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Ophthalmology

2010
117巻

網膜中心静脈閉塞症に対するレーザー脈絡膜網膜静脈吻合

Ophthalmology 117巻 (5号) 2010

The central retinal vein bypass study: A trial of laser-induced chorioretinal venous anastomosis for central retinal vein occlusion.
McAllister IL et al(Australia)
Ophthalmology 117(5): 954-65, 2010
・非虚血性網膜中心静脈閉塞症(CRVO)に対する治療としてのレーザー脈絡膜網膜静脈吻合(L-CRA)の効果について検討。
・非虚血性CRVOで、3ヶ月以上経過観察でき、視力が20/50以下の連続113例につき、L-CRAを58例、通常の治療55例に振り分けた。
・18ヵ月後の視力と、網膜虚血や不利益な症状の発現につき検討。
・治療はArgonレーザーで乳頭から2-5DD以内に50μm、0.1秒露光、3.5-6.0Wで、1発目は静脈縁に行いBruch膜破綻を狙い、2発目は静脈縁上に行い静脈壁破綻を狙った。
・静脈縁が破壊されなかったときはYAGレーザ―で2.0-4.0mJでその静脈縁上を1発照射した。
・吻合ができなかった場合は、2か月後に同様の治療を行い、最高3回まで行った。
・L-CRAを試みた55例の内、42例(76.4%)で吻合ができた。
・吻合形成例では18か月後にはコントロール眼よりETDRS Chartで11.7文字視力改善が得られた(p=0.004)。
・虚血性CRVOへの移行はコントロール眼の20.8%、治療眼の9.6%で起こった(p=0.33)。
・治療眼の内、吻合が形成された群では虚血性CRVOへの移行は4.9%であった(p=0.03)。
・L-CRAの部位に新生血管の発現は、10/55(18.2%)であり、黄斑牽引あるいは遷延性硝子体の為に硝子体手術が必要になった例は5/55(9.1%)であったが、注意深い経過観察と、早期の対応によって副作用は克服できる。

2010
117巻

非接触広角(200度)眼底カメラ

Ophthalmology 117巻 (4号) 2010

Ultra wide-field angiographic characteristics of branch retinal and hemicentral retinal vein occlusion.
Prasad PS et al(CA USA)
Ophthalmology 117(4): 780-4, 2010
・78名80眼のBRVO、hemicentral RVOの周辺部の血管撮影を行った。
・用いた眼底カメラは、Optos C200 MA scanning laser ophthalmoscope (Optos PLC, Dunfermline, UK)で、非接触型で、200度迄の眼底検査ができるものである

2010
117巻

眼内への microplasmin注入の後部硝子体剥離効果

Ophthalmology 117巻 (4号) 2010

A placebo-controlled trial of microplasmin intravitreous injection to facilitate posterior vitreous detachment before vitrectomy.
Benz MS et al(TX USA)
Ophthalmology 117(4): 791-7, 2010
・硝子体手術を予定した患者に対して、術前の硝子体内microplasmin注入の安全性と効果について検討。
・Phase 2, multicenter, double-masked clinical trialである。
・黄斑硝子体牽引あるいは黄斑円孔での手術予定患者125例である。
・placebo(n=30)、Microplasmin (25μg:n=29、75μg:n=33、125μg/100μl:n=32)をPPVを予定した7日前に硝子体内注入し、状態が改善したら手術は中止した。
・注入後7日目の全PVDの比率は、それぞれ、10%, 14%, 21%, 31%であった。
・注入後7日目までにPVDが進展した比率は、7%, 21%, 21%, 28%であり、125μgではplaceboより有意にPVDが進展していた(p=0.04)。
・35日で、PPVが不要になった率は、3%, 10%, 15%, 31%、180日目では 3%, 7%, 15%, 28%であった。
・35日目と180日目でPPVを中止した比率は、125μgとplaceboとの間に、有意差があった(p<0.01, p=0.01)。
・125μg注入で黄斑硝子体牽引、黄斑円孔が手術せずに治癒した比率は、35日目では 3/11例, 7/20例で、180日目では 3/11例, 6/20例であった。
・125μgのMicroplasmin硝子体内注入はPVDを進展させ、硝子体手術を不必要にさせることもできる。

