MARINA、ANCHOR、PIER、SAILOR)試験を解析し、脳血管事故CVAの2年間の頻度を解析した。
・頻度は3%未満で、0.3mg ranibizumab:controlは1.2倍(95%CI=0.4-4.4)、0.5mg:Ctrlは2.2(CI=0.8-7.1)であったが、0.5mg:0.3mgは1.5(0.8-3.0)であり、有意差はなかった。
・CVA既往(OR=6.83)、TIA既往(OR=3.75)、心筋梗塞既往(OR=2.33)等のあるhigh-risk CVA患者では有意差は著明であった。
・脳血管事故CVAはranibizumab:コントロール、0.5mg:0.3mgのranibizumabで、リスクが高くなっていた
Comparison of intraocular pressure elevation after anterior versus posterior subtenon triamcinolone aceonide acetate injection. A retrospective study.
Liu X et al(China)
Retina 32(9): 1838-1843, 2012
・Triamcinoloneを前部テノン下(ASTI)と後部テノン下(PSTI)に注射した時の眼圧の上昇を比較した。
・20mg/0.5mlを1回注入したASTI群131眼と、40mg/0.4mlを1回注入したPSTI群49眼を比較した。
・眼圧が21mmHgを越えた人はASTI群では28/181(21%)、PATI群では6/49(12%)であり、ASTI群で2.4倍であった(95%CI=1.02-5.9 p=0.0389)。
・眼圧が30mmHgを越えるものは、ASTI群で5.3倍(95%CI=1.2-22.5 p=0.03)であった
Intravitreal injection of ranibizumab during cataract surgery in patients with diabetic macular edema
Paulo I. Rauen et al (University of Sao Paulo, Brazil)
Retina 32: 1799-1803, 2012
・レーザー治療では効果の無い糖尿病性黄斑浮腫を有する11名11眼に白内障手術終了時に0.5mg/0.05ccのラニビズマブ硝子体注射を一回施行し(術前検査より1週以内)、術後1,4,8,12週で黄斑厚と視力の変化を調べた。
・患者の条件は、①DME(少なくとも3ヶ月以内に黄斑部にLKを行ない、FAで中心窩を含むほぼ黄斑全体にびまん性の漏出) ②最良矯正視力がlogMAR0.3(20/40)から1.6(20/800) ③OCT上中心網膜内厚が300㎛以上 ④Grade2(Lens Opacity Classification SystemⅢ)以上の白内障で、そのため格子状LKを十分追加できない。
・中心網膜内厚(CSFT)は術前、術後の検査で明瞭な変化は無かった。(P>0.05) 最良矯正視力(BCVA)は、術後明らかに改善した。(P<0.05) ゆえに術後視力の改善は白内障の除去によるものと考えられた。
・これまでのいくつかの報告では、ベバシズマブを用いて黄斑厚が減少しているが、今回はラニビズマブを用いたため、半減期が2倍長いベバシズマブが長く効果を有し、有効であったと思われる。(YM)
Macular sensitivity and morphology after intravitreal injection of triamcinolone acetonide for macular edema with branch retinal vein occlusion
Hidetaka Noma et al (Tokyo Women’s Medical University, Japan)
RETINA 32: 1844-1852, 2012
・BRVOによる黄斑浮腫の治療のためトリアムシノロン・アセトニドの硝子体注射後黄斑部の感度、厚さ、黄斑全体の体積の変化を評価する。
・黄斑浮腫のあるBRVO患者17名17眼に4.0㎎/0.1mlのトリアムシノロン・アセトニドの硝子体注射(IVTA)を施行。FA上の毛細血管灌流域により、患者を虚血型と非虚血型に区別した。マイクロぺリメトリーを用いて黄斑の感度を中心4°,10°,20°で測定。黄斑の厚さと体積はOCTで測定した。
・平均黄斑厚は中心4°,10°,20°で硝子体注射後明らかに減少した(すべてP<0.001)。また全黄斑の体積も減少した(すべてP<0.001)。視力は術後3か月と6か月で明らかに改善した(P=0.002)。3つの範囲での黄斑の感度も改善した(すべてP<0.05)。これらの検査結果に虚血型と非虚血型で明瞭な差は認めなかった。(虚血10名、非虚血7名。年齢、性別、高血圧と高脂血症の有無、BRVOの罹患期間すべて差なし)。
黄斑部の区域
・IVTAは白内障の悪化、眼内圧の上昇の合併症のため使用頻度が減少し、抗VEGFが多くなっているが、TAにて黄斑浮腫が改善し厚みが減少することが視細胞の機能回復となり、虚血型でも視力改善し有効と思われる。(YM)
Intravitreal bevacizumab treatment for exudative age-related macular degeneration with good visual acuity
