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Ophthalmology

2008
115巻

Adaptive Opticsカメラの有用性

Ophthalmology 115巻 (10号) 2008

Adaptive optics fundus camera to examine localized changes in the photoreceptor layer of the fovea.
Kitaguchi Y et al(阪大)
Ophthalmology 115(10): 1771-7, 2008
・中心窩にdark spotsを示す3例3眼で、高分解能 adaptive optics(AO)眼底カメラとFourier-domain(FD) OCTを行った。
・この3例は、従来型の眼底カメラでは異常がみつからず、変視症を訴えていた。
・FAも正常であったが、AOカメラでは視細胞外節の欠損や配列異常が、FD OCTでの異常部位と一致して検出された。
・AO画像での障害範囲は、400×200, 300×120, 300×200μmで、FD-OCTでの視細胞外節の障害範囲はそれぞれ、330×150, 280×100, 200×150μmとよく一致していた

2008
115巻

糖尿病黄斑症に対するケナコルト治療と光凝固治療

Ophthalmology 115巻 (9号) 2008

A randomized trial comparing intravitreal triamcinolone acetonide and focal/grid photocoagulation for diabetic macular edema.
DRCR Diabetic Retinopathy Clinical Research Network(USA)
Ophthalmology 115(9): 1147-59, 2008
・DMEに対して、防腐剤の含まれないトリアムシノロンの硝子体内注入(1mg, 4mg)とfocal/grid光凝固の効果を比較
・対象は中心窩を含んだDMEで、視力が20/40~20/320の693例840眼である。
・光凝固群を320眼、1mgトリアムシノロン群を256眼、4mgトリアムシノロン群を254眼にランダムに分けた。
・再治療の判定は4カ月後に浮腫が不変あるいは新しく浮腫がでた時とした。
・ETDRS視力、OCT、副作用発現で効果判定をした。
・4カ月後の平均視力は4mgトリアムシノロン群が、光凝固群(p<0.001)、1mg群(p=0.001)より有意に良かった。
・1年後の視力は全群で有意差がなかったが、2年後には光凝固群が視力が良かった。1mg群(p=0.02)、4mg群(p=0.002)、1mgと4mg群(p=0.49)。
・視力の差は白内障形成によるものではなく、OCT結果も視力と一般的には相似していた。
・光凝固、1mg群、4mg群で、10mmHg以上の眼圧上昇が一度でもあったものは、4%、16%、33%であり、白内障手術は 13%、23%、51%で行った

2008
115巻

糖尿病黄斑症に対する光凝固治療の見直し

Ophthalmology 115巻 (9号) 2008

A new look at an old treatment for diabetic macular edema(Editorial)
Schachat AP(OH USA)
Ophthalmology 115(9): 1445-6, 2008
・DMEに光凝固治療を行うと、将来の視力障害のリスクを半分にすることができるが、視力改善の得られるのは10%程度であることがETDRSの結論である。
・過去のETDRSの様な光凝固治療の効果につき、DRCRが再検討を行った
・2年間の経過観察では、focal/grid光凝固はDMEに対してステロイド硝子体内注入より効果があり、副作用も少ない。
・4ヶ月まではステロイド群は光凝固群より良いが、16か月から2年後には光凝固群の方が視力がよくなっている。
・ETDRSの結果よりもDRCRの方が良いのは、手技をETDRSに学んだからであろう。
・1985年のETDRSよりも、DRCRでは凝固パワーを弱くしていることと、良くなりそうな患者を選択:血糖や血圧コントロールなど。
・対象患者の選択も違っている。ETDRSの患者選択では70 ETDRS letter(約20/40)以下の人は114眼、それ以上の視力の人が640眼(85%)であった。
・ETDRSでも視力0.5以下の人だけ取れば、3年後には40%の人が視力改善していた。
・過去の治療(局所光凝固)は視力を0.5以下に限れば、見直すべきものである