2010
117巻

経結膜25G硝子体手術時の細菌汚染の危険性

Ophthalmology 117巻 (4号) 2010

Bacterial contamination of the vitreous cavity associated with transconjunctival 25-gauge microincision vitrectomy surgery.
Tominaga A et al(大阪大)
Ophthalmology 117(4): 811-7, 2010
・経結膜25G小切開硝子体手術(MIVS)と従来の20G硝子体手術(PPV)とで、硝子体腔の細菌汚染率を検討した。
・81例81眼を2方法にランダムに割り振り、結膜嚢培養を術前の0.5%moxifloxacin点眼をする前と後、硝子体液を手術の開始時と終了時に採取した。
・25G MIVS群40眼、20G PPV群41眼で、それぞれの細菌分離陽性率は 77.5%, 62.3%, 22.5%, 0%と、82.9%, 63.4%, 2.4%, 0%であった。
・両群とも抗生剤点眼後は有意に減少(p<0.001)。
・硝子体液では、開始直後では MIVS群で有意に高かった(p=0.007)。
・多変量解析では、OR=11.27 95%CI=1.31-96.79 p=0.027、となり、MIVS群で細菌汚染が高くなっていた。
・P acnesがその80%を占めており、硝子体液からは最も頻繁に検出された。
・25G trocarシステムでは結膜嚢細菌が硝子体内へ入るが、術中に殆どの場合は消失している。

2010
117巻

眼瞼弛緩症候群と睡眠時無呼吸症候群

Ophthalmology 117巻 (4号) 2010

The associations of floppy eyelid syndrome: a case control study.
Ezra DG et al(UK)
Ophthalmology 117(4): 831-8, 2010
・眼瞼弛緩症候群(FES)と円錐角膜、睡眠時無呼吸症候群(OSAHS)との関連を調べた。
・FESの102例と、コントロールとして年齢、性、BMIをマッチさせた糖尿病網膜症102例を比較した。
・FESと有意に相関していたのは、OSAHS(p=0.0008)、円錐角膜(p<0.0001)、睫毛下垂(p<0.0001)、皮膚弛緩(p=0.02)、 眼角の緩み(p=0.02)、上眼瞼の弛緩(p=0.001)、眼瞼の開き具合(p=0.004)、眼瞼挙筋機能(p=0.005)であった。

2010
117巻

ホルモン補充療法と白内障の発症率

Ophthalmology 117巻 (3号) 2010

Hormone replacement therapy in relation to risk of cataract extraction. A prospective study of women.
Lindblad BE et al(Sweden)
Ophthalmology 117(3): 424- 30, 2010
・閉経後の女性において、ホルモン補充療法(HRT)と白内障手術の罹患率との関連を検討した。
・49-83歳の閉経後女性30,861で検討。98か月の間の4,324例の白内障手術で、HRTではHRTを受けていない人より、白内障手術率は14%多かった(RR:rate ratiol=1.14 95%CI=1.07-1.21)。
・現在HRTを受けている人では18%多かった(RR=1.18 95%CI=1.10-1.26)。
・HRT期間と白内障手術率との間には関連があった(p=0.006)。
・現在10年以上HRTを受けている人では、多変量RR=1.20(95%CC=1.06-1.36 p=0.001)。
・アルコールを日に13g(ワイン1杯、ビール1本程度)以上摂取する人では、現在HRTを受けている人は、HRT受けずアルコール摂取しない人に比較し、42%多かった(RR=1.42 95%CI=1.11-1.80)。