Ruth Axer-siegel et al (Tel Aviv, Israel)
RETINA 32: 1811-1820, 2012
・視力良好な滲出性ARMD患者の視力と解剖学的結果におけるIVBの効果を検討する。
・6か月以上経過観察した視力0.5以上の新しく診断された滲出性ARMD患者130名150眼に6週毎にIVBを3回施行し、液体又は出血が残れば追加した。
・平均IVB回数11.3±6.2回。最終的に視力が不変又は改善は106眼(70.7%)。術前と最終の平均視力変化は、0.22±0.1から0.22±0.2、CMT(中心黄斑厚)は267±75㎛から226±75㎛(P=0.14)。最も高頻度の合併症(18眼、12%)は角膜上皮欠損であった。
・視力良好な新しく診断された滲出性ARMDのIVB治療は、視力は不変又は改善し、安全に施行できた。最初の視力は気にせずに早めに治療を行なうべきと思われる。結果的に視力低下した症例は治療が3年以上の長期にわたるもので、継続するCNVの活動性によるダメージが大きいことと、色素上皮・網膜の損傷が進行したことによると思われた。(YM)
Subretinal drusenoid deposits associated with pigment epithelium detachment in age-related macular degeneration
Florian Alten et al (Bonn, Germany)
RETINA 32: 1727-1732, 2012
・ARMDに二次的に生じた色素上皮剥離(PED)を有する患者の網膜下ドルーゼン性沈着物(SDD)の特徴を述べる。
・少なくとも片眼にARMDが原因で漿液性、ドルーゼン性、血管性PEDを有する104名208眼に共焦点SLO近赤外線リフレクタンスイメージ(820nm)を記録した。
・SDDは102名中55名(53.9%)に認めた。この55名中46名には両側にSDDがあった(83.6%)。SDDは右眼に51(50%)、左眼に50(49.0%)認められた(右のみ5,左のみ4,両46)。204眼中146眼ではARMDによるPEDがみられ、そのうちの111(76%)は血管性、35(24%)はドルーゼノイド。SDDの存在と関連していたのは年齢(P<0.0001)、女性(P=0.014)であったが、PEDのタイプとは関連なかった(P=0.174)。
・SDDはARMD由来のPEDを伴う眼には普通にみられ、共焦点SLOで容易に認められる。最も高頻度にみられたのは、中心窩の上方と上耳側アーケードであった。SDDの大きさは様々であり、25㎛から1,000㎛まで。検眼鏡的検査では軟性ドルーゼンと比較して少し白く見えた。
・血管性PED――FA上CNVが見られ、OCT上RPE隆起の下に網膜内・下液を伴う場合と無い場合がある。
漿液性PED――FA上、初期は背景螢光の影として見られ、後期で漏出も無く、色素上皮下空間に均一に染まる。OCT上RPE隆起の下に高反射は認めず、網膜内・下液に囲まれない。
ドルーゼノイドPED――FA上漏出は無い。RPE隆起の下に均一な高反射物質を伴い、網膜内・下液に囲まれない。
・SDDはARMDに特徴的だが、血管新生又は萎縮性ARMDに特徴的ではない。なぜならSDDはARMDの初期にも認められるからである。今回の調査でドルーゼン性と血管性PEDの間でSDDの広がりに明らかな差は無かった。しかし、GA(地図状萎縮)、CNV、PEDのある後期ARMD眼には多く見られると言われている。SDDはリポフスチン様物質と言われているが、原因はいまだに不明である。(YM)
Swelling of the arcuate nerve fiber layer after internal limiting membrane peeling
Augustino clark et al (Bologna, Italy)
Retina 32: 1608-1613, 2012
・特発性黄斑円孔とERM手術でILM剥離術後早期の網膜神経線維層の変化を調べる
・ERM55人56眼、MH31人33眼に対し、pars plana vitrectomyとILM peelingを施行。赤外線写真(IR)、自発蛍光写真(AF)、SD-OCTを、術前、術後1週、1ヶ月、3ヶ月で検査した。89眼のうち28眼(31.46%)で術後1週から1ヶ月で弓状網膜神経線維層の腫脹(SARNFL)を示したが、平均2ヶ月後には消退した。この特徴はAFで最も良く描写され、3~5本の視神経乳頭から延びる線で黄斑に向かって弓状に延びている。視力の回復には影響しない。
・SANFLの病因として考えられること
ILM剥離の時につかむ鑷子による網膜内層の直接的な外傷。これが神経に沿った軸索原形質の流れを破壊して視神経から放射状に延びる弓状の線を作る。
ILMにくっついているミューラー細胞の終末端へのダメージで、SANFLは外傷の早期の反応である可能性。
この他の原因として、光、色素、術中使用する液体、ガスの網膜への毒性も考えられるが、これらであれば影響は限局性ではなく、網膜全体に及ぶはずである。(YM)
Intravitreal ranibizumab versus bevacizumab for treatment of myopic choroidal neovascularization
Pierluigi iacono et al (Conegliano, Italy)
Retina 32: 1539-1546, 2012