2008
115巻

乾性加齢黄斑変性症の視力予後の予測

Ophthalmology 115巻 (9号) 2008

Low luminance visual dysfunction as a predictor of subsequent visual acuity loss from geographic atrophy in age-related macular degeneration.
Sunness JS et al(MA USA)
Ophthalmology 115(9): 1480-8, 2008
・低照度での視機能不良でAMDによる地図状委縮(GA)患者の将来の視力予想ができるかどうかを検討した。
・脈絡膜新生血管のないAMDによるGAを少なくとも片眼にもつ患者91例を2年間経過観察した。
・BCVA、低輝度VA(2.0-logのneutral density filter装着下)、コントラスト感度、読み速度、中心10.2mm2以内のGA面積などを検討した。
・視力表示例:通常のETDRS視力が0.3-logMAR(20/40)で、低照度視力が 1.0-logMAR(20/200)であれば、1.0-0.3=0.7 logMAR、すなわち、ETDRSチャートでの7ラインとした。
・ベースライン視力が20/50以上の人は、40%が2年間で視力が3ライン以上さがったが、それ以下の視力の人では13%。
・ベースラインでの低輝度での低視力(low-luminance deficit:LLD)は視力悪化の強い予測因子であった。
・視力20/50以上群で3ラインの視力の低下は、LLDの悪い群は良い群に比して、relative risk(RR)が 2.88(95%CI=1.13-7.35)
・ベースライン視力の良い群で、そのほかの将来の視力低下を予測する因子は、中心窩暗順応感度(RR=4.20 95%CI=1.39-12.71)、読み速度(RR=2.43 95%CI=1.11-5.31)
・視力の良い群で視力低下率は、中心10.2mm2内にGAが25%-75%のものでは、25%以下あるいは75%以上のものより高かった。
・年齢、性、他眼の状況、他眼視力、GA面積、GA拡大量などは予測因子ではなかった。

2008
115巻

中心角膜厚の年次変化

Ophthalmology 115巻 (9号) 2008

Changes in central corneal thickness over time. The ocular hypertension treatment study.
Brandt JD et al(CA USA)
Ophthalmology 115(9): 1550-6, 2008
・中心角膜厚が平均 3.8年で変わるかどうかを Ocular Hypertension Treatment Studyの参加者 1,636名中1,191名(73%)を用いて検討した。
・CCTは -0.74±3.5μm/年で薄くなっていた。
・無治療群(n=595)では、2回の測定間の平均治療年数は1.1±1.6年で、治療群(n=596)では 5.0±2.7年
・無治療群でのCCT変化は 1.0±3.4μm/年で、治療群では 0.5±3.5μm/年で、有意差があった(p<0.0001)。
・プロスタグランディン点眼薬だけで治療した群(571.1→566.0μm)はβブロッカー点眼薬だけで治療した群(574.0→572.5μm)より年間の薄くなる量が多かった。

2008
115巻

手術眼と点眼群とで、飲水試験後の眼圧上昇に差があるか

Ophthalmology 115巻 (9号) 2008

Medically controlled glaucoma patients show greater increase in intraocular pressure than surgically controlled patients wih the water drinking test.
Danesh-Meyer HV et al(New Zealand)
Ophthalmology 115(9): 1566-70, 2008
・線維柱帯切除(MMC使用)後に眼圧のコントロールできた30眼と、薬剤でコントロールできている30眼で、視野障害レベル、眼圧(7-14mmHg)をマッチさせて検討した。
・続発緑内障、PE症候群、LTP既往者、SLT既往者、ダイアモックス内服者は除外した。
・15分間で1000mlの飲水試験を行った。
・線維柱帯切除眼では 10.4±2.3→10.7±2.3(直後)→11.7±2.6(最大)
・薬剤治療眼 11.1±1.8→14.6±2.2(直後)→17.3±2.7(最大)で、最大値で有意差があった。
・12.5%上昇と56%上昇(p<0.0001)