2010
117巻

緑内障に対するSimvastatin内服治療

Ophthalmology 117巻 (3号) 2010

Simvastatin and disease stabilization in normal tension glaucoma: a cohort study.
Leung DYL t al(Hong Kong)
Ophthalmology 117(3): 471- 6, 2010
・NTGで、Simvastatin内服者では視野進行が止まるかどうかを検討。
・中国人の256例256眼のNTGで検討した。
・年齢、性、未治療下眼圧、視野状態、乳頭の垂直C/D比、中心角膜厚をマッチングさせた、Simvastatin内服群31例と、非内服群225例で比較した。
・Simvastatin(+)群で高コレステロール血漿、高血圧、虚血性心疾患が多かった。
・36か月の経過観察で、121例(47.3%)で平均-0.30dB/年の視野の進行があった。
・Simvastatin(+)例は、視野進行例121例中8例(6.6%)、視野非進行例135例中23例(17.0%)であった(p=0.011)。
・ロジスティック回帰で視野進行のリスクを検討すると、乳頭出血はRR=3.26(95%CI=1.21-8.76 p=0.019)、脳血管障害はRR=2.28(95%CI=1.03-5.06 p=0.043)、10歳年齢アップはRR=1.38(95%CI=1.08-1.76 p=0.009)であったのに対し、Simvastatin内服はRR=0.36(95%CI=0.14-0.91 p=0.030)であり、Simvastatin内服はNTGで視野進行を阻止する因子として有効であることがわかった

2010
117巻

慢性腎疾患と眼圧

Ophthalmology 117巻 (3号) 2010

Chronic kidney disease and intraocular pressure. The Singapore Malay Eye Study.
Nongpiur ME et al(Singapore)
Ophthalmology 117(3): 477- 83, 2010
・Singaporeのマレー人の40-79歳の成人3,280名について、慢性腎疾患(CKD)と眼圧との関連を調べた。
・糸球体瀘過量(eGFR)と微量アルビミン尿を測定し、eGFRが60ml/min/1.73m2以下、あるいは微量アルブミン尿(+)、尿アルブミン-クレアチニン比が男で17mg/g以上、女で25mg/g以上をCKDと診断した。
・全体ではCKDは27.92%、緑内障は4.5%で、眼圧は15.41±3.7mmHgであった。
・年齢、性で補正した後の眼圧はCKDでは15.8と、CKD以外の15.3に比較して高かった(p<0.0001)。
・眼圧はeGFRが低い群で高かった(p<0.001)。
・多変量回帰分析では、CKDでは平均眼圧はCKDのない人より0.305mmHg高かったが、CKDと緑内障とは相関がなかった。

2010
117巻

近視眼は糖尿病網膜症になりにくいか?

Ophthalmology 117巻 (3号) 2010

Are myopic eyes less likely to have diabetic retinopathy?
Lim LS et al(Singapore)
Ophthalmology 117(3): 524- 30, 2010
・随時血糖が11.1mmol/l以上、糖尿病薬を内服している、あるいは糖尿病と診断された人をDMと定義した。
・球面屈折度(SE)はオートレフケラトと自覚屈折度で決め、眼軸長と前房深度はIOLMasterで測定した。
・3280名の内、DMと診断された629名で解析した。
・多変量解析では、遠視(>0.5D)を1.0とした場合、正視(0.5以内)、軽度近視(-3D以内)、中等度近視(-3D越え)では、網膜症ありは、0.80(95%CI=0.61-1.06)、0.66(0.45-0.95)、0.59(0.32-1.07)で、trendはp=0.009。
・中等度網膜症は、0.69(0.40-1.18)、0.60(0.30-1.19)、0.18(0.03-1.18)で、trendはp=0.015。
・重症網膜症は、0.47(0.23-0.98)、0.44(0.18-1.12)、データなしで、trendはp=0.052であった。
・眼軸長が1mm増加するごとに、網膜症ありは0.86(0.75-0.99 p=0.041)、中等度網膜症は0.80(0.62-1.05 p=0.108)、重症網膜症は0.63(0.40-0.99 p=0.044)となった。
・近視があり、眼軸長の長い人は糖尿病網膜症のリスクは低くなっていた。