・48名の患者のうち無作為に23名はIVR、25名はIVBで治療。全員①-6D以上の近視又は眼軸26.5㎜以上 ②FA上中心窩下にCNV。 再治療の必要は①OCT上、網膜内又は網膜下に液体が貯留 ②FA上の漏出 ③新しい出血の存在
・IVB、IVR共に有効であるが、注射回数ではIVRの方が少ない回数で有効だった。(YM)
Diplopia was not predictable and not associated with buckle position after scleral buckling surgery for retinal detachment
Fleur Goezinne et al (Utrecht, The Netherlands)
Retina 32: 1514-1524, 2012
・裂孔原性網膜剥離で強膜バックリング手術で初回治療を受けた1030名。二次的に斜視が発生した患者は39名(3.8%)。28名(2.7%)では、筋の機械的な制限のために斜視が進行した。
・複視28名のうち6名(21%)では、どの直筋の下にも全くバックルは無かった。7名(25%)は1つの筋の下、13名(47%)は2つ、2名(7%)は3つの筋の下にあった。この28名のうち17名はプリズム治療で改善(16名は垂直方向、1名は水平方向)、2名はfusionの訓練で改善。1名は斜視手術を行なったが治らず片眼遮閉となった。他の2名は視力矯正で治癒。4名は6ヶ月後に自然治癒。2名はプリズム治療が奏功せず、片眼遮閉を勧めた。最終的に39人中28名(72%)で治癒した。
・バックルの位置や型と、斜視の発生率やタイプに関連は無かった。
・この他に原因として考えられること
①筋へのクライオの影響(今回は4名に関連があったが6ヶ月で消退した)
②輪部付近の結膜の瘢痕(翼状片と同様の原因)
③局麻の筋への毒性による一過性の麻痺
④バックルによる筋の虚血(一報告では血流は43%まで減少しうる)
⑤あまり強くバックルで筋をしめつけると筋の出血、浮腫につながる
・治療法の順序
①プリズム ②バックル除去 ③斜視手術(できれば他眼の手術を勧める。なぜならばバックル治療した眼は筋が癒着、線維化し、手術が困難である上成功率が低い) ④この他に結膜と筋の瘢痕を取り除く、ボツリヌス注射も可能である(YM)
Causes of unsuccessful ranibizumab treatment in exudative age-related macular degeneration in clinical settings
Salomon Y. Cohen et al (Rouen, France)
Retina 32: 1480-1485, 2012
・滲出性ARMDで初回片眼又は両眼にIVR治療される患者を3施設にわけて検討した。
・パリ群‐6名の医師(4名は1回のIVR、2名は3ヶ月毎月のIVRを施行)
オルレアン群‐1名の医師が1回IVRを施行
ルーアン群‐1名の医師が3ヶ月毎月のIVRを施行
・上記3群で15文字以上の視力悪化の患者を選別し、OCT、眼底写真、FAを2名の医師が読影し、視力低下の原因を判定した。
・結果 パリ群 122名(124眼)中、悪化は12眼(9.6%)
中心窩の萎縮(6)、網膜下線維化(3)、網膜下出血(2)、RPE裂孔(1)
オルレアン群 66名(66眼) 悪化は5眼(7.6%)
中心窩の萎縮、網膜下線維化、網膜下出血、線維化と萎縮の合併が各1 眼
ルーアン群 100名(100眼) 悪化は4眼(4%)
網膜下線維化(1)、網膜下出血(1)、線維化と萎縮の合併(2)
・1年で15文字以上悪化の割合は3群で変わらず。これらの眼で、年令、性別、左右、CNVの型、IVRの回数、視力に差は無かった。
・線維化は中心窩下CNVの最も普通の経過である。重篤な網膜下出血は未治療のCNV又はレーザーかPDT治療後のCNVでみられる。RPE裂孔はCNVの経過で発生しうるが、硝子体注射の手技でもおこりうる(0.1~2.9%)
・治療方針、手技、適応に一定の規則が無くても、3群で視力悪化が同じ割合でみられたことより、IVR後視力低下をきたすことがありうるが、AMDの自然の経過と考えられた。(YM)
Long-term results of photodynamic therapy for subfoveal choroidal neovascularization with pathologic myopia
Fabrizio Giansanti et al (Florence, Italy)
RETINA 32: 1547-1552, 2012
・無血管中心窩の中央を含む脈絡膜血管新生に対してPDTを受け、少なくとも5年以上観察できた病的近視(-6.0D以上か、眼軸が26.5㎜以上)の患者43名43眼。抗VEGFやステロイドで加療された者は除外。
・初年度平均視力は不変。2年で悪化し始め、3年以上で明らかに悪化した。PDTの回数が増えることや初回PDTのスポットサイズは共に視力に影響していないと思われた。
・CNV付近の網脈絡膜萎縮は5年で83%にみられた。長期観察すると、網脈絡膜萎縮の進行により視力は低下する。レーザーは長い眼軸では網脈絡膜が薄いので、脈絡膜萎縮を拡大すると思われる。
・PDTのみで加療した近視性CNVは、長期経過では脈絡膜血管新生のために明らかに視力低下する。ゆえに、色素を減量したPDTや、抗VEGF硝子体注射も考えるべきである。(YM)