2008
115巻

小児の生活様式と近視の発生

Ophthalmology 115巻 (8号) 2008

Outdoor activity reduces the prevalence of myopia in children.
Rose KA et al(Australia)
Ophthalmology 115(8): 1279-85, 2008
・Sydneyの小学校51校から2学年で調査。1765名(6歳児小学1年)と2367名(12歳児7年生)について、2003-2005年に調査した(Sydney Myopia Study)。
・サイプレ屈折も行った。近視とは球面平均SEが-0.5D以上とした。
・両親と児童の両者に活動性についての質問を行った。
・6歳児では、戸外活動(スポーツやレジャー)と屈折度の間には関連はなかった。
・12歳児では戸外活動が多い者はより遠視で、近視傾向は少なかった。
・12歳児での分類は、1日の時間数を戸外活動は低群:1.6hrs未満、中群:2.8hrs以下、高群:2.8hrs超える、近業は低群:2.0hrs未満、中群:3.1hrs以下、高群:3.1hrsを超えるとした。
・12歳児では、近業が高群で戸外活動が低群のものは、遠視が最も少なかったが(+0.27D 95%CI=0.02-0.52)、近業が低群で戸外活動が高群のものは、遠視が最も多かった(+0.56D 95%CI=0.38-0.75)。
・戸外活動が多いほど、近視が有意に少なかった

2008
115巻

POAGで治療を受けていない人の比率

Ophthalmology 115巻 (8号) 2008

Rates of glaucoma medication utilization among persons with primary open-angle glaucoma, 1992 to 2002
Stein JD et al(MI USA)
Ophthalmology 115(8): 1315-9, 2008
・Medicareを受給している65歳以上のPOAG(1992-2002年、6446名)で、治療を受けている比率を検討。
・1992-2002年の平均では、POAGと診断されて薬剤あるいは手術治療を受けていない人は 27.4%であり、毎年、3%(OR=1.03 95%CI=1.02-1.05)づつ上昇していた。
・Medicaid受給者ではPOAG治療は43%受けない傾向があった(OR=1.43 95%CI=1.20-17.0)。
・Hispanics(OR=1.29 95%CI=1.002-1.65)、Asians(OR=1.94 95%CI=1.05-3.59)、大都市在住者(OR=1.14 95%CI=1.01-1.30)が治療を受けていなかった

2008
115巻

進行緑内障における視野進行と眼圧変動との関連

Ophthalmology 115巻 (7号) 2008

Intraocular pressure fluctuation. A risk factor for visual field progression at low intraocular pressures in the advanced glaucoma intervention study.
Caprioli J et al(CA USA)
Ophthalmology 115(7): 1123-9, 2008
・Advanced Glaucoma Intervention Study(AGIS)に登録された患者で、複数回の手術を受けた眼は除外した301例301眼を対象に、眼圧の変動と平均眼圧が視野の進行に影響するかどうかを検討した。
・全例、reference VF scoreが16以下、最低3年間の経過観察(平均7.2±2.2年)、最低7回の信頼値2以下の視野測定結果があり、1回だけ手術(線維柱帯切除169眼 or ALT 132眼)を受けているものとした。
・平均年齢64.6±9.7歳で、最終の経過観察期間までの、すべての眼圧測定値の標準偏差とした。
・78眼(26%)で視野の進行があった。
・平均眼圧が低い群では眼圧変動は有意に視野進行に関連していたが(p=0.002)、平均眼圧が高い群ではそうではなかった(p=0.2)。
・平均眼圧が低い群(n=100)では22%、高い群では29%で視野進行(p=0.26)

2008
115巻

急性緑内障発作眼に対するPEAとLPIとの比較

Ophthalmology 115巻 (7号) 2008

Randomized trial of early phacoemulsification versus peripheral iridotomy to prevent intraocular pressure rise after acute primary angle closure.
Lam DSC et al(China)
Ophthalmology 115(7): 1134-40, 2008
・62例62眼の急性緑内障発作眼で、無作為に水晶体超音波乳化吸引、あるいはLPIを施行。
・術後1日、1週間、1,3,6,12,18ヵ月の経過観察。
・LPI群では3,6,12,18ヶ月後に眼圧上昇(>21mmHg)のみられた眼は 16.1%, 32.3%, 41.9%, 46.7%であったが、超音波乳化吸引群では経過観察中に1眼(3.2%)、見られただけであった(P<0.0001)。
・LPI治療は眼圧上昇を有意に引き起こした(Hazard ratio HR=14.9, 95%CI=1.9-114.2, p=0.009)、殊に眼圧55mmHg以上はリスクファクターであった。
・18か月目で眼圧を21以下にするために使用した点眼薬数は、LPI群 0.90±1.14、乳化吸引群 0.03±0.18で有意(P<0.001)。
・眼圧はLPI群 15.0±3.4、乳化吸引群 12.6±1.9で優位差(p=0.009)。
・隅角開放 Shaffer分類はLPI群0.73±0.64、乳化吸引群 2.10±0.76で有意差(p<0.0001)。

2008
115巻

POAGでは脳脊髄圧は低下していた!