2010
117巻

糖尿病でない人の網膜症について

Ophthalmology 117巻 (3号) 2010

Retinopathy in persons without diabetes. The Handan Eye Study.
Peng XY et al(China)
Ophthalmology 117(3): 531- 7, 2010
・中国河北省の田園地域で糖尿病のない人の網膜症について検討した。
・30歳以上のハン族の6,830名で調査した。
・空腹時血糖が7.0mmol/l以上、糖尿病薬を内服している、あるいは糖尿病と診断された人をDMと定義。
・DMでない人で網膜症のある人は13.6%(95%CI=12.6-14.6%)あった。
・網膜症のリスクファクターは年齢(OR=1.02 95%CI=1.01-1.03 1歳増加する毎に)、男性(OR=1.27 95%CI=1.08-1.49)、空腹時血糖(OR=1.30 95%CI=1.11-1.53 1mmol/l増加毎に)、収縮時血圧(OR=1.15 95%CI=1.05-1.27 10mmHg増加毎に)、拡張期血圧(OR=1.16 95%CI=1.09-1.22 10mmHg増加毎に)。
・このことは、初期の毛細血管症は血糖や血圧が正常値上限で既に発生していることを示している

2010
117巻

PASCAL光凝固装置の組織所見

Ophthalmology 117巻 (3号) 2010

In vivo retinal morphology after grid laser treatment in diabetic macular edema.
Bolz M et al(Austria)
Ophthalmology 117(3): 538- 44, 2010
・DMEの人の初回光凝固をPASCALでグリッド凝固を行う前と凝固1日目のOCT所見を13名で検討した。
・凝固1日目には網膜外層(RPE層、視細胞層PRL、外顆粒層ONL)のみに形態的な変化が見られた。
・凝固斑は矢状ではなく、ONLを斜めに横切って外境界膜に入り、そこからは矢状(垂直)に方向を変えてPRL、RPEに入っていた。
・また、中心網膜厚の減少、殊にPRLの減少も引き起こしていた。

2010
117巻

喫煙はぶどう膜炎のリスクファクターになるか

Ophthalmology 117巻 (3号) 2010

Cigarette smoking as a risk factor for uveitis.
Lin P et al(CA USA)
Ophthalmology 117(3): 585- 90, 2010
・Proctor Foundationで眼内炎症で経過を見ている2002-2009年の564名について、同時期の患者564名と比較検討した。
・喫煙者の眼内炎症を持っている比率は、喫煙歴のない人の2.2倍(95%CI=1.7-3.0 p<0.001)であった。
・ぶどう膜炎のタイプごとに分けると、前部ぶどう膜炎ではOR=1.7(95%CI=1.2-2.4 p=0.002)、中間部ぶどう膜炎ではOR=3.2(95%CI=1.3-7.9 p=0.014)、後眼部ぶどう膜炎では OR=3.2(95%CI=1.3-7.9 p=0.014)、汎ぶどう膜炎ではOR=3.9(95%CI=2.4-6.1 p<0.001)であった。
・汎ぶどう膜炎でCMEのある人ではOR=8.0(95%CI=3.3-19.5 p<0.001)、CMEのない人ではOR=3.1 (95%CI= 1.8-5.2 p<0.001)であった。
・中間部ぶどう膜炎でCMEのある人ではOR=8.4(95%CI=2.5-28.8 p<0.001)、CMEのない人ではOR=1.5(95%CI=0.6-3.8 p=0.342)であった。
・感染性ぶどう膜炎ではOR=4.5(95%CI=2.3-9.0 p<0.001)、非感染性ぶどう膜炎ではOR=2.1(95%CI=1.6-2.8 p<0.001)。
・このことはぶどう膜炎の喫煙者に喫煙をやめさせる大きな理由になりうる。

2010
117巻

LASIK術後の感染性角膜炎

Ophthalmology 117巻 (2号) 2010

Infectious keratitis in 204,586 LASIK procedures.
Llovet F et al(Spain)
Ophthalmology 117(2): 232-8, 2010
・SpainのLASIK施設Bavieraで2002年9月から2008年5月までに行った107,613例204,586眼のLASIK手術のレコードを調べたところ、感染性角膜炎は63例72眼(0.035%)にみられた。
・感染の発症は術後7日以内に62.5%が発症していた。
・培養をとった54例の内、21例で菌が検出された。
・9例が表皮ブ菌で最も多かった。
・感染直後に、54例でフラップを持ち上げて抗生剤で洗浄した。
・抗生剤点眼だけで加療した18例のうち10例では後にフラップを持ち上げての洗浄が必要となった。
・1例ではフラップ壊死のためにフラップを切除した。
・最終的な最良視力は38例(52.7%)で1.0以上、67例(93.05%)で0.5以上、5例(6.94%)で0.5未満であった。

2010
117巻

緑内障における篩状板圧の再検討

Ophthalmology 117巻 (2号) 2010

Cerebrospinal fluid pressure in glaucoma. A prospective study.
Ren R et al(China)
Ophthalmology 117(2): 259-66, 2010
・開放隅角緑内障の43例(NTG:14例、POAG:29例)と緑内障のない71例で脳脊髄圧(CSF-P)を検討した。
・CSF-Pは正常眼圧緑内障群(9.5±2.2mmHg)では、POAG群(11.7±2.7mmHg)や、コントロール群(12.9±1.9mmHg)よりも有意に低かった(p<0.001)。
・篩状板圧差(IOP-CSF圧)は正常眼圧緑内障群(6.6±3.6mmHg)やPOAG群(12.5±4.1mmHg)では、コントロール群(1.4±1.7mmHg)よりも有意に高かった(p<0.001)。
・緑内障性視野欠損の程度(dB表示)は、CSF-Pの高さと負の相関があり、篩状板圧差と正の相関があった。
・緑内障、非緑内障眼104例全部で、篩状板圧差とdB表示の視野欠損値の相関を見ると、相関係数0.69、p<0.001となった。
・コントロール群ではCSF-Pは収縮期血圧(p=0.04)、眼圧(p<0.001)と有意に相関があったが、篩状板圧差は血圧とは相関がなかった(p=0.97)

2010
117巻

強膜内陥術後の前房深度

Ophthalmology 117巻 (1号) 2010

Anterior chamber depth is significantly decreased after scleral buckling surgery.
Goezinne F et al(Netherlands)
Ophthalmology 117(1): 79-85, 2010
・裂孔原性網膜剥離の38眼に輪状締結と強膜内陥を行い、前房深度と眼軸長を、術前、術後1週、1,3,6,9,12ヶ月後に測定した。
・38眼全部で、前房深度は有意に減少(前3.22±0.75mm、翌日2.78±0.71、1週間目2.99±0.70、1か月後3.05±0.67、3M後3.07±0.68、6M後3.09±0.71、9M後3.08±0.70、1年後3.16±0.81で、9か月目までは有意に浅くなっており、1年目で元に戻っていた。
・眼軸長は術前24.9±1.5mmで、術後、全ての観察期で、眼軸長が2.6±1.2D(0.75D~4.75D)延長していた。

2009
116巻

狭隅角眼における眼圧の日内変動

Ophthalmology 116巻 (12号) 2009

Diurnal intraocular pressure fluctuation and associated risk factors in eyes with angle closure.
Baskaran M et al(Singapore)
Ophthalmology  116(12): 2300  4, 2009
・アジア人(89%が中国人で、女性は61%)の98例98眼の閉塞隅角眼(32例のPAC suspects、34眼のPAC、32眼のPACG)と21例21眼の正常コントロール眼で、眼圧変動を測定した。
・全ての閉塞隅角眼は事前にレーザー虹彩切開を受けているが、点眼治療などの開始前の症例である。
・8:00~17:00の間に1時間おきに眼圧測定を行い、年齢、PASの広さ、中心角膜厚、垂直C/D比、自動視野計の pattern SDとの関連を調べた。
・眼圧変動はPACG(5.4±2.4)、PAC(4.5±2.3)で有意に高かった(p=0.005、PACS:3.7±1.2、正常:3.8±1.1)。また眼圧最高値は早朝であった。
・PACG+PAC群では、PACS+正常群よりも3mmHg以上の眼圧変動が起こる確率は2倍以上であった(OR=2.38; 95%CI=1.1-5.1; p=0.025)。
・眼圧変動が大きいことは、PASの範囲(r=0.37 p=0.0001)、視野のPSD(r=0.34 p=0.0002)と関連していた。