Ophthalmology 115巻 (5号) 2008

Cerebrospinal fluid pressure is decreased in primary open-angle glaucoma.
Berdahl JP et al(NC USA)
Ophthalmology 115(5): 763-8, 2008
・1996-2007に腰椎穿刺を行った31,786名の中で、POAGの28名とコントロールの49名を比較した。
・POAGはQuigleyの視野分類(0-8)で、3の軽度障害以上の視野障害のあるものを選択した。
・CSF圧はコントロール群では 13.0±4.2mmHgで、POAG群では 9.2±2.9mmHgであり、33%低くなっていた(p<0.00005)。
・直線回帰分析では、C/D比は、IOP(R2=0.321 p<0.0001)、CSF圧(R2=0.155 p<0.0001)、translaminar圧差=IOP-CSF圧(R2=0.399 p<0.0001)と独立して相関があった。
・多変量解析では、C/D比が大きいほどCSF圧が低くなっていた(p<0.001)。
・CSF圧はPOAGの病態に重要な役割を果たしているだろう
・視神経は前方の眼内圧 10-21mmHgと、後方のクモ膜下腔の脳脊髄液CSF圧 5-15mmHgに暴露されており、この2つの領域を分離する組織が篩状板である
・2つの圧差で、後方圧が高くなれば視神経乳頭が腫れ、前方圧が高くなれば視神経乳頭陥凹が発生する。

2008
115巻

狭隅角眼に対する隅角鏡と前眼部OCTでの診断の違い

Ophthalmology 115巻 (5号) 2008

Comparison of gonioscopy and anterior segment ocular coherence tomography in detecting angle closure in different quadrants of the anterior chamber angle.
Lisandro M et al(Singapore)
Ophthalmology 115(5): 769-74, 2008
・502名の眼科既往のない50歳以上の人に暗所で隅角鏡と前眼部OCT検査を行った。
・隅角鏡で後部線維柱帯が見えなければ、隅角は閉鎖していると判断し、前眼部OCTでは強膜峡前で虹彩が少しでも接触していれば隅角閉鎖と判断した。
・前眼部OCTでは、少なくとも1象限で閉塞している人は59%、隅角鏡では33%でみられた(p<0.001で有意差あり)。
・OCTと隅角鏡での隅角閉鎖は上方では 48%と29%、下方では43%と22%、鼻側では18%と14%、耳側では12%と20%であった

2008
115巻

近視は生下時の季節に影響されるか

Ophthalmology 115巻 (4号) 2008

Season of birth, natural light, and myopia.
Mandel Y et al(Israel)
Ophthalmology 115(4): 686-92, 2008
・小児の近視に、生下時の季節と日照時間が関連しているかどうかを検討。
・イスラエルで生まれ、イスラエル軍に徴兵された16歳から22歳の若者 276,911名(男157,663、女119,248名)で、2000-2004年の5年間で調査した。
・オートレフ未散瞳下でoptometristが調べた。
・右眼の球面等価で、軽度(-0.75~-2.99D)、中等度(-3.0~-5.99D)、高度(-6.0D以上)とした
・生下時の日照時間は4段階に分けた(A=10.1~10.8、B=~12.2、C=~13.57、D=~14.23時間)。
・近視者は、軽度18.8%、中等度8.7%、高度2.4%であったが、生下時の月でみると、近視は6月7月で多く、12月1月で少なかった。
・中等度、高度近視では日照時間は有意差があった。
・高度近視では、最長のDでは、Aに比して有意に多かった(OD=1.24, 95%CI=1.16-1.33, p<0.001)CでもAに比し有意に多かった(OD=1.11 p=0.004)。
・中等度近視では、D、Cで有意差あり(OD=1.08 p<0.001とOD=1.06 p=0.002)、軽度近視では、Dで有意差あり(OD=1.03 p=0.033)。
・そのほか、高度から軽度近視まで女性(OD=1.14~1.25 P<0.001)、12歳以上の者はそれ以下に比して(OD=1.32~1.91)、父親の出身地で西洋、米国、太平洋、アジア、アフリカ地区はイスラエルよりも優位に多かった(OD=1.27~1.41 p<0.001)

2008
115巻

落屑症候群における聴覚障害

Ophthalmology 115巻 (3号) 2008

Sensorineural hearing loss in pseudoexfoliation syndrome.
Yazdani S et al(Iran)
Ophthalmology 115(3): 425-9, 2008
・落屑症候群と年齢、性を一致させたコントロール群、それぞれ83例(男60例、女23例、69±8歳)で検査
・1,2,3キロヘルツ波長での聴力を検査した。
・PE群では88.4%の耳で、コントロール群では53.6%の耳で聴力が低下していた(p<0.001 OR:66.9 95%CI=3.49-11.79)。
・片方あるいは両方の聴力が落ちていたのは、PE群では78例(94.0%)、コントロール群では58例(69.9%)であった(p<0.001 OR:6.72 95%CI=2.42-18.62)。
・聴覚閾値もPE群で優位に上昇していた。緑内障の併発と聴力低下とは関連がなかった。
・落屑症侯群では多臓器に障害を起こしていることを支持する所見である

2008
115巻

白内障術後眼内炎の施設別調査

Ophthalmology 115巻 (1号) 2008

Techniques to monitor for endophthalmitis and other cataract surgery complication.
Ng JQ et al(Austraia)
Ophthalmology 115(1): 3-10, 2008
・Western Australian Data Linkage Systemの病名コードを利用して、1980-2000の間に、西オーストラリアで行われた水晶体手術 117,083例につき調査し、そのなかで術後眼内炎を発症した 210例(0.18%)につき施設別に検討した。
・4つの病院での術後眼内炎の発症は、ポアソン分布での95%予測値を上回っていた。
・頻度だけでみると、51病院のうち、2-3病院が上回っていた。
・統計処理をすると、2病院は多すぎ、1病院は予測値より少なかった。
・最高の発症頻度は約 1.2%。発症頻度が0.5%以上は総数2500例未満の7病院

2008
115巻

小児の眼内レンズ毛様溝固定の長期経過

Ophthalmology 115巻 (1号) 2008

Long-term results of scleral fixation of posterior chamber intraocular lenses in children.
Asadi R et al(Iran)
Ophthalmology 115(1): 67-72, 2008
・小児23人25眼に行われたIOL毛様溝固定について検討。
・1次移植が6眼(Marfan症候群)、2次移植が19眼(先天3眼、外傷16眼)。
・移植した年齢は 79±20.2(33-120)か月、術後経過観察は81.1±46.2(12-144)か月。
・13眼(52%)で一過性眼内出血、2眼(8%)で一過性脈絡膜浮腫、遅発眼内炎1眼(4%)、網膜剥離1眼(4%)、プロリン糸断裂による7-10年後のIOL偏位6眼(24%)

2008
115巻

緑内障患者、PE者での白内障手術後の眼圧上昇

Ophthalmology 115巻 (1号) 2008

Intraocular pressure elevation within the first 24 hours after cataract surgery in patients with glaucoma or exfoliation syndrome.
Levkovitch-Verbin H et al(Israel)
Ophthalmology 115(1): 104-8, 2008
・正常者、コントロールの良い緑内障、落屑症候群の白内障術後4,8,24時間、1週間後に眼圧測定した。
・術後の眼圧の経過はGl, Exと正常者では有意に異なっていた(p=0.005)。
・正常(25眼)はGl(18眼)、Ex(19眼)より有意に眼圧が低かった(p<0.001)。
・予防的な0.5%チモプトール点眼群でも、正常(25眼)はGl(15眼)、Ex(20眼)より有意に低かった(p<0.001)。
・0.5%チモプトール点眼はGl群では有意に術後眼圧を下げたが(p=0.003)、Ex群(P=0.4)、正常群(p=0.5)では有意差はなかった。
・正常者で眼圧25以上はなかったが、>25, >30mmHgはGl群では55%、28%、Ex群では27%、11%でみられた。
・0.5%チモプトール点眼群では、>30mmHg以上はなく、>25以上も Gl群で14%、Ex群で5%まで減らした