2009
116巻

白内障術後眼内炎の集団発生

Ophthalmology 116巻 (12号) 2009

An outbreak of post-cataract suregery endophthalmitis caused by psudomonas aeruginosa.
Pinna A et al(Italy)
Ophthalmology  116(12): 2321  6, 2009
・Indiaのある病院で2008/2/23~2008/4/2迄の間に白内障術後の術後眼内炎が20例発生し、全例から psudomonaa aeruginosaが検出された。
・検出菌は全株、多剤耐性で、6株は空調機から検出された菌と94%のsimilarityがあった。
・10例は眼球摘出あるいは眼球癆となった。

2009
116巻

斜視と弱視の有病率について

Ophthalmology 116巻 (11号) 2009

Prevalence of amblyopia and strabismus in white and african american children aged 6 through 71 months. The Baltimore Pediatric Eye Disease Study.
Friedman DS et al(MA USA)
Ophthalmology  116(11): 2128  34, 2009
・白人とAfrican Americanで、6か月から71カ月の小児の斜視の有病率、30か月から71カ月の小児の弱視の有病率を検討した。
・Baltimoreの6か月から71カ月の対象者は4132名で、2546名(62%)を検査した。
・明らかな斜視はwhiteの3.3%、Africanの2.1%で、whiteが多かった(relative prevalence RP=1.61: 95%CI=0.97-2.66)。
・両群とも内斜視と外斜視の比率はほぼ半々であった。
・6か月から11カ月では、84名のwhiteの中に1名斜視が見つかっただけであったが、60か月から71カ月では、斜視の比率は高く、whiteの5.8%、Africanの2.9%に見られ、whiteで多かった(RP=2.05: 95%CI=0.79-5.27)。
・弱視は白人の12名(1.8%)、Africanの7名(0.8%)で、PR=2.05; 95%CI=0.88-5.62であった。
・両眼弱視は1名であった。
・このことから、全米で、6-71か月の小児の667,000例が斜視で、30-71か月の小児の271,000例が弱視であろう。

2009
116巻

結膜弛緩症と結膜下出血

Ophthalmology 116巻 (10号) 2009

Subconjunctival hemorrhage and conjunctivochalasis.
Mimura T et al(東大)
Ophthalmology  116(10): 1880  6, 2009
・結膜下出血(SCH)と結膜弛緩症(CCh)との関連を調べた。
・SCHの41歳から94歳までの104例と、年齢と性別をマッチさせた120例で検討した。
・SCHは8方向で調査し、CChは、鼻側、中央、耳側で調査した。
・CChはGrade0から4に分類。0:皺襞がない。1:1本の小さな皺襞。2:2本以上の皺襞があるが、涙液メニスカスよりは低い。3:複数の皺襞があり、涙液メニスカスよりも高い。
・CChのgradeは、SCHでは正常者よりも鼻側、中央、耳側のいずれも有意に高かった。
・下向きあるいは指で押した時のCChの変化や、表層点状角膜症の頻度はSCH患者で、正常者よりも有意に大きかった。
・SCHの発生象限数や各領域でのSCHの存在はCChに関連したパラメータと有意に相関していた(p<0.05)。
・これらの事から、CChはSCHの発生に重要な役割を果たしているだろうと考えた

2009
116巻

弱視眼の黄斑部RNFLは厚いのか

Ophthalmology 116巻 (9号) 2009

Macular and nerve fiber layer thickness in amblyopia.
The Sydney Childhood Eye Study.
Huynh SC et al(Australia)
Ophthalmology 116(9): 1604-9, 2009
・34の小学校(中間年齢6歳:1395名)、21の中学校(中間年齢12歳:2134名)の3529名の生徒で調査した。
・弱視とは特に病変がなくて視力が0.3logMAR(0.5)未満、不同視とは両眼の屈折度が1D以上と定義し、黄斑部と乳頭周囲のRNFL厚みを測定した。
・弱視眼は健眼よりも5.0μm(95%CI=0.1-9.9)、正常者よりも10μm程度、中心窩RNFLは厚かった(いずれも p<0.05)。
・これは12歳児(4.2μm)よりも、6歳児(6.9μm)で顕著であった。
・視神経乳頭周囲のRNFLは、弱視眼、健眼、正常眼で有意差はなかった

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