2008
115巻

黄斑円孔の術後未閉鎖群と再開群との再手術後の視機能の違い

Ophthalmology 115巻 (1号) 2008

Is it worth reoperating on macular holes?
Valldeperas X et al(UK)
Ophthalmology 115(1): 158-63, 2008
・532眼の全層黄斑円孔(FTMH)手術で、初回手術で閉鎖しなかった51眼と、再開した21眼で再手術の効果を検討。
・再手術では自己血小板注入とperfluoropropaneを注入し、2週間うつ伏せとした。
・再開群の全例と未閉鎖群の76%で2回目の手術で円孔は閉鎖した。
・2回目の術前視力は再開群 0.14、未閉鎖群 0.10であったが、術後の視力は再開群では0.42、未閉鎖群では0.19であった

2007
114巻

レーザー光凝固に対するステロイドとインドメサシンの網膜保護作用

Ophthalmology 114巻 (10号) 2007

Steroidal and nonsteroidal antiinflammatory medications can improve photoreceptor survival after laser retinal photocoagulation.
Brown J Jr et al(TX USA)
Ophthalmology   114(10): 1876-83, 2007
・20頭の赤毛猿で、メチルプレドニゾロンあるいはインドメサシンがレーザー網膜障害後の視細胞の生存を助けるかどうかを検討。
・右眼にアルゴングリーンレーザー(514.5nm, 10ms)、左眼に Nd:YAGレーザー(1064nm, 10ns)を照射し、照射後2週間、4種の治療を行い、1日後、14日後、2ヵ月後、4ヵ月後に調べ、4ヵ月後に組織検査を行った。
・4種の治療は、高用量メチルプレドニゾロン、中用量メチルプレドニゾロン、インドメサシン治療とコントロールである。
・治療部位に存在する視細胞核の数をその周囲の視細胞核の数と比較した。
・アルゴンレーザー治療では、高用量ステロイド群とインドメサシンン群ではコントロール群に比較して有意に生存率が高かった(p=0.004)
・Nd:YAGレーザー群では、出血部ではインドメサシン群がコントロール群より有意に生存率が高く(p=0.003)、非出血部では中用量ステロイド群が有意に生存率が高かった(p=0.004)

2007
114巻

AMDに対するPDT治療にケナコルトテノン嚢下注入を併用した治療の効果

Ophthalmology 114巻 (9号) 2007

Periocular triamcinolone and photodynamic therapy for subfoveal choroidal neovascularization in age-related macular degeneration.
NAPP Trial Research Group(USA)
Ophthalmology 114(9): 1713-21, 2007
・AMDに対し、PDT直前にテノン嚢下トリアムシノロン注入を行った33例と、PDTだけの30例の治療効果を比較した。
・対象は視力 20/20-20/320で、過去に2回以上のPDT治療を受けていない者。
・1、3、6ヶ月後に最良視力、眼圧、FAG、眼底写真を撮影し、3ヵ月後にFAGで漏出があるかどうかで評価した。
・3ヵ月後の漏出のあったものは注入群では94%、PDTだけ群では90%で有意差はなかった(p=0.66)。
・3ヵ月後の視力は注入群 20/100、PDTだけ群 20/125で、治療前より 1.5 lineと0.9 line視力低下しており、両群間に有意差はなかった(P=0.50)。
・21mmHg以上の眼圧上昇は注入群7例(21%)、PDTだけ群1例(3%)で有意差があった(p<0.05)。
・眼瞼下垂は注入群の1例(3%)で発症した。
・以前に発表された論文と違い、この報告では、3ヵ月後のFAG漏出で見た場合には両群間では有意差はなかった。